JTB、海外旅行商品を発売 本格的な展開は3年ぶり

2023年2月14日(火)配信

代表取締役専務執行役員ツーリズム事業本部長の花坂隆之氏

 JTB(山北栄二郎社長)は2月3日(金)、東京都品川区の本社ビルで6月以降出発の海外旅行商品の販売を発表した。コロナ禍以降、海外旅行商品の販売を本格的に展開するのは3年ぶり。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年から海外募集型企画旅行の催行を中止していたが、22年4月のハワイ方面の再開を皮切りに順次拡大。10月の水際制限の緩和以降、海外旅行への機運が高まりつつある環境を踏まえ、今回の本格再開に至った。

 代表取締役専務執行役員ツーリズム事業本部長の花坂隆之氏は「水際対策緩和や、10月の全世界の感染症危険情報のレベル1への引き下げなどを受けて、お客様の申し込みが着実に回復してきている。旅行の需要が戻りつつある」と語った。

 続けて、コロナ禍を経て、利用者や環境の変化について「お客様の旅行ニーズの多様化、パーソナライズ化の加速、Web申し込みへのシフトなど、お客様の購買行動の変化がより一層進んでいる。一方、航空やホテルについては、グローバル化への進展により、代金のダイナミックプライシング化が進んでいる」と話した。

 このような変化に対応すべく、JTBの23年度海外旅行商品は、①「お客様実感価値」の向上②サステナビリティ/SDGsへの取り組み③「安心・安全」の取り組み継続――の3点を中心に進めていくと述べた。

 ニーズの変化に合わせて、ホテル・航空券を自由に選択し、希望に合ったツアーに設定を変更できる「ルックJTBMySTYLE」を提案。旅行の目的や参加形態に応じて、個別にコンサルティングしたサービスパッケージを展開する。

 約3年ぶりの海外旅行自体に不安を感じる利用者向けに、旅行前から帰国後まで一気通貫のサポート体制を整えた添乗員同行商品も強化。少人数でのツアー設定やワンランク上の上質なプラン、体験型プランなど、添乗員付き商品ならではの特別企画も展開していく。

 商品を通じて、サステナビリティやSDGsへの貢献にも取り組む。旅行日程表のWeb化によるペーパーレスの試みや、公共交通機関を使用したCO2削減を意識したツアーを設定した。

 安心・安全の取り組みとしては、JTBの最大の強みである海外ネットワークを活用したサポート体制の再構築や、独自の補償プランの設定、デジタルを活用した利用者とのコミュニケーションを強化する方針だ。

 そのほか、海外旅行の機運醸成をはかり、2月4日(土)から海外旅行のテレビCMを放映。約3年ぶりのリアル形式での海外旅行相談会の開催や、羽田空港と協業した「海外旅行の添乗員と楽しく過ごす」日帰りバスツアーを実施すると発表した。

福岡県、アンテナレストランを「麹町なだ万 福岡別邸」として再開業 24日まで「福岡の食の宝庫 玄界灘フェア」を展開

2023年2月13日(月) 配信

玄界灘の味覚を提供

 福岡県は1月26日(木)、福岡県アンテナレストランをリニューアルし、なだ万が運営する「麹町なだ万 福岡別邸」(東京都千代田区)として再開業した。

 食と自然、伝統工芸、文化の発信拠点としての役割を担う施設で、県がPRしたい旬の食材を使った月替わり懐石などが味わえる。また同店では2月24日(金)までの平日、宗像市や古賀市など15地域を対象とした「福岡の食の宝庫 玄界灘フェア」を展開、玄界灘の魚と筑前エリアの豊かな陸の恵みを味わえる特別なメニューを提供している。

 福岡市は同フェアの開催に先駆け、2月11日(土)にメディア・旅行事業者を招き、イベントを開催し、同県の食材と地酒の美味しさを発信した。また会場では、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の1つでもある「遠賀川水源地ポンプ室」(中間市)や、神功皇后が應神天皇をお産みになられた地と伝えられる「宇美八幡宮」(宇美町)など、15地域のイチ押しスポットも併せて紹介した。

