まってます!東北、首都圏で東北の元気発信

 青森県内の観光業関係者は7月1日―3日、トラベルゲート新宿など首都圏のJTB店舗前で「まってます!東北」誘客イベントを行った。東北震災以降、地域経済活動が停滞し、観光業はとくに深刻な被害を受けている。「旅行で東北を訪れてくれることも復興支援の1つ」と通行人に夏の東北旅行を呼び掛けた。パンフレットの街頭配布のほか、津軽三味線生演奏、りんごジュースの試飲などを行った。イベントには青森市や弘前市、八戸市、黒石市、十和田市、三沢市、むつ市、七戸市、青森県観光誘致協議会、青森県観光連盟の関係者が参加。青森県のマスコットキャラクター「いくべぇ」は、青森ねぶた祭りの「らっせいらあ、らっせいら」の掛け声にあわせ、軽快なステップを披露し、通行人の視線を引き付けた。

 青森県観光連盟観光振興部誘客宣伝課の稲田勲主査は「東北の先端まで行くことで、東北全体に効果が生まれる。青森は元気です。県内の夏祭りは例年通りすべて開催。ぜひいらしてください」とPR。十和田湖観光汽船の松橋泰彰社長は「夏に前年の6割、秋に8割までお客さんがもどるのを期待し、頑張っている。東北に元気をください」と語った。

 イベントは今週末も実施予定。7月8日はJTB蒲田店(オープン―昼過ぎ)、JTB横須賀店(午後―夕刻)、9日は、トラべランド大船イトーヨカドー店(終日)、10日は、トラベルゲート横浜(オープン―昼過ぎ)、JTB川崎店(午後―夕刻)。

涼感イベント満載!マザー牧場でサマーフェスタ

 マザー牧場(千葉県富津市)は、7月16日~8月31日まで「夏を涼しく楽しむ!」をテーマにサマーフェスタを開催する。

 巨大なビーチボールの中に入り、水の上を歩く「ウォーターバルーン」や、時間になると芝生の上に現れる「水のトンネル」など水を使ったアトラクションを展開。暑い夏を涼しく楽しむことができる。

 また、期間中は人気イベント、アヒルの大行進も水浴びバージョンとして登場。オアシス目指し、水しぶきをあげて全力疾走するアヒルたちを見ることができる。

 ほかにもブルーベリー摘みや藍染め体験など、子どもと一緒に楽しめるイベントも用意されている。

会長に福田朋英氏、宿泊販売目標は3300億円

福田朋英新会長
福田朋英新会長

 JTB協定旅館ホテル連盟(小田禎彦会長、4123会員)は6月8日、舞浜のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)で2011年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選では会長に福一(群馬県伊香保温泉)の福田朋英氏が選ばれた。

 3期6年を務め上げた小田会長は「中長期的に見て、旅ホ連の在り方は曲がり角に来ている。しっかりと足元を見つめなおし、(1)宿泊予約の増加(2)人材育成(3)組織の安定・強化に力を入れていかなくては」と語った。

 10年度の宿泊販売実績は、前年度比2・7%減の3260億円と3年連続目標未達に終わった。旅ホ連名誉会長のJTB田川博己社長は「震災前までは、目標の3500億円にギリギリ到達できそうなところまで来ていたが、震災でストップしてしまった」と話した。今年度の目標は1・2%増の3300億円と設定。「震災の影響を考えれば非常に厳しい数字だが、がんばらねば」と力を込めた。

 JTBは今年度初めて、受地目標を各グループ会社に設定し、受地事業を会社目標に掲げる。田川社長は「発の収益の一部を受け地に回し、本格的に力を入れ、地域密着ビジネスとして展開していく」と語った。

