2022年5月30日(月) 配信
JTBトラベル&ホテルカレッジ(JTC)は2022年に開校40周年を迎えた。同校では、実践的教育とクラス担任制の個別指導によって、国家資格の高取得率とJTBグループや観光業界への高い就職率を誇り次世代の観光人材を育成している。専門資格の取得推奨、専門学校ならではの教育方針など、今年4月に同校初の女性校長に就任した坂本友理校長と、同校で非常勤講師として教壇に立つ島川崇氏(神奈川大学国際日本学部教授)と語り合った。
【聞き手=増田 剛、構成=馬場 遥】
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──就任に際し、校長としての抱負をお願いします。
坂本 JTCに就任したのは6年前です。校長補佐として日ごろはカリキュラムや時間割の策定、学生指導統括をし、同時に役員として学校経営も携わりました。
当校はたった2年間しか学ぶ時間がありません。学校側がここまで教えてあげたいとどんなに強く思ってもタイムリミットがあります。このジレンマは必ずついて回り、限られた時間の中で、学生には資格取得をはじめ、より多くの学びを得てもらいたいと考えています。資格は取得することによって、自信を持つことができ、その自信の可視化にもつながり、自分磨きにもなります。
私が校長に就任した際の入学式では、観光業界で働くためには人を尊重し共感する気持ち、言い換えるとホスピタリティを修得してほしいと学生に伝えました。学びの習慣を身に付け、多様性を理解し、他人に共感する。ネットワークづくりではクラスを超えてコミュニケーションを取り、恐れず対話をしてほしい。たった2年間ではありますが、旅をデザインする担当者としてお客様と対話ができる人材として送り出してあげたいと思っています。
旅をデザインすることで、お客様の人生をデザインしてあげるような人間になってもらいたいですね。他人の喜びを自分の喜びにできる人間となってもらえれば、とても嬉しいです。
──島川さんは大学と専門学校の両方で教鞭を執られていますが、違いなどは感じますか。
島川 大学は良くも悪くも学生の自由意思を尊重しており選択の幅が広く、観光分野も選択肢の1つでしかありません。対して、専門学校に入学する学生は観光に携わりたいと覚悟を持って入学した人が大半です。
とくにJTCでは、1年次に国内・総合旅行業務取扱管理者の取得を目指し、両資格を受験します。一般的には、1年目は国内、2年目で総合を学ぶという学校が多いなか、いかに専門知識の習得に力を入れているかが分かります。
そして、その資格取得率がとても高いのが特徴です。資格の勉強をしていると旅行商品とは何なのか、旅行業はどのような収益構造になっているのかが自ずと理解できるようになってきます。つまり、資格の勉強はビジネスとしての旅行を学ぶのに最適だといえます。
坂本 たくさんの学生から「今までこんなに勉強したことはなかった」とよく聞きます。学ぶということの習慣を付けさせるのが大事ですので、ここ10年はコマ数を増やして、資格合格率を上げる試みを行っています。
旅行会社に入ってどのような仕事をするにしても当校で学んだことは有益です。ホテルが企画する旅行商品も旅行業のライセンスを必要とするため、ホテルに就職しても資格は役立ちます。この汎用性の高さを考えると、在学中に基礎固めをしておくのはとても大事なことです。
それに、2年間で一番楽しかった時期を聞くと、「入学してから国家試験を受けるまで」と答える学生が多いのが印象的でした。教員側も業界での就労経験も踏まえて、どう教えたら理解してもらえるのか、試験に合格できるだろうかと工夫を凝らしています。教科書の履修範囲を単純に教えるのではなく、試験への臨み方や現場での対応方も教えます。そういう学び方を、学生も楽しんでくれているようです。……
【全文は、本紙1870号または6月7日(火)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】