12年度福島大型CP、4月からプレ事業

佐藤知事(中央)とキャラクター「キビタン」(左)
佐藤知事(中央)とキャラクター「キビタン」(左)

 福島県大型観光キャンペーン推進委員会(委員長=佐藤雄平福島県知事)は2月21日、2012年度を本番として、前後併せて3年間で展開する「福島県大型観光キャンペーン」の実施計画を発表した。プレ事業と位置付ける今年4月からは、福島空港就航都市からの誘客拡大や着地型観光の推進に取り組む。

 事業は福島県、および官民で構成される「うつくしま観光プロモーション推進機構」が実施する。キャッチフレーズは「旅すればふるさと ほっとするふくしま」。キャンペーンでは(1)県民の地域への愛着意識向上(2)300件の地域からの企画提案(3)観光客満足度80%以上(4)年間宿泊者数785万人(09年比10%増)――の4点を目標に掲げている。

 大型キャンペーン期間中(12年度)は、300以上の体験プログラムなどの特別企画も実施する。各プログラムは「まなび」「食」「いやし」などのテーマ別にも広く紹介し、地域や目的などさまざまな切り口で福島の魅力を紹介する。目玉企画として、福島在住の作家・冲方丁さんの吉川英治文学新人賞受賞作「天地明察」を題材にした周遊ツアーも実施する。

 福島県では県下を3地域に分け、中通りの「うつくしま奥の細道『花・街・道』観光キャンペーン」、会津の「極上の会津観光キャンペーン」、浜通りの「うつくしま浜街道観光キャンペーン」の3事業を実施している。これら地域キャンペーンを柱に、特別企画で事業を盛り上げる。

会員増強に注力、外客対応が商売発展に

国際観光日本レストラン協会第54回通常総会

 国際観光日本レストラン協会(津田暁夫会長、241会員)は2月23日、東京都内で第54回通常総会を開いた。社会貢献活動を通した協会の認知度向上や、会員増強による協会の基盤強化、訪日外客が増加していくなかで対応の強化、公益法人制度改革に伴う一般社団法人認可への対応などを11年度の重点事業とした。

 津田会長は会員増強について「まだ実現できてはいないが都道府県に最低1軒の飲食店はある全国組織にして、会員間の親睦を深めていきたい」と語った。訪日外客への対応については、訪日外客の個人旅行客のうち57%が「食事が目的」と回答するアンケート調査結果をあげ「本物の料理を食べたいという方がいかに多いか。外客に対応できるようなメニューやサービスを何か1つでも備えて力を入れて行くのも商売発展につながるのでは」と語った。

 また、09年に協会創立50周年記念事業として夏休み期間に開催した親子体験食味大会は、10年も協会入会員の34店で開催し、583人が参加した。津田会長は「子供たちに日本の素晴らしい食文化に触れてもらい、さまざまなことを学び、食べ、体験してもらう会。マスコミにも多く取り上げられ、反響は大きかった。こういう活動を通して協会の認知度を高めていくのが一番。11年も継続実施していきたい」と語った。

MICE総研を設立、国際会議の誘致や企画など

 大型国際会議や展示、イベントや会議場の管理・運営を主な業務とする「コングレ」(隈﨑守臣社長、東京都)はこのほど「一般社団法人MICE総研」を設立、2月25日から事業をスタートさせた。

 コンベンション事業で培ってきたノウハウと経験を生かして、MICE事業の実態調査や研究、MICEの新商品や仕組みの開発に取り組んでいく。

 具体的には、国際会議・国内会議・展示会の誘致や資金計画、企画、立ち上げに関するサポート業務のほか、学会事務局業務の受託、学会事務局による学術会議の自主運営のコンサルティングなどを行う。

 〒102―0083東京都千代田区麹町5―1弘済会館ビル 電話:03(5216)5010、FAX:03(5216)5011。

「量」から「量+質」へ、今夏目途に閣議決定

 観光庁の溝畑宏長官は2月25日に開いた定例会見で、見直しを進めている観光立国推進基本計画について「夏ぐらいの閣議決定を目指したい。量から量+質へ」と見直し内容について話した。

 2月10日の交通政策審議会観光分科会で素案を提出。先に報道したとおり、基本的な数値目標は、現行の5目標のうち「日本人国内観光旅行の1人当たり宿泊数」を省き、新たに観光地の魅力向上をはかるため「国内観光地の旅行者満足度」を加える方針だ。溝畑長官は「今まで量的な指標が多かったが、満足度やホスピタリティなど質的な指標を導入したい」と話した。また、「若年層への旅行喚起」も盛り込む模様で、「政府だけでなく、地方、民間も含めて旅行ムーブメントを興したい。観光を日本経済再生の起爆剤に」と語った。

