HIS連結、当期純損失は102億円 ハウステンボス売却益で約400億円赤字縮小

2020年12月16日(金) 配信

会見のようす

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が12月15日(木)に発表した2022年10月期(21年11月1日~22年10月31日)連結決算によると、ハウステンボスの売却益545億円を計上し、当期純損失は102億円と前年同期から赤字幅を398億円縮小した。

 同社は今期から、燃油サーチャージや空港使用料などを除いた会計基準に変更した。この会計基準に則った売上高は1427億9400万円。人件費や広告費など販管費を削り、コスト削減に努めたが、営業損失は479億3400万円、経常損失は490億100万円。当期純損失は95億4700万円。

 旧基準では、売上高が前年同期比120・0%増の2603億5000万円、営業損失は485億9200万円(前年同期は640億5800万円の損失)、経常損失は496億600万円(同632億9900万円の損失)。

 事業別では旅行事業の売上高が、同320・0%増の1805億7400万円、営業損失は292億6100万円(同383億3600万円の損失)。水際対策の緩和を受け、5月から海外ツアー再開したほか、行動制限が解除で国内旅行の需要が増加したことなどで改善した。

 一方、主力の海外旅行事業で国際線の座席供給数が7割まで回復していないことから、本格的な回復には至らなかった。

 ホテル事業の売上高は同93%増の92億円と大幅に増収した。営業利益は41億円(同58億円の損失)と増益となった。九州産交グループの売上高は同16%増の190億円。営業損失は16億円(同27億円の損失)だった。いずれも行動制限の緩和が主な要因。

 同日に行った会見で矢田社長は「国内と海外は回復基調に転じた。コストの削減を徹底し、売上を最大化しながら、両事業でシェアを拡大していく」と話した。

矢田素史社長

 澤田秀雄会長は「日本の海外旅行市場の回復は欧米から6カ月ほど遅れている」との認識を示し、「来年は本格的に需要が戻ると予想している。全社一丸で黒字化を目指す」と語った。

澤田秀雄会長

 同社は決算内容を踏まえ、今後安定した経営体制を構築するため、飲食や人材派遣、自治体事業の運営支援など非旅行事業の売上と利益を伸ばし、中長期に旅行関連事業と非旅行事業の利益率を今期の8:2から1:1にすることを目指す。

 また、会社の原点を確認するパーパスとして「『心躍る』を解き放つ」を設定。

 矢田社長は「出向や休業などでバラバラになった社員の気持ちを1つにする」と目的を説明。今後、企業ロゴも刷新することも発表した。

 そのうえで、店舗を閉鎖し、固定費を削るほか、事業資産の売却などで徹底的なコスト削減にも努める。

コロナ禍前の業績上回るのは2025年度

 また、旅行事業は25年度に19年度上回ると予想。主力の海外事業では、旅ナカで感染した際に、入院や帰国便の変更手配を行う旅行安心パックの提供などで、需要を喚起していく。国内は航空機を利用する利益率の高い方面として、沖縄に注力。レンタカーが不足するなか、独自仕入で在庫を確保し、集客に努める。

 販売チャンネルについては、インターネットの比率を高める。店舗は減らし、コロナ禍前の業績を超えると見込む25年度には売上全体の2割程度になる見込みだという。

 矢田社長はこれまで、社会で「海外旅行のHIS」との認知が広まったことから、「国内旅行もHISを目指す」と語った。

 なお、新型コロナウイルスや燃油サーチャージ、円安の見通しが不透明であることから、23年10月決算は、未定とした。

「にっぽん城まつり2023」愛知県国際展示場で3月18(土)~19日(日)開催

2022年12月16日(金) 配信

 にっぽん城まつり実行委員会は3月18(土)~19日(日)の2日間、「にっぽん城まつり2023 feat.出張! お城EXPO㏌愛知」を開く。

 会場は「Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)」(常滑市)。全国のさまざまなお城の情報や、限定グッズが集まる「お城情報エリア」をはじめ、東海3県のグルメ・地酒の販売、お城のスペシャリストによるトークショー、武将隊による演武など多種多様なイベントを予定している。

 入場料(税込)は当日2000円、前売1700円。高校生以下は無料。

「提言!これからの日本観光」 鉄道車両は活きた〝文化財〟

2022年12月16日(金) 配信

 旅行の際、必ず利用する鉄道車両。とくに電車や気動車、客車などのいわゆる「旅客車」は日本のように鉄道依存度の高い国にあってはほとんどすべての国民が乗車体験を持つほど貴重な存在である。また、都市にあたってはかなりの人々が毎日の通勤通学に乗車し、日常生活の場ともなる。

