No.265 金丸流「食による地域おこし」術 - 消費者に届くまでを意識する

金丸流「食による地域おこし」術
消費者に届くまでを意識する

 「田舎力 ヒト・夢・カネが集まる5つの法則」(NHK出版生活人新書)は、発売から1年半たつが現在もインターネット書店アマゾン「地域経済部門」で、ほぼ1位を維持する。著者は食環境ジャーナリスト、金丸弘美氏。全国の食の現場を取材するうちに、その経験、知識を活かして自らが食総合プロデューサーとして「食による地域おこし」に携わるようになった。金丸流「食による地域おこし」術を聞いた。

【沖永 篤郎】

「食のテキスト化で財産共有」

「徹底した地域調査と食のテキスト化」

 食による地域おこしに携わるなかで、金丸氏は地域食材のブランド化の依頼を多く受ける。埋もれている地域食材をブランド化し、大市場である東京など都市部に売り込みたいというもの。 最近では、総務省が認定する地域力創造アドバイザーとして茨城県常陸太田市の「常陸秋そば」、農林水産省のブランド化事業として岐阜県高山市の「宿儺(すくな)かぼちゃ」のブランド化に携わった。

金丸 弘美氏

 地域食材をブランド化するうえで必ず使うのがテキスト化の手法だ。食材の文化的背景、栄養価、栽培法、収穫時期、生産地、料理例などを改めて徹底的に調べ、その食材の物語をテキストとしてまとめる。「背景を説明できるテキストを準備し、ただ『おいしいですよ』だけでは終わらない売り込みをはかろうという戦略」。

 自分が売り込む商品を熟知していなければ、客に商品の魅力を納得してもらい購買につなげることはできない。テキストはいわば営業ツールといえる。金丸氏は「生産偏重の農業政策のなかで、生産者側は生産することだけに一生懸命で、その先で消費者がどういう反応をしているのか、出口がどうなっているのかが見えていない」と強調する。その食材を使ってどういう料理への用途があるのか、健康にどういいのかといった提案がなければ、次の展開につながらない。

 

※ 詳細は本紙1401号または日経テレコン21でお読みいただけます。

22回おかみの集い 有村さんが運営委員長に

 
全国旅館おかみの集い運営委員会は11月10日、運営委員会を開き、互選で新しい委員長に有村政代さん(熊本県人吉温泉・清流山水花あゆの里)を選んだ。有村女将は「これまで積み重ねてきたものを大切にしつつ、参加者が楽しめる会にしたい」と次回のプログラムづくりについて自身の考えを伝えた。

この意向を受けて、基調講演講師や分科会(勉強会)の在り方について意見交換した。分科会では近年、外部から講師を招き、ややもすれば参加の女将たちが聞き役に回る場面も見られた。これを軌道修正し、女将たちが互いに発言し合う場という、立ち上げ当初のスタイルに戻すことで一致した。

開催スケジュールについては、今年初めて実施し、好評を得た「1日」開催を踏襲する。基調講演講師については、数名の候補を選び、関係各位に出演の依頼をする。第22回の集いは、来年7月の開催を予定している。

 

東京1位、日本2位、英国紙の観光地ランキング

 英国の高級日刊紙「ガーディアン」がこのほど発表した「ガーディアン・トラベル・アワード2010」で、東京が都市別部門の1位、日本が国別部門の2位に選ばれた。

 「ガーディアン・トラベル・アワード」は、全22部門の各賞をいずれも読者の満足度投票で決める英国で最も権威ある旅行賞の1つ。都市別部門は、1位東京(満足度97・4%)、2位ベルリン(同96・9%)、昨年まで2年連続1位だったシドニー(同95・4%)が3位となった。国別部門は、1位モルジブ(同97・8%)2位日本(同97・5%)。

お座敷列車で、草津「温泉らくご」

昔昔亭笑海さん
昔昔亭笑海さん

 群馬県草津温泉の草津温泉らくご事務局(小林恵生事務局長)は落語芸術協会(桂歌丸会長)の後援のもと、昨年12月から毎晩夜8時に、湯畑前「熱の湯」で温泉らくご公演を開催し、好評を博している。温泉らくごの入場者数はすでに1万人を超えているという。