毎日の計測が意識改革に、エコ達人村セミナー

エコデザインの必要性を説く中山会長
エコデザインの必要性を説く
中山会長

 国際観光施設協会(中山庚一郎会長)は2月22―25日、東京ビッグサイトで開かれたホテレス・ジャパンにエコ達人村を設け、旅館・ホテルの経営者からエコ対策についての相談を受け付けた。最終日の25日は、「水光熱量30%削減への挑戦」をテーマにセミナーを開いた。

 新潟県・月岡温泉のホテル泉慶の飯田武志社長室長は、デマンド(使用電力)管理や、給湯機のハイブリッド化、動力系統のインバータ化など、エコ対策の取組みを紹介。デマンド管理の警報やランプは裏方ではなくフロントの裏など、全社員が見えるように設置し、想定電力を超えそうな場合、社員がすぐに対応できるようにした。「都市ガス、電力料金は3年前からすさまじい勢いで高騰しており値上がり分を償却するのでいっぱい。経費削減まで実現できていないのが実情」と語った。

 ホテルニューオータニの設備を担当する熊木義雄課長は05年から2年間、約100億円規模の投資を行い、ホテルの改修を行ったハイブリッドホテルシステムプロジェクトなどを紹介。エコガラスや、最新の耐震設備の導入、屋上緑化、スカイレストランのオール電化などの省エネ対策に取り組んだ。「国や都が定める温室効果ガス削減の義務も年々厳しくなる。削減義務を達成できない場合、売買で賄う必要が出てくる。現状のままで試算すると年間6、7千万円。社内にエコ対策の委員会を設置するなど、社員の意識改革から始めている」(熊木氏)。

 企業側からは、山下設計の倉田雅史環境設計部門グループ長と大星ビルシステムズの基盤開拓グループの柳川賢一グループ長が事例紹介。倉田氏は「自然エネルギーを活かし建物をどう工夫できるかに我われの出番がある」とし、具体例として京都の町屋の知恵をあげ「風の通り道を確保した造りや、地盤冷気の利用、高天井からの冷気の排除など、夏を旨とすべしといわれる日本家屋の原点」と紹介。「宿泊施設のエネルギー使用は、空調関連が約50%。自然エネルギーを活かすことで30%の経費削減も可能。エコを楽しみ、自然と親しむ考え方も大事」と語った。

 柳川氏は、照明の見直しだけで約28%の経費削減を実現した群馬県・水上温泉の水上館の事例を紹介。工事費用1600万円、施行後の年間削減費用は700万円。費用は2年4カ月程度で回収できた。CO2削減は年間132トンにのぼる。「基本に立ち返り、メンテナンスを見直すだけで経費削減は期待できる」と語った。

 中山会長は旅館・ホテルで使われている水の使用量について「客1人当たり1日平均446リットル。家では300リットルだが旅館になると850リットルを超えているところもある」と報告。「計測が基本。そこからアイディアも生まれてくる。毎日計測することで、スタッフ全員に節水意識が生まれることが大事」と強調した。最後に「エコ達人村が目指しているのは、土地それぞれの自然状況を全部考慮してエコデザインしていくこと。そこまでいかなくてはいけない」と語った。

入浴着着用“ウェルカム”のネットワークづくりを

 乳がんなどの患者さんは、温泉入浴をするとき、自然の心情として「タオルなどで身体の傷跡を隠したい」と思う。だが、現在は県条例によって浴槽内にタオルやスポンジを持ち込むことが禁じられているため、乳がん患者は温泉に行っても、人が少ない夜中にこっそりと入浴するしかない。また、自由貸し切り・24時間入浴可能など限られた条件の中から、温泉地や旅館を選ばなくてはならないのが現状だ。

 NPO法人J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)は、乳がんや、やけどなどによって身体に傷を負った多くの人たちが、以前と同じように家族や友人たちと温泉旅行に行ける環境づくりを目指している。

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 衛生管理上問題のない入浴着を着て、大浴場に入ることを歓迎する温泉旅館などが数多く名乗りをあげることで、各地域に幾つもの温泉のつながりができる。「乳がんを患ったことで心を閉ざし、ふさぎこんでいる全国の多くの女性たちにとって、自分たちを歓迎してくれる温泉旅館が広がることは、とてもうれしいこと」とJ.POSH副理事長・事務局長の松田壽美子さんは語る。

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 長野県・昼神温泉の17の旅館・ホテルは4年ほど前から、入浴着を着用しての大浴場利用を歓迎している。また、石川県・和倉温泉の女将の会も、昼神温泉の取り組みに強い関心を示して、視察を行ったという。

