日本政府観光局(JNTO)が発表した2011年3月の訪日外客数推計値は、前年同月比50.3%減の35万2800人。月別では09年10月以来、17カ月ぶりに前年同月比減となった。
東日本大震災の影響を受け、どの国も軒並み訪日外客数が下落した。大震災前(3月1-11日)と震災後(3月12-31日)の数値は、約21万5000人(前年同期比4%増)、13万7000人(同73%減)となった。
一方、出国日本人数は、前年同月比18.0%減の128万1000人で、10年9月以来6カ月ぶりの減少となった。
日本政府観光局(JNTO)が発表した2011年3月の訪日外客数推計値は、前年同月比50.3%減の35万2800人。月別では09年10月以来、17カ月ぶりに前年同月比減となった。
東日本大震災の影響を受け、どの国も軒並み訪日外客数が下落した。大震災前(3月1-11日)と震災後(3月12-31日)の数値は、約21万5000人(前年同期比4%増)、13万7000人(同73%減)となった。
一方、出国日本人数は、前年同月比18.0%減の128万1000人で、10年9月以来6カ月ぶりの減少となった。
山形県のキャラバン隊は4月26、27日の2日間、首都圏の旅行会社やマスコミなどを訪問し、観光PRを行った。県と県内の観光団体が一丸で観光振興をはかる「がんばろう東北・がんばろう山形県」の一環。初日は山形駅でキックオフイベントも行った。
26日は、やまがた女将会から7人の女将が観光庁の武藤浩次長と山田尚義審議官を表敬訪問し、震災後の状況などを報告した。女将たちは、「東北は苦境になると知恵で乗り切ってきた。工夫しながら、県全体でがんばりたい」と語った。
武藤次長も「今後はこうしたPRも積極的に行い、発信していくことが大切だ」と激励した。
良質の小旅館で組織される「日本エコノミ観光旅館連盟」(小林照雄会長、49会員)は4月20日、東京都内で総会を開き、今年度から新たに「エコロジーでエコノミー」をキーワードに、会員旅館の豊かな個性と専門性をさらに伸ばしていくことを決めた。
各宿が「取材ウェルカム宣言」を行い、地域の歴史や文化、自然に精通する小旅館の主人という特性をフルに生かして、取材活動の基地・拠点の役割を果たし、地域の活性化につなげていく考えだ。
さらに、東日本大震災後の観光振興策として、(1)青森県のアップルジュースを会員全宿で朝食に使う(2)おいしい水をおみやげにする(3)北海道エリアや信州の車山高原などではクーラーのない涼しいECOSTAYを体験してもらう――などのプランを考案中という。
四国ツーリズム創造機構の松田清宏会長と平尾政彦事業推進本部長、九州観光推進機構の大江英夫事業本部長は4月19日、中・四国と九州の観光の現状を説明するため、観光庁の溝畑宏長官を訪問した。訪日外国人旅行者の風評被害が多いことから、松田会長は「(四国や九州は)日常が変わっていないことを伝えたい」と訴えた。
九州観光推進機構の大江本部長は「おもに韓国からの航空やクルーズ船、フェリーの運休が大きい」と訪日客の減少の要因を報告し、定期便回復を韓国側に要請してほしいと陳情した。
溝畑長官は「大変な状況だが、サービス産業の真髄はいかなる状況でも前向きな気持ちと笑顔を忘れないこと。嘆き節にならず、明るいスマイルと夢、元気を与えることをお願いしたい」と前置きをしたうえで、「できることから手を打つ。1に営業2に営業、3に営業、そして広報。これを国から民間企業まで共通の意識を持って取り組んでいく」と語った。
