新しい旅のエチケット、イラストを改訂 マスク着用の考え方受け(観光庁)

2022年7月12日(火) 配信

このほどイラストが改訂された「新しい旅のエチケット」(観光庁HPより)

 観光庁は7月12日(火)、旅行者向け「新しい旅のエチケット」について、厚生労働省が5月20日(金)に示した「マスク着用の考え方」を踏まえて、マスク着用のイラストを修正した。これに伴い、「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」参考資料の「新しい旅のエチケット(多言語版)」においても、改訂を行った。

 「新しい旅のエチケット」は、旅行者が安全・安心に旅行するためには基本的な感染防止対策の徹底が重要とし、観光庁や国土交通省、旅行連絡会が連携し、旅行者に留意してほしいポイントをまとめたもの。最新の状況などを踏まえて、都度改訂している。

 厚生労働省は、アドバイザリーボードで示された専門家の考えを踏まえ、散歩やランニング、徒歩・自転車通勤、図書館での読書、芸術鑑賞など、会話をほとんど行わず他人と2㍍以上の距離を確保できる場合は、屋内外ともにマスク着用の必要がないとした。

 修正したイラストは、新しい旅のエチケット・観光施設ショッピング編の「すいた時間、場所を選んで安心観光」と「屋外でも、しっかり取ろうディスタンス」の2点。どちらもイラストの人物からマスクを取り除いたものに変更した。

22年上半期の宿泊業倒産は41件 コロナ関連は6割を占める(東京商工リサーチ)

2022年7月12日(火) 配信

東京商工リサーチはこのほど、2022年上半期の宿泊業倒産状況を発表した

 東京商工リサーチはこのほど、2022年上半期(1~6月)の宿泊業倒産状況をまとめた。前年同期比4・6%減の41件発生し、2年連続で前年同期を下回った。このうちコロナ関連倒産は27件で全体の約6割を占めた。負債総額は148億9500万円。2年ぶりに前年同期を下回った。同社は、「19年から21年にかけて、売上高が約2兆円消失した。今後、企業倒産が増える可能性が高まる」と警鐘を鳴らした。

 東京商工リサーチの調査によると、22年上半期宿泊業倒産のコロナ関連倒産は27件で、前年同期から5件増加した。構成比は65・8%で、14・7㌽上昇した。

 負債額別では、1000万円以上が7件、5000万円以上が6件、1億円以上が20件、10億円以上が4件だった。

 原因別では、販売不振が前年同期と同数の34件で全体の82・9%を占めた。次いで、既往のシワ寄せが6件、設備投資過大が1件となった。

 地区別では、関東12件が最多となり、次いで九州8件、中部5件、近畿と東北が各4件と続く。

 おもな倒産事例では、大分県日田市の山一観光(藤原茂敏社長)が3月1日(火)、大分地裁日田支部から破産開始決定を受けた。負債総額は23億5100万円。

 同社は日田市天ヶ瀬温泉で観光ホテル「みるき~すぱサンビレッヂ」を経営していた。客室数60室、プール、3カ所の大宴会場などを有するなど、複数の団体客に対応できる大型施設だった。ピーク時の1997年4月期には売上高約8億円を計上していたが、宿泊客の減少に伴い売上が減少。赤字も見られていた。

 2020年に入り、新型コロナ感染拡大の影響で休業を強いられたほか、「令和2年7月豪雨」による玖珠川の氾濫で、周辺の道路や施設に被害が及び、温泉地への観光客も急減した。21年4月期には売上高が約7000万円まで減少し、長引くコロナ禍で観光需要の回復が見込めず、事業継続を断念した。

 

旅行業倒産は11件、過去20年で最少件数

 22年上半期の旅行業倒産は、前年同期比38・8%減の11件となり、4年ぶりに前年同期を下回った。年上半期で見ると、過去20年で最少件数。

 負債総額は同33・7%減の11億6000万円。新型コロナ関連倒産は10件だった。

 同社は4月、宿泊業・旅行業の業績動向調査を行った。この結果、19年から21年の期間で、国内宿泊業者と国内旅行業者の売上は、それぞれ約2兆円消失していることが分かった。

 6月下旬からの感染者増加に伴い全国旅行支援が延期されたこともあり、「遠出需要やファミリー需要の落ち込みが懸念される。抜本的な復調施策が見込めないなか、倒産は今後増加する可能性がある」と危機感を抱いている。

連盟と協会が統合、来年4月に「協力会」へ(読売旅ホ連・契約指定協会)