 しかも一定時間の乗車によって多くの人々に交流の場を提供し、車内での交流がささやかな地域文化の創生・発展の場となることさえある。また車両は人とともに人の心を運ぶ重要な移動手段でもある。このように考えてみると、鉄道車両は地域文化発展の場を提供するとともに、その発展を促進する役割を果たす意味において重要な文化財であると考えられる。

 鉄道車両はそれを保有し、運用する鉄道会社にとっては、輸送という「価値」を生産・増殖し、会社に収益をもたらす機材の一つでもある。耐用年数が過ぎた車両は一刻も早く廃車して、新しい車両に取り換え、その使用価値を絶えず維持・向上させる必要がある。

 従って鉄道車両を〝文化財〟とし「保存」するという考えは近年まで鉄道会社にはほとんどなかったといっても過言ではない。関係者も貴重な〝文化財〟として、「保存」すべき車両がほとんど残されていないことに気が付き愕然としたのは、つい最近のことである。

 国は重要文化財の指定・保存に取り組んでいるが、鉄道車両は文化庁の分類によれば骨董品としての取り扱いだったと聞く。国がその保存にも取り組む「重要文化財」指定車両は明治初年の開業期に関東と関西で走ったそれぞれの最初の蒸気機関車(イギリス製)僅か2両に過ぎなかった。(ほかに明治天皇の旧御料車1両が指定されているが、車内の装飾品の骨董的価値によるもの)

 一方、同じ鉄道関係でも建築物や構造物では東京駅や門司港駅、機関庫、転車台、橋梁などが「重要文化財」に次々指定されていくのに比べ、アンバランスが目立ってきた。

 近年関係者からも鉄道車両の〝文化財〟としての評価の声が高まり、文化庁もその検討に取り組み始めた。

 鉄道愛好者と鉄道研究者の団体である「鉄道友の会」も、学識経験者から成る車両文化財推せん委員会を設け、その検討結果を、文化庁に報告したこともある。

 その後文化庁での検討が進み京都鉄道博物館所蔵で、初の国産量産蒸機233号SLを皮切りに、毎年1・2両ずつが重要文化財に指定されてきた。碓氷峠のアプト式ED40機関車や大都市圏電車の祖というべき木造省線電車、初期の東京地下鉄車両、京都市電狭軌2号車、国産初の量産電機ED16形、蒸気動車ホジ6014形など各地の鉄道博物館に保管され、廃車解体を免れた大正昭和期製造のものを含む車両がそれである。

 鉄道車両は〝文化財〟であり、「その発展の節目の時期を画した車両は保存すべき」との国の方針が明示されたことに大きい意味のある指定であったといえよう。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

さんふらわあ就航50周年記念 大洗―苫小牧間で最大50%割引も

2022年12月15日(木) 配信

さんふらわあ ふらの

 商船三井フェリー(尾本直俊社長、東京都千代田区)は“さんふらわあ”就航50周年記念として2023年2月1、2日の2日間、大洗(茨城県)―苫小牧(北海道)間出航便について、全便旅客運賃50%割引、乗用車運賃20%割引サービスを実施する。

 また2月1日から3月31日まで、「春の学割キャンペーン」として、学生を対象に一部客室の旅客運賃を30%割り引く。

JTB、鳥取県と連携協定 訪日観光の推進に向けて

2022年12月14日(水)配信

鳥取県の観光イメージ

 JTB(山北栄二郎社長)は12月14日(水)、鳥取県(平井伸治知事)と訪日観光推進に関する連携協定を結んだ。両者が協力し、鳥取県への訪日外国人観光客の誘客推進に取り組むことで、鳥取県の観光振興、地域活性化をはかるとしている。

 両者の連携により、①海外での鳥取県のブランド力向上②海外プロモーションの実施③訪日外国人観光客向けツアーの企画・提案④現地担当者へのヒアリングと受入体制整備⑤観光人材育成――に取り組んでいく。

 鳥取県は、コロナ禍で打撃を受けた県内観光の復興と地域活性化には、県内への訪日外国人観光客の誘客・長期滞在の促進・消費拡大の取り組みは不可欠と見ている。加えて、2024年の外国人宿泊者(延べ人数)27万人を目標としており、訪日外国人観光客の再開に向けさまざまな取り組みを行っている。