 来年7月―9月にかけてJR各社による「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」が計画されているが、そのプレDCの一環として、10月16日と23日の2回、東日本旅客鉄道の高崎支社が企画した「お座敷効能温泉吾妻号で行く草津温泉」が実施された。草津温泉行きの快速お座敷列車「やまなみ」の車内で温泉らくごが楽しめるという企画で、往路のJR高崎駅―中之条駅間で落語を披露する。出演落語家は、温泉らくごにも出演している、昔昔亭笑海(落語芸術協会二ツ目、温泉らくご湯上り落ち着け隊隊長)と鈴鈴舎馬るこ(落語協会二ツ目)の2人。JR高崎→渋川間では1号車と3号車、渋川→中之条間では2号車と4号車に車両を移動して、各20分ずつ落語を披露した。

 お座敷列車「やまなみ」は4両編成で、3連休直後という日程設定や朝早い出発時間など決して恵まれているとはいえない条件下にも関わらず、10月16日・23日ともに約6割程度の乗車率だった。

 

鈴鈴舎馬るこさん
鈴鈴舎馬るこさん

 当日、参加した乗客からは「宣伝告知が少なくて、今日は偶然知って当日乗車で参加した。旅行中の車内で落語が聞けるなんてこんな贅沢な列車はない。せっかくの良い企画なのだから、もっとPRにも力を入れてほしい」という意見も聞こえた。

 今回の企画立案者である東日本旅客鉄道高崎支社の伊藤健一営業部販売促進課旅行業担当課長は「温泉らくご事務局の多大なる協力をいただき企画が実現した。草津温泉で毎晩披露されている落語を列車の中で楽しんでいただき、お客様にもたいへん喜んでもらえた。『いい思い出になった』『来年もやってほしい』などの声をいただき、今後も温泉らくご事務局との連携によって、来年のDC本番に向けて魅力的な企画を考えて行きたい」とコメントした。

 温泉らくご事務局の小林事務局長は「芸達者なエキスパートである落語家さんの力を借りて、旅の始まりから笑いを提供する試みに成功した。旅に付加価値を付け、草津温泉に来ると旅の質が違いますと謳えるようになりたい。草津は泉質主義だけでなく、旅のエンターテイメント性でも日本一を目指したい」と抱負を語った。

 落語家の昔昔亭笑海さんは「新しい試みに可能性を感じた」といい、鈴鈴舎馬るこさんは「車窓の紅葉を観ながら落語を聞けば、気分も高揚すること間違いなし」とアピールした。

 なお、お座敷列車「やまなみ」の運行は今年12月上旬をもって終了となるため、来年夏にはジョイフルトレイン「リゾートやまどり」に生まれ変わり、群馬DCで運行する計画という。

【古沢 克昌】

「ゆかたクレジット」開始、温泉街のつけ払いがヒント

 兵庫県豊岡市の城崎温泉は、10月31日からデジタル外湯券で外湯の入浴、買い物、音声ガイダンスなどが簡単にできる「ゆかたクレジット事業」を始めた。デジタル外湯券は「ゆめぱ」と命名。温泉街に7つある外湯で、ゆめぱをかざすだけで入浴ができる。

 城崎温泉では、旅館に宿泊すれば外湯巡りが無料になり、ゆかた姿でスナックに行けばつけがきき、翌朝旅館で精算できるなどの習慣がある。今回のシステムはこの習慣をヒントに2年前から産業技術総合研究所の協力で実現した。

 ゆめぱは、旅館が発券するバーコード外湯券や、利用者が持つおサイフ機能付携帯電話または、SUICA・ICOCAなどのICカードのいずれかを有効化したもの。利用者が同意書に記入すれば、バーコード入浴券、おサイフ機能付携帯電話、ICカードいずれかにつけ払い機能を付けることができる。この機能は年内に始める予定。