2022年7月12日(火)配信

読売旅行協定旅館ホテル連盟の大木会長

 読売旅行協定旅館ホテル連盟(大木正治会長、459会員)と読売旅行契約指定協会(幾世英夫会長、470会員)は7月4日(月)、東京都新宿区の京王プラザホテルで2022年度理事会合同総会を開いた。来年4月1日から連盟本部と協会本部を統合し、新組織「読売旅行協力会」を発足させる議案が承認された。観光業を取り巻く厳しい環境を共に勝ち抜くため、連盟と協定の会員各社と読売旅行の関係をさらに強化し、実態に合わせた組織再編を行う。

 両団体は、昨年8月から連盟・協会会長会議で方針を審議し、「連盟協会あり方検討委員会」で枠組みと方向性を検討してきた。8月から規約、内規の策定を行い、12月に連盟協会合同全国正副会長会議で決議。全会員へ周知し、各地区会総会で地区会解散と新組織への移行を承認後、来年4月1日に新組織の発足としている。

 統合後、総会と理事会も全国組織に一本化し、現在の役員は原則として再任。全国地区会は9つの支部に改組のうえ本部の下部組織とし、本部から配分される事業予算で地域誘客事業に集中的に取り組む。

読売旅行契約指定協会の幾世会長

 連盟の大木会長は、組織の統合について「連盟と協会が一致団結し、読売旅行の体制に沿って行くことが勝ち残るための道」と説明。両団体が「一緒に読売旅行を支えていく行動をしていきたい」と意気込み、協会の幾世会長と共に、会員各社に向けて新組織の発足に理解を求めた。

読売旅行の坂元社長

 来賓で出席した読売旅行の坂元隆社長は「ウィズコロナの時代に、本格的な反転攻勢をかけていく方針だ。そのうえで、絶対に欠かせないのが連盟、協会の皆様の協力」と呼び掛け、同社が取り組む施策を紹介した。

日本初の“観光特化型” 地域デジタル通貨で活性化へ(ルーラ)

2022年7月12日(火)配信

橋本竜社長

 

 ルーラ(橋本竜社長、東京都渋谷区)は2月5日、日本初の観光特化型地域デジタル通貨「ルーラコイン」のプロトタイプ版をリリースし、今春に兵庫県・有馬温泉などで実証実験を行った。

 導入した3地域42の加盟店の多くで客数、客単価、売上が増加し、チャージ金額が400万円に達するなどの成果を残した。

 同デジタル通貨を介し、「地方活性」、「観光振興」を実現したいと考える橋本社長に話を聞いた。

利用イメージ

 ――兵庫県の有馬温泉、福島県の飯坂温泉、静岡県の伊豆伊東エリアでの実証実験の反響はいかがでしたか。

 ルーラコインを導入していただいた42の加盟店の多くで客数、客単価、売上が上がりました。1日の平均チャージ金額は7万5000円で推移し、累計400万円となりました。1人当たりの平均チャージ単価は1万5800円、1人当たりの平均消費単価は1万4900円、複数の温泉地で使った人は全体の20%という結果でした。
 

 ――導入による地域に変化はいかがですか。

 「難しい」イメージを持たれていた「キャッシュレス決済」の「簡易性」を各観光地に実感していただけたことが大きな変化だと思います。

 またルーラコインは決済通知音として声優の声がランダムで流れるのですが、この声をきっかけに来店者と店舗の方が会話を楽しまれているという話も聞いています。

 ――色々な電子マネーが混在するなかで、各店舗の客数などが上がった要因、またルーラコインが選ばれた理由はどこにあるのでしょうか。

 温泉むすめのファンである20~40代の男性をそのまま、ルーラコインのユーザーに移行できたことが大きいと思います。

 温泉むすめというコンテンツは、「新規の見込み客を獲得するためのきっかけ」になるものです。このコンテンツを活用することで、今まで土産物屋や宿で消費をしなかった人に消費を促すことができました。

 今回実証実験を行った有馬温泉では、ルーラコインで1000円以上の買い物をした人に、温泉むすめの書き下ろしイラストを使用したオリジナルポストカードをプレゼントするキャンペーンを展開しましたが、ファン心理として「ここでしか買えない」や「ここでしか手に入らない」というのは、消費行動の大きな原動力になります。

 ですから今後は、温泉むすめ以外の、例えばお城や他のアニメ作品の聖地など、その土地だけの魅力的なコンテンツとルーラコインを掛け合わせ、その地に新たな人を呼び込み、消費を促し、地域を活性化させるという流れを、全国で生み出していきたいです。

