国観連、日観連 合併へ 来年4月に新団体

「今回こそ実現へ」意欲を見せる佐藤会長(左)と近兼会長
「今回こそ実現へ」意欲を見せる佐藤会長(左)と近兼会長

 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1112会員)と日本観光旅館連盟(近兼孝休会長、2972会員)が来年4月を目途に合併・新団体設立を目指し動き始めた。近年、会員減少に悩んできた両団体だが、合併により4千会員ほどに増大。この会員数を武器に業界の発言力の強化を狙う。従来から取り組むさまざまな事業において、さらなるスケールメリットも見込める。6月24日、日観連の総会後に行われた記者会見で「頓挫することなく新団体設立を実現させたい」と佐藤国観連会長、近兼日観連会長は意欲を見せた。

【沖永 篤郎、伊集院 悟】

「実現すれば4000会員」

 6月24日に開かれた日本観光旅館連盟の通常総会で、国際観光旅館連盟との合併が承認された。1948年、訪日外客増大に対応し、外貨獲得を目的に発足した国観連。1950年、国鉄指定・推奨旅館として発足した日観連。発足当時の目的は違うが現在、観光振興を目的とした旅館団体であることは同じだ。合併については約20年間にわたり紆余曲折してきたが、国観連は既に6月14日の総会で承認されており、日観連総会の承認をもって、正式に決まった。今後は10月に両団体間で新設合併契約の締結、2012年4月に新団体の設立を目指す。

 ただ、個別の具体論はこれから詰めることとなり、両会長はそれぞれ「両団体の寛容と忍耐が求められる」(佐藤会長)、「互いの団体の理解が必要」(近兼会長)と話す。

 日観連総会後に開かれた両団体の会長による記者会見では、合併の趣旨や目的、会費、今後の合併に向けてのスケジュールなどを説明。両団体は新団体の業務運営方針や、制度設計などについて協議を始める。今後のスケジュールは、両団体が一般社団法人への移行申請・許可を得たうえで、新設合併契約を締結。12年3月をもって両団体が消滅、4月1日に新一般社団法人を設立する。

 懸念となっていた会費については、当初2年間に限り、旧団体の会費額とする。重複会員は国観連の会費。3年目からの統一会費は、客室数に応じ最低1万5千円から最高12万5千円まで設定する。ただし、ホテル営業客室は旅館業客室の半額とする。

 近兼会長は「会員の調整が大変難しかったが、北海道支部と四国支部では100%の承認、難しかった中国支部でも90%の承認を得られた。政府に意見提言などできる圧力のある団体を目指したい」と抱負を語った。

 佐藤会長は「旅館業界の地位向上をはかりたく、そのためには一定の数が必要」と合併の目的を話し、「営業力と企画力のある、旅館にとって使い勝手の良い組織にしたい」と語った。

 また、合併へ反対の会員については、近兼会長は日観連会員の1割弱が合併に反対し、退会したことを明かした。

 佐藤会長は国観連会員の反対意見として、「会費の差への不満」をあげた。

No.283 鶴雅グループ・大西社長に聞く - 避暑需要を北海道に

鶴雅グループ・大西社長に聞く
避暑需要を北海道に

 今夏の電力供給不足が懸念されている。週休3日の採用や夏休みの長期化など、勤務体系を見直す企業もでてきた。効果があれば秋以降も続ける可能性があるという。これを受け、北海道では宿泊施設が相次ぎ滞在型プランを発表。冷涼な気候を生かし、連泊需要を喚起する。北海道観光振興機構も「北海道クール・サマー誘客事業」に乗り出した。キーワードは「長期滞在型旅行」。鶴雅グループの大西雅之社長に、自社の取り組みや道内の動きを聞いた。

【関西支社長・有島 誠、鈴木 克範】

顧客志向は成熟化へ、滞在見据え連泊喚起

震災契機に「転換」

 北海道は国内の他地域と比べ、個人客対応への「転換」が10年遅れたと思っている。団体客主体の営業でやれたことが、個人型への転換をはばんだ。デスティネーションの優位性から「団体周遊型」「低価格大量販売」など、道外で古くなったビジネスモデルを続けてこられた。団体効率の追求で規模が求められた結果、大型ホテルがたくさんできた。