 なお同フェアで対象となるのは、以下の15地域。

中間市▽宗像市▽古賀市▽福津市▽宇美町▽篠栗町▽志免町▽須恵町▽新宮町▽久山町▽粕屋町▽芦屋町▽水巻町▽岡垣町▽遠賀町

近畿日本ツーリスト「伊東エンタメ旅」を売り出す 「撮影裏話」、「謎解き」、「映え」の3コースを伊東市が制作

2023年2月13日(月) 配信

大室山からの景色

 近畿日本ツーリストはこのほど、「伊東エンタメ旅」を売り出した。映画ドラマなどが撮影された“聖地”(ロケ地)を多数有する静岡県伊東市を舞台に、「撮影裏話」、「謎解き」、「映え」の3コースを用意。コースの企画・監修プロデュースは地域活性プランニングが担当、ツアー制作は伊東市が行った。

 謎解きコースは謎解きマップを使い、ミステリーやサスペンスなどの映像作品が撮られた場所を巡るコースで、ドラマ「DCU」で阿部寛さんや横浜流星さんらが訪れた「城ヶ崎海岸」、「金田一少年の事件簿」で道枝駿佑さん(なにわ男子)が訪れた「一碧湖」などを自身のペースで自由に巡る。

 同じく自身のペースで巡る「映え」コースは、映像制作者も認める“映えスポット”を巡りながら、伊東市の画になる施設や風景を周遊するプラン。QRコードから特設ページに飛ぶと、写真や映像の撮影ポイントを紹介した動画を見ることができ、プロの映像制作者たちから撮影のコツを教わりながら写真撮影を楽しめる。

 同コースは、泰山園でのミカン狩りなどが楽しめる「地球の恵み」、川奈ステンドグラス美術館や川奈ホテルなどレトロ可愛い施設をめぐる「昭和レトロ」、みかん狩りやジップラインなどを通して伊東の自然を全身で体感できる「自然満喫」の3コースに分かれており、さまざまな角度から伊東の魅力を楽しめるようにしている。

 一方、「撮影裏話」コースは、地元ガイドによる撮影裏話などを聞きながら、ロケ地をバスまたはタクシーで巡る企画で、撮影時の制作に携わった人しか知らないエピソードなども知ることができる。併せて、実際に撮影時出されたロケ弁の購入や、ロケ地になったお店でグルメを堪能するなど特別な体験も用意した。

 なお今回の3コースは宿泊と2日目の体験のみをセットにしたプランとなっており、1日目は終日自由行動となっている。宿泊は、ホテルラヴィエ川良かホテル暖香園から選択できる。

全旅連青年部、第1回宿フェス開催 一般消費者に47都道府県の魅力紹介

2023年2月13日(月) 配信

(左7番目から)塚島英太次期部長予定者、菅義偉前首相、星永重部長、石井浩郎国交副大臣、多田計介全旅連会長

 一般消費者に47都道府県の魅力を紹介し、国内旅行の活性化につなげようと、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(星永重部長)は2月7(火)~8日(水)の2日間、東京ビッグサイトで第1回宿フェス—宿観光旅博覧会を開催した。

 はじめに、全旅連青年部と世界の富裕層向けの観光事業者で構成される共同企業体Virtuosoと富裕層に特化したOTA(オンライン旅行会社)Hoteluxが、日本の旅館文化と地域の魅力を世界の富裕層へ発信することを目的にした協定を結んだ。

 大型ホテルのような宿泊施設や、文化財に指定された宿などさまざまな形態の宿が旅館として営業するなか、3者は客観的な旅館の基準を設ける。

 また、旅館文化や地域の魅力を発信する。そのうえで、青年部は海外富裕層向けに高付加価値商品を造成し、Hoteluxで売り出し、優待手数料で利用できるようにする。

 星部長は「コロナ禍の苦しい状況から、反転攻勢に転じる。訪日観光客が復活していくなか、新しい客層に日本の宿の魅力と価値を知ってもらい、来訪を促す」と話した。

星永重部長

 Virtuosoのアイ・リーアジアGMは「世界の人々におもてなしの温かさを体験してほしい」と語った。

アイ・リーアジアGM

 Hoteluxのケビン・ウー会長は「宿フェスを通じて高級旅館をより知ってもらえる環境をを整える」と話した。

ケビン・ウー会長

 続いて開いたオープニング式典で、星部長はコロナ禍の影響を受けた観光業界にさまざまな支援策を講じられたことを振り返り、「ここからは自分の足で立ち、助けてくれた恩を返すとき。部員や協定商社などの力を結集し、国内と訪日旅行を再活性化する」と開催の趣旨を述べた。

