“水の都・松江”を演出、松江水燈路 秋の人気イベントに

「400個の行灯でライトアップ」

 島根県松江市の松江城周辺を約400個の行灯などでライトアップする「松江水燈路」(松江市など主催)が、9月18日から10月17日までの毎週土・日・祝日に行われる(9月24日のみ特別開催)。

 “水の都・松江”の秋の風物詩として今年で8回目の開催。昨年は約10万人の来場者を集めるなど人気イベントとして定着している。

 松江城を囲む堀川沿いや武家屋敷周辺に行灯を並べ、幻想的な雰囲気を創出する。400個の行灯は市民の手作りで、絵や俳句などが描かれた行灯はどれも個性的。松江城や塩見縄手周辺、北惣門橋などのライトアップも行われ、一帯が優しい光に包まれる。

 堀川遊覧船の夜間運航も実施。各日午後6時30分から9時に運航し、大手前乗船場と松江堀川ふれあい広場乗船場を結ぶ。片道1人500円。貸切船は一隻7千円(予約制)。船上からは、ほのかに浮かび上がる松江城や鎮守の森などが見渡せる。

 松江城や武家屋敷、小泉八雲記念館など観光施設もイベントにあわせ、開館時間を午後9時まで延長する(受付は8時30分まで)。

 JR松江駅南口と松江しんじ湖温泉街から水燈路会場を結ぶ無料シャトルバスも、各日午後5時30分から9時30分まで運行する。

 また、「週ごとに織りなす~城下町松江・水と光の幻想」と題して、週替わりの企画を設定。9月18―20日にはオープニングで「開幕水燈路~花・鳥・食・月」を実施し、屋台の出店をはじめ、ボタンなど花の展示を行う。

 堀川遊覧船では水燈路開催にあわせ、9月1日から10月31日まで「川柳コンテスト」を実施する。乗船者に投句してもらい優秀者には年間パスポートなどをプレゼントする。

全国旅館党を支援、宮崎県に義援金協力(国観連)

 全国旅館党を支援――。国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1171会員)は6月1日、東京都千代田区のグランドプリンス赤坂で2010年度通常総会を開いた。7月の参議院選挙を目前に控え、候補者から推薦状の依頼が寄せられるなか、国観連、全国旅館政治連盟として要望している固定資産税の減免、旅行費用の所得税控除、NHK受信料の見直し、かんぽの宿70施設の売却は介護施設に限定する――などをしっかりと受け止め、真剣に取り組んでいくと確約が取れた候補者のみに推薦状を渡す姿勢を、各支部が徹底していくことを確認した。

 佐藤会長は「現在の宿泊産業の窮状を救って、観光でこの国を建て直すという認識を我われと共有する政治家を支援していきたい」と語り、「全国旅館党を支援していく」と強調した。

 また、政府が推進する休暇分散化案については、「業界内にはさまざまな意見がある。我われは休日を動かすことよりも、休日が増えることの方がありがたい。有給休暇の取得促進など休日の増加につながるような施策を期待している」と語った。

 今回の総会では、本部の緊急提出議題として、宮崎県で発生している口蹄疫の影響で、5月18日以降半月で2万人を超えるキャンセルが出るなど、甚大な風評被害が広がっている宮崎県内の旅館ホテルに義援金の協力と、近い将来同県への旅行の協力を呼びかけ、全会一致で承認された。

 今年度は、外客誘致事業では、GDSを活用した海外マーケットへの日本旅館の積極的な情報発信や、とくに中国を意識した外国人旅行者向けの外国語TV放送の導入促進に取り組む。導入のための支援措置などを観光庁にも要請していく。

 そのほか、IT関連専門委員会は、世界60万の端末から予約が入る「ユニレズ」への加盟促進に取り組む。

初の経常損失17億円、2期連続の赤字(JTB連結09年度決算)

 JTBグループの09年度決算によると、経常損失は17億円(前年度は63億円の利益)、当期最終損失は146億円(同24億円の損失)。景気後退による個人消費の低迷や、企業収益悪化による法人需要の低迷など、マーケット環境の変化に十分な対応ができず、旅行事業の収入が大幅に落ち込んだ。グループ連結決算となって以降、初の経常損失となった。特別損失に、店舗移転・拠点集約費用のほか、事業再編に伴う固定資産除去・減損処理で51億円、有価証券の評価損などで33億円を計上。さらに繰延税資産取り崩しなどによる税金費用を加え、赤字幅は大幅に拡大した。

