片道1000円のシャトルバス、石和温泉―東京・新宿間

 山梨県笛吹市の石和温泉旅館協同組合(山下安廣理事長)は1月11日から、都内のバス業者と提携して東京・新宿駅と石和温泉郷内の「いさわ温泉観光の駅」を片道料金1千円で結ぶ直行シャトルバスの運行を始めた。

 石和温泉郷は今月、高温温泉湧出50周年を迎える。宿泊客の大半を占める首都圏の中高年客が格安で利用できる交通手段を整備することで、集客をはかるのが狙い。

 シャトルバスは中央自動車道を利用。東京駅を午前9時30分発、経由地の新宿駅を午前10時に出発し、石和温泉に正午ごろ到着する便と、石和温泉を午後3時に出発し、新宿駅に午後5時着、東京駅に午後5時30分に到着する便の1日1往復。座席数は45席ですべて自由席。

 ネットと電話での事前予約制で、支払いは原則クレジット及び振込みだが、石和温泉での支払いはシャトルバスの発着場所に隣接する旅行会社に現金でも申込みが可能だ。

 同組合によると、宿泊客の約50%が首都圏在住者のため「石和と東京を格安で結ぶルートを設けることで、車を持たない都市生活者や学生も訪れやすくなるはず」と判断、今回のシャトルバス運行を決めた。

 またシャトルバスの利用者には「1泊2日の日程で楽しめる地元ボランティアガイドによる名所旧跡の観光ツアーなども検討中」(同組合)という。山梨岡神社(笛吹市春日居町)など市内各地にある史跡をめぐるウォーキングルートも作成している。

 山下理事長は「ブドウや桃、温泉だけでなく、名所旧跡など歴史を切り口のひとつに加え、開湯50周年の目玉の1つとしてシャトルバスの運行に期待している」とコメントした。

日本回転寿司協会設立、回転寿司マイスター制度も

 1月11日、一般社団法人日本回転寿司協会(会長=大下孝治エムアンドケイ代表取締役)が設立された。設立総会は5月を予定している。

 回転寿司が誕生して50年を超え、今やあらゆる世代に愛される外食産業となっている。

 さらに、海外でも回転寿司ブームが広がり、本家である日本の回転寿司から離れ、一人歩きしている。これらの現状に対して、海外への日本文化の正しい認識への取り組みや、漁業問題の対応など、個々の店舗で取り組んでいくには限界があるのも事実。そこで、サービスの向上や人材育成、回転寿司文化のさらなる普及などを、業界が一体となって推進していくことで一致した。

 同協会では、美味しい寿司の提供とお客様に喜ばれる接客を目指して、優秀な回転寿司職人を養成する「回転寿司マイスター制度」の実施や、「全国ご当地回転寿司フェスティバル」の開催などを計画している。2月には協会ホームページを立ち上げる予定。

 問い合わせ=日本回転寿司協会 電話03(5368)2446。

中国観光客への対応研修、観光庁、全国50カ所で実施

 観光庁はこのほど、観光に携わる仕事に従事する従業員や経営者、観光業界への就職を検討中の人などを対象に、中国人観光客へのおもてなしに必要な基本的な知識や中国語会話をレクチャーするため、全国50カ所で「明日から使える!中国人観光客との実践コミュニケーション研修」を実施している。

 観光に携わる仕事のやりがいや、中国の基礎的な知識、中国からの観光客の志向・特徴・旅行目的などについて講義。実際の接客場面を収録した映像を見ながらレクチャーし、中国人講師による代表的な接客用語のレッスンも交える。開催日程は2011年1―3月で、参加費は無料。

詳細URL
http://hatalike.yahoo.co.jp/h/r/H1ZZ050s.jsp?hp=%2Fsp%2F101227%2F00%2Findex001.html

グランドハイアット、福岡で6月28日開催、第22回「おかみの集い」

 おかみの集い運営委員会(有村政代運営委員長)はこのほど、6月28日に開く第22回「全国旅館おかみの集い」の会場を「グランドハイアット福岡」(福岡市)に決めた。

 世界各地に展開するハイアットブランドの1つで、国内は福岡と東京の2店舗のみ。複合商業施設「キャナルシティ博多」内の立地が特徴で、初めての地方開催だけに「福岡の滞在を楽しんでもらえる施設を」と選んだ。