 ――他の電子マネーとは違うルーラコインならではの強みは、「コンテンツ」との掛け合わせ以外にありますか。

 一番大きな強みは、有馬温泉で実施したプレゼントキャンペーンのように、「販売促進」を運営が主体的に行えることだと思います。ここが、ルーラコインという仕組みを根付かせるうえで肝になる部分でもあると考えています。

 ルーラコインの柱は、デジタルコンテンツの販売と観光地への寄付です。デジタルコンテンツに関しては、日本全国にある観光地、温泉地、特産品などの観光資源と、キャラクターやアイドルなどのさまざまなコンテンツとコラボレーションすることで幅広い世代にリーチできる「観光×エンタメ」に特化したNFT(非代替性トークン)の開発を進めています。

 もう一つ、地域で利用された決済金額の1%が、その観光地に自動的に寄付される仕組みになっていることも大きな特徴です。

 この部分に関しては、今は集まった寄付額を実施主体となる観光協会などにお渡ししていますが、将来的には、各地域の寄付をまとめて、必要な時に、必要な地域が、必要な額を使える仕組みに進化させたいと考えています。

 用途も、災害復興や温泉地の景観整備など幅広く設定し、旅館の従業員や観光協会の方々など観光に関わる幅広い人が自由に使い道を提案できる「観光DAO(自律分散型組織)を構築する予定です。

 ――用途を幅広く設定するということは、「使われる総額」も高額な方がいいですよね。

 そのために、当初掲げていた「『観光地特化』という観点から、東京などの大都市圏での使用はできない」という方針も変更を考えています。

 重要なのはいつでも使える状態を整備し、利便性を知ってもらい、継続的に利用してもらうことです。なので、今後は、東京などの大都市でも使えるようにする予定です。また観光地に関しても、宿や土産物施設だけではなく、駅やコンビニエンスストアなど、多様な場所で使えるような環境を目指しています。

 一方で、「観光特化型」という軸は変えません。ですから、その場所でしか買えない土産、もらえない特典などは引き続き充実させていきます。手軽に旅行へ出掛けてもらうために旅行会社と連携し、ルーラコインでのみ決済可能な旅行商品の販売や、旅行会社の窓口で相談した際にルーラコインを特典としてプレゼントするような仕掛け作りも進めています。

 ――実証実験を終え、実装に向けた取り組みは現在どこまで進んでいますか。

 実証実験終了後、新たに山形県の小野川温泉や島根県の玉造温泉などでも導入していただき、現在は9カ所の温泉地で使うことができます。今後も新潟県の越後湯沢温泉や岐阜県の下呂温泉など20カ所での今年中の稼働も決まっていて、来年には100カ所で稼働できると思っています。

 ファンの皆様も次はどこで使えるようになるか楽しみにしてくださっているので、皆様の行動範囲を広げるためにも、また、地域を活性化させる手段として、ルーラコイが使える温泉地を着実に増やしていきます。

国際交流再開の象徴となるイベントに ツーリズムEXPOジャパン2022東京 9月22(木)~25日(日)開催

2022年7月11日(月) 配信

左から日観振・久保田理事長、JATA・髙橋会長、JNTO・清野理事長

 日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は9月22(木)~25日(日)の4日間、ツーリズムEXPOジャパン2022東京を開く。今年のテーマは、「新しい時代へのチャレンジ~ReStart~」。4年ぶりとなる東京開催に当たり、「国際交流再開の象徴的な総合観光イベントとなる」(髙橋広行JATA会長)として、国内・海外・訪日の観光需要を喚起し、観光市場の完全復活を目指す考え。

 髙橋会長は、「コロナ禍を経てもなお、旅行への興味や意欲は高まっている。旅行者の期待に応え、新たな旅のスタイルを具体的に発信する場としても、今回のイベントは重要な意味を持つ」と力を込めた。期間中、15万人の来場者を見込む。

  フォーラムのテーマは「観光による気候変動への挑戦」。22日(木)の基調講演では、定期航空協会会長の井上慎一氏(全日本空輸社長)が登壇し、「定期航空協会による日本のエネルギー戦略への挑戦」について話す予定。

