設立総会で佐藤氏が会長、田沢湖・角館観光連盟

あいさつする佐藤和志会長
あいさつする佐藤和志会長

 秋田県の田沢湖・角館観光連盟の設立総会が6月25日に仙北市内で開かれ、初代会長に佐藤和志氏(田沢湖観光協会長)を選任した。2005年に角館町、田沢湖町、西木村が合併して仙北市が誕生したものの、観光としての一元化した組織がなかったことから、昨年から設立に向け協議を重ねていた。

 席上、あいさつに立った門脇光弘仙北市長は「3月11日の東日本大震災以降、東北は厳しい状況にあるが、この時期の連盟設立をきっかけに観光を好転させる意気込みで頑張って」と述べるとともに「田沢湖、角館、西木という互いのブランドを持ちより競争力のある一つの商品をより具現化するステージができた。一歩前に進む意識で事業を行ってほしい」と結んだ。

 また、選任された佐藤和志会長は「商工会は仙北市誕生早々に合併したが観光は、と言われていた。秋田県のリーダーシップをとれる観光連盟にしていきたい」と抱負を述べた。

 設立総会では連盟の規約案や予算案、役員の選任について審議、いずれも承認された。また出席者から「各観光協会の名刺に連盟の名前とロゴを入れてほしい」「ツイッターを立ち上げてほしい」などの意見が出され了承された。予算案では10月以降のJRのミニDCの際に県と一緒に行うキャラバン費や連盟としてのポスター製作費などが計上されている。

 なお、佐藤会長以外の主な役員は副会長に安藤大輔(角館町観光協会長)、小林康次郎(西木観光協会長)の両氏が、監事に吉田裕幸(田沢湖観光協会理事)、黒澤昇(角館町観光協会副会長)の両氏が選任された。

古木会長が2期目、公正競争規約の順守

古木康太郎会長
古木康太郎会長

 旅行業公正取引協議会(古木康太郎会長、330会員〈第1種旅行業249社、第2種旅行業他81社〉)は6月28日、東京都内で第27回通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、古木会長が再任した。11年度事業は、活動の基本である公正競争規約の周知徹底のほか、旅行広告の適正化推進、コンプライアンス意識の定着化など。

 

 古木会長は「協会の役割である景品表示規約の問題については、行政から厳しい目が注がれている。消費者保護の意味からも、襟を正していかなければいけない」とあいさつした。

 消費者庁の片桐一幸表示対策課長は「景品表示法の趣旨を一言でいえば消費者目線。消費者の適正な商品選択を確保していくことにある。消費者の目線が厳しく、多様化していくなか、事業者が積極的な情報提供を行う環境を整えていくことも重要」と語った。

 公正取引委員会の山田弘取引企画課長は「事業者間の取引では優越的な地位を乱用し、弱い者いじめをするという問題がある。その典型的な例が下請法の違反。旅行業においても適用を受けることがある。対事業者という観点からは、独占禁止法も重要な柱」と述べた。

 昨年度の相談業務は前年比6%減の621件。相談者別件数では、会員が67%を占め、以下、非会員、一般消費者、広告媒体、広告代理店の順。

 相談内容の内訳は、表示が366軒で全体の59%を占め、景品が171件(28%)、関係法令が84件(13%)。表示では、旅行代金、必要表示事項、予告・資料請求広告などに関する相談が増加。景品では、規制対象となるのか、値引きとして扱われるのかという取引付随性についての相談が多く、次いで一般懸賞、総付景品などの順。

 これらの相談事例については「Q&A事例集(表示52事例、景品81事例)」という冊子を作成し会員に配布。協議会のHP(会員サイト)にも掲載していく予定。

 そのほか、東日本大震災後、義援金ツアーの表示に関する相談が増えたため、これに関するQ&Aを作成しHPにより周知をはかった。

 新任役員は以下の通り。

 【副会長】徳永雅典(極東航空交通観光社長)【専務理事】中村達朗(日本旅行業協会理事長)【理事】有野一馬(全国旅行業協会専務理事)

