復興に向けて支援、宮城県でボランティア

東京城東ボランティアグループ
東京城東ボランティアグループ

 全国旅行業協会東京都支部城東地区の有志による「東京城東ボランティアグループ」は4月7―9日の3日間、宮城県名取市で、バス会社「東京ワーナー観光」と温泉旅館「遠刈田ホテルさんさ亭」の協力のもと、東日本大震災の復興支援ボランティアの手伝いを行った。

2千個のおにぎり作り
2千個のおにぎり作り

 全旅協東京城東地区の有志26人が宮城県入りし、被災者を対象にした日帰り温泉入浴ツアーと、被災地での救援活動を実施。避難所で不自由な生活をしている被災者の方に温泉でリフレッシュしてもらおうと、名取市内4カ所の避難所を回り、8日午前・午後、9日午前の計3回、総勢130人を遠刈田温泉に案内した。気分転換に楽しみたいという参加者の意向を汲み、バス車内では旅行業に従事するスタッフの添乗時のおもしろいエピソードや綾小路きみまろのDVD観賞で盛り上がり、遠刈田ホテルさんさ亭では1時間ほどの温泉入浴を楽しんだ。

救援物資の仕分作業
救援物資の仕分作業

 救援活動では、避難者のための2千個のおにぎり作りと、ばらばらに段ボール詰めされている救援物資の仕分け、10キロの米袋が3個入った段ボール移動を行った。

 全旅協東京都支部城東地区長の駒井輝男氏(東日本ツーリスト)は、「被災地の復興にはまだまだ時間がかかるが、国や地方自治体とともに、復興支援を行うのは全旅協に課せられた使命の一つでは」と話す。日帰り温泉入浴ツアーの最後に、参加者からお礼の手紙をもらい、「東北の人たちの頑張る姿には、本当に頭が下がる」と涙が止まらなかったという。

 東京城東ボランティアグループは今回の支援活動に合わせ、おむつ1500枚やタオル600枚、その他生活に必要な物資を被災者へ届けた。

九州運輸局を表敬訪問、初の福岡開催を前に

前列右から有村委員長、安藤局次長、湛副委員長
前列右から有村委員長、安藤局次長、湛副委員長

 第22回全国旅館おかみの集い運営委員会(運営委員長=有村政代・清流山水花あゆの里女将)は5月17日、九州運輸局を表敬訪問し、6月28日に福岡市内で「女将サミット」を開くことを報告した。

 運営委員を代表して、有村委員長をはじめ、湛しのぶ副委員長(和風旅館華もみじ女将)、石井貞徳特別委員(旅行新聞新社社長)の3人が安藤昇局次長を訪ねた。有村委員長は、過去21年の歴史で初めて「福岡開催」することを報告。全国大会を意識し「懇親パーティーで九州の魅力を大いにPRしたい」と意気込みを伝えた。安藤局次長は「今、九州が1番元気を出せる地域。女将さんの華やかさで観光が盛り上がることを期待しています」とエールを送った。

 同日、集いの後援企業・読売新聞西部本社の池田均販売局長にも表敬し、広報活動の協力をお願いした。池田局長は「参加者が心をひとつに、全国を元気づけられる会に」と激励した。

 第22回全国旅館おかみの集いは6月28日、福岡市のグランド・ハイアット・福岡で開催する。「今心をひとつに 続けよう、全国に仲間がいるから」をテーマに掲げ、プログラムでは基調講演に裏千家15代家元の千玄室氏を講師として迎える。危機管理をテーマにした全体勉強会も開き、福島県穴原温泉・匠のこころ吉川屋の畠ひで子女将が登壇。このほかテーマごとに分かれて意見交換する「分科会」や懇親パーティーも開き参加者同士交流を深める。

訪日外客62.5%減の30万人、4月の推計値発表

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2011年4月の訪日外客数推計値は、前年同月比62.5%減の29万5800人。4月として過去最高を記録した10年と比べ、約49万2400人少なかった。

 震災発生後の3月12-31日までの73%減よりは減少幅が縮小したもの、月次ベースでは、過去50年間のなかで最大の減少幅。単月の数値で30万人を割ったのは、SARSの影響を受けた03年5月以来、7年11カ月ぶりとなった。減少幅の大きい順に、香港が87.6%減、シンガポールが82.6%減など。

 一方、出国日本人数は、前年同月比9.0%減の110万4000人で、2カ月連続の減少となった。

楽天トラベルが国内2位に浮上

 観光庁はこのほど、2010年度主要旅行業者旅行取扱状況を発表した。総取扱額は前年度比2.9%増の5兆9303億7289万円とプラス成長となった。

 国内旅行は同2.1%減の3兆6648億5283万円、海外旅行は同12.1%増の2兆2013億4762万円、外国人旅行は同19.0%増の641億7245万円となった。

 旅行会社別にみると、国内旅行では楽天トラベルが同15.6%増の2379億円で、トップのJTB(7092億円)に次いで、2位に浮上した。3位は日本旅行の2349億円、4位は近畿日本ツーリスト(KNT)の2347億円。