 売上高は前期比12・1%減の1兆1213億円、営業損失は34億円(同119億円の利益)。

 旅行事業は売上高で12・9%減と低調に推移。一方で、メディア販売やオンライン販売など、特定のビジネスモデルは伸長。国内インターネット専用サイト「るるぶトラベル」は新機能の追加や仕入営業強化、広告宣伝強化を行い、取扱額は17・6%と好調に推移した。

 国内旅行は、客単価の減少や法人需要が伸び悩み、オンライン販売へのシフトが進んだマーケットに十分対応しきれず、売上高は10・0%減。

 海外旅行は、団体旅行およびビジネス旅行が激減し、取扱人員は7・0%減の329万人。ルックJTBやメディア販売など企画商品分野では販売人員を1・9%増の187万2千人と伸ばした。規制緩和がはかられた包括旅行チャーターへの取り組み強化で、販売人員は20・0%増の10万3千人。売上高は、基幹商品であるルックJTBの販売単価が大幅に下落したことや、法人需要のマイナスが響き、17・4%減となった。

 同社は、急激な環境変化で顕在化したグループの諸課題について、スピードを持って対処するため、11年度が最終年度だった3カ年の中期経営計画を前倒して終了。新たに11年度から次期中期計画をスタートした。旅行営業の戦略策定についてグループ本社社長が直接、指導・指揮をとる。

 11年度の連結業績予想は、売上高が同5・8%増の1兆5458億円、営業利益が43億円、経常利益が80億円、当期純利益が57億円。

幕張に12万人来場、旅フェア2010「新旅宣言」

 日本観光協会(中村徹会長)が事務局を務める旅フェア実行委員会は5月28―30日までの3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで「旅フェア2010」を開いた。初日には2万8972人、2日目には4万7716人、最終日の3日目には4万4144人と、昨年を約1万5千人上回る合計12万832人が訪れ、全国各地のご当地グルメやアトラクションなどで楽しんだ。

 主催者を代表して中村会長は、「旅フェアは日本の新しい魅力や旅の楽しさを発信する、国内最大規模の旅の総合見本市。経済環境の厳しいなか、全国から多くの出店をいただき、充実した内容にしていきたい」と意気込みを語った。

 16回目を迎える今年は、国土交通省、総務省、観光庁、千葉県、千葉市が後援し、都道府県や観光協会、旅行会社などが150を超えるブースを出展した。場所を3年ぶりに旅フェアのふるさとともいえる千葉県の幕張メッセに戻し、「新旅宣言 見つけよう!あなただけの旅」をテーマに開催。「旅」に対するニーズが多様化・高度化するなど環境が変化しているなか、会場を「旅」に出かけるきっかけづくりの場と位置づけ、従来の地域ごとにブースを分けるスタイルをやめ、今年は4つのテーマゾーンと2つのコーナーに分けた。本物のバスガイドが付いてバーチャルツアーを体感できる「乗り物大好きゾーン」や、日本青年会議所と初めて連携した、全国に散らばる彩り豊かな「地域のたから」を一堂に集めた「地域のたから発見コーナー」などおもしろいアイデアが並んだ。

 また、29、30日には「台湾訪日旅行商談会in旅フェア2010」と「産品相談・商談会」の2つのビジネスプログラムを実施した。日本側160社、台湾側30社が参加し、情報交換や商談に臨んだ。

(株)全旅がポイント制導入、売上げで還付率変動

「各支部の経営陣の手腕による」

 埼旅協総会で(株)全旅の大原秀雄副社長は(株)全旅の09年度決算を報告した。09年度はリーマンショックの影響、新型インフルエンザの発生で旅行業も苦境にさらされたなか、売上高は約14億3千万円、経常利益は約9800万円、当期利益は3千万円を計上したと報告。なかでも、旅行事業の売上高が前年度比20%増の6億1千万円と大きく伸びた。保険事業は約3億9千万円、クーポン事業が約4億1千万円。大原副社長は「皆さんの協力のおかげでリーマンショック以前の数値を残すことができた」と述べた。