 ゆめぱの導入で入浴客にとっては、外湯の混雑状況などがリアルタイムで分かるようになる。また、旅館組合側はデータを収集、分析することで観光戦略にも役立てていく。

 音声ガイダンスは外湯や町の案内をゆめぱをかざすことで聞けるサービス。外国人観光客向けに英語の案内も用意する。

神戸追加で3つ星12軒、ミシュランガイド京都・大阪・神戸2011

 フランスのタイヤメーカー・ミシュランは10月19日、神戸市内の兵庫県公館でレストランを星の数で評価するミシュランガイド「ミシュランガイド京都・大阪・神戸2011」の発表会と出版記念パーティーを開いた。

 同社は昨年10月に「京都・大阪」版を発行しているが、11年版で「関西の主要都市の1つで、国際色豊かな食文化が育まれている神戸」を追加した。

 11年版で掲載の施設は312軒で、このうちレストランが239軒、ホテル42軒、旅館31軒となっている。最も評価の高い3つ星は12軒(京都7軒、大阪3軒、神戸2軒)で、神戸地区からは創作料理のレストラン「カ・セント」と日本料理の「子孫」が選ばれた。三つ星昇格は京都の「なかむら」、大阪が「柏屋」と「太庵」。

 施設全体の6割が日本料理で、そば、寿司、天ぷら、串揚げなどを加えると8割を超える。

 新たなカテゴリーとして京都のおばんざいや鳥料理、ゆば料理も加わった。また、今回から1人5千円以下で食事できるレストランも40軒選ばれた。

 なお、神戸地区の旅館では有馬温泉の「欽山」が1つ星に選ばれたほか、御所別墅、陶泉御所坊、中の坊端苑など7軒が快適な旅館として掲載されている。

 ミシュランガイド総責任者のジャン=リュック・ナレ氏は「世界には3つ星レストランは90軒しかない。そのうち12軒が京都・大阪・神戸から選ばれたことは賞賛に値する」と高く評価した。

ツイッターの活用法学ぶ、日観連東京都支部 秋季セミナー

 ツイッターの戦略的な活用法を学ぶ――。日本観光旅館連盟東京都支部(齊藤源久支部長)と、東京都ホテル旅館生活衛生同業組合(今井明男理事長)は10月29日、東京都千代田区の全国旅館会館で秋季研修会を開いた。

 研修会では「ツイッター知ってますか? ツイッター使ってますか?」をテーマに、「なう」代表取締役でホテルサンルート札幌を経営する才式祐久氏と、「らーにんぐぽけっと」代表取締役の青山華子氏が講師として、ツイッターの入門から戦略的な活用方法まで説明した。

才式祐久氏
才式祐久氏

 才式氏はツイッターの利点として、「1つの顧客支援が皆に伝わる」ことを挙げ、「○○してくれてありがとうという感動共有がフォロアーに伝わり、企業のメリットになる。ツイッターを活用することでお客様はターゲットではなく、パートナーという関係になる」と述べた。

青山華子氏
青山華子氏

 青山氏は「ツイッター利用者は現在、国内で1千万人超でインターネット人口の16―18%」と紹介し、ツイッターの特徴について(1)共感者、応援者を増やすツールであって宣伝ツールではない(2)期間が限られたものを盛り上げるのにとくに効果を発揮する――などと説明した。さらに「個人のブランディングを促進し、認知度を高めるために有効であり、人との距離を早く縮めやすいので、準見込み客、見込み客を集めるために使うと効果的」とし、「ツイッターは上手に使うと『お客様を身内化する』」と語った。

観光戦略に幅広い視点を、アドバイザー会議キックオフ

あいさつをする中田英寿氏
あいさつをする中田英寿氏

 観光庁は11月1日、観光立国の実現へ向けて幅広い分野の関係者の助言や提言を得るため、各界各層の現場で活躍する人を「観光庁アドバイザー」として委嘱し、キックオフ会議を開いた。

 国土交通省の小泉俊明政務官は冒頭あいさつで「観光を中心に日本を元気にするため、皆さんのさまざまな経験による智恵と力を貸してほしい」と語りかけた。

 元サッカー日本代表の中田英寿氏は「建築や伝統工芸など、日本には素晴らしい魅力がたくさんあるが、情報を集めるのが難しい。地元の人でも地元の情報を知らないことがあり、もったいない。海外も含め情報発信に力を入れていく必要があるのでは」と全国の伝統工芸や文化に触れる旅を通して感じたことを話した。