 また、コロナ禍を経て旅の形態が変わるなか、旅行会社と交通事業者には「どのような商品を企画できるか一緒に考えていきましょう」と呼び掛けた。

 来賓の菅義偉前首相は「宿フェスが観光需要の回復の起爆剤になることを期待している。かつてのにぎわいを取り戻せるよう一緒に取り組みたい」とあいさつした。

菅義偉前首相

 その後、来賓を交えたテープカットを行い、宿フェスがスタートした。

 会場では47都道府県の魅力を紹介するブースをはじめ、音楽ライブや全国にある部員の宿の宿泊券をプレゼントし、旅行需要を喚起した。

ブースのようす

東京ベイ東急ホテル イチゴの魅力をたん能 ストロベリーブッフェにストロベリールームも 4月23日(日)まで

2023年2月13日(月)配信

イチゴの料理を楽しめるレスラン「コーラルテーブル」

 東京ベイ東急ホテル(千葉県浦安市)では、イチゴの魅力を十分に味わえる「ベイサイド ストロベリーブッフェ」が今年も行われている。期間は4月23日(日)までの土・日・祝日。ランチやディナーで、スイーツを含めて70種の料理を楽しめる。

 料理長おすすめは、イチゴのムースとスライスしたソーセージの塩味が絶妙な「タルティーヌ風の前菜」、ピスタチオのペーストとホイップクリームにイチゴがサンドされた「ストロベリーサンドウィッチ」、「いちごとシュリンプとクルミのピッツァ」、以前人気を博し、今回復活した「四川風麻婆豆腐」、ディナー限定の「ローストビーフ」「いちごの海老チリソース」など。イチゴの創作料理やパティシエが心を込めてつくるスイーツの数々をたん能できる。

 イチゴのスイーツに囲まれた「ストロベリールーム」にも、4月23日(日)まで宿泊できる。「イチゴスイーツの小物に囲まれた可愛らしい部屋」がコンセプトで、部屋に入るとイチゴのショートケーキやカップケーキの形をしたクッション、イチゴ装飾のペンダントライトやフォトプロップスなど、イチゴの小物が部屋いっぱいに飾られている。

【旅行ライター&エディター 三堀 裕雄】

「街のデッサン(262)」児童絵画コンクールと少年の旅、小学1年生の疾駆する情感

2023年2月12日(日) 配信

山懐を抜け、人生の旅へ(会津磐梯山に行こう!あかべこ、作者:吴昶悠)

 小学1年生の吴昶悠(ウー・チャンユウ)くんの描いた絵を見て深く感動した。そこには絵画のテクニックだけではなく、吴くんの子供としての何か強い情感を感じたからだ。

 その絵に出会ったのは、「世田谷児童絵画コンクール」でのこと。コンクールは、畏友の伊佐裕氏が主宰するもので今期が9期目。伊佐氏は「伊佐ホームズ」という住宅を中心とした技術レベルの高い建築会社を経営し、地域にこだわり、住まいがコミュニティの基盤になるという信念を燃やす企業家だ。美しい環境を保持するために「まちづくり」や「場づくり」の思想を大切にしている。そこで、地域に暮らす子供たちに「ぼくの町、私の好きな場所」をテーマにコミュニティの誇りとなる「場=プレイス」の絵画を描いてもらうことを思い立つ。伊佐氏自身が画家を目指し東山魁夷の風景画に傾倒、一時は弟子入りを志したが無念にも叶わず、高校時代の先輩に東京芸大の油絵科の教授を勤めた坂口寛敏先生がいて、機会あるごとに励まされ絵画展を創案した。伊佐氏と私は、北海道の原野の先駆的まちづくりで知られる実業家の紹介で知り合った。伊佐氏が事業を立ち上げたばかりのときで、30年を超える親交となる。

 絵画コンクールの1期目から審査員を頼まれたが、その経験は貴重だった。毎年小学1年生から6年生を対象にして300点以上集まる作品の中から優れた絵画を選ぶのは、彼らの作品を判別することではなく、彼らの作品から多くを学ぶことと知った。そして大きな楽しみは作品を提出した彼らがさらに毎年、修練し磨き上げた作品を提出してくれることだ。その昇華する作品を見続けることで、私自身が美の感性を涵養されることになる。絵画展で才能を担保された彼らプチ画家たちがこれからの社会と人生をどう創り出すか。