 10年度は、4月に日本旅行と業務提携を行い、(株)全旅クーポンを通じて日本旅行の旅行商品を取り扱うことが可能になった。(株)全旅の会員は全旅クーポンを利用することで、保証金の納付などの必要なく日旅商品を扱える。現状では、(株)全旅のクーポン会員のみが対象となるが、大原副社長は「将来的には全旅協全会員にもこのシステムが適応できるよう努力していきたい」と述べた。

 また、今年度から各47都道府県支部にある営業所の取扱額に応じたポイント制を導入し、還付する額を決めていくことになったと報告。「今後は各支部の経営陣の手腕によって、還付率が変わってくる。売上や普及率などが加味されるので、(株)全旅のクーポンや保険を積極的に活用してほしい」と語った。これまでは04年の売上によって05年以降、還付率は変わっていない。 「地旅大賞」は売れる商品に」  (株)全旅は地旅を推進しているが、「来年4月に富山で開催される国内観光活性化フォーラムで発表される地旅大賞は、ツアーの参加人数などによって決めることになった。本当に売れる商品、送客できる商品を大賞としたい」と述べた。

09年度旅行業62社取扱額、13.9%減の5兆5402億円、国内1割減、海外2割減

 観光庁がこのほどまとめた2009年度主要旅行業62社の取扱状況(速報)によると、総取扱額は前年度比13・9%減の5兆5402億8350万円と大きく落ち込んだ。

 部門別では、国内旅行が同10・6%減の3兆5338億8829万円。海外旅行が同19・3%減の1兆9541億6977万円、外国人旅行が同15・8%減の522億2544万円と全部門で2ケタの減少となった。

 総取扱額で前年度実績を上回ったのは、阪急交通社(同0・4%増)と、I.JTB(同0・7%増)の2社のみ。

 国内旅行で前年度実績を上回ったのは、エイチ・アイ・エス(同0・3%増)、I.JTB(同2・8%増)、日立トラベルビューロー(同1・5%増)、JTBグローバルマーケティング&トラベル(同71・9%増)の4社。

 総取扱額の上位10社は、(1)JTB(7283億6291万円)(2)近畿日本ツーリスト(3803億4061万円)(3)阪急交通社(3528億6283万円)(4)日本旅行(3474億2699万円)(5)JTB首都圏(2892億4734万円)(6)エイチ・アイ・エス(2800億1268万円)(7)JTBトラベランド(2239億5315万円)(8)ANAセールス(2044億3392万円)(9)JTBワールドバケーションズ(1919億5280万円)(10)JTB西日本(1756億4761万円)の順となった。

韓国ドラマ「アイリス」の新作、鳥取がロケ地に決定

 韓国のテレビドラマ「アイリス」の新シリーズ制作で、海外ロケ地の一つに鳥取県が選ばれた。平井伸治知事が5月26日、大阪市内でドラマを制作するテウォン・エンターテイメントのチョン・テウォン社長と面談し、ロケ実施の確約を得た。

 人気俳優のイ・ビョンホンさんが主演した1作目は、昨年10―12月に韓国で放送され、平均視聴率30%超、最終回は約40%に達するなど大ヒット。

 ロケ地になった秋田県には韓国人旅行客が急増し、今年1月の秋田―ソウル便の利用者数は過去最高の約6千人を記録した。

 新作は前作同様の、スパイアクションものでタイトルは「アテナ―戦争の女神」。人気俳優のチョン・ウソンさんが主演し、今年の秋から韓国で放送される。鳥取ロケは8月末から秋にかけて行われ、ドラマ後半で取り上げられる予定だ。

 面談後、記者会見を開いた平井知事は「6月早々にロケ受け入れの実行委員会を発足させる。ロケ場所は砂丘や温泉地になるのではないか。経済効果は約12億円を見込み、米子―ソウル便やDBSクルーズフェリーなどの活性化を期待している」と述べた。

歯ブラシなどを持参、09年度の環境活動を報告(サンルート)

 国内・海外にホテルを展開する「サンルートホテルチェーン」(五十嵐静夫社長、東京都豊島区)はこのほど、2009年度に行ったチェーン全体の環境への取り組み結果を「環境レポート」として発表した。宿泊客が気軽に読めるように、各ホテルに設置するほか、ホームページでも公開している。

 同ホテルチェーンが取り組む環境活動は、「チャレンジ25キャンペーン」(温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減を目指す国民的運動)への参加に加え、「歯ブラシ・カミソリの持参」や、連泊客には「客室ノークリーニング」を呼び掛けるなど、さまざまな取り組みを行っている。また、地球環境を考え、客室清掃やアメニティ類の補充をできる限り減らした「連泊エコプラン」をチェーン全体で販売し、連泊客への割引などの特典を提供している。09年度(09年4月―10年3月)は4626室を販売した。