また、需要回復の施策として国内旅行は「省内でもメディアでも、ゴールデンウイークに1家族1旅行をしようと呼び掛けている」と報告。インバウンドは福島原子力発電所の事故に対する懸念が大きく、苦戦を強いられているが、まずは韓国や中国から需要回復に取り組んでいくという。一方で、香港の旅行会社は沖縄や九州、北海道などのツアーを手掛けはじめているため、「西日本から復活の動きをだし、できる限り早期に日本の安心・安全のイメージを回復したい。西日本は元気なので、負の連鎖をさせてはダメ。四国、九州にぜひがんばっていただきたい」と激励した。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会・女性経営者の会(JKK、石橋利栄会長、46会員)は4月21日、東京都内の全旅連会議室で2011年度総会を開き、清水美枝前会長に代わり、4代目会長(2011―12年度)として観光ホテル大和屋本店(大阪市中央区)の石橋利栄女将が就任した。
活動のテーマは「Let’s try new things!~新しいことに挑戦」とし、今期は冊子委員会(岡本尚子委員長)で、「宿泊業の女性経営者がそばに置いておきたい冊子」をつくるほか、社会貢献委員会(高橋美江委員長)では環境問題や、高齢者・子供・身体障がい者など弱者を受け入れるうえで、女性経営者として力を発揮できる取り組みを行っていく予定だ。
石橋新会長は「大変な時期に大役を引き受けたと責任の重大さを感じている。皆さんのご協力によって、会をよりよいものにしていきたい」とあいさつした。新副会長には北川雅代氏(埼玉県秩父市・ホテル美やま)、長坂正惠氏(岐阜県下呂市・下呂観光ホテルしょうげつ)が就任した。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長、1583部員)は4月20日、東京都千代田区の都道府県会館で2011年度の定時総会を開いた。井上善博部長が2年間の任期を終え、第20代青年部長の横山公大部長に引き継がれた。横山体制のスローガンは「『利他精神』~夢を語り背中を魅せる~」。7人の副部長・特別対策顧問のもと、11の委員会、約200人の出向者で組織し、スタートを切った。
井上前部長は冒頭、東日本大震災に触れ、現地を訪れて激励したことなどを報告。「何とも言えない思いで今日を迎えたが、私はこの2年間、スローガンとして『誇り・絆・友情』を掲げさせてもらった。事情がそれぞれにあると思うが、私たち若い世代が今一度、宿屋に誇りを持って、青年部で出会った絆、友情をしっかりと今日確認し、明日からまた新たにがんばっていきたい」と語った。また、新部長の横山部長を「彼は高知県出身だが、激動の時代に青年部長を受けるまさしく坂本龍馬」と表し「これまで以上にご協力とご支援をいただき、新たな船出をさせていただきたい」と部員に呼び掛けた。
横山新部長は「大震災で、本来の事業よりも地震対策を優先すべきではないかという声もあったが、若い世代が責任を持って観光の火を消すことなく、旅行需要を拡大すべく活躍するのが本来の主旨だろうと思い、初志貫徹を持って計画を立てた。今までにない2年間だと思う。2年間では大震災の影響は収まらないかもしれないが、後世にこの震災から我われがどう乗り切ったのか語り継げる組織にしていきたい」と所信を述べた。
今期の方針は(1)東北地方太平洋沖地震への対応(2)夢を語り背中を魅せる!DREAM RYOKAN PROJECT(3)エコに先進的に取り組み、ゴミ0―ゼロ―プロジェクトを発信(4)公平かつ適正な口コミへ向けての対策(5)政治的諸問題に向き合い、親会との意思疎通をはかり青年部らしく行動する――。
震災対応としては今年度、東北と関東、長野、新潟、山梨、静岡の1都16県の固定会費と東北と北関東、長野、新潟、千葉の12県の部員会費を免除することなどを盛り込んだ。
総会後は県部長サミットを開き、新潟県旅館生活衛生同業組合の野澤幸司理事長が「旅館ホテル業界の震災後の対応について」と題して講演した。その後、被災県の県部長らによる現状報告も行った。
執行部の新体制と担当委員会は次の各氏。
【副部長】