鶴雅グループ 大西 雅之 社長

 しかし近年、団体客対応の旅館・ホテルが苦戦している。東日本大震災がさらに拍車をかけた格好だ。首都圏を中心とした節電計画は、ライフスタイルに大きな変化をもたらすだろう。観光地や宿泊施設も、それを見据えた提案をしないといけない。

 21世紀を迎え、顧客の志向は個人化、成熟旅行に向かっている。「成熟」とは、個々で「したい」ことが違うということ。設備や料金体系、地域の受け入れ体制、情報発信などに旅行者ニーズを反映させなければ生き残れない。今までの経験や実績を一旦白紙にして、デフレ社会や暮らしの変化に即した北海道観光を考えていく必要がある。真の「リゾートアイランド」を目指したい。

 

※ 詳細は本紙1425号または日経テレコン21でお読みいただけます。

第9回浴衣が似合う温泉地 ― 城崎温泉が首位返り咲き(7/1付)

 「第9回浴衣が似合う温泉地」(旅行新聞新社主催)が7月1日付旬刊旅行新聞で発表された(5面参照)。ウェブサイト「おかみねっと」や、中日本高速道路のサービスエリアで配布されるフリーペーパー「高速家族」でアンケート調査を行ったもので、「浴衣が似合う温泉地」もようやく広く浸透しつつあるのではないだろうか。

 今回は兵庫県の城崎温泉が、昨年の2位から1位に返り咲いた。2位は群馬県の草津温泉。

 第1回から4回までは草津温泉がトップで、城崎温泉が2位。第5回から7回までは城崎温泉がトップで、草津温泉が2位。第8回が草津温泉、第9回が城崎温泉が首位と、第1回から東西の2横綱がトップを激しく争っている。

 3位は伊香保温泉(群馬県)、4位は下呂温泉(岐阜県)、5位は有馬温泉(兵庫県)、6位は別府温泉(大分県)、7位は渋温泉(長野県)、8位は黒川温泉(熊本県)、9位は由布院温泉(大分県)、10位は熱海温泉(静岡県)の順。いずれも温泉風情が豊かで、にぎわいを感じさせる温泉地が上位を占めた。近年の傾向としては、下呂温泉、渋温泉の上昇ムードが注目だ。

 トップに返り咲いた城崎温泉は、昨年10月からデジタル外湯券を発行。財布を持たなくても浴衣姿で買い物や食事をしたり、外湯めぐりをしても、翌朝旅館で精算できるシステムを開発した。宿が宿泊客を囲い込むのではなく、「温泉街全体が一つの旅館」というコンセプトで温泉地づくりに取り組んでいる。「城崎ゆかたフェスタ~ゆかたのファッションショー」などイベントも開催されている。

 湯もみショーで有名な草津温泉は毎晩8時から、食後にふらっと落語を楽しめるように、09年12月から湯畑前の「熱の湯」で「草津温泉らくご」を開演している。伊香保温泉もまち歩きの象徴である石段街が10年4月に延長された。人気温泉地は智恵を絞り、まち歩きができるように工夫をしている。浴衣姿の宿泊客を見かけない温泉地はどこか寂しいではないか。

 今夏は電力不足。日本国中が省エネに取り組む夏になる。暑い夏は、風情溢れる温泉で汗を流し、涼し気な浴衣を粋に着て、茶屋の軒下でかき氷や葛きりでも食べながら涼みたい。私も浴衣の似合う温泉地に行くつもりだ。

(編集長・増田 剛)

宍道湖ジュエリークルージング好評運航中、島根県松江市

 

 島根県松江市の宍道湖で小型クルーザーに乗り、松江の夜景を楽しむ「宍道湖ジュエリークルージング」が11月30日までの毎日運航されている。地元のNPO法人・松江ツーリズム研究会が企画実施しているもので、郷土料理(幕の内)を味わいながら、約90分のクルージングが満喫できる。料金は1人3500円(料理込み)。船内ではビールやソフトドリンク、地酒、ワインなどを別途料金で提供する。出航は日没20分前(18:00~19:30)で、湖面上から夕日と夜景の両方が楽しめるという。
ジュエリークルージングは、同研究会の女性スタッフが「松江の夜景を宍道湖から見たら美しいのでは」と発案し、昨年夏季に初めて実施。69月で約400人を集めるなど好評を博し、今年は31日から1130日まで期間を拡大した。