 立命館大学副総長のモンテ・カセム氏は「留学生は、帰国後に日本を伝える重要な発信源。留学生という資源をもっと大事に有効活用しては」と意見を述べた。

 「観光庁アドバイザー」のメンバーは作詞家の秋元康氏、吉本興業社長の大崎洋氏、東映社長の岡田裕介氏、女優の菊川怜氏、建築家の隈研吾氏、放送作家・脚本家の小山薫堂氏、TAKE ACTION FOUNDATION代表理事の中田英寿氏、ローソン社長の新浪剛史氏、資生堂社長の前田新造氏、楽天会長兼社長の三木谷浩史氏、立命館大学副総長のモンテ・カセム氏、ぴあ社長の矢内廣氏、ワタミ会長の渡邉美樹氏。

ギャンブリング・ゲーミング学会

(左から)橋下氏、古賀氏、岩屋氏
(左から)橋下氏、古賀氏、岩屋氏

 ギャンブリング・ゲーミング学会(学会長=谷岡一郎・大阪商業大学学長)は10月28日、東京都内のホテルで第8回学術大会・総会を開いた。「日本におけるカジノエンターテイメントのあるべき姿」をテーマとしたパネルディスカッションや、国際観光産業振興議員連盟(古賀一成会長)の議員との意見交換によって、今後の活動の展望を行った。古賀会長は「来年の通常総会で『特定複合観光施設区域整備法』の成立を目指したい」と語ったほか、大阪府の橋下徹知事は「日本にはカジノが必要。増税よりもカジノを」と力強く訴えた。

■溝畑観光庁長官「海外のIRを調査」

 基調講演には観光庁の溝畑宏長官が出席し、「国土交通省の成長戦略の中にはMICEの積極的な誘致推進が謳われている。我われが参考にし勉強しなければならない例は、シンガポールの国家的なMICEの取り組み。インテグレート・リゾート(IR=統合型リゾート)についても国交省のなかで議論されている。国際観光面から見てもカジノによるメリットは大きい。今後は、国民的なコンセンサスが得られるかといったことや、公営ギャンブルとの整合性など、クリアすべき問題点を検証していく必要がある。観光庁もシンガポールなど海外のIRの調査をしている」とし、「観光庁長官の立場として現状では、『イエス』でも『ノー』でもない。ただ、アジアの中で日本が競争力を持ち、10年後の訪日客2500万人達成へさまざまな施策を打っていきたい。そのなかでMICEは非常に重要」と語った。

 谷岡会長が司会を務めたパネルディスカッションには、民主党の小沢鋭仁氏、自民党の下村博文氏、公明党の佐藤茂樹氏、みんなの党の柿沢未途氏の4人の衆議院議員と、学会副会長で大阪商業大学アミューズメント産業研究所所長の美原融氏が登壇。「日本におけるカジノエンターテイメントのあるべき姿」について意見を交わした。

 小沢氏は「地域経済が厳しい状態にあり、カジノ誘致にすべての地域が手を挙げることも考えられるが、ほぼすべての都道府県にリゾート施設ができ、多くの負債を生み出した『リゾート法』を教訓にすることも必要。私の地元・山梨などには、都市型でも小さい“ロンドン型”といわれるカジノのスタイルもある。ハンガリーのブダベストにも小さなカジノがあり、大都市以外の地域にはこのような形態もあり得る」と述べた。

■橋下大阪府知事「日本にカジノ必要」

 下村氏は「日本全国10カ所程度で、まずは2カ所からのスタートを考えている。10カ所すべてをラスベガスやマカオのような大規模なものをつくると想定しているわけではない。一方、東京など大都市では、1千―2千万人の集客を目指すべきで5千室ほどの大規模ホテルの機能を持つカジノと、非カジノの収益が勝るトータルなエンターテイメント施設が必要。地域性にそったかたちで、税率も全国一律である必要はない」と持論を展開した。