 吴くん家族は中国から日本に移住し、磐梯山の麓が最初の暮らしの場だった。吴くんが世田谷に移住したのは昨年の小学校に入学する直前。磐梯山の山里から世田谷の都会への移住は、5人の家族の一人ひとりにどんな感慨を与えたのか。学校で絵画募集を知って絵筆を執った吴くんが描いたのは、世田谷の風景ではなく磐梯山麓を走る電車。それは最初の故郷となった場所からの別離と、これからの世田谷での見えない未来が乗っている。絵の中に自分自身だという「赤べこ」が描かれている。何とエーゼンシュタインのモンタージュ手法だ。人生の大変節を描く小学1年生。その彼の心を思いやって何故か涙が出た。小さな旅が、人間を大きく飛翔させるのだ。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(145)混雑する中でも感謝の想いを伝える行動を 顧客情報をもてなしに

2023年2月11日(土) 配信

 

 全国割が実施され、インバウンド客も少しずつ戻ってきました。ホテルのフロント周りは多くの人で混み合い、これまでスムーズだったチェックインも長い時間が必要となっています。ワクチンの接種証明書に有効期限はないので、個人確認ができれば記録にあると思うのですが、この1カ月に宿泊したホテルで何度か確認されました。ここで不快な想いをさせては、これから始まる滞在に高い満足度を提供するのは難しくなります。

 先日、約1年ぶりに利用したホテルで、「いつも喫煙室のご予約ですが、今回は禁煙室でのご予約をいただいております。変更いたしましょうか」という、感動の言葉を掛けられました。私も喫煙室希望でしたが、満室で予約が取れなかったのです。

 お客様の中にはこの1年で禁煙した人もいるかもしれないので過去の顧客情報から、事前に部屋を変更していただくホテルもあります。ただ、可能であれば準備をしておきチェックイン時に確認した方がより良いでしょう。

 そのホテルでは、さらに「お部屋を替えることで、いつものようなベッドメイキングができておりません」と言われて驚きました。ホテルがオープンしたころ、「掛け布団のシーツが深くマットの下に入れられていて、休むときに寝苦しい。もう少し緩めに入れてもらえればうれしい」という要望をしました。次に宿泊したときには、「いかがでしたか」と、前回聞いたことが希望通りに実行されていたかどうかの確認がされたのです。

 それから5年間、私が泊まる部屋のシーツは、いつも希望通りにされていました。違和感を持ったときには強く記憶に残るのですが、改善されるとその違和感が記憶に残らなくなってしまうものです。しかし、その環境こそが居心地の良さを生み出し、またここで過ごしたいという想いを高めます。

 チェックインのあと、一旦部屋に入りましたが、荷物だけ置いてすぐにトップ階にあるレストランに行きました。そこでまた驚くような光景に出逢ったのです。入口で迎えられて、カウンターに案内されましたが、そこには私宛のメッセージプレートが既に用意されていたのです。

 チェックインから10分も経っていません。レストランに来るかどうかも分からず、時間もないなかで席を取り、メッセージを用意する。ただ1人のお客様のために温かく迎える準備と手間を掛けてすること。人との接触が少なくなった今だからこそ、こうした小さな感動が心に残るのかもしれません。チェックアウト時には、「1カ月遅れになりましたが、お荷物にならなければ良いのですが」とアロマのセットをプレゼントしてくれました。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

「めぐる」「たべる」「つかる」 3つの視点で地域の宝探し ガストロノミーツーリズムの成功事例や課題などをフォーラム開き共有

2023年2月10日(金) 配信

(左から)ホセ・マリ=アイセガBCC学長、荒井奈良県知事、ズラブ・ポロリカシュヴィリUNWTO事務局長、石井副大臣

 奈良県コンベンションセンター(奈良県奈良市)で昨年12月12―15日、日本初のガストロノミーツーリズム世界フォーラムが開かれた。

 国連世界観光機関(UNWTO)とバスクカリナリーセンター(BCC)による7回目の世界フォーラムで、日本での開催は初めて。約30カ国から食と観光に携わる政府関係者ら約450人が参加。「女性と若者の活躍促進」や「観光地、生産者の価値向上」に焦点を当て、ガストロノミーツーリズムの成功事例や課題などを共有した。

□第7回UNWTO世界ガストロノミーフォーラム(奈良)

約400人が会場に

 ガストロノミーツーリズムとは、その土地ならではの食を楽しみ、歴史や文化を知る旅のこと。

 開会式でUNWTO事務局長のズラブ・ポロリカシュヴィリ氏は岸田文雄首相が10月3日に行った所信表明演説で「インバウンド観光の復活により、訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超の達成を目指す」と語ったことに触れ、「ガストロノミーツーリズムはそのための非常に素晴らしい方法。目標が達成されるよう、我われも支援する」と表明。「ガストロノミーツーリズムは社会を発展させ、雇用を創出し、地域の結束を強め持続可能な開発を可能にする。新しい観光地に人々を呼び込む力がある」と力を込めた。