総務広報担当 神田裕幸(島根県)総務委員会・広報委員会▽財務担当 新山晃司(愛媛県)財務委員会▽組織担当 鈴木治彦(岡山県)組織維新(これあらた)!委員会▽政策担当 森晃(長野県)政策立案委員会・観光連携委員会▽研修部会担当 山口敦史(山形県)旅館アカデミー委員会・観光平成維新委員会▽事業部会担当 田村佳之(群馬県)ドリーム旅館プロジェクト委員会・夢未来創造委員会
【特別対策顧問】
利光伸彦(和歌山県)緊急特別対策委員会
日本旅行業協会(JATA)のVWC2000万人推進室は5月30日から、海外夏旅キャンペーンとして外国政府観光局・国際航空会社と連携し、全国主要7駅に大型ポスターを貼り出す。「日本を元気に、旅で笑顔に」をテーマに、例年より約2週間繰り上げ、夏旅の早期取り込みを目指す。
掲載駅はJR札幌と仙台、東京、新宿、名古屋、大阪地下鉄梅田、福岡地下鉄天神駅。期間は1週間。
大震災後の厳しい事業環境のなか、各団体がCPの主旨に理解を示し、積極的に参加を示したという。協賛はカナダ観光局やメキシコ観光局、中国国際航空、フィンランド航空など27団体・会社。
観光振興議員連盟(会長=川内博史衆議院議員)の緊急総会が4月19日、衆議院第1議員会館で開かれ、全国旅館政治連盟の佐藤信幸理事長が、東日本大震災、福島原発事故による旅館・ホテル業の復興支援に関する要望書を川内会長に渡した。溝畑宏観光庁長官をはじめ、厚生労働省、総務省の担当官も出席し、震災後の観光業の状況説明や対応策を検討した。
佐藤理事長は「震災後、災害救助法で旅館・ホテルなどを避難場所として指定し、高齢者や障がい者等の要援護者に加え、被災者の受け入れまで拡大解釈をしていただき、感謝している」と謝意を述べた。要望内容としては、政府系金融公庫融資について被災地や、福島第一原子力発電所の影響による隣県、さらに全国的に計画停電、旅行自粛などによって売上げが激減している宿泊業者に対する既往貸付の返済猶予や、金利の免除、減免、条件変更などの特別措置を求めた。
また、生活衛生改善貸付の条件については、「従業員5人以下」を「製造業並みの従業員20人以下」への変更を要望。税制・雇用面では、固定資産税・事業所税の免除などを求めた。
川内会長は「金融、税制、風評被害対策などの意見を観議連としてとりまとめ、政府にしっかりとした対応をしていただくよう申し入れをしていきたい」と語った。
「関係者600人で決起集会、日観振協、6月総会は仙台で」
日本観光振興協会(西田厚聰会長)は4月21日、東京都千代田区の憲政記念館で観光関係の行政や団体、東北各県、企業関係者など約600人を集めて「東北復興支援の集い」を開いた。東日本大震災の影響で風評被害や自粛が続き、観光面で幅広い地域に大きな被害をもたらしていることから東北観光の支援を誓うとともに、全国的な観光活性化につなげるための決起集会として開き、集いの宣言も発表した。
西田会長は主催者あいさつで「観光業界としては1日も早い復興達成に向けて一丸となって全力で支援させていただきたい。東北の四季折々の美しい自然、歴史あるさまざまなすばらしい文化を再び多くの観光客に楽しんでいただくために全力を尽くす」と語った。全国レベルで旅行のキャンセルや予約の著しい減少、訪日旅行者の激減などで業界が深刻な打撃を受けていることにも触れ、「我が国が復興していくためにも、観光が果たすべき役割は極めて大きい。日本を必ず復活させるという揺るぎない信念のもと、本日の集いを東北支援、日本の観光の復活の新しいスタートにしたい」と述べた。
また、同協会が6月に予定している通常総会を急遽、宮城県仙台市で開くことを発表。「1人でも多くの会員に参加してもらうよう呼び掛けている」とした。
観光庁の溝畑宏長官は「今こそ観光の出番。これを機に官民あげて大型キャンペーンやイベントを積極的に打っていきたい」と語った。衆議院議員で全国旅行業協会(ANTA)の二階俊博会長は「観光を中心に東北を立ち上げる」と力を込めた。さらに、「津波には法律で対応しなければならない」とし、津波の日も制定して国民全員が津波について考えることの必要性も訴えた。