ねぶたの家「ワ・ラッセ」、1月5日にオープン

最優秀賞など5台の山車を常設
最優秀賞など5台の山車を常設

 青森市に1月5日、ねぶた祭りの保存伝承と、ねぶたを核とした市民や観光客などさまざまな交流の場を演出する、ねぶたの家「ワ・ラッセ」がオープンした。

 場所は青森駅近くの八甲田丸から青い海公園に至るウォータフロント地区の一角。建物は2階建て。外壁を囲むように格子状の鉄が縦に伸びる特徴的な外観。

 有料部分となるねぶたミュージアムは1階から階段またはエレベータで昇った2階が入口。入口脇には昔のねぶた小屋を再現した2台のジオラマと現在のまつりのジオラマ1台が出迎える。

 入口を入るとすぐにまつりのようすを2つのスクリーンで紹介するコーナーがあり、続いてねぶたの歴史を、年表を用いて説明。ここのコーナーにはコンピューターにより来場者がねぶた面の絵付けをぬりえ形式またはフリーハンド形式で体験、自身の作品を壁面に飾られた面に投影させることができる。

 次のコーナーでは現在までに4人のみのねぶた名人や1963(昭和38)年からねぶた祭りで実施されている田村麻呂賞(現在はねぶた大賞)に選ばれた山車、そして2010年の大型ねぶたの山車22台を写真パネルで展示している。天井に金魚ねぶたも飾られている。

 ここから内部はスロープになり、1階のねぶたの山車を展示するねぶたホールに向かう。途中の見晴台と名付けた中2階からは通常の目線と違った高い位置からの山車を見ることができる。中2階には名人作のねぶた面の実物も展示。

 ねぶたホールでは直近のねぶたまつりで運行された山車のうち最優秀賞や優秀賞に選ばれた5台の山車が常設、12人のねぶた師の紹介とねぶた面も展示している。ここでは土曜、日曜、祝日にはねぶた囃子の披露やはねと体験も行う。

 このほか無料ゾーンにはねぶた関連の冊子やパンフレットを集めた情報コーナーやイベントホール、カフェ・レストラン、イベントホール、ショップ、多目的ホールなどがある。

 有料ゾーンの入場料は大人600円、高校生450円、小・中学生250円。10人以上の団体は同540円、同400円、同220円。開館時間は午前9時―午後6時(5―8月は7時まで)。無料ゾーンの開館時間は施設により異なる。休館日は12月31日、1月1日。

 問い合わせ=電話017(752)1311。

生産性改革元年に、10年先の次世代を見据えて

牛尾治朗会長があいさつ
牛尾治朗会長があいさつ

 生産性改革元年に――。日本生産性本部(会長=牛尾治朗・ウシオ電機代表取締役会長)は1月7日、東京都千代田区のホテルニューオータニで「2011年新年互礼会」を開いた。また、2011年を日本の「生産性改革元年」と位置づけ、日本の全要素の生産性を向上させて国際競争力を高め、需要と活力を日本に取り込む2011年の運動目標を掲げた。

 牛尾会長は冒頭の新年のあいさつで、「経済も政治も社会も今日の日本をどうするかよりも、10年先の次世代がどうしたら幸せになるかということを一番大事に考えなくてはならない」とし、「日本生産性本部は5年先、10年先を見ながら日本が世界から求められる国となるよう最善の努力をしていきたい」と語った。

 日本生産性本部の2011年運動目標は次の通り。

【1・経済活性化にむけた日本の生産性改革】
日本の活力を甦らすためには、国際的な競争力の強化とともに、地域経済を活性化しなければならない。我われはモノづくり産業に加え、これからの成長分野として期待される医療・介護・保育などいわゆる「官制市場」、日本経済の基盤を支えるサービス産業の生産性向上に取り組み、もってグローバル時代に対応する新たな雇用を創出し、経済の立て直しをはかる。

【2・国民生活基盤の再構築にむけたインフラの整備】
改革には、質の高い政策を実現するためのインフラの整備が必要である。我われは、国民生活を支える基本的インフラである「共通番号」制度の導入、ワーク・ライフ・バランスの推進、性別・年齢・国籍等の多様性(ダイバーシティ)の促進に取り組み、もって国民生活の利便性を高め、優れた人材が活躍できる社会を築き、新たな成長戦略への基盤をつくる。

【3・総合戦略に向けた合意形成】
これからの成長にはEPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)の促進、とくにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加が不可欠であり、農業など国内産業の強化や構造転換、社会保障制度の改革は必須である。我われは「生産性改革元年」を機に、各界の参加のもと日本の中長期の総合戦略について国民的合意形成に取り組むとともに、10年後を担う各界リーダーの育成に取り組む。