 第5回TEJ観光大臣会合が開かれ、約8カ国の観光大臣やUNWTO、WTTC、PATA、ETCの代表がパネリストとして参加し、ディスカッションを行う。

 このほか、テーマ別シンポジウムやセミナーなどが催される。

 展示商談会では、国内・訪日・海外旅行商品造成・企画責任者と出展者が商談を行う。業界日である22(木)、23日(金)の2日間で7000セッションのビジネスアポイント数を予定する。

 特集企画展として、アドベンチャーツーリズムやクルーズ、観光SDGs、スポーツツーリズム、アカデミーなどのテーマ別観光を特集したコーナーを設置。新しい旅のカタチとして国内外から注目されているワーケーション、星空ツーリズム、ドライブツーリズム、酒蔵ツーリズムの特集コーナーもエリア内に出展する。

 既に1000ブース以上の申し込みがあるなかで、ウクライナのキーウからも問い合わせがあったことを報告した。髙橋会長は、「ウクライナの戦後の観光復興をアピールできる場を実現し、ホープツーリズムの機会を作りたい」と語った。

 また、トラベルソリューション展2022(日本経済新聞社主催)と、GOOD LIFEフェア2022(朝日新聞社主催)が同時開催され、DX事業やSDGsの視点からの展示・体験などを行う。

 会場は、東京ビッグサイト(東京都江東区)の東展示場と会議棟。リアル展示商談会とオンライン商談会のハイブリッド形式で行う。

 業界日である22(木)~23日(金)は無料。事前登録が必要となる。一般日の24(土)~25日(日)は前売り券が1000円、当日券が1300円。いずれも税込み。前売り券は来場日指定のうえ事前登録制。チケットは7月25日(月)に公式Webサイトで売り出す予定。当日券は入場時に登録が必要となる。

大分県由布市、観光情報をPR 滞在・循環型観光のススメ

2022年7月11日(月) 配信

由布院温泉協会・冨永代表理事

 大分県由布市は7月6日(水)、「由布院温泉を拠点とした滞在・循環型観光のススメ」として、アフターコロナに向けた由布市の観光情報や食の魅力を伝えるイベントを東京都内で開いた。

 由布市の小石英毅副市長は、「由布市では滞在・循環型観光を推進している。コロナ前は由布院盆地の渋滞が問題となった。この反省を生かし、低速電動バス『ノルク』を運行するなど、グリーンモビリティーにも力を入れている。我われも受け入れ態勢を整えているので、ぜひ皆さんに来ていただきたい」と期待を語った。

 また、由布院温泉協会では、「ゆふいん安心宿宣言」の認証制度を行っている。由布院温泉協会の冨永希一代表理事は「お客様が一番求めているのは安心・安全」だとして、各施設の感染症対策や食品衛生管理、レジオネラ検査や水質検査、防犯対策、災害発生時のマニュアル作成などを調査・支援していると説明した。

 その後、由布院エリアや湯平エリア、塚原エリア、挾間エリア、庄内エリアの温泉やアクティビティ、グルメ、見どころを紹介。国民保養温泉地に認定されている由布院温泉郷の魅力を伝えた。

レジャパス!100施設加盟記念 コインプレゼントCP(ORIGRESS PARKS)

2022年7月11日(月) 配信

レジャパス!は7月18日まで、加盟施設の100施設突破記念キャンペーンを行う

 ORIGRESS PARKS(吉武優社長、東京都品川区)は、全国の温泉・レジャー・エンタメ施設において定額制で遊び放題の「レジャパス!」を提供している。このほど、レジャパス!の加盟施設が100施設を突破したことを記念して、7月18日(月)までレジャパス!に新規登録した人を対象に、「レジャコイン総額100万円分プレゼントキャンペーン」を行う。

 温泉・サウナ・遊園地・テーマパーク・水族館・動物園・美術館・観光施設──などの有料施設は、1つのプラットフォーム上で入場枠を開放している。月額1980円(税別)からの会費だけで、100以上の施設に無料入場できるサービス。

 同社は、「一般入場料が2000~3000円を超える加盟施設もあり、お得に人気施設を楽しむことができる。コロナを機に、競争ではなく共闘というカタチで、レジャー産業を盛り上げる」とコメントした。

JATA、「正常化まで支援を」 G7並みの措置も要望へ

2022年7月11日(月) 配信

会見のようす

 日本旅行業協会(JATA)は7月8日(木)、東京・霞ヶ関の本部で記者懇談会を開き、旅行業の現状や再生へ向けた取り組みを説明した。髙橋広行会長(JTB会長)は「(会員各社の)企業体力は限界だ。早期に全国旅行支援を始め、国内と海外、訪日が正常化するまで雇用調整助成金などの支援を止めないとことが何よりも重要だ」と語った。今後、入国者数の上限や現地出発時刻72 時間前までの検査による陰性証明書の廃止など水際措置をG7並みに緩和することを要望していく。