 一方国土交通省の石井浩郎副大臣は、観光庁の調査で海外から日本を訪れる人が期待することの第1位が日本食を食べることと説明し、「まさに日本の食文化は海外の方を引き付ける重要な観光資源であり、(この結果は)ガストロノミーツーリズムへの期待の高さを表している。国土交通省としても本フォーラムを契機に、地域活性化の柱の1つとしてガストロノミーツーリズムを推進する」とあいさつした。荒井正吾奈良県知事は「皆様と今日、明日とここでお話しすることは、持続可能な開発のためにも、地域的な社会の貢献のためにも必要なことであり、奈良での議論が実りあるものになることを祈願している」と語った。

日本各地の魅力を発信

 3日間にわたり行われたフォーラムでは、事例の共有やフィールドワークなどを展開したほか、旭川大雪圏地域連携中枢都市圏や岩手県、下呂市観光協会など日本各地約30の自治体や団体らがブースを設け、地域の食や文化、観光の魅力を発信した。また13日に行われたガラレセプションでは徳島県三次市や滋賀県なども地域の伝統食などを参加者にふるまい、その土地の味を発信した。

 12日には開会式に先駆けサイドイベントも行われ、ガストロノミーツーリズムや持続可能な観光に関わる地域関係者や支援事業者らが登壇、パネルディスカッションを通じ取り組みを共有。ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構の小川正人理事長もスピーカーとして参加した。

□ガストロノミーツーリズムは 経済・雇用・文化継承の点で重要

(左から)本保代表、荒井奈良県知事、サンドラ・カルバオ部長、ホセ・マリ=アイセガBCC学長

 国連世界観光機関(UNWTO)とバスクカリナリーセンター(BCC)は昨年12月13日、JWマリット・ホテル奈良で会見を行い、同フォーラム開催までの経緯やガストロノミーツーリズムの重要性などを語った。

 UNWTO本部、観光市場情報・競争力部長のサンドラ・カルバオ氏は冒頭ガストロノミーとツーリズムを組み合わせることが、「とくに地方の雇用を生み出す起爆剤になる」と語った。

 そのうえで、「地方で伝統的な食や経験、地元食材を使った食事を楽しむということはゆっくりではあるが、再発見されている。そしてこの傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行・拡大により人々があまり混んでいないところで本物の体験をしたいと感じるようになり、動きを加速させている」と現状を分析した。

 BCC学長ホセ・マリ=アイセガ氏は「ガストロノミーツーリズムは経済や雇用、文化の継承の観点で重要」と強調し、「世界的に重要性が増している」と結んだ。

 またホセ・マリ=アイセガ氏は「朝一番で魚市場に行き朝食を食べる、造り酒屋に行き酒造りの行程を見学したり試飲を楽しんだりする、レストランでどんな食材が使われているかどう調理されているかを感じ知ること、そして時には発酵ワークショップなどに参加すること」がガストロノミーツーリズムであると語り、「このような観光を楽しむ人は自分で情報を探したいという欲求があるので、情報の発信と関わる人の教育も重要になる」と強調した。

 サンドラ・カルバオ氏は「(レストランで食事をした際に)その食材の原産地はどこか知りたい、訪れたいと考える人が増えている。またそれにとどまらず、生産者との対話を通じ学びたいという欲求も生まれている。今後ツーリズムとして重要になるのは、容易なカタチで提供すること」と強調した。

 会見には奈良県知事の荒井正吾知氏とUNWTO駐日事務所代表の本保芳明氏も出席し、開催の喜びなどを語った。

スマート事故防止システムで健康管理 データ蓄積し会社を守る(日本健康経営)

2023年2月10日(金)配信

松本大成社長

 日本健康経営(松本大成代表、東京都中央区)は、従業員とドライバーの健康への意識を高め、万が一の事故を防ぐ仕組み、「スマート事故防止システム」をリリースした。

 生活習慣を意識することが安全対策につながると考える同社。「運転手の健康状態を日々チェックしデータを残しておくことが、万が一の事故の際に会社を守ることにもつながる」と語る松本代表に話を聞いた。

 ――「スマート事故防止システム」とは。

 「スマート事故防止システム」は従業員とドライバーの健康への意識を高め、万が一の事故を防ぐ仕組みです。

 国土交通省の事業用自動車健康起因事故対策協議会が2020年度にまとめた「健康起因事故発生状況と健康起因事故防止のための取組」をみると、運送業界の「健康状態に起因する事故報告件数」は、13年から19年までの5年間で約2・4倍増加しています。

