2022年2月2日(水) 配信
日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は1月26日(水)に開いた会見で、東京オリンピック・パラリンピックについて海外への情報発信の効果を調査した。効果測定レポートによると、「海外居住者向けアンケート」の38.6%の回答者(推計3億9000万人)が、東京オリ・パラを契機としたプロモーションやSNS(交流サイト)投稿、報道などを通じて、将来の訪日意欲が新たに向上したという結果が得られた。
同アンケートは、13カ国・地域の20歳以上の男女8034人の海外居住者を対象に、東京オリ・パラを通じた日本への関心動向や、態度変容などについて調査を行った。
JNTOでは、米国や中国、イギリス、フランスを重点市場としてプロモーションを強化した。オンライン広告・テレビCM・屋外広告で訪日を喚起するプロモーション動画をこの4カ国で集中的に配信したところ、3.1億回以上視聴された。アンケート対象者のうち、70%以上が広告を見て「訪日意欲が高まった」と回答。米国でオリ・パラの独占放映権を持つNBCのアンケートでは、CM視聴者の95%以上が日本にポジティブな印象を持ち、40%が次の海外旅行は「日本を予約検討する」と答えた。
来日した海外メディア209人にアンケートを行ったところ、今回の取材に置いて最も日本に魅力を感じたことは「歴史・伝統文化」が39.2%と最多に。次いで「食文化」が38.3%、「有名な観光スポット」が29.7%となった。
このほか、今後の取材対象として「アクティビティ」や「大阪・関西万博」にも関心が寄せられていた。
JNTOの蔵持京治理事は、「メディア調査と海外居住者ともに、2025大阪・関西万博への関心があり、万博に向けての訪日が期待できる」とし、「今回のオリ・パラで得たレガシーを活用し、さらなる日本のファンの獲得に注力する」考え。
□22年度の重点は「高付加価値旅行」など3分野
JNTOは、段階的なインバウンド再開を見据え、22年度は「高付加価値旅行」、「サステナブルツーリズム」、「アドベンチャーツーリズム」の3分野を重点として取り組んでいく方針を示した。
高付加価値旅行では、今年1月に「高付加価値旅行推進室」を設置。富裕層向けの観光コンテンツ収集・蓄積を強化し、国内のオペレーターやコンシェルジュなどとのネットワーク化をはかる。効果的な情報発信の実践・強化などを通じて、組織横断で取り組みを強化していく。
同様に、新たに「サステナブル・ツーリズム推進室」を設置し、全国のサステナブルツーリズムに関わる施設やアクティビティを紹介するデジタルパンフレットを制作するなどした。22年度はコンテンツを拡充したうえで、一般消費者向けの情報発信を強化する。
23年に開かれる「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット」(ATWS、ATTA主催)の開催地に北海道が選ばれたことから、これをきっかけにPRを強化する。JNTOの特設ページを拡充してモデルルートやアクティビティを海外に発信していく。