「上向きの流れキープを」、JATA 金井会長が新年会見

 日本旅行業協会(JATA)は1月12日、2011年初の定例会見を開き、金井耿会長=写真=が今年の重点事業などを語った。金井会長は「昨年から上向いてきた流れをぜひキープしたい」と新年の抱負を語った。

 昨年を振り返り「09年に比べれば回復のベースに乗った年だった。各種数字を見ても、各社の経営状況をみても背景にした実績が上がってきている。昨年の新年は反転攻勢の年にしたいといったが、きっかけはつかみ得た」と評価。これを踏まえ、今年は「流れをつなげ、基盤を固めていきたい。この勢いをどう強化するかが我われの課題。明るい要素を多く見つけ、有効に活用しながら需要増に向かっていくことが大切だ。言い訳材料を考えず、自らどう動くかをポイントにしていきたい。個人的には、21世紀の第2の10年の基調を決める年だと思う。今年の持つ重みもしっかり認識していきたい」と意気込みを語った。

 JATAの事業については、具体的な事業計画は検討中としながらも「需要創出の強化」「事業環境変化への対応」「一般社団法人への移行」の3つを重点項目として提示。「従来からの需要創出をさらに強化することが大きなテーマ」とし、海外旅行の取り組みでは、一定の効果が上がっているビジットワールドキャンペーン(VWC)を1年継続することなどを語った。

 一方、国内旅行は宿泊キャンペーン「もう1泊、もう1度」などを展開しているが「全体ではやや沈滞気味なので活を入れる必要がある。インバウンドを含めて上昇気流に乗せていく努力をしなければならない」と危機感を示した。インターネットでの宿の直予約などが台頭しているなかで、「旅行会社として本当にいいものをお客様に紹介していく。ただそのためには一定の価格が必要だ、という結びつきをどう説明できるかが我われの大きなテーマ。これを、CPのなかで新しい工夫ができないか訴求していきたい」と意欲を語った。

 2点目については「会員会社の変化対応をアシストするための環境整備を行っていきたい」とし、具体的に約款改正の要望書を提出することなどを例にあげた。また、一般社団法人への移行については、4月1日の移行で準備を進めているという。さらに、補足として今年から委託先が変わる「JATA国際観光会議・世界旅行博(仮)」についても言及し、「一歩踏み出した会にしていきたい」と語った。

 

NZの「クォールマーク」参考に、インバウンド誘致で海外視察

高橋五輪夫委員長
高橋五輪夫委員長

新潟県旅館組合青年部(大竹啓五部長)は1月18日、新潟市内の岩室温泉ゆもとやで新年会を開き、魚沼市や南魚沼市、湯沢町、十日町、津南町、群馬県みなかみ町、長野県栄村の7市町村が連携し地域経済の活性化を目指す雪国観光圏事業を報告した。

 雪国観光圏の高橋五輪夫インバウンド委員長は昨年12月、日本貿易振興機構(JETRO)の地域間産業交流事業(RIT)として観光先進国ニュージーランドを視察。一番の目的は、旅行業者格付け制度「クォールマーク」を勉強するため。この制度は宿泊施設や、輸送機関、旅行プログラムなどを安全性や自然への配慮に応じて格付ける。宿泊施設だけでもホテルやバックパッカー専用、自炊設備付など8つのカテゴリーがあり、利用目的に応じてカテゴリー分けしているところに特徴がある。審査するのは国が指定する第三機関。

 

 高橋インバウンド委員長は「外国人旅行者に満足してもらうためにはどうしたらいいかを考えた。格付けというと語弊があるが、カテゴリーで分けて宿泊施設を紹介すれば旅行スタイルに合わせて利用してくれるのではないか」と話した。

 JETRO新潟の池下譲治所長はクォールマークについて「旅行者にとってわかりやすい制度。初めて訪れる外国人旅行者も安心してサービスを受けられる。ニュージーランドの旅行者総数の半分以上を海外旅行者が占める要因にもなっている」とインバウンド誘致に利点があるとし、「こういう制度は皆さんに広め共有していくことが大事。ゆくゆくは日本全国に広めていきたいという野心を持っている」と話した。

