2022年3月10日(木) 配信
ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構は昨年11月、全国4カ所でモニターツアーを行った。環境省の「2020(令和2)年度温泉地活性化のための夜間・早朝の魅力創出業務」を受託したもの。各地の魅力ある自然や食などを楽しめる夜間、早朝のコンテンツを造成し、新型コロナウイルス感染症などの影響で疲弊した温泉地の活性化をはかるのが目的だ。
各地の魅力ある自然や食などを楽しめる夜間、早朝のコンテンツを造成し、新型コロナウイルス感染症などの影響で疲弊した温泉地の活性化をはかるのが目的だ。
□ 北海道・ぬかびら源泉郷
北海道・上士幌町ぬかびら源泉郷で11月20~22日に行われたモニターツアーは、北海道の中央に位置する大雪山国立公園の東大雪エリアを舞台に、糠平湖畔の夜のネイチャーガイドツアーと、地元の人気喫茶店「三股山荘」が提供する朝食体験が盛り込まれた内容となった。
「温泉と地域の魅力をもっと知ってほしい」という糠平温泉ホテルの若女将の想いを受けて実現した同ツアー。「人の温もりと自然の魅力が溢れる地域のポテンシャルに驚いた」という声が多くの参加者から上がった。
一方で、「ぬかびら源泉郷を拠点とした四季折々の過ごし方や、帯広方面からの2次交通を分かりやすく提示する必要がある」など具体的な提案も得られたという。
ツアーを振り返り担当者は、「今回のコンテンツに対する評価は高く、『車で自由に動いて参加したい』との回答も踏まえ、積極的なPRと、帯広・釧路・旭川など道内観光地と連携した周遊客の誘導戦略も有効」との見解を示した。
□ 福島県会津若松市
福島県会津若松市で11月27~28日、「東山芸妓さんが案内するナイトホッピング」や「猪苗代湖畔でのテントサウナ体験」をメインに据えたモニターツアーが行われた。
担当者は、「芸妓さんによるガイドや、テントサウナなどの特別なメニューを、通常のツアーでどうオペレーション化できるかが課題」とまとめた。また、ツアーが行われた会津若松市については、「個々の観光素材が充実しているので、それらを複合させ、より魅力的な滞在都市に磨き上げていくことが必要」とモニターツアーでの気付きを語った。
□ 長野県駒ケ根市
長野県駒ヶ根市で11月19~20日に実施されたモニターツアーでは、「たき火BARでの皆既月食見学」や、「千畳敷カールでの朝食と雲海鑑賞」などの体験メニューが提供された。
担当者は事前アンケートで認知度が低かった「千畳敷カール」に対し、「2612㍍の高さまでロープウェイで上ることができ、頂上からは眼下に広がる雲海などを見ることができるのでポテンシャルは高い」と評価。「酒造工場見学やアウトドア体験などと組み合わせることもできるので、滞在型の魅力的な観光地」と語った。
□ 埼玉県秩父市
埼玉県秩父市では11月5~6日、「秩父地域のBARホッピング」や「夜景と星空観賞」、「早朝の雲海鑑賞」などの体験メニューが盛り込まれたモニターツアーが行われた。
同ツアーの目玉である「雲海」は、気象条件がそろわず「期待していたほど鑑賞できなかった」との声も参加者から上がった。これに対し担当者は、「雲海の発生に関しては自然現象のため如何ともし難いが、逆に捉えれば再訪を促す理由になる」との見解を示し、「雲海以外のコンテンツを磨き上げ、秩父全体で旅の満足度を上げる必要があると感じた」と分析。
またツアーに参加した在日外国人から「同じような旅費であれば箱根を選択する」といった声が多く聞かれたことを受け、「秩父と温泉のイメージが結びつかないという回答もあったので、今後は『温泉』を重点的にプロモーションする必要を感じた」とツアーを総括した。