 「現状では入浴着での入浴がNOの温泉旅館も、YESに代わり、やがてWELLCOMEになることを願う」と松田さんは話す。

 J.POSHは、女性にやさしい温泉地や旅館が、全国各地域にネットワークを張り巡らす「温泉ウエルカムネットワーク」づくりに取り組んでいる。将来的には、政府公認のステッカーやロゴマークなどを作成し参加施設はステッカーやロゴマークを掲示することで、宿や温泉地全体のイメージが上がるという相乗効果が得られるネットワークを目指している。

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 今年1月17日には、総務省地域力創造グループ地域振興室長、厚生労働省健康局生活衛生課長、国土交通省観光庁観光産業課長が連名で、各都道府県・各政令指定都市・市などの局長宛てに「乳がん患者の方が専用の入浴着を利用して気兼ねなく温泉に入れるような観光地の拡大に向けて、民間団体の活動を支援し、潜在的な観光需要の喚起をはかる」ことを求める文書を送付した。関係省庁が連携して、高齢者や障がい者、乳幼児を抱える家族などすべての人々が旅行をしやすくなる「ユニバーサル観光」の推進を後押ししている。

 温泉旅行に行きたいのに「行けない」「行きづらい」人たちの潜在需要を掴んでいくことが、今後、温泉地の生き残りを左右するはずだ。

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 今のところ入浴着の需要が少ないため、1着4―5千円と、治療費などで経済的な負担の大きい患者にとっては、少し割高になっている。今後、女性にやさしい「温泉ウエルカムネットワーク」が全国的に広がることによって、水着のようなおしゃれな入浴着が出てきたり、入浴着を作るメーカーが参入し増えることも期待される。

 「温泉ウエルカムネットワーク」への登録申込み、問い合わせは、J.POSH 電話:06(6910)2900 (担当・松田壽美子)まで。

【増田 剛】

風水で吉方位を検索、「旅吉ドットコム」開設

「旅吉ドットコム」の神田裕幸社長
「旅吉ドットコム」の
神田裕幸社長

 「旅吉ドットコム」(神田裕幸社長、島根県松江市)が3月6日、開設した。

 旅吉ドットコムは風水学を利用した宿泊予約サイトで、「吉方吉日に旅行に行き、パワーチャージをする」という視点での“こだわり旅”を創出する。国内の占い市場は1兆円といわれるなか、女性客をメインターゲットに新たな需要の掘り起こしを目指す。将来的には、日本以上に風水が生活に根づいている香港や台湾など、中国語版や韓国語版も加えて、インバウンドや海外旅行の展開も視野に入れている。

 同サイトの利用者は、生年月日などを入力すると、個人別に大吉の日を導き出す。休日や連休という考え方にとらわれず旅行計画を立てるケースが増えるため、平日稼働率アップにも貢献する。また、旅行日が決まっていて、観光地や旅館・ホテルで迷っている場合には、プラスのエネルギーに満ちた方位が示される。家族や少人数の団体でも、そのグループにとって一番の吉方位が提示される。

 社長の神田氏は、島根県松江市で旅館「てんてん手毬」を経営する。このため、「旅行会社や宿泊予約サイトへのシステム利用手数料に悩む旅館経営者の気持ちが痛いほどわかる」と話す。「なんとかお金をかけずに新規のお客を開拓しリピートしていくことができないかと、6年間構想し続けた」。

 旅吉ドットコムはシステム手数料を一切徴収しない(0%)。費用は最低限の運営費として月額利用料1575~3675円のみ。また、同サイトを利用した宿泊客には、「お客様とのご縁を大切にしていきたい」との気持ちから、一人ひとりに「115円(いいごえん)」を専用のポチ袋に入れてキャッシュバックする。

 同サイトでは、加盟する旅館やホテルを募集している。

 問い合わせ=電話:0852(67)1714。

「有休取得率アップが先では?」労働界から提言

各界から幅広い意見が出た
各界から幅広い意見が出た

 観光庁と関東運輸局は3月3日、「休暇取得の分散化に関する地方意見交換会」の関東版として「休暇シンポジウム」を時事通信ホール(東京都中央区銀座)で開き、東芝の西田厚聰会長による特別講演や、各界を代表するパネリストたちによるパネルディスカッションを行った。

 西田会長は講演で「日本では、年末年始・GW・お盆などに旅行需要が集中しすぎている。日数的には1年間の6・6%にすぎないが、この短期間に1年間の旅行量の40・9%が集中している」と話し、「分散化されれば、各産業界に波及効果の高い観光産業が安定的に発展していく」と語った。