 今年度は「ニッポンの元気な旅」キャンペーンや、長期滞在旅行に力を入れる。小田会長からバトンを渡された福田新会長は、(1)予約の早期化(2)個性のある観光地づくり(3)新しいライフスタイルの提言の3つを取り組み課題にあげ、「どこかのオリジナリティを真似るのではなく、グローバルネットワークのなかで選ばれる魅力ある観光地づくりをしていかなくては」と抱負を語った。

 そのほか役員改選では、JTB取締役旅行事業本部長の髙橋広行氏と、ホテル双葉の小林庄一氏(新潟県、越後湯沢)が副会長に、JTB常務取締役の髙橋威男氏が専務理事に新たに就任した。

 来年の総会は6月6日にホテルイースト21東京(東京都江東区東陽)で開かれる。

無秩序な地熱開発に反対、新会長に廣川氏

瀧多賀男会長
瀧多賀男会長

 日本温泉協会(瀧多賀男会長、1505会員)は6月23日、山梨県甲府市の湯村温泉「常盤ホテル」で2011年度会員総会を開き、温泉資源保護の立場から、無秩序な地熱開発に対しては協会として反対していくことを確認した。任期満了に伴う役員改選では、新会長に廣川允彦氏(松川屋那須高原ホテル)が就任。また、4期8年会長を務めた瀧会長は名誉会長に退いた。

廣川允彦新会長
廣川允彦新会長

 瀧会長は「原発事故以降、エネルギーとして温泉資源の価値が注目されている。しかしながら、地熱発電所の周辺では温泉源の影響の事例も報告されている。我われ協会も20数年前に欧州、とくにイタリアの地熱発電を視察するなど研究を続けるなか、短期には温泉源への影響がなくても長期的には影響があるとみるべき」とし、「温泉資源の保護の立場から既存の温泉地周辺の無秩序な開発には反対してきた。この問題は地域全体の総意が必要。協会としては全国から引き続き情報収集を行い、地熱対策特別委員会で検討をしていきたい」と語った。

 新公益法人制度への移行については、協会の財政が逼迫しているなか、会員のメリット、自由な事業活動を展開し収益を上げていくためには規制の比較的緩やかな一般社団法人を選ぶべきとの観点から、13年4月1日を目途に一般社団法人に向けた移行手続きを進めていくとした。

 次回総会は、長崎県雲仙市の雲仙温泉での開催を決めた。

竹村節子氏
竹村節子氏

 総会後の基調講演には旅行作家の竹村節子氏(現代旅行研究所専務)が基調講演「日本を元気にするのは温泉から」を行った。竹村氏は「無秩序な地熱開発反対という立場は非常によく理解できる。しかし、東日本大震災発生後、国民はパブリックにものを見るようになってきた。ただ、反対のスローガンだけでは誤解を受ける。なぜ反対なのか、その理由を明確にアピールしていかないと、多くの国民から単なる利権を確保しているだけではないかと受け取られかねない」とアドバイスした。

 
 
 
 
 

小笠原諸島と平泉、世界遺産に登録決定

 6月19―29日、フランスのパリで開かれた第35回ユネスコ世界遺産委員会は小笠原諸島(東京都小笠原村)と平泉(岩手県平泉町)の世界遺産登録を決定した。
 小笠原諸島は、これまで大陸と地続きになったことがない海洋島として動植物の独自の生態系が見られることなどが評価され世界自然遺産に登録。平泉は中尊寺金色堂に代表される遺産群が仏教の浄土信仰思想を現生に象徴的に明示しているとして世界文化遺産に登録された。今回の2件を加えて、日本の文化遺産は12件、自然遺産は4件となった。