予約・問い合わせ=松江ツーリズム研究会 ℡0852-23-5481

小豆島―神戸にフェリー就航、乗船無料キャンペーン

 神戸―高松(香川県)間で定期フェリーを運航する「ジャンボフェリー」(神戸市)は7月6日、同航路で1日4往復する便のうち3便で、小豆島の坂手港への寄港を始める。小豆島―神戸間の定期旅客船の運航は、1995年の関西汽船の航路廃止以来、16年ぶりの復活で、観光客誘致に弾みがつきそうだ。

ダイヤは、小豆島発が午前7時20分、午後4時20分、8時40分。神戸発が午前5時40分、午後2時、午前1時。小豆島―神戸間の所要時間は約3時間。

料金(片道)は、一般旅客大人1800円、小人900円。普通車(運転手1人の料金含む)4990円。軽自動車(同)4490円など。往復の割引運賃設定もある。

就航を記念し、小豆島では帰りの車フェリー代金が無料になる「ふねタダ・のりのり祭り」キャンペーンを7月7日から8月31日まで実施する(8月6・7、 12-16、20・21日の9日間は除く)。ジャンボフェリーを車で利用し、キャンペーンに参加する小豆島の宿泊施設に宿泊した場合、帰りの乗船料金(普通車4990円、軽自動車4490円)が無料になる。
 

キャンペーンの詳細は下記ウェブサイトで。

小豆島ジャンボフェリー就航記念「ふねタダ・のりのり祭り」!

大町の「おいしい水」プレゼント

 北アルプスの麓に位置する長野県大町市。市内の水道水は、北アルプスからわき出る豊富な湧水を源としている。観光キャンペーン大町レディースの宮尾敬子さんは「夏でも冷たくておいしいです。東京で暮らした経験もありますが、こんなにおいしい水が当たり前に飲めるなんて贅沢です」とPRする。

そんな北アルプス山麓の名水をボトリングしたピュアウォーター「アルピナ」(280ミリリットル)1ダースを10名様に読者プレゼントする。希望者はハガキに住所、氏名、電話番号をお書きのうえ、旅行新聞新社 大町市の水プレゼント係宛て(〒101―0021 東京都千代田区外神田6―7―2)までお送りください。締め切りは7月11日です。

 大町市内にはまちの中央通りを境に、西は北アルプスの湧水「男清水(おとこみず)」、東は里山居谷里の水「女清水(おんなみず)」の水道水が整備されている。

最新のシーズンパンフレット「信濃大町」は水紀行をテーマに編集。路地裏の小さな川に沿って歩く、まちなか散策などを紹介する。

現在放送中NHK連続テレビ小説「おひさま」のロケ地でもある同市。オープニング使われいるそばの花畑(中山高原)は8月下旬から9月上旬に花の見ごろを迎える。大型バス8台が入る駐車場も整備した。

第3次観光戦略始動へ、13年に3370万人泊へ

九州観光推進機構総会

 九州観光推進機構(石原進会長)は5月25日、福岡市内のホテルで2011年度定時総会を開き、11年度事業計画として九州の魅力を磨き、国内の大都市圏や海外などから観光客を呼び込む4つの観光戦略を柱に37の事業を実施することを決定した。

 今年度は第3次九州観光戦略の初年度。戦略では3年後の13年度に九州での延べ宿泊者数を3370万人泊、入国外国人数150万人を目標に掲げる。

 石原会長は「震災の影響で3月は宿泊が2割減少、4月に国内は回復してきたが、原発の影響で海外はアジアのビッグ4がいなくなった。風評被害対策として韓国、中国などで訴えていく必要がある」と強調した。

 第3次戦略では「第2次戦略で海外は目標のほぼ100万人を達成。13年に150万人を目指す。九州への延べ宿泊客数は3298万人泊といい成績を残せた」と評価。「13年には3370万人泊にしたい」と述べ、九州アジア観光戦略特区を目指す意欲を示した。

