中間層1600万世帯まで、7月1日から全土拡大(中国人個人観光ビザ)

 外務省は5月18日、訪日中国人個人観光ビザの発給要件を、7月1日から大幅に緩和すると発表した。

 現在の発給対象者は、年収25万元以上(約340万円)の約160万世帯の富裕層に限定されているが、7月1日からは政府機関や企業の中堅幹部など「一定の職業上の地位と経済力を持つ」約1600万世帯の中間層まで対象を広げる方針だ。

 個人観光ビザの受付申請は現在、北京、上海、広州の3公館のみで行っているが、瀋陽、大連、青島、重慶を加えた中国全土7カ所に拡大する。さらに、取扱旅行社も現行の48社から290社に拡大する。

 岡田克也外務大臣は同日に開いた会見で、「今回の要件緩和により、観光分野における日中間の人的交流が一層活発化することを期待する」と語った。また、ビザ発給は世帯主だけでなく、妻や子供も対象となるため、10倍を超える大幅な申請の増加も見込まれる。

 中国人の訪日観光は2000年9月に団体観光ビザの発給によってスタートした。09年7月からは、一定の条件を満たす個人観光客を対象にビザを発給してきた。発給数は昨年末までの半年間で7688件。

〈中国の外資規制「粘り強く協議」―溝畑長官〉  観光庁の溝畑宏長官は5月27日、外務省が7月1日から訪日中国人個人観光ビザの発給要件の大幅緩和を発表したことを受けて、「中国人の訪日旅行への機運の高まりにつながる」と歓迎。約1600万世帯といわれる中間層にまで対象が拡大することについて、「課題解決に調整していただいた関係省庁に感謝している」と語った。

 また、日本の指定旅行会社に条件づけられている帰国確認時の空港での見送り業務の緩和についても、関係省庁との間で協議していると報告。

 懸案となっている中国がアウトバウンド業務で外資系企業の参入を規制し、日本の旅行会社が参入できない状況に関しては、「中国からのインバウンド拡大には、個人観光ビザの要件緩和と併せて、質の高い旅を提供できる日系旅行会社の参入は不可欠。6月末にも訪中し、粘り強く協議していきたい」と語った。

溝畑観光庁長官を表敬訪問(第21回全国旅館おかみの集い運営委員)

 第21回全国旅館おかみの集い運営委員会(運営委員長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将)は5月19日、畠運営委員長をはじめ、小田真弓アドバイザー委員(加賀屋女将)、移川鞠子副委員長(浅虫観光ホテル女将)、峯平滋子副委員長(湯郷グランドホテル女将)、村田明美委員(五浦観光ホテル若女将)と、旅行新聞新社の石井貞徳代表取締役が観光庁の溝畑宏長官を表敬訪問した。

 全国唯一の旅館・ホテルの女将による全国会議「全国旅館おかみの集い」には毎年100―150人が参加する。第21回を迎える今年は7月6日に帝国ホテル東京で「匠 守るべきもの、変えていくもの」をテーマに開かれる。

 溝畑長官は、「この不況下で一番大変な思いをしているのは現場の女将さんたちでしょう」とねぎらい、「お宿のホスピタリティは世界一。日本文化の本流なので、観光庁もできる限りのサポートをしていくので一緒に頑張りましょう」と激励した。年末年始も九州の宿を泊まり歩き、現場の状況を自分の目で勉強したという長官は、「今は大変なときだが、観光は重要な産業。観光を日本の誇れる産業、みんなのあこがれにしたい」と熱い思いを述べた。

 また、観光庁訪問に先立ち、協賛の読売新聞社の宮本友丘販売担当常務取締役と池田均販売局総務を訪ねた。

 宮本常務は、「時代はどんどん流れていくが、『変えてはいけない旅館の意義』がある。逃げずに挑戦し続けた者が次の展開で勝者になれるのでは」とエールを送った。

電話で申込み・決済も、JTB ウェブ専用の海外商品

 JTBワールドバケーションズは5月21日、インターネット専用の海外旅行商品の販売を始めた。ネット購買志向への対応や、より競争力のある商品を早期に販売するため、パンフレットを作成せずにWEB画面上に旅行日程表を含むすべての旅行条件を表示したうえで販売する。

 これまでJTBの海外旅行インターネット販売は、パンフレット販売と同じ商品を販売する「JTBホームページ」と、海外旅行オンライン予約専門の「トルノス」で展開してきた。

 WEB専用にすることで間際に仕入れた商品を最短2日で販売できる。パンフレット制作・配送コストが不要になり、より安価な価格設定が可能だ。さらに、最終日程表は直接メールで送付。増加する間際申込み重要に対応した。

 商品購入はオンライン予約・決済が基本となるが、オンライン予約者の約3割が店頭での決済を選択していることから、店頭ではなくJTB旅の予約センターで、電話での申し込みや決済も可能にした。

 WEB専用商品は間際の申込みが多いグアム方面や韓国・台北・香港・北京・上海などのアジア方面、中国方面から販売を始める。

協定会員とともに進化を、(協)新旅協 創立10周年祝う

 協同組合新潟県旅行業協会(青木利道理事長、104会員)は5月18日、新潟市の新潟グランドホテルで創立10周年記念式典を行った。

 協同組合新旅協は2000年6月に設立。青木理事長は式典で「設立時は80会員だったが、104会員まで拡大した。我われの事業パートナーである217施設の協定会員連盟がさらに拡大するように、双方にとってプラスとなるような事業を展開し、進化していきたい」と力強く語った。

 第2種の旅行業登録を取得している協同組合は、インターネットを利用した企画旅行に関する流通システムを構築。募集型企画旅行や宿泊プランの掲載・販売のほか、統一クーポンの発券・精算、組合員のホームページ開設支援なども可能。今後は組合員からは募集型企画旅行の掲載、協定会員連盟には宿泊プランの掲載を求めながら、一般消費者への販売力強化をはかっていく。また、着地型旅行(地旅)の開発も重点的に取り組んでいく考え。

 青木理事長は、「今年4月に青森市内で開かれた国内観光活性化フォーラムで、我われ会員の新潟県燕市の産業観光が第2回地旅大賞の優秀賞を受賞した」と報告。「造成した地旅を誰に、どのように発信し、運用していくかが今後の課題」と語った。

 創立10周年記念講演会「どうなる日本~提言!企業・地域再生に向けて」には、元フジテレビキャスターで国際医療福祉大学院教授、早稲田大学大学院講師の黒岩祐治氏が登壇し、医療観光といった新たなニューツーリズムのヒントとなる事例などを語った。

 なお、創立時から協定会員連盟会長を務める小田孝信・加賀屋社長に、青木理事長から感謝状が贈られた。

 協同組合の09年度旅行取扱額は新型インフルエンザなどの影響を受け、前年度比16%減の1億8088万円と減少したが、今年1月からは回復傾向にあり、3月単月では同19%増とプラスで推移している。

“日藝らしさ”がほしい、ANA×日藝の連携プログラム

 全日本空輸(ANA)はこのほど、日本大学藝術学部と新しいモバイル専用プログラム「ANAマイレージクラブ モバイル」(AMCモバイル)に関する産学連携プログラムