“復興支援”を柱に桜まつりを実施、みちのく三大桜名所

北上展勝地
北上展勝地

 岩手県北上市と秋田県仙北市、青森県弘前市の3市は共通の観光素材の桜を、みちのく三大桜名所として売り出している。今年は3市とも先の東日本大震災の復興支援を柱にした祭りとして開催する。

 北上市の桜の名所は北上川河畔の「展勝地」。1920年に和賀展勝会によって桜の植栽事業が行われ、翌年開園した。293ヘクタールの園内には4月中旬―5月上旬にかけてソメイヨシノやヤマザクラなど約150種の桜が咲き乱れる。珊瑚橋から2キロに渡り続く桜並木を観光馬車で巡るのも良い。今年の桜まつりは名称を「がんばろう岩手!展勝地の桜」として4月15日―5月5日まで開催。会場内で被災者への義援金を募るほか被災地から北上に避難している人、被災地からの観覧招待も検討している。さらに4月29日には復興の願いを込めた北上鬼剣舞連合会による舞いを予定している。

 仙北市の桜の名所は角館の「武家屋敷通り」と「桧木内川堤」。「武家屋敷通り」はかつての中・下級武士の侍屋敷である旧家が建ち並び、その黒板塀を覆うようにシダレザクラが咲く。黒塀と桜のピンクのコントラストが鮮やか。「桧木内川堤」は約400本のソメイヨシノの並木が約2キロに渡り続く。これらは1934年に、その前年の桧木内川左岸堤防築堤と当時の皇太子明仁親王の生誕を祝し町民によって植えられたもの。毎年4月下旬―5月上旬にかけて鮮やかに咲く(ソメイヨシノはシダレサクラより2日ほど開花が遅い)。今年の桜まつりは名称を「がんばろう!東北 角館の桜」とし、4月22日―5月5日まで開催。駐車料金の一部(普通車200円、中型車400円、大型車800円)を義援金に充てるほか例年午前零時までのライトアップを午後10時までに短縮、さらに電飾の距離も短くする。

 青森県弘前市の桜名所は「弘前城」(弘前公園)。4月下旬―5月上旬にかけてソメイヨシノを中心にシダレザクラ、ヤエザクラなど50種以上、約2600本の桜が園内を埋め尽くす。古城の白壁と老松の緑が相まって一層、美しさを醸し出す。

 「弘前さくらまつり」は4月26日―5月5日まで開催。期間中のイベントなどは例年通り実施するが、節電のためライトアップの距離を短縮予定のほか被災地にバスで迎えに行き弘前の桜を観賞してもらうなどの受け入れも予定。

 同市の葛西憲之市長は「日本一と自負する桜はさまざまな天変地異や苦難を乗り越えながら毎年鮮やかに咲く。今回被災された地域も必ず復興できる。この思いを、桜を通して被災地に届けたい」としている。

【野村 一史】

“観光で日本を元気に”、自粛打破へ、観光庁発信

溝畑宏長官
溝畑宏長官

 観光庁は4月12日、全国の各自治体や観光関係団体などに「観光で日本を元気に」というスローガンのもと、観光に積極的に取り組むようメッセージを発信した。東日本大震災後に観光業界へ壊滅的な影響を及ぼしている全国的な旅行自粛ムードを打破する狙いだ。

 観光庁によると、3月11日―4月8日までの旅館・ホテルの宿泊キャンセルは、東北・関東地方で39万人、それ以外の地域でも17万人にのぼった。このうち岩手県と千葉県のデータはいまだ集まらず、報告が入ればキャンセル数は大幅に膨らむ見込みだ。また、国内旅行の予約数は、震災前の3月第1週と比較し、3月は20―40%減、4、5月の予約数も前年同期比20―45%減と大幅に減少している。

 観光庁は、各都道府県や市町村、経済団体などから「全国的な自粛ムードに対する国の指針を示してほしい」との要望を受諾。関西広域連合の申し合わせや、前日の宮城県知事による「過度に自粛せず、被災者の分まで経済活動やイベント開催を積極的に」というメッセージをきっかけに、「観光で日本を元気に」するべく観光振興を積極的に取り組むよう関係者に通知を出した。

 同日に開いた会見で観光庁の溝畑宏長官は「さまざまな節電努力を行いながら、被災地復興のために経済を委縮させずに、観光により『日本の元気』を積極的に発信すべき。今回をきっかけに自粛ムードを打破せねば」と語った。

 ビジット・ジャパン事業については「本格的な再開には時間がかかるが、すでに準備を始めている」と話し、先日訪中した際の感触について「中国人の訪日のニーズは変わらない」という。新しい訪日外客数目標については、「VJ事業が本格的に再開してから検討する」とした。

 なお、MICE事業については、被災地以外も合わせ約60件程度、延期または中止になったことを報告した。

No.277 新燃岳風評被害からの脱却 - 霧島市観光の将来像を語る

新燃岳風評被害からの脱却
霧島市観光の将来像を語る

 鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山・新燃岳が1月26日に噴火してから、直接の噴火被害や降灰もほとんど無い霧島温泉のホテル・旅館が、連日のテレビ、新聞報道による風評被害で、宿泊キャンセルが続くなど観光業界を中心に大きな打撃を受けている。そこで、地元行政と観光関係者に、霧島温泉の現状や桜島と霧島連山に囲まれた大自然、歴史文化、空港、高速道など交通の利便性など、魅力的な観光資源を生かした「霧島市の観光将来像」を語ってもらった。

【司会=関西支社長・有島 誠】

     ◆   ◆

〈座談会出席者〉
前田 終止氏(霧島市長)
奈良迫 英光氏(鹿児島県観光プロデューサー)
徳重 克彦氏(霧島市観光協会 会長)
蔵前 壮一氏(霧島温泉旅館協会 会長)
花俣 幹男氏(霧島国際ホテル 社長)

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 ――新燃岳と霧島温泉の現況は。

■前田:今年1月26日の噴火活動から、爆発的噴火は13回。それ以降は約1カ月半の間、小規模な噴火はあるものの、爆発的噴火はない。3月22日には、半径4キロだった警戒範囲が3キロに縮小され、宮崎県のえびの高原に通じる県道1号線も開通した。

 残る懸案事項は、韓国岳、大浪池の登山解禁だけだ。関係者の調査では、登山道などは今までと全く変わらず、噴石も見られなかったという。安全性を最優先に考えながら、入山時期について専門家の意見を聞き検討している。

 一方、風向きにより噴石や降灰の被害が大きい高千穂峰への登山は当分の間無理と考えているが、登山口にある高千穂河原への道路の降灰除去を進め、ビジターセンターや駐車場の解放に向けてできる限り努力したい。宮崎県都城市などへの降灰も1カ月以上ほとんどない。

霧島の温泉街は平常

■徳重:霧島のこの1年を振り返ると、まず口蹄疫で昨年7月の霧島温泉宿泊客が30%減という過去最大の影響を受けたことから、10月1日から行政と観光関係者、地域が一丸となって「いざ霧島!!100万人キャンペーン」を展開し、12月には100%近くまで回復した。3月には九州新幹線開業も控え、さあ、これからという時に噴火が起こり、2月1日には空振被害で霧島市全体が爆発の影響を受けているように報道された。

 1月26日から2月22日までの宿泊・日帰り客のキャンセルは約2万7千人。霧島温泉の宿泊者数は、2月だけで前年比約64%減と落ち込んだ。観光復活を目指し頑張っているが、東日本大震災でさらにキャンセルが発生した。行政と宿泊施設などの各団体が一体となり、温泉を無料開放する「にっこり入浴の日」を設け、いつもと変わらない霧島を知っていただくイベントを展開している。

■蔵前:霧島温泉の観光客は年間420万人。観光客とは交流人口のことで、今回の噴火で観光客が皆無となるような体験をした。ホテルや旅館だけでなく、ゴルフ場や見学・体験施設などさまざまな施設に影響が及んだ。「にっこり入浴の日」は久しぶりに入浴客でにぎわい、温泉街の飲食店や観光施設に一次的に活気が戻り、観光客のありがたさを改めて実感した。