磯田会長が再任、鉄道と宿の一体的PR

磯田光治会長
磯田光治会長

 JRグループ協定旅館ホテル連盟(磯田光治会長、2758会員)は6月10日、ホテルメトロポリタン(東京都・池袋)で2011年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選では磯田光治会長が再任された。

 

 磯田会長は冒頭のあいさつで「松島にある私の旅館は高台にあり津波の被害は無かったので、350人ほどの被災者を受け入れてきた。ライフライン、物流、交通、通信すべてのインフラが止まり、皆の笑顔が無くなってしまった」と震災後の状況を話し、「こんなときこそ人の交流が大切。人の笑顔が復旧・復興につながる。この1年は厳しい状況が続くと思うが、元気に明るく頑張っていきましょう」と呼びかけた。

 今年度デスティネーションキャンペーン(DC)は7月1日―9月30日に群馬県、10月1日―12月31日に熊本県・鹿児島県・宮崎県、1月1日―3月23日に京都市で開催。JR各社とさらに連携を深め、DCを基軸に鉄道と宿の一体的なPRを展開し、宿泊券の拡販を目指す。

 任期満了に伴う役員改選では、旅館一乃松(北海道函館市)の松橋博氏社長とサン浦島悠季の里(三重県鳥羽市)の吉川勝也社長が、新しく副会長に就任した。

大震災写真保存プロジェクト始動、Yahooが震災前後の写真を募集

 Yahoo!JAPANは、東日本大震災で失われる前の街並みや風景、震災直後のようす、被災地に残された思い出の数々、今後の復興の過程など、震災の記録を写真で残す「東日本大震災写真保存プロジェクト」を立ち上げ、写真投稿を募集している。
 対象地域は岩手県・宮城県・福島県・青森県・茨城県・栃木県・千葉県・長野県・新潟県の災害救助法適用地域。投稿はhttp://archive.shinsai.yahoo.co.jp/から。ファイル形式はJPEGのみで、写真1枚10MBまで。縦横サイズは200ピクセル以上。

ちょっと長めとアジアが人気、HIS、夏休み海外予約動向

 エイチ・アイ・エス(HIS)がまとめた2011年夏休み(7月16日―9月30日)の予約状況によると、全体の予約人数は前年同日比9%増、とくに中部を含めた西日本地区は2ケタ増で推移。人気出発日は、お盆期間を中心に8月が大半を占めた。 今年の特徴は、延泊代金の割安プランや延泊同料金プランを利用して近場のアジアを中心に日程を1、2日伸ばす、ちょっと長めの滞在を選ぶ旅行者が増加傾向にあること。一方でハワイ10日間やバリ島10―20日間といったリゾート地での長期滞在商品も好調。また、円高の影響でフランス、イタリア、スペインなどの添乗員同行ツアーがシニア層を中心に2ケタ増と好調に推移する。

博多で玉手箱企画PR、指宿・人吉女将の会

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 指宿・人吉の両女将会は、相互に宿泊客を送り合う「たまて箱交換企画」を紹介するため6月29日、12人の女将が博多駅前に集まり街頭宣伝を行った。

 いぶすき温泉華の会(田原迫みき子会長)と人吉温泉おかみの会さくら会(富田千鶴子会長)が、九州新幹線全線開業を契機に4月から始めた企画。指宿の宿に宿泊したお客に紙製の「玉手箱」を渡し、1年以内にその玉手箱を人吉温泉の宿に宿泊した際に提示するとプレゼントがもらえる。逆も可能で、来年3月末まで実施している。両温泉とも新幹線停車駅から「指宿のたまて箱」や「SL人吉」などの観光列車に乗り継ぐアクセスをPRしている。

 代表幹事を務める細川いずみ女将=写真右=は「4月に指宿に泊まったお客様が6月に人吉を訪れるなど、実績がでてきた。年間500組を目指しPRしたい」と意気込む。

「カジノ法早期に国会へ」、東北に施設、復興財源にも

IR議連の古賀一成会長
IR議連の古賀一成会長

 日本でのカジノ合法化を目指し超党派で組織する国際観光産業振興議員連盟(IR議連、古賀一成会長)は、6月21日に総会を開き、これまでの各省庁からのヒアリングの論点をまとめ、議論。早い段階で、議員立法として国会への提出を目指すことで一致した。