東北6県の女将が結束、国交相に支援と観光PR

国交相に支援と観光PR

 東北観光推進機構は5月25日、青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島の東北6県を代表する女将と、ミスなど総勢約20人で国土交通省の大畠章宏大臣と観光庁の溝畑宏長官を訪問し、東北支援の呼びかけと観光PRを行った。

 大畠大臣は「皆さんには被災者の受け入れなどでもご協力いただき大変感謝している」とお礼を述べ、「正確な情報を正しく日本内外へ発信し、一日でも早く、東北地方を含め日本がにぎやかになるよう一生懸命やっていきたい」と語った。

 女将を代表して山形県の佐藤洋誌恵女将(日本の宿古窯)は「とにかく東北を見捨てないでほしいという思いで来た。こんなときだからこそ、女将の結束を深め、世界へ東北の良さ・日本の良さを発信していきたい」と決意を述べ、面会後には「大臣に励ましをいただき、大変心強い」と笑顔で取材に答えた。

出向者121人が集結、研修会で活動スタート

横山青年部長があいさつ
横山青年部長があいさつ

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長)は5月18日、長野県上田市の塩田公民館で2011、12年度全旅連青年部出向者研修会を開いた。120人を超える青年部出向者が集まり、2年間の本格的なスタートを切った。

 20代青年部長の横山氏が登壇。「11、12年度の青年部組織では、前期を上回る147人の出向者が集まり、今日がそのスタート。こんな時代だからこそ若い世代が手を取り合って変革していかなくてはいけない。今日をきっかけにたくさんの仲間と出会い、楽しく意義のある青年部活動をともに送りましょう」と、集まった出向者へ呼びかけた。

 今期の活動スローガンは「利他精神―夢を語り背中を見せる―」。7つの部会と、総務委員会、広報委員会、財務委員会、組織維新(これあらた)!委員会、政策立案委員会、観光連携委員会、旅館アカデミー委員会、観光平成維新委員会、ドリーム旅館プロジェクト委員会、夢未来創造委員会、緊急特別対策委員会の11委員会を設置。青年部の出向で培うものに(1)人的ネットワーク(2)経営者としてのスキルアップ(3)業界力向上の3つを挙げた。「青年部の良さは、OB会を含めたくさんの良き先輩達がいて、何でも聞けること。先輩たちの生きた知恵と経験はかけがえのない財産になるので、初出向の人は遠慮せずどんどん聞いてほしい」と話した。

 講演では16代青年部長を務めた松田賢明氏(K’s Act社長)が登壇。「自分を楽しくするために」をテーマに、旅館の取り組みや青年部で学んだことなどを、事例を交えながら紹介した。

 その後の懇親会では別所温泉花屋へ場所を移し、情報交換と交流を深めた。

“回復の兆し見えた”、夏へPRに全力尽くす

 観光庁の溝畑宏長官は5月20日、ゴールデンウイークの旅行動向やアジア地域の訪日ツアー再開への動きを受け、「観光業界に回復の兆しが見えてきた」と語った。

 ゴールデンウイークの旅行動向について、各企業・団体から報告があがり、日本旅行業協会(JATA)は前年比10―4%減、JTBは同12・2%減、近畿日本ツーリストは同20%弱減、日本旅行は同10%減、楽天トラベルは同20・1%増など、当初の予想を上回る回復傾向を示した。

 観光関連施設の入込客数は、北海道が同22・8%減、東北が41・6%減、関東が15・7%減、北陸信越が5・3%減と東日本大震災の影響で数字を落とすも、中部が4・3%増、近畿が8・3%増、中国が9・0%増、四国が3・6%減、九州が2・2%減、沖縄が5・2%減となり、西日本では前年を上回るところもでた。

 溝畑長官は「『GWには1家族1旅行』をスローガンに観光復活に向けプロモーションを行ってきた。GWの状況は当初の予想よりも持ち直し、回復の兆しが見えてきたという感触。早く回復の軌道に乗せたいので、これから半年から1年が勝負。軌道に乗れば、観光に対する注目も高まっているので、大きな飛躍も期待できる」と見通しを語った。

 中止になっていた中国・韓国・台湾・香港からの訪日ツアーも4月下旬頃から再開の動きが出ていることを受け、「トップセールスをどんどんやり、日本の安全をPRしたい」と意気込んだ。

 一方、第一次補正予算に観光業関連が含まれなかったことについては、「津波被害に対する、固定資産税や自動車税、住民税などの減税は、他省庁で積極的に盛り込んでもらえた。観光業界には中小企業が多く、新しい予算を待っている時間はない。既存の予算のなかでできる、メディアを活用した営業活動などをどんどんやっていきたい」と話した。

 また、夏へ向けては「節電の影響で休暇分散や長期休暇などの動きが生まれる。長期滞在型やエコ型ツアーなど新しいマーケットの開拓へ準備するよう指示を出している」と話す。