訪日客5割減減少幅は縮小、JNTO

 JNTOが発表した2011年5月の訪日外客数推計値は、前年同月比50・4%減の35万8千人。東日本大震災翌日の3月12日から3月末までが73%の減少、4月は同62・5%減と、減少幅は徐々に縮まっているが、依然として半減の状態にとどまった。
 5月の減少幅を4月と比べると、15ビジット・ジャパン(VJ)事業対象市場国・地域のなかではインド以外すべて減少幅減と改善。とくに台湾・タイ・シンガポールの改善幅が大きい。
 6月17日の会見で間宮理事長は「被災地以外は各国の渡航自粛もほとんど解かれたので、これから回復のスピードは上がってくるのでは」と期待。「震災前と同じ水準となると年単位の時間を要する可能性もあるが、市場ごとに見ていくと回復がかなり早いところも出てくるのではないか」と話した。
 各市場の動向をみると、韓国は、沖縄・九州・関西方面は戻りつつあるが、関東方面への戻りが遅く、夏には前年の5割、秋には7―8割、冬には前年並みの水準に戻ると推測。中国は放射能汚染への心理的恐怖が根深く、子供連れの家族旅行の需要回復が鈍いとみる。7月の沖縄への個人観光数次ビザの条件付解禁のプラス要因に期待。台湾は北海道や立山黒部ツアーなどの格安旅行の予約が好調だが、放射能汚染、夏場の計画停電への不安感が大きく、渡航控えは当面継続するとみる。訪日外客数のカギを握る中国市場については「今年中の回復は難しいだろうが、秋の国慶節が1つのポイントになる」と語った。
 出国日本人数は、前年同月比8・4%減の115万6千人で、3カ月連続の減少となった。

海外から1千人招請 日本の安心・安全PR

 日本政府観光局(JNTO、間宮忠敏理事長)はこのほど、東日本大震災後の復活に向けた海外プロモーションとして、視察や取材事業などの緊急対応事業を発表した。7月末までに海外の旅行事業者やメディア約1千人を日本に招請し、安全・安心な日本を体験し、国内PRをしてもらう。
 JNTOは震災後、対応の第1段階として、海外に向けた災害状況の発信などに努めてきた。6月17日に開かれた会見で、間宮理事長は「JNTOが長期に渡って築いてきた信頼や海外パートナーとの人的関係を駆使し、情報発信に尽力し、評価の声をたくさんもらった。非常事態の対応でJNTOの存在意義が再認識・再構築されたのでは」と話した。
 第2段階の海外プロモーションは、7月末までに海外の旅行事業者約530社610人、メディア約270社390人、合わせて約800社1千人を日本に招請する。
 訪日外客数を支えてきた韓国は、6月23―25日にかけ大手旅行会社24社の社長を招請し、東京、鎌倉、箱根を視察。中国は6月に実施済みのものも含め旅行会社70社70人を東京、中部、関西、九州方面に招請する。同様に、台湾、香港、シンガポール、タイ、アメリカ、オーストラリア、イギリスに対しても行う。

7月にキャンペーン 夏の旅行需要喚起

 観光庁は旅行需要復活に向け7月にキャンペーンを実施し、官民一体で長期休暇、休日の分散、若者の旅行需要促進などに取り組む。6月17日に行われた定例会見で溝畑宏長官は「電力需要の問題もあり、他省庁と連携しながら官民一体で進める」と話した。

 ゴールデンウイークの状況については「国内宿泊は前年比3%減にとどまり、関東・東北を除くほとんどのエリアで前年よりプラスとなった。予想以上に需要が回復してきているのではないか」と振り返った。

 一方で会津若松市では修学旅行の約95%がキャンセルとなった現状に触れ、「被災3県、とくに福島の風評被害については重く受け止めている」とし、「福島の風評被害を一掃することが、世界から見た日本全体の風評被害を一掃することにつながる」と語った。福島を筆頭に被災3県の観光復活に向け、イベントに全面的に協力していく考えだ。

 6月26日には、福島県会津若松市で東北観光復活へのキックオフイベントを開催。溝畑長官と佐藤雄平福島県知事、菅家一郎会津若松市長らが出席し、観光復興を宣言。アントニア猪木氏や歌手の稲垣潤一氏、川嶋あい氏なども出席し、東北の元気をPRした。