出席した東北6県の知事や副知事、観光行政の幹部らは支援に対するお礼や現状、今後への決意などを語った。このなかで、青森県の三村申吾知事は「がんばろう日本、がんばろう東北、この強い想いのもとで、青森デスティネーションキャンペーンを予定通り4月23日から開始する。まだ新幹線はつながっていないが、東北のなかでできることから始めていこうという想いだ。大いに悩んだが、まず東北の端の青森から光を灯し、日本の未来の希望につなげていきたい」とDCへの熱い想いを語った。
さらに、東北地域「女将の会」から6人の女将が登壇。代表してあいさつに立ったホテル松島大観荘(宮城県松島町)の磯田悠子副社長は、自館のある松島の状況について、「松島の島々に守られ、津波の部類ではないような波でした」と報告。海岸通りは被害が大きかったが、「連休に向けて、がんばって何かをやろうという思いです。遊覧船も再開します。我われも正確な情報を発信するので、ぜひ皆さんにお越しいただき、元気を分けて下さい。我われの笑顔でお迎えします」と頭を下げ呼び掛けた。
最後に宣言を読み上げたあと、日本観光振興協会の舩山龍二副会長の音頭で参加者全員が拳をあげ、東北復興や日本復興に向けた決意を誓った。
東北復興支援の集いの宣言は次の通り。
(1)東北地域をはじめ被災された地域の1日も早い復興を願い、被害を受けたこれら地域の観光復活のため一丸となって支援をしていく(2)直接の被害がなかった地域においても大きな影響が出ていることについて、風評被害や自粛ムードを払拭し、全力をあげてこの困難を乗り越えていく(3)被災地の復興と我が国経済の立ち直りのために観光が果たすべき役割は大きく、全国の観光活性化のため、観光関連業界としてスクラムを組んで強力に取り組んでいく。
福島県・吉川屋レポート
震災1カ月「普段」がそこにあった
福島県穴原温泉の匠のこころ吉川屋(畠隆章社長)は今年3月末までを創業170周年と位置づけ、順調に売り上げを伸ばしてきた。その流れを維持し4月以降も予約状況は好調だったという。だが3月11日に発生した東日本大震災後、状況は一変。宿泊客の安全確保や建物被害の補修、20日間にもおよぶ休業、被災者や復興支援関係者の受け入れなど、かつてない場を経験することになった。1千年に一度ともいわれる未曾有の出来事に直面し、宿はどう行動したのか。畠社長と女将の畠ひで子さんに震災後のひと月を振り返ってもらった。
【企画営業部 鈴木克範】
「発生20分で無事発信、170年の灯を消すな」 「普段通りの温泉旅館」
4月16日の午後、吉川屋を訪ねた。下調べで同館が4月6日から、震災で被災された方々の「避難所」として利用されていることを知っていた。自家用車であふれる駐車場や、避難者に伝える情報の貼り紙など、これまでの訪問とは違うようすを想像していた。だが、何か違う。「普段」通りなのだ。同じなのに違うというのも変だが、いつもの吉川屋がそこにあった。
実際には災害救助法の制度を利用し福島県からの要請で、同県南相馬市や飯舘村からの避難者を約230人、復興支援関係者約400人を受け入れている。畠女将は「宿として災害支援の一端を担うのは使命。でも(4月1日から)営業を再開し、温泉を楽しみにしているお客様をもてなすことが本来の姿」と、戻りつつある個人客を大切にしている。
当初からスムーズに対応できた訳ではない。もてなしを重視する温泉宿が被災者を受け入れることに、現場も戸惑った。かける言葉一つとっても「いらっしゃいませ」「こちらでごゆっくりどうぞ」ではなく「おはようございます」「こんにちは」と変わってくる。一つ屋根の下に温泉旅館と避難所を内包する館内は、接し方だけでなくさまざまな工夫が見られた。
※ 詳細は本紙1418号または日経テレコン21でお読みいただけます。
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