 また、09年度に実施した歯ブラシ・カミソリ持参運動では、スギの木の年間CO2吸収量換算は約7012本分となった。

 宿泊客が持参した歯ブラシは89万1658本、カミソリは252万2879本で、歯ブラシ・カミソリのごみ減量の総重量は3万6233キロに相当する。一方、連泊客のノークリーニング利用室数は、5万9559室となった。

 サンルートホテルチェーンは、10年度も引き続き環境活動を続ける。6月中は従業員とその家族を対象とした、第7回GPN500万人グリーン購入一斉行動「持とう! マイ箸! マイボトル、マイバッグ!」「歩いて減らそうCO2!!」活動に参画して、従業員の意識向上にも積極的に取り組んでいく考えだ。

「源泉かけ流し」宣言、東北で初の高湯温泉

 福島県の高湯温泉観光協会(遠藤淳一会長)は6月1日、「源泉かけ流し」を宣言した。これまで北海道や長野県など、全国8カ所で同様の宣言をしているが、東北では初めて。

 同日、遠藤会長ら観光協会メンバーが県庁に佐藤雄平知事を訪ね、札幌国際大学観光学部の松田忠徳教授立ち合いのもと、宣言文を読み上げた。遠藤会長は「400年間絶え間なく湧き出してくる温泉を、これからも守り続けていく」と宣言。佐藤知事は「福島といえば温泉。(宣言を契機に)魅力を高めてほしい」と激励した。

 宣言は松田教授が中心となり提唱しているもので、源泉を加水・加温せず供給し、循環利用もさせないなどの条件がある。「高湯は10本の源泉が自然湧出しているなど、温泉としての水準も高く、理想的」(松田教授)という。

 高湯温泉は乳白色の硫黄泉で、毎分3160リットルの湧出量を誇る。じゃらん人気温泉地ランキングの秘湯部門で昨年、今年と、2年連続日本一に選ばれた。

100都市の安全情報更新を、新会長にサイトラベル・大畑氏(OTOA)

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA、安達要吉会長、137会員)は6月2日、東京都内で2010年度通常総会を開き、今年度は都市別安全情報の充実にさらに力を入れ、前年度未調査分を加えた100都市の更新を行うことなどを決定した。

 任期満了に伴う役員改選では、サイトラベルサービス代表取締役の大畑貴彦氏を会長に選任。安達会長は、顧問に就任した。

 安達会長は冒頭のあいさつで「今後は、オペレーターの企画力が否応なく商品の品質を決めることになっていく。我われの情報に付加価値をつけ、それを認めてもらえる旅行会社と一緒に商品造成を行い、共に生きていく時代だ」と語った。また、来賓として出席した観光庁の溝畑宏長官は「インバウンドを推進する前提として、アウトバンドを同時に進めることが大切だ。表裏一体だと考えている」とあいさつした。

 昨年度の事業については、都市別安全情報の充実として、93都市の調査・更新を行う予定だったが、52都市に留まったことなどが報告された。研修事業は2地域・4カ国で研修セミナーを実施した。調査・研究事業では、下請法への積極的な取り組みにより、法に抵触するような行為が改善するケースも増えた。速水邦勝専務理事は「1歩進んだ」との見解を示した。

 今年度は、(1)安全にかかわる情報のさらなる充実をはかる(2)「協働」して海外旅行需要の喚起や、各国の観光インフラ整備に努める(3)消費者への「良質な商品・サービスの提供」の観点から、事業者間取引の再検証、グローバルスタンダードの再推進――などを柱に事業を進める。具体的な取り組みとしては、2回目、3年ぶりとなる「OTOA会員の実情に関する調査」を実施する。また、中小企業庁の協力で6月17日に「下請法説明会PartⅡ」を開く。なお、公益法人改革への対応を本格的に進め、来年の総会に移行方針を上程する予定。

 新会長・副会長は次の各氏。

【会長】
大畑貴彦(サイトラベルサービス代表取締役)

【副会長】
ゲライトン・ホルト(THE J TEAM代表取締役)▽立身政廣(アイディツアーズサウスパシフィック代表取締役)