 パネルディスカッションでは、日本総合研究所副理事長の高橋進氏をコーディネーターに、ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏、全日本中学校長会総務部長で渋谷区立上原中学校長の大江近氏、労働政策研究・研修機構主任研究員の小倉一哉氏、日本労働組合総連合会社会政策局長の杉山豊治氏、日本経済団体連合会観光委員会企画部会長の生江隆之氏、東京商工会議所地域主権推進委員の増井雄二氏が登壇。それぞれの立場から秋の大型連休創設と分散化について意見を述べた。分散化について賛否両論さまざまな意見が出るなか、労働界からは、「ムリに休日を増やし分散化させるよりも、今ある有給休暇の取得率をアップさせる方が、特定の業界にシワ寄せが集まることがなく、良いのでは」との意見が出て、教育界からも子供への負担を心配する声もあがった。また、賛成意見のなかには、「すべての業界がプラスになるというのは現実的に難しく、しわ寄せがある程度出てしまうのは致し方ないこと」など、観光庁側が説明する「メリットを最大限生かし、デメリットの最少化」を推す意見も出た。

 観光庁の溝畑宏長官は最後に「こういった議論は20年前から出ているがなかなか前に進まない。みなの意見をしっかりと聞き、準備期間を十分取り進めていきたい。休暇改革は、経済性の問題だけでなく、国民一人ひとりが明るく楽しく生きるためのもの」と締めくくった。

休暇分散化、秋先行、ブロック分けは分析深める

 観光庁の溝畑宏長官は2月25日に定例会見を開き、休暇分散化について「秋先行は概ね賛成、地域分散化は賛否両論」という地方ブロック意見交換会での感触について話した。

 観光庁は2月から全国9都市で、休暇取得の分散化に関して地方ブロック意見交換会を実施。「秋を先行し大型連休を設けることには概ね賛成。地域分散化については賛否両論」との感触を報告した。流通業・鉄道業界からは、ビジネスチャンスの拡大と環境負荷の減少による設備投資のムダを省けるとのメリットが挙がる一方で、製造業・金融業界からは依然として、サプライチェーンや金融機関の決算問題などのデメリットが挙げられた。

 また、日本交通公社が12月に行った意識調査によると、「秋の大型連休創設」については、賛成が39・2%、反対が25・5%、どちらともいえないが35・3%。「春の大型連休の分散化」については、賛成が26・2%、反対が44・0%、どちらともいえないが29・8%となった。

 溝畑長官は「メリットの最大化と、デメリットの最少化が重要」とし、「秋先行で、ブロック分けについては、さらに各業界の詳細な調査をし、各問題・課題の分析が必要」と話した。3月の休暇改革国民会議に素案を出せるよう検討を進めていく。

No.273 ランシステム「自遊空間」 - 空きスペースの有効活用を

ランシステム「自遊空間」
空きスペースの有効活用を

 ランシステム(濱田文孝社長、東京都豊島区)は、マンガ喫茶やインターネットカフェ、カラオケなどの多様なコンテンツが一体となった複合カフェを全国で初めて展開した同事業の先駆者だ。同社の複合カフェ「自遊空間」の会員数は1000万人を超える。今後はファミリーや高齢者向けサービスに力を入れるほか、地域や宿泊施設などの空きスペースの有効活用を提案する「自遊空間ステーション」事業も拡大していくという。濱田社長に展望を聞いた。

【聞き手=増田 剛、構成=飯塚 小牧】

「複合カフェの先駆け「自遊空間」、店舗数日本一、会員1000万人」

「シニアや家族に、憩いの空間創出」

 同社は1998年、インターネットカフェにダーツやビリヤード、カラオケなどの多様なコンテンツを含めた「複合カフェ」という業態を作り出した。濱田社長は「リーディングカンパニーという自負があり、この市場をいかに作り上げるか、この産業をいかに活性化させるかが使命だと思っている」と語る。

 2001年には業界内の組織として、日本複合カフェ協会(JCCA、247社)も設立され、濱田社長は副会長を務めている。

濱田文孝社長(旗艦店・BIGBOX高田馬場店)

 同社の複合カフェ「自遊空間」は、北は北海道から南は九州・沖縄まで172店舗を展開し、日本一の店舗数を誇る。このうち、直営店は49店舗、フランチャイズは123店舗。2007年にオープンした東京・高田馬場の旗艦店「BIG BOX高田馬場店」は世界最大級の複合カフェとして、5万冊のコミックを検索できるコミック検索機能や自動入会システム、自動入退場システムなど、最先端のシステムを導入した次世代複合カフェだ。

 

※ 詳細は本紙1413号または日経テレコン21でお読みいただけます。