 大阪選出の佐藤氏は「大阪にカジノをつくると想定するならば、大阪ベイエリアの一角に、40万平方メートルクラスの大規模なもの。コンベンション施設やホテル、ショッピングフロア、テーマパーク、グルメ、シアターなどさまざまな施設の1つに、カジノも位置づけられた統合型リゾートが望ましい。カジノは大人の男性が主な対象となるだろうが、家族全員がそこでそれぞれに楽しめる施設を求めたい」と述べた。

 柿沢氏は「日本のカジノ誘致は、東京の臨海部でなくてはならないと明確に思う。カジノの議論は、日本の成長戦略の一環として位置づけられ、大きな期待をされている。そのためには数千億円を投じて、数千万人を集客し、兆単位の経済効果を及ぼすものでなくてはならない。日本で最も有力で有望な場所は、成田と羽田の両空港の中間に位置し、エンターテイメント施設を立地させる余地のある東京臨海部が望ましい。東京が牽引し、東京でカジノ成功の実例をつくることが大切」と語った。

■古賀議連会長「来年には法案成立を」

 美原氏は「スイスでは税率、規模、投資額も異なる『大都市型』と季節性のある『地域型』の2つに分けている。また、大都市型では、ラスベガスの1地域では、『ゲーミング』部門よりも飲食やショッピングなど『非ゲーミング』部門の収益の比率の方が高まってきており、シナジー効果は確実にある」と強調した。

 サプライズゲストとして出席した橋下大阪府知事は、「日本にカジノは必要。国会議員には、増税する前にカジノをお願いしたい。民間企業から税を奪うのではなく、稼ぐ方法を考えるのが政治家の役割。少子高齢化では、世界から人を呼び込むしかない」とし、「関西には、京都、奈良、高野山、神戸など世界に誇れる観光地があり、その真中の大阪に統合型リゾート(IR)ができれば、日本のツインエンジンの一つである関西が浮揚し推進力が高まる。カジノによって財源を確固たるものとすることによって教育、福祉、医療などにまわしていける。来年の通常総会でぜひとも法案成立をお願いしたい」と語った。

 国際観光産業振興議員連盟の古賀一成会長は「超党派の議員連盟としては珍しいほど団結している。法案成立に一番大切なのは、国民的な理解の醸成。すでに法律の条文も作成しており、来年の通常総会で(法案が)通るように精査していきたい。多くの知事や商工会議所、経済界からも期待が大きい」と語った。

 岩屋毅会長代行は「議連も今後は200人規模にし、総理大臣経験者など有力議員にも顧問に入っていただいて拡大していきたい。議連として、誘致を希望されている自治体の首長と意見交換の場を予定しているので、橋下知事もぜひご出席を」と述べた。

 当日、世界のカジノオペレーター10社が参加し、プレゼンテーションや日本の議員や学会関係者らと意見交換を行った。

観光庁は8億円9200万円、訪日客の言語案内に5億円

 このほど閣議決定された2010年度の補正予算によると、観光庁関係の補正予算の合計は8億9200万円。「外国人観光客の移動容易化のための言語バリアフリー化」に5億円、「国内観光活性化緊急対策事業」に3億9200万円を投じる。

 1項目目の言語バリアフリー化は、とくに地方都市のインバウンド整備のためのもの。外国人旅行者に交通拠点から目的地まで、言語面での障害を感じさせないように、電子看板などの案内表示に加え、車内放送やバス停のナンバリングなど、さまざまな手段で点から線への多言語対応を実施。言語バリアフリーな移動環境を実現する。

 一方、国内観光活性化緊急対策事業では、休暇取得分散化に係る普及・啓発に3千万円の予算をつけ、休暇分散化に対する国民の意識や関心を高め、施策の理解をはかるためにシンポジウムや調査などを実施する。

 また、3億円を新たな旅行需要創出への旅行商品造成に充て、おもに若年層を喚起するような企画やイベント参加者向けの延泊、工場視察など地域活性化につながるような商品を試験的に造成。モニターツアーを実施し、参加者や関係者への調査で効果検証を行う。さらに、2泊3日以上の滞在型観光地の形成として、観光圏の整備に6200万円をつけた。

 なお、自動車交通局の要求枠で、観光地の公共交通に電気自動車導入などの補助事業に4億5千万円が計上された。