■花俣:今一番の問題は雇用。助成制度を受けながら解雇を避ける方針でやっている。ただ長引くと体力勝負になる。3月には個人客が徐々に戻っているが、団体はまだ厳しい。

■奈良迫:今回の噴火で霧島の観光客が最も減少したが、指宿、鹿児島市も影響があった。県と観光連盟では2月1日に福岡でランチミーティングを開き安全をPRしたほか、福岡のエージェントやマスコミ、東京のメディア系旅行会社などに状況を説明。3月4、5日には東京、大阪のエージェント、マスコミの招へい事業も行い、現地の安全を確認してもらった。

 

※ 詳細は本紙1417号または日経テレコン21でお読みいただけます。

苦境から立ち上がった経験――今はその声がほしい(4/21付)

 政府は4月12日、福島第一原発の事故が国際的な事故評価尺度でレベル7(深刻な事故)と認めた。10日に行われた第17回統一地方選挙の2日後という、政府にとっては絶妙なタイミングについて、今後も物議を醸すことは間違いないだろう。 福島県にはたくさんのお世話になった方々がいる。旅行者を迎え入れる観光産業にとって、原発事故は本当に厳しい環境になっている。不安定な事態がこれ以上長引かず、最小限の被害で収まることを祈るしかない。
 政府が「レベル7」を認めたその日、観光庁は「観光で日本を元気に」と、各都道府県知事や観光団体などに発信した。
 きっかけとなったのが、震災発生から1カ月が経過した前日に宮城県の村井嘉浩知事が「被災地が元気になるためには、日本経済全体の元気が必要。全国の皆様には過度に自粛することなく、ぜひ、被災者の分まで経済活動やイベントの開催を積極的に行っていただき、日本全体を盛り上げていただきたい」というメッセージだ。まずは西日本から“元気”を発信して、この国難からの脱出に向けて日本を牽引していってほしい。
 その宮城県は4月11日、「震災復興基本方針」の素案をまとめた。基本理念には「単なる『復旧』ではなく『再構築』」「壊滅的な被害からの復興」などとある。世界中が注目している今回の大災害だ。文字通り「壊滅的な被害」を受けた被災地が地震、津波を乗り越え、どのように再生していくのか、世界に示すチャンスでもある。
 人は、自分が苦しい状況にあるときには、同じ道の先達の話が聞きたいと思う。転倒し、大怪我し、無様な姿を晒し、地獄を見てきたような経験をしながら、そこから這い上がった人の飾りのない声や言葉だ。
 観光業界で、先行きが見えない状況に困惑している人がたくさんいる。新潟県旅館生活衛生同業組合の野澤幸司理事長は、新潟で3年間に2度の震災を受けた。被災者を受け入れた経験や、苦境から復興に向けてどのような活動を行ったか、さまざまな実体験から得た助言ができる。4月上旬には、被災した東北4県の旅館組合の理事長を、全旅連の佐藤信幸会長と共に慰問した。義援金を渡し相談にも応じた。旅館業界にはさまざまな苦境から立ち上がった経験を持つ方々がいる。今はその声がほしい。
(編集長・増田 剛)

成田空港メッセージを募集、震災応援プロジェクト始動

ワードアップメッセージ
ワードアップメッセージ

 成田国際空港は、東日本太平洋沖地震を受け、海外との窓口である成田空港だからこそできることをコンセプトに、「頑張ろう!NIPPON From NARITA AIRPORT」プロジェクトを立ち上げた。第1弾は「NARITAから伝えるエール、そしてありがとう」と題し、ニッポンを応援するメッセージと、海外からの支援に対する感謝のメッセージを一般募集してターミナル内に掲示している。

 メッセージの募集テーマは「被災地でも立ち上がり頑張るニッポン」「希望に満ちたニッポン」「成長していくニッポン」を伝えるものと、海外からの救援隊など、救助のために日本へ来てくれた人たちへ感謝の気持ちを伝えるもの。

 選考されたメッセージは第1旅客ターミナルビルの南ウィングと北ウィング、4階出発ロビーセキュリティ検査後から3階出国審査場に向かうエリア、第2旅客ターミナルビルの本館3階出発ロビー南北セキュリティ検査場前に掲示される。募集期間は5月8日まで。応募はメールとツイッターから。