 また、過去7年間で健康起因事故を起こした運転者1891人のうち心臓疾患、脳疾患、大動脈瘤および解離などの兆候が見られた人が31%を占めています。このうち、死亡した運転者327人の疾病別内訳は、心臓疾患が53%、脳疾患が12%、大動脈瘤および解離が14%を占めていることが分かります。

 運送業界では点呼時の血圧測定やアルコールチェックなど、事故防止に向けたさまざまな取り組みが行われています。一方、死亡事故の原因の約80%を占める血管と血流に関わる疾患に対しては、十分な取り組みができていないのが現状です。

 そこで、医療機器の販売などを行うメディコアジャパン(東京都港区)の「スマートパルス」を使い、精神的・身体的ストレスの情報、自律神経のバランス、血管の健康状態を日常的にモニタリングする仕組み「スマート事故防止システム」を21年にリリースしました。

 ――同システムの特徴は。

 このシステムの重要なポイントは、健康を企業が「管理」するのではなく、従業員自身が「健康への意識を高めること」です。

計測のようす

 測定自体も簡単で、一分間機器に人差し指を挟み、リラックスしている間に測定が終わります。

計測結果イメージ

 1日1回個々が測定したデータはクラウド上に蓄積され、いつでも個人のスマートフォンやタブレットなどを通じ確認することができます。

 このデータの確認を通じ、生活習慣に気を配り、日々の健康管理を行う意識を身に着けてもらうことが、ドライバーの健康増進につながり、事故防止に役立つと考えています。

 これに加え、導入されている企業が必要と判断された際には、禁煙や食生活改善などのセミナーも行います。

 ――同システムを企業が導入するメリットは。

  WILL法律事務所(大阪府大阪市)の清水伸賢弁護士は、「健康起因事故が起こった際に会社が責任を免れるためには、運行供用者責任の免責事由が必要になります。会社としては、自動車の運行に関し注意を怠らなかったことを立証する必要があり、少なくとも従業員の健康状態を把握し、その対策を十分採っていたといえる事情がなければならない」と、会社側の心構えを話されています。

 万が一事故が発生した場合を考えると、従業員の健康状態を日々管理していたことを証明できるデータを蓄積しておくことは、会社を守るためにも重要になると考えます。

 ――システムを利用する際の費用は。
 

 1人当たり税込み8800円。以後、システム管理と運営サポート費用として、月額1万1千円(税込み・100人まで)。スマートパルスは従業員30人毎に1台無償で提供します。
 

 ――導入されている企業では、健康データをどのように管理されていますか。
 

 個人で管理しているケースと、会社で一括管理しているケースの2つがあります。導入している企業では、7割が会社での管理、3割が個人での管理を行っています。
 

 ――松本社長はバス事業社に対しても、同システムの導入を進めていきたいとの考えを示されています。

 バス業界でも、運送業界と同様に運転手の高齢化が課題になっています。また、「健康起因事故発生状況と健康起因事故防止のための取組」の中でも、乗合バスの「健康状態に起因する事故報告件数」が多いことが指摘されています。貸し切りバスも今後、コロナ禍からの需要回復を見据えた場合、毎日従業員の健康管理をしていることを見せることが、他社との差別化につながるのではないかと考えています。

 また観光バスは教育旅行での利用も多いですが、こうした取り組みは保護者や旅行会社の安心感にもつながると考えています。

 ――観光業界では「ヘルスツーリズム」への注目が高まっています。

 例えば、宿泊施設にスマートパルスを設置していただくことで、宿での滞在でストレスがどの程度軽減したかなどを見ていただくことができるので、宿泊施設のプランで利用していただくのもいいかもしれないですね。

 ――ありがとうございました。

 

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日本健康経営
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JATA、トルコ南部地震への義援金 会員会社対象に2月28日まで受け付け

2023年2月10日(金) 配信

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は、2月6日に発生したトルコ南部を震源とする大地震で被害に遭われた方々に対し、「心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます」とコメントを寄せた。

 あわせて、被災者への支援の一助として、JATA会員会社を対象に、義援金の受け付けを2月9日(木)から開始した。 

 募集期間は2 月28日(火)まで。金額は一口1万円。寄せられた義援金は、トルコ共和国大使館への寄付を予定している。

 詳細はJATAホームページまで。https://www.jata-net.or.jp/about/jata-csr/about04_04/page-28728/