 古賀会長は総会冒頭で「各省庁の誠実な議論に大変感謝している」と謝意を述べ、「国の経済再建の新しいスキームとして、国際的視野を持ち、国際観光産業振興のカジノを導入したい。今国会か来期かはわからないが、早い段階で議員立法実現を」と力を込めた。

 IR議連は、会長私案を基にこれまで実施した各省庁からのヒアリングをまとめ、刑法の賭博罪との関係、特定複合観光施設の公益性、カジノ管理機構の必要性、暴力団関係者の排除、カジノ従事者の許可の欠格要件、納付金の使途など論点を整理。「基本的な考え方に大きな異論や致命的な問題点はない」とし、議論を深め、早急に会長私案を改訂し、議員立法案として法案文確定を目指すという。

 

顧問の鳩山由紀夫前首相
顧問の鳩山由紀夫前首相

 総会出席の議員からは「収益の一部を震災の復興財源にあてるべき」「東北3県のどこかに国際観光産業としてのカジノ建設を」「マスコミを巻き込み、国民のコンセンサスが必要」などの意見が出た。カジノの収益金の一部は地方公共団体と国に納入する仕組みにし、震災の復興財源に充てることができる。宮城県出身の議員は「東北にカジノを作るのはありがたい」と話し、「復興のシンボルとして、一定の復興目途がついたところで導入してはどうか」などの、地元からも歓迎する意見が上がっていることを報告。「県議会からは古賀会長にぜひ説明に来てほしいという声がある」と紹介した。

 

 IR議連顧問の鳩山由紀夫前首相は「IR議連は超党派であることを活かして、それぞれのメンバーが各政党に持ち帰り、しっかりと説明し理解を得ていかなければいけない。さらに国民のコンセンサスも得て、早く議員立法できるように」と語った。

 カジノは現在、中国やマカオ、シンガポールなど120カ国以上で合法化。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中、カジノを導入していないのは日本を含む3カ国だけと、先進国のなかでは珍しい。カジノ導入による観光客増加も見込め、世界では観光客の誘致合戦が激化している。

池田社長が再任、東北から着地型商品多数

再任の池田孝昭社長
再任の池田孝昭社長

 株式会社全旅(池田孝昭社長)は6月15日、東京都港区の品川プリンスホテルで第38期定時株主総会終了後に懇親会を開き、旅行会社やクーポン受け入れ施設、保険会社など約150人を招いた。

 

 池田社長は、「2010年度は大震災があったが、過去最高の数字を確保することができた。震災後、東北地方からは着地型商品を多くいただいたが、支援ツアーで多くの人が被災地を訪れ、少しでも元気にしていかなくては」と力を込め、「旅行会社と旅館は車の両輪。地域と手を握り、一人でも多くの送客で日本を活性化していこう」と語った。

 来賓の全国旅行業協会の二階俊博会長は「目標を立てて努力することが大切。大変な時だが、オールニッポンで皆が立ちあがり、それぞれの地元でがんばっていこう」と呼びかけた。

新役員一同
新役員一同

 また、今年度から損害保険ジャパンと三井住友海上火災保険が株主になった。代表して損害保険ジャパン営業開発第一部の長谷川完部長が登壇。「全旅とは共存共栄。株主になったので異体同心ならぬ、同体同心。全旅で保険制度が普及できるよう努力していきたい」と話した。

 新役員は以下のとおり

 【社長】池田孝昭【副社長】大原秀雄▽兒島武【取締役】佐藤達雄▽佐藤好徳(新任)▽浅子和世(新任)▽坂入満▽青木利道▽萩原敏和(新任)▽吉村実(新任)▽近藤幸二▽明神勲生▽中間幹夫(新任)。

No.284 ―全国旅館おかみの集い― 初の九州開催 盛大に

―全国旅館おかみの集い―
初の九州開催 盛大に

 「全国旅館おかみの集い」(第22回全国女将サミット2011福岡)が6月28日、福岡県福岡市博多区のグランド・ハイアット・福岡で盛大に開かれた。テーマを「今心をひとつに 続けよう、全国に仲間がいるから」に掲げ、初の地方開催ながら、全国から100人の女将が参加した。また、今回は基調講演・全体勉強会、懇親パーティーには一般参加も募り、基調講演・全体勉強会には120人、懇親パーティーには200人が出席した。(6、7、8、9、10面に関連記事)