 会に先だちセミナーが開かれ、国土交通省北陸信越運輸局の岩城宏幸企画観光部長が登壇。「観光政策の現状と今後」をテーマに講演した。

 岩城部長は、「世界観光機関(UNWTO)の予測のよると2020年までに東アジアで交流人口は4億人まで急拡大する。アジア各国で取り合いがはじまる」とインバウンド誘致に今取り組まなければいけない理由を説明。「とくに中国人海外旅行者は毎年500万人ずつ増加し、20年に1億人になると予測されている。中国人観光客のシェアを大きくしないと、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)で定める目標達成は難しい」と話した。

 観光庁は、中国人観光客対応事業として、中国語による旅館文化の情報提供や宿泊施設従業員を対象とした人材育成セミナーなどを行う。

「日本観光振興協会」に、日観協とTIJ合体の新名称

日観協の西田厚聰会長
日観協の西田厚聰会長

 日本観光協会の西田厚聰会長と日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二会長は1月13日、新春恒例の観光関係者賀詞交歓会で、4月1日からスタートする日本観光協会とTIJの合体組織の新名称に「日本観光振興協会」を検討していることを発表した。

 新春恒例の観光関係者賀詞交歓会が東京都内のホテルで開かれ、観光関係団体や企業、国土交通省、国会議員など約200人が集まった。

 主催の日本観光協会の西田会長は冒頭のあいさつで、4月1日からスタートするTIJとの合体組織の新名称について「日本観光振興協会」がよいのではとTIJの舩山会長と話し合っている旨を発表した。西田会長は「観光はモノ主体の消費型産業ではなく、サービス主体のイノベーティブな産業。観光立国の実現に向け、多くの課題はあるが、既存の古い体質や枠組みを見直し、ダイナミックな取り組みをしていきたい」と決意を語った。

TIJの舩山龍二会長
TIJの舩山龍二会長

 TIJの舩山会長は新組織の名称について、「名は体を表す」とし、「観光業界を盛り上げるには、業界との連帯、地域の自治体や産業、住民との連携が大切。新組織は観光庁のパートナーとして、ただ1点、観光の振興に努めていきたい」と語った。

 来賓の池口修次国土交通副大臣は、訪日外国人3000万人プログラムや、創意工夫による国際競争力をもつ魅力ある観光地づくり、有給休暇取得率のアップや休暇分散化などの休暇改革に、全力をあげ取り組んでいる旨を話し、「休暇分散化については、経済・社会への影響を考えながら、産業界・労働界・教育界・地域、それぞれの課題を整理しながら検討を進めたい」と述べた。

 

No.268 山梨県地域活性化事業 - ユニバーサルツーリズムへ

山梨県地域活性化事業
ユニバーサルツーリズムへ

 障がいを持っている人や高齢者、外国人など、皆が安心して旅館やホテルに泊まれるようにと、昨今注目が集まるユニバーサルデザイン。NPO法人富士山地域創造は2010年12月13日、バリアフリー推進の活動を行っているウエストナウ代表の今西正義氏を講師に迎え、富士河口湖町でバリアフリーツアーサポート事業講演会を開いた。河口湖のユニバーサルツーリズムへ向けての取り組みを通し、皆が快適に暮らす環境、バリアフリーについて考える。
 

【伊集院 悟】

「バリアフリーで快適な町へ」    

「バリアフリーツアーサポート事業講演会」を主催するNPO法人富士山地域創造は、行政では手の届かない隙間をケアしようと、「観光」を中心に地域活性化や地域振興に力を入れる山梨県地域活性化促進事業を展開している。今回、河口湖町にユニバーサルデザインを浸透させるべく、バリアフリー推進活動を行うウエストナウ代表の今西氏を迎え、バリフフリーに関する第1回目の講演会を企画した。

小佐野常夫理事長

 3月10、11日には、河口湖町で障がい者のモニターツアーを開催。電動車イスの人と視覚障がい者を対象に、サポートするボランティアスタッフとともに町を回り、バリア状況について調査、ディスカッションし、改善点として今後に生かしていくという。問い合わせ=電話0555(72)8222。

 富士山地域創造の小佐野常夫理事長は講演会で、「日本はバリアフリーの面では欧米と比較して大きく遅れている。障がいを持っている人に対して、どのようなおもてなしや対応ができるかを皆で考えていきたい」と呼びかけた。さらに、「バリアフリーの問題は障がい者だけの問題ではない。高齢になれば誰でも、目が見えにくくなったり、体が不自由になったりする。来るべき高齢化社会を見据えて、障がいを持っている人や高齢の人も快適に過ごせる環境を目指さなくては」と思いを語った。

 

※ 詳細は本紙1408号または日経テレコン21でお読みいただけます。