 一方、JTBは政府の水際対策が緩和され、アフターコロナの鳥取県への訪日外国人観光客誘客のため、22年10月にJTB鳥取支店がJTBアジアパシフィックと連携。シンガポールの高島屋で鳥取の魅力を発信する観光プロモーションを実施し、JTBシンガポールのウェブサイトやSNS(交流サイト)で、鳥取の観光情報を発信し、認知度向上に取り組んだ。

 これら両者が協力することで、カニや梨を代表とする豊富な食、温泉や美しい自然資源を誇る鳥取県の魅力を海外に発信し、認知度向上と世界各国からの誘客をはかる。

 連携事業の対象地域は北米、ヨーロッパ、アジア・パシフィック地域。協定期間は22年12月14日(水)~24年3月31日(日)まで、以後1年更新とする。

花の香が漂う、爪木崎(下田市)で水仙まつり 12月20日から開催

2022年12月14日(水)配信

爪木崎で咲き誇る水仙(写真はイメージ)

 静岡県下田市の須崎半島の景勝地・爪木崎は野水仙の群生地。約300万本もの水仙が甘い香りを漂わせる。

 例年最盛期に合わせ、12月20日(火)~来年1月31日(火)に「水仙まつり」が行われる。

 初日にはオープニングイベントが行われ、金目鯛の握り寿司(先着100人)や漁師料理の池之段煮味噌鍋(先着200人)に振る舞われるほか、1月8日(日)、15日(日)、22日(日)の各日曜日には、この金目鯛の握りと池之段煮味噌に加え、市内の宿泊施設に宿泊した人先着200人にサザエのつぼ焼きをサービスする。このほか下田太鼓の実演もする。

全国旅行支援1月10日(火)から再開 23年は割引率20%へ(観光庁)

2022年12月13日(火) 配信

年明けの全国旅行支援は1月10日(火)から再開する

 観光庁はこのほど、年明け以降の全国旅行支援について、2023年1月10日(火)から実施することを決めた。対象期間は、これまでに措置した予算の範囲内で、都道府県において設定する。事業の事務局である各都道府県の予算がなくなり次第、順次終了する。また、割引額は従来の40%から20%へ規模を縮小することとした。

 旅行支援上限額は、鉄道・バス・タクシー・航空・フェリーなどの交通付旅行商品が1泊当たり5000円、これ以外は日帰り旅行を含め3000円。地域クーポンは平日2000円、休日が1000円とし、最大補助額は7000円となる。

 22年内の全国旅行支援は、12月27日(28日チェックアウト分)まで。

 年明け以降の同事業実施については、新型コロナ感染拡大など新たな行動制限が必要な事態が生じないことを前提としている。

 観光庁は、「旅行に行かれる際には、引き続き基本的な感染対策をしっかりと行ったうえで、お出掛けいただければ」と呼び掛けている。

東横INN ペットと泊まれる部屋を拡大へ 1部屋小型犬3匹まで宿泊可能に

2022年12月13日(火) 配信

ペットと泊まれるお部屋拡大中

 東横イン(黒田麻衣子社長、東京都大田区)はペット同伴で宿泊できる客室を全国11店舗で展開しているが、2023年も名古屋金山(愛知県)など、さらに対象店舗を拡大していく考えだ。

 愛犬家の悩みのひとつに、愛犬と一緒にリーズナブルに宿泊できるホテル探しがある。同社は「多頭飼いの方にも安心の料金なので、大切な愛犬とカジュアルなお出掛けや、旅行を楽しむ拠点として東横INNを利用してほしい」としている。

 ペットと一緒に宿泊する場合には専用フロア(専用ルーム)へ案内され、23年2月からは1部屋に付き小型犬(10㌔以内)3匹まで宿泊可能となる。1匹目は1泊2500円、2匹目、3匹目は2000円。ペット用食器や、トイレシート、粘着テープ、空気清浄機などを備える。

 愛犬と東横INN模型を一緒に撮影し、インスタグラムに投稿すると、プレゼントが進呈されるキャンペーンも実施中だ(プレゼント品が無くなり次第終了)。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(12月号)」

2022年12月13日(火)配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 今年のフランスは、11月までは例年よりも暖かかったのですが、12月からはいよいよ本格的な寒さと冬が訪れています。本号では、「日本のクリスマス」を取り上げました。キリスト教徒が人口の1%足らずの日本のクリスマスがどういうものか、戦前からの歴史を紹介し、ほかの国とは違って、フライドチキンやホールのクリスマスケーキが定着している状況をフランス人読者にわかりやすく解説しています。クリスマスを巡る経済効果や文化なども紹介しています。旅行ページでは、フランスでも知られている川端康成の“雪国”にちなんで、日本の豪雪地域の紹介をしました。日本の雪深い地域の歴史や産業、冬の生活、そして、本紙の読者もあまり知らないであろう、雪解けの水が水力発電の源であることも伝えています。