髙橋広行会長

 新型コロナウイルスの第7波への警戒感が高まるなか、政府は全国旅行支援の開始時期の延期を検討している。これに対し、髙橋会長は「延期すれば、旅行が感染を広げている印象を与える」と強調。需要が大幅に回復したゴールデンウイーク後に感染が大きく拡大しなかったことや、昨年の新型コロナウイルス対策を講じたモニターツアーで、新規陽性者が発生しなかったことから、「旅行は感染の要因になっていない」と付け加えた。また、「開始されれば、旅行業が活性化し、地域経済を潤す」と効果を訴えた。

 国際交流の再開にも触れ、「世界で日本ほどの厳しい条件を課している国は稀だ」と指摘し、G7並みへの緩和を求めていく考えを明らかにした。具体的には、入国者数の上限と、現地出発時刻72 時間前までの検査による陰性証明書の廃止のほか、査証免除措置の再開を挙げた。日本が世界経済フォーラムで、観光魅力度ランキング1位を獲得したことにも言及し、「即時、措置を撤廃しないと期待を裏切ることになる」と危機感を募らせた。

 コロナ禍では、ワクチン接種会場の運営など政府や地方自治体からの受託業務が増加。「旅行業のホスピタリティが評価された。(この結果が)新たなビジネス領域のさらなる拡大につながるだろう」との考えを示した。

EXPOで大臣会合 高付加価値も追求

 9月22日(木)~25日(日)に東京ビッグサイトで行うツーリズムEXPOジャパン2022では、第5回観光大臣会合などを開催し、業界の復活につなげていく。

 旅行商品の高付加価値化については、「日本が有するは歴史や自然、文化など多様な観光素材を生かせば、価値を高めることができる」と自信を見せた。

 高付加価値化の詳細は、原優二副会長(風の旅行社社長)が説明。はじめに、OTA(オンライン旅行会社)が台頭するなかでのリアルエージェントの役割を「個人では手配しにくい体験を手配すること」とした。具体例として、モンゴルでのゲルへの宿泊や草原での乗馬など本格的な体験を挙げ、「(コンテンツを)現地の暮らしに近づけることで、価値を高めることができる」と語った。

原優二副会長

 国内旅行は担当する小谷野悦光副会長(日本旅行社長)が、会員が旅行情を共有できるプラットフォームの構築の検討を始めることを発表した。

小谷野悦光副会長

 同プラットフォームは、各社が集めたリアルタイムの被災状況をはじめ、業界全体で重なっていた宿泊や観光施設の内装や駐車場などの基本情報を一元で管理し、会員各社の業務の省力化をはかる。

 小谷野副会長は会員から競争の妨害に当たることを指摘される可能性を踏まえ、「各社は商品の魅力や、その伝え方でなどで差別化をはかってほしい」と付け加えた。

 訪日旅行について小谷野副会長は今年12月ごろ、査証免除措置の再開をはじめ、入国者数の上限、出発72時間前の陰性証明書が撤廃されると予測した。

 JATAはウィズ・ポストコロナに向けて、ツアーオペレーター品質認証制度の評価基準にSDGsへの取り組みの追加を検討していく。小谷野副会長は「外国では、旅行で排出した温室効果ガス排出量を埋め合わせるカーボンオフセットへの関心が高まっている」と理由を話した。

 海外旅行は酒井淳副会長(阪急交通社社長)が、旅行機運の醸成として、7月15日から、全国海外旅行の本格的な復活に向けたプロモーション「海外旅行再開プロジェクト」を展開することを説明した。同PJは、旅行会社とエアラインをはじめ、各国の政府観光局や大使館などが全国8カ所でうちわや商品のパンフレットを配布。旅行会社が海外旅行の販売を再開したことや、安心・安全な環境が整っていることを発信する。

酒井淳副会長

 酒井副会長は「(旅行会社同士は)普段、ライバルだが、今は海外旅行の再開に向けて力を1つにするべき」と語った。

 社会貢献委員会の坂元隆委員長(読売旅行社長)は、旅行業界全体におけるSDGsへの取り組みを推進しようと、「JATA SDGsアワード」を創設することを発表した。

坂元隆委員長

 同アワードは①社会・人権②経済・産業③地球環境④共創――の4部門から表彰する。大賞は全体で1件とし、優秀賞と特別賞は部門ごとに1件を選ぶ。幅広い取り組みを評価するため、奨励賞は制限を設けずに表する。今後、2023年2~3月ごろに募集し、7月ごろ表彰式を開く。