 現在、東北を盛り上げる仕掛けを検討中。6月には福島県で、7月には岩手県、宮城県で大きなイベントを行うという。

No.280 ハウステンボス・澤田社長に聞く - アジアに開く観光ビジネス都市へ

ハウステンボス・澤田社長に聞く
アジアに開く観光ビジネス都市へ

 昨年3月から旅行業大手のエイチ・アイ・エス(H.I.S)傘下で経営再建を進める、長崎県佐世保市のリゾート施設ハウステンボス(HTB=澤田秀雄社長)が、2011年9月期の第1四半期(10年10-12月)決算で営業黒字を達成した。リゾート、テーマパーク、医療、教育などからなる「観光ビジネス都市」を将来イメージに描く澤田社長に、東日本大震災後の見通しや上海航路開設をはじめとする今後の計画など聞いた。

(聞き手=関西支社長・有島 誠)

「1.2倍の改革スピード、お客様目線が経営の基本」

 ――この1年を振り返って。

 やはり大変だった。引き受けた時点は業績が下がり続け、社内に負け癖がついていた。平均年齢も高く、なかなか変われない。改革のスピードに、社員もよくついてきてくれたと思う。何事もスピード感が大事。東日本大震災の影響によるインバウンドのキャンセルでは、素早く国内に展開を切り替えた。

澤田 秀雄社長

 ――売上、入込み増の要因は。

 当初は基本ができていなかったので、まず基本を皆でやるところから始めた。どんな業態でも汚い店は流行らない。工場でもオフィスでも一流とされるところは清潔に保たれている。だから、まず皆で掃除をして常に清潔な園内を保つようにした。

 それと、テーマパークは暗い雰囲気ではダメ。当初は閉鎖中の店やミュージアムもあり、お客様に失望感を与えていた。スタッフ自身が明るく振る舞うことはもちろん、約半年ほどかけて、ほとんどのお店をオープンさせた。開店すれば人件費などの経費はかかるが、やはりお客様の目線にあわせることが大事。夜もさみしかったので、ミュージカルを入れたり、光のショーを行ったりにぎわいを創出した。

 

※ 詳細は本紙1421号または日経テレコン21でお読みいただけます。

子供にやさしい宿へ――次世代を育てる責務(6/1付)

 電力不足のまま迎える今夏は、「平年よりもやや暑め」と気象庁は発表した。昨夏の悪夢のような暑さが甦る。このようななか、自動車産業などは、業界を挙げて土・日に工場を稼働させ、木・金を休日にするという、電力消費の平準化に向けて英断を下された。
観光業界は、省エネに何ができるか? それは、多くの電力消費が予想される一般家庭から、一家族でも多く、観光客を旅館に集めることである。
夏休み期間中に、家族が長期間滞在できるプログラムを旅館は提供できないものか。宿泊費と食事代を分離して、食事代はオプションとする。さらに、可能であるなら、大人料金は高めであっても、子供料金を格安にする。旅館の場合、一家族何人であろうと1部屋なので、宿としては融通しやすいはずだ。
昨今、旅館に泊まった経験のない学生や子供が増えていると聞く。子供時代に旅館に泊まった経験のない人が、大人になって突然変異のごとく、旅館を頻繁に利用するだろうか。その可能性は相当に低い。子供のころから旅館というものに慣れ親しんでいないと、敷居は高く感じるものなのだ。
プロ野球やJリーグでも、子供たちが球場に来やすいように、ファン感謝デーなどを積極的に行い、子供たちとの触れ合いを何よりも大切にしている。 また、フランスでは美術館などに子供は無料で入館させ、文化・芸術との触れ合いを重んじている。自分たちの生業を大切に思うのであれば、目先の利益を追うのではなく、長期的なビジョンを持って次世代の子供たちに接近しなければならない。
では、旅館業はきっちりと子供たちに目を向けているだろうか。おそらく、小金を持つ高齢者ばかりに目が向いているのではないだろうか。しかし、頼りの高齢者層すらも数年後には、人口減少時代を迎えるのだ。
大人からお金を取り、子供からお金を取らない。これは商売の基本であり、鉄則である。
子供時代は何をしても楽しいのである。その楽しい盛りの子供たちを、遊園地や携帯電話、ゲームなどに取られてもいいのだろうか。なぜ、無償でも旅館の楽しさ、素晴らしさを知ってもらおうとしないのか。観光庁も本気で観光振興をしたいのなら、子供の宿泊費用の一部負担など真剣に取り組むべきである。
(編集長・増田 剛)

南三陸町応援ツアーin復興市、KNT

 近畿日本ツーリスト(KNT)は、宮城県三陸町で5月29日に開かれる「復興市」へ行くバスツアーの販売を始めた。専用サイト(http ://ecc.knt.co.jp/tyoec/fukkoichi/)で受け付ける。

 復興市には全国の商店街が協賛し全国の特産品などを販売。売り上げの一部は「復興市」の活動支援金にあてられる。ツアーは復興市への参加だけのコースと、比較的軽度なボランティア活動への参加も組み込んだ2コース。料金はそれぞれ、1万8800円、2万4800円。旅行代金のうち5000円は「南三陸町復興支援金」として寄付される。募集人員は200人。