〈フランスの様子〉サンタ事務局

11月15日、民放TF1のお昼のニュースで紹介された、ボルドー近くのリブルヌにある事務局

 この時期、フランスのメディアが取り上げるのが、サンタ事務局のオープンの話題。◆フランスの子供たちは、「サンタさんへ」と書いた手紙を投函するだけで、住所は「サンタのお国」でも「天国」でもよく、切手を貼らなくても、手紙はこの事務局に届くという仕組みだ。◆そして、子供の住所が書いてあれば、サンタさんに使える「小人さんたち」(郵便局の職員やボランティア)が、サンタさんに代わって返事を送ってくれる。◆今では、ウェブサイトからもサンタさんへ手紙を送ることができ、100万を超える子供たちからの手紙が届くという。◆また、こうしたサンタへの手紙だけを入れるための「サンタポスト」も設置する自治体もある。◆これは1962年、フランス郵便公社が郵政省であった時代からの取り組みだが、「サンタさんからのお返事」には、フランス郵便のロゴや名前は使われず、「小人さんたち」がサンタに代わって書いた手書きだ。◆フランスでも昨今は子供たちがスマホやタブレットの画面ばかり見ていることが問題にされるが、子供はこのように大切に育まれる存在であり続けるようだ。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

「津田令子のにっぽん風土記(92)」人と地域を言葉でつなぐ~ 群馬編 ~

2022年12月13日(火) 配信

前橋市臨江閣で行われた朗読コンサート桃太郎のようす
コミュニケーション講師 久林純子さん

 群馬県高崎市を中心に活動している久林純子さんは、コミュニケーション講師として企業研修やビジネスパーソン向けのスピーチレッスンを行うほか、朗読活動にも力を入れている。

 
 「群馬は萩原朔太郎や山村暮鳥といった近代詩人を多く輩出しています。雷やからっ風などの気候が、長文ではなく短い文章を書く気質を産んだと検証している方もいます。そこで昨年、臨江閣でバイオリンとピアノの演奏にのせて朔太郎の詩の朗読コンサートを行いました」。

 
 臨江閣というのは、1884(明治17)年に建てられ、国の重要文化財に指定されている和風近代建築。当時は迎賓館として活用され、朔太郎も利用したことがあるそうだ。歴史的空間の中で、歴史的な題材を扱う地域密着の文化イベントとして興味深く感じる。地元の来場者だけではなく、オンラインでの生配信も行うハイブリッド方式で県外の視聴者も多かったとのこと。投げ銭スタイルでチケット代はお客さんに決めてもらったというのだから、面白い。

 
 コロナ禍で自粛していたが、今年は「旅する朗読講座」が実施できた。「普段、朗読・音読教室の生徒さんとは、教室内で朗読のテキストを読み、聞き手に伝わるように表現しながら楽しんでいますが、旅する朗読講座は、朗読に興味がなくても十分楽しめる旅の講座なんです」と久林さん。作家ゆかりの地を訪れ、その作家の文章の一部を味わい、周辺観光を行うという。

 
 今年は桜桃忌に合わせて、太宰治ゆかりの谷川温泉の旅館たにがわへ伺い、太宰がこの旅館で執筆した「創世記」を、コーヒーを飲みながら味わったと話す。「名物のダムカレーのランチのあとは自由行動。天一美術館や温泉など各々が思い思いに満喫した時間となりました。日帰り旅でしたが、参加者の1人は宿に宿泊され余韻を楽しんでいました」。朗読を切り口にした旅のスタイルとは何とも味わい深いと感じた。

 
 もともとラジオパーソナリティだった久林さんは、声や言葉で想いを伝える楽しさを知っている。次のビジョンは北関東で初めてのインターネットラジオ局を開局させること。熱い想いを持った人が自分の番組を持ち発信する。自分メディアを持つことで広がる人と人のつながりや、地域の良さの深堀りを担っていく。  

 
 来年の開局を目指し、パーソナリティも募集中だ。旅、朗読、ラジオとさまざまな切り口で人と地域を言葉でつなぐ久林さんを応援したいと感じた。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。