 メール=oasis@naa.jp、ツイッター=#narita_oasis

国内、海外横断的に、復興プロジェクトWG始動へ

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、東北地方太平洋沖地震による被害に対応するため、「復興プロジェクトワーキンググループ」を立ち上げ、3月29日に第1回の会議を開いた。日本旅行の瀧本勝一常務取締役が座長を務め、国内旅行や海外旅行など各分野を含めて横断的な検討をしていく。

 3月30日の定例会見で、長谷川和芳事務局長は「観光の役割は何かを検討し、協会としてアピールする必要がある」としたうえで、「できることと現実的にできないことの精査をしていく」と語った。また、WGや震災後に開いた各旅行委員会で各社からあがった意見なども報告。「支援する一方、我われが元気をつけることや各国の政府観光局からの激励に応えていこうというトーンの意見が多かった」と紹介した。

 柴田耕介理事長は「国内旅行についていえば、受地の宿泊施設などの営業状況や被害状況などの情報が分かりづらい。会員各社は個別で集計しているが、今回に限らず、情報を集約して会員に発信できるシステムがあるといいという声もあった」と話した。

 また、各社の予約状況や被害状況について集計などは行っていないが、3月の春休み旅行などは相当なキャンセルが発生したという。今後は、被害額などの集計についても検討する。

 なお、JATAが呼び掛けている義援金総額の合計は31日時点で307万3909円。

国宝・姫路城修理を公開、3月26日 見学施設がオープン

姫路城の大天守を覆う素屋根
姫路城の大天守を覆う素屋根

 世界文化遺産の国宝・姫路城(兵庫県姫路市)で行われている大天守大修理のようすを見学できる施設「天空の白鷺」が、3月26日にオープンした。世界文化遺産修理の常時公開は日本初で、2013年度末まで行う予定。工事は14年度末の完了を目指す。

 姫路城は1956年から8年かけて350年に一度という昭和の大修理を行ったが、すでに半世紀が過ぎ大天守の軒や懸魚(げぎょ)の漆喰が剥離し、瓦が破損するなど傷みが目立ってきた。このため、8万枚を超える瓦の全面葺き直しや屋根の目地漆喰の全面修復、壁面漆喰の修復、耐震補強など、2009年から保存修理工事に着手した。

 「天空の白鷺」は大天守を高さ52メートルの素屋根ですっぽり覆い、中に8階建ての見学施設を設けたもので、8階と7階に見学ホールを設置。高さ3メートル、幅6メートルのガラス窓から修復のようすを見学する。

大天守を間近に見学
大天守を間近に見学

 窓からは大天守の最上階(5層部分)の大屋根や唐破風、千鳥破風、漆器壁などが間近に観察できる。

 時期によっては、専門職人による漆喰の修復や瓦の葺き直し、釘や銅線を使った瓦留めなどの修理のようすも見られるという。

 映像やパネル、写真、模型などを使っての展示も行われ、城の全容と工事内容が分りやすく紹介している。ホールからは姫路市街地も一望できる。展示室までは、1階のエントランスホールからエレベーターで昇る。

 入館料は大人200円、子供100円。入城料は別途400円(子供100円)が必要。

 展示室までのエレベーターは2基しかなくシーズンは混雑も予想され、団体は6カ月前、個人は1カ月前から予約も受け付けている。ちなにみ2月末の団体予約状況(8月末までの期間)は、バス2700台(約9万5千人)。

 問い合わせ=電話:079(287)2013。

ハウステンボス、地域全体で誘客

9市町の首長が全員出席で総会開く
9市町の首長が全員出席で総会開く

 長崎県佐世保市のリゾート施設ハウステンボス(HTB)と周辺の9市町が連携して、地域全体への観光客誘致をはかるため、ハウステンボス周遊観光協議会を3月28日に設立した。同日にHTB内で総会を開き、規約や事業計画を決定。協議会会長にHTBの澤田秀雄社長を選出した。

 同社は昨年から旅行業大手のエイチ・アイ・エス(HIS)の傘下で経営再建を進め、入場者数も増加。2011年9月期の第1四半期(10年10―12月)決算では営業黒字を達成するなど業績は大きく回復している。