 会員には、「SDGsに対する最初の試みとして活用してもらえるように取り組む」と意気込みを述べた。

福井県小浜市の旅館・ホテル運営「松風」が破産 負債は3億6400万円

2022年7月11日(月) 配信

 松風(福尾健二郎社長、福井県小浜市)は7月1日(金)に福井地裁へ自己破産を申請し、同日保全管理命令を受けた。帝国データバンクによると、負債は約3億6400万円。

 同社は1971(昭和46)年11月創業、73年12月に法人改組した。「ドライブイン若狭松風」の運営からスタートし、その後、割烹旅館「松月花松風」(客室20室、収容人数62人)をオープンするなど事業を拡大していった。

 観光バスによる昼食利用が好調だった91年4月期には年間収入高約14億5000万円を計上。05年には皇族が利用したホテルとして名高い「サンホテルやまね」(客室28室、収容人数158人)を買収し、小浜市を代表するホテル事業者となった。

 だが、舞鶴若狭自動車道の開通により、ドライブインを利用する観光バス利用者数が減少して業績が低迷。12年には「ドライブイン若狭松風」跡地の売却で借入金の圧縮に努めるなど、経営再建に取り組んでいた。

 しかし、新型コロナの影響で、ホテルの宿泊者数が減少したうえ、法事や会合などの飲食部門も低迷。21年4月期の年間収入高は約1億6400万円に落ち込み、赤字決算が常態化していた。

 こうしたなか、「松月花松風」は21年4月から無期限休業に入り、「サンホテルやまね」も今年6月27日から休業。社員寮の管理や給食の受託業務のみの運営となっていたことから、今回の措置となった。

 なお、今後の方針として「サンホテルやまね」は早期の事業譲渡、「松月花松風」は施設売却、寮の管理・給食業務は事業を継続したうえで、スポンサーを募り事業譲渡などを目指す予定。

第11号ふるさとオンリーワンのまち 「郷土割烹 伊豆の味 おか田」(静岡県・南伊豆町)を認定

2022年7月11日(月) 配信

津田令子理事長(左)と岡田正司氏

 NPO法人ふるさとオンリーワンのまち(津田令子理事長)は6月23日、「郷土割烹 伊豆の味 おか田」(岡田正司社長、静岡県・南伊豆町)を第11号ふるさとオンリーワンのまちに認定した。推薦件名は「南伊豆の風土を活かした郷土料理の創造とお客さま第一のスマイルサービス」。認定式は東京・銀座のレストランバー「サンク」で行われ、岡田社長は「人との縁を大切にしてお客様に喜んでいただき、南伊豆に恩返しをしていきたい」と認定の喜びを語った。

津田令子理事長

 津田理事長は冒頭、「ふるさとオンリーワンのまちの認定事業は、長引くコロナ禍によってなかなか行うことができなかったが、今回の11号認定を新たな出発としたい」と決意を述べた。

 

ふるさとオンリーのワンのまち 認定実績

 

 「郷土割烹 伊豆の味 おか田」については、伊豆半島最南端の岬・石廊崎など景勝地を有する南伊豆町で、「地域と観光地(人)と郷土料理(味)を結びつける役割を長年担っている」と高く評価した。「金目鯛の煮付けの美味しさはもとより、コロナ禍では全国の方々に『南伊豆の郷土料理をご自宅で楽しんでほしい』と金目鯛の煮付けセットお取り寄せ便の販売も始められた」と紹介。「おか田の地元愛とチャレンジ精神と実行力は類を見ないほど力強い」と語った。

NPOのメンバーが岡田氏を囲んで

 

 岡田氏は「父が1985年に創業し2代目の私は14年目になる。基本的に人が好きで、コロナ禍でお取り寄せ販売なども行ったが、商品の向こうには必ず人がいる。対話をするつもりで商品を送り、伊豆を訪れたときに『おか田に寄っていただければ嬉しい』という想いを込めた」と語った。

秋山秀一氏

 NPO法人の秋山秀一副会長は「過去10回の認定は行政や観光協会などが多かったが、民間の料理店が認定されるのは初めて。今回の認定が全国の料理店にも大きな励みになると思う」と祝辞を述べた。