 また、7月から沖縄を訪問する中国人個人観光客の数次ビザが導入されることについて触れ、「全国イコールフィッティングがありがたいが、沖縄特区で一石を投じ、風穴を開けた」と評価。「去年のVJ事業で効果が大きかったのは中国人への個人観光ビザ緩和だ」とし、「外務相へは引き続き、要件緩和されるよう働きかけていきたい」と話した。

 JTBが中国でのアウトバンド業務の認可を受けたことについては、「今後、JTBに限らず認可の拡大が必要。認可拡大に向け努力していく」と話した。

 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長)と日本観光旅館連盟(近兼孝休会長)との合併・新団体設立の動きについては、「2つの団体が1つになることで、旅館・ホテルなど現場の現状把握やあるべき制度の議論など、現場の意見を吸い上げ適切に政策に反映させるという流れが、よりスムーズに促進されるのでは」と歓迎した。

観光立国へ一致団結 日観連総会

 日本観光旅館連盟は6月24日、東京都内のホテルで2011年度通常総会を開き、国際観光旅館連盟との合併を承認した。近兼会長は「熊本総会以来20年かかった国観連との合併が今年の最大のテーマ。ようやく6合目まで来たという感じ。これから各論に入り、諸問題もあるが乗り越えていきたい。合併団体は全旅連を交え、観光立国実現へ一致団結していきたい」と語った。

 10年度は、それまでの15支部体制から、国土交通運輸局と同一地域割となる全国9支部体制へ再編成。すでに9支部体制の国観連との合併へ地均しをした。国観連の佐藤会長は「近兼会長は就任後すぐに支部の再編を行い、合併のための土壌作りをしてくれた。国観連の背中を押してくれ、スピードがついた」と再編を高く評価する。

 11年度事業は国観連との合併への準備や、日観連ホームページ「やど日本」の会員情報の充実、「日本ユネスコ協会連盟」との連携など。任期満了に伴う役員改選では副会長に、瑠璃光(石川県・山代温泉)の萬谷正幸社長、名古屋セントラルホテル(愛知県)の北島龍次社長、寿美礼旅館(山口県下関市)の和田好弘社長が新たに就任。

旅館文化守る組織に 国観連総会

 国際観光旅館連盟は6月14日、東京都内のホテルで第64回総会を開いた。来年4月を目途に日本観光旅館連盟と合併し、新団体設立を目指すことを了承した。事前に行った署名評決では国観連会員の3分の2以上、851人から賛成意見が集まった。任期満了に伴う役員改選では佐藤会長の再任、公益制度法人改革では、一般社団法人への移行を目指し、新定款が了承された。

 佐藤会長は新団体設立について「国に対して業界の声がもっと強く届くように会員数を大きくしていかなくてはいけない。さまざまな事業もやりやすくなる」と狙いを示し、「63年の歴史の中で築いてきた風土を大事にして新しい組織にそのDNAを継承していかなければいけない。日観連ともども、旅館文化を守り続けていける組織にしたい」と語った。

 佐藤会長は東日本大震災後の経過をあげ、「被災地の人間として今回、嫌というほど旅館の力のなさを痛感させられた。国も県も漁業に対しては、基幹産業と位置づけ、いち早く対策を講じ、再生の道は日に日に整備されている。一方で、旅館業にとってはこれはという支援策はまだ見えていない」と苦言を呈した。

 また、業界を取り巻く厳しい環境をあげ、「ロングステイに活路を見出していかなければない。泊食分離も避けて通れない問題」と語った。

 11年度の事業計画の国に対する要望では、固定資産税の評価基準の見直しのための勉強会を開催する。今年度を正念場と位置づける。12月からスタートするのが国観連オープンウェブ構想。直販比率を高め、ネット専業旅行会社と対抗する第3極設立を目標に、会員旅館各自のHPに予約が直接入る客室在庫管理システムを導入する。