 同社へは周辺市町から連携を要望する声が高まり、昨年12月に同社と市町で部会を立ち上げ、新組織設立に向けての準備を進めてきた。参画したのは同社と子会社のエイチ・ティ・ビイ観光に長崎県の西海市、佐世保市、波佐見町、平戸市、松浦市。そして佐賀県の有田町、伊万里市、嬉野市、武雄市の9市町で県境を越えた広域組織となっている。

 総会では澤田社長や各市町の首長も全員出席して意見を交換。澤田社長は「全国、海外ではハウステンボスの近くに焼き物の有田、伊万里や嬉野、武雄の温泉などがあると知らない人は多い。連携して発信すれば、周辺地域の観光活性化につながる」と述べ、HTBと周辺地域相互のバス運行計画も発表。「1泊だけでなく2―4泊の商品ができれば地域の滞在時間も伸び、消費も拡大する」と強調した。

 各市町からは専門部会による事業の具体化や宿泊、交通など民間団体への参加要請、事業のスピード化、情報発信強化など出され、HTBからは総合パンフの作成やHTBイベントでの地域PRなど提案された。次回会議には民間団体の参加も促す。

 今年度は年4回の季刊誌発行やHPでのPR、広報媒体活用など決定した。今年11月にはHTBと市町で「大陶器市」開催も計画。ツアーバスも4月29日から運行を開始する。

時代の象徴“赤プリ”、55年の歴史に幕

グランドプリンスホテル赤坂
グランドプリンスホテル赤坂

 「赤プリ」の愛称で親しまれたグランドプリンスホテル赤坂(東京都千代田区)は3月31日、同ホテルで閉館セレモニーを行い、55年という長い歴史に幕を下ろした。

 同ホテルは1955年に客室31室、宴会場2室で開業。60年に現在の別館、83年に新館をオープンした。土地柄、政界や財界にも多用され、まさに時代を象徴するホテルとなったが、建物の老朽化を理由に閉館を決めた。なお、閉館後から建物取り壊しまでの3カ月間は、東京都の主導により東日本太平洋沖地震の被災者の受入れを行う。

 松下学総支配人は「一般のお客様から政治、文化、芸能など、幅広い分野でご利用いただき、結婚式は1万組を超えた。多くの方から閉館を惜しむ声をいただき、このホテルはお客様に育ててもらったのだと切に実感している」とこれまでの感謝を述べた。また、4月からの被災者受入れについて、「最後に、被災された方の受入れという形で、皆様のお役に立てるのは、皆様に支えられたこのホテルにとっては何よりのご奉公」と語った。

最後のお見送りをするスタッフ一同
最後のお見送りをするスタッフ一同

 セレモニーでは、アメリカ在住で今回の閉館に伴い訪れた最後の宿泊客が、同ホテルへの思いを述べた。「日本に帰国したときはいつも赤プリに泊まらせてもらった。初めて来たときは、乳飲み子を抱えていたが、そんな娘ももう22歳になりました。恐れ多いですが、日本での思い出、子供の成長はこのホテルとともにありました。感謝しても感謝しきれないです」。感謝の意を込め、松下総支配人から花束が贈られ、10年8月よりホテル利用者から募集していた、同ホテルでの思い出をつづった「赤プリメッセージ」を入れたボックスに鍵が掛けられた。

 セレモニー後には、ホテルスタッフ一同がホテル玄関に集合し、最後の宿泊客へ最後のお見送りを行った。

 懇意のホテルスタッフは宿泊客より声を掛けられ目を真っ赤にしながら、最後のお勤めを遂行。スタッフ全員が、それぞれの思い出と感謝を胸に、送迎のタクシーが見えなくなるまで、深々と頭を下げた。

閉鎖などは9社26店舗、JATA東北会員の被災状況

 日本旅行業協会(JATA)は4月5日、東北6県の会員会社の東北地方太平洋沖地震の被災状況について発表した。

 それによると、閉鎖中または電話対応のみの営業を余儀なくされているのは9社26店舗だという。3月31日までに旧JATA東北支部が取りまとめたもの。

 現在、東北6県のJATA正会員旅行会社は37社でこのうち、主要事業所を東北6県に置く会社は22社。事業所総数は223店舗。

 なお、JATA会員会社に勤務する役職員の安否については全員の無事を確認済みだという。