【本紙取材チーム】

女将のための 女将による 女将の会議

 全国から100人の女将が集い、盛大に開かれた「全国旅館おかみの集い」。主催者あいさつに立った有村政代運営委員長(熊本県・清流山水花 あゆの里)は「今回は来たくても来られなかった方が大勢いらっしゃる。開催をどうしようか大いに悩んだが、西日本から東日本を応援しよう、できる人でできることをしようと考え、『今心をひとつに 続けよう、全国に仲間がいるから』をテーマに続けることを決めた。皆さんの温かいお気持ちに触れ、女将さんのネットワークは素晴らしいものだとつくづく感じた」と会に込めた思いを語った。「女将は日本文化の象徴でもある。女将を通じて日本を元気にしたい。観光業が元気でなければ日本はダメになると思う。皆さんで一致団結して盛り上げていきたい。今日は悩みを打ち明け合い、お互いに元気をもらいましょう」と呼び掛けた。

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 特別運営委員の石井貞徳旅行新聞新社社長は、「先の震災で人の輪、家族、皆さん方のようなネットワークが非常に重要だと痛感した」とあいさつ。また、集まった女将を前に「今回は運営委員も少人数だったが、大いにがんばっていただき、まさに一人ひとりの輪でこういう形に開くことができた。日本全体が大変なときだが、後ろを向いても何も解決しない。前を向き努力をして頑張ることが、我われ観光業界には大切なこと。心の底からの笑顔で、お客様を迎えれば皆さんにも返ってくる」と激励した。

※PDFで開きます
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※ 詳細は本紙1426号または日経テレコン21でお読みいただけます。

復興担当相辞任 ― イノチガケで東北復興を(7/11付)

 松本龍復興担当相が7月3日、村井嘉浩宮城県知事と面会したときの、松本大臣の異常な目線の高さに違和感を覚えた。まるで江戸の将軍が地方に赴いて、弱小大名におどしをかけ、命令を下す構図そのままだった。 2日後に松本氏は辞任した。一部には、松本氏の実績や手腕を買う声もあったようだが、1千年に1度といわれる東日本大震災の復興担当相として、やはり最適の政治家ではなかったと思う。スタートから不協和音が出るようでは、先が思いやられる。辞任は早くて正解だ。後任の平野達男大臣に期待をかけるしかない。
 そもそも、東北地方を中心とした地域の復興担当相に、九州出身者の松本氏が任命された時点で、私は少し首を傾げた。その後も問題となったが、本当ではなかったにしろ「九州の人間なので東北の市町村が地図上どこにあるかわからない」といったような発言はすべきではなかった。おそらく東北出身の政治家だったら、そんな気の抜けた発言は考えられない。菅直人首相の任命音痴ぶりも露呈した。
 各地方には1千年、あるいは2千年をかけて築き上げた独特の文化や、風土がある。そこで生まれ育ち、生活をしている人間でしか理解し得ないものがあるはずだ。震災後数カ月、東北支援や復興の仕事に携わったくらいでは、知りえない奥深い伝統やしきたりなどもある。仮に九州で大震災が発生し、復興担当相に北海道の政治家が就任したとしても、しっくりとこないはずだ。
 本来なら、東日本大震災の復興担当相は、東北出身の政治家で、それも「イノチガケ」で復興に取り組める政治家でなくてはならないと思う。
 もしそのような政治家が日本にいないとしたら、こんな悲劇はない。
 生涯地元を離れず、足尾銅山鉱毒事件を告訴した田中正造のように「私欲」を捨て、イノチガケで地域の人々の暮らしを守る政治家が少ない。もちろん、私欲を捨てることなど、誰にでもできることではない。だが、現職の政治家はこの難しい仕事を自ら立候補して、名乗りを上げたはずだ。
 東北の文化や自然、人の営みを愛して止まない政治家が、イノチガケで復興に取り組める日本という国になればいいと願っている。

(編集長・増田 剛)