 新年度事業では、九州の魅力を磨きブランド化する戦略が、観光人材の育成・活用として、旅館従業員や将来の観光人材の育成支援、市町村職員の受入研修。第5回九州観光ボランティアガイド大会を大分県で開催する。 外国人観光客の受入れ体制の整備はコールセンター支援スキームを検討。「なないろ九州バス」運行支援、観光客満足度調査の検討、観光特区への取り組みなどを盛り込んだ。

 国内大都市圏などからの誘客戦略では、関東、中部、近畿に加え中国地方を重点市場に位置づけ、プロモーション活動を強化し宿泊客増加をはかる。旅行会社とのタイアップを推進し、商品の拡充をはかるとともに、なないろ九州バスの商品化・販売を支援する。ロングステイ提案も行う。

 また、WEBやPR媒体など活用して「行きたくなる九州」を演出。セミナー、旅フェア、観光展などで九州の魅力を直移アピールする。

 海外からの誘客戦略では、旅行博などへの参加と各国・地域の市場特性に応じた誘客対策を展開する。クルーズ博覧会への出展も盛り込んだ。

11年春の叙勲・褒章受章者、黄綬に針谷氏、藍綬に上月氏

 政府は4月29日付発令の春の叙勲および褒章受章者を発表した。東日本大震災の影響で正式決定が延期されていた。
 本紙関連では、黄綬褒章を、滋賀県大津市の「湯元舘」監査役(大女将)の針谷愛子氏と、三重県鳥羽市の「鳥羽ビューホテル花真珠」料理長の松浦貞勝氏が受章。藍綬褒章を、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会副会長の上月敬一郎氏(大分県別府市・おにやまホテル)が受章した。

11月初旬に1便運航、長崎―上海航路 来春には定期

澤田秀雄社長
澤田秀雄社長

 長崎県佐世保市のリゾート施設・ハウステンボス(HTB)とグループ会社・HTBクルーズ、長崎県は5月30日、HTB内のホテルで記者会見を開き、長崎―上海航路の就航計画と船舶取得について発表した。

 第1ステップが11月初旬(3日予定)に、長崎県と上海市の友好交流関係樹立15周年の記念事業の一環として1往復運航する。その後に約2カ月かけて改装を行い、第2ステップとして、1月下旬の旧正月需要に合わせて、週1―2便の不定期運航。第3ステップで3月下旬から4月上旬ごろに週3便の定期運航を開始する。

 第1、2ステップまでは乗客定員を700人に押さえ、第3ステップの本格運航時に1500人に拡大する。船は長崎港と上海を約20時間で結び、運賃は最も安い料金で7―8千円を予定。豪華なクルーズ船と運搬船のフェリーの中間を占める「ローコスト・エンターテイメント・シップ」を目指し、船内に劇場やシアター、九州の観光情報と物産店など設け、楽しい船旅を演出する。

船体イメージ図
船体イメージ図

 ギリシャの船会社から約30億円で購入した船は、全長192・91メートル、幅29・42メートルで総トン数は30・412トン。車両輸送もできる貨客船だ。HTBの澤田秀雄社長は「最初は旅客のみだが、将来は貨物も検討したい」と話し、港の整備など県に要望した。

 また、「事業は最初の2―3年が苦しく、難しい時期。それを乗り越えて将来につなげたい。海の大航海時代の幕開けになり、九州・日本にとって大きな1歩になる」と強調した。

全国の女将40人が集結、品川駅でうちわを配布

全国40都道府県の女将が集結
全国40都道府県の女将が集結

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会は6月7日、午後に開く全国大会に先駆け、「観光業界から復興の風を」と、全国の旅館女将総勢40人によるうちわ配布イベントを、旅(新幹線)の出発地点である品川駅で行った。

 品川駅構内に、和装にそれぞれの地元の法被を来た全国40都道府県の女将が集結。観光庁の溝畑宏長官も駆け付け、「日本の観光に風を!みんなで旅に出掛けよう!」という1万本の特製うちわを通行客に配布し、「みんなで旅に出よう」と呼びかけた。

 湯郷温泉(岡山県)の「季譜の里」の佐々木裕子女将は「全国の女将が一つになって行動するこのイベントに参加できてよかった。大変なときだけど、みんなで観光を盛り上げ、観光で少しでも日本を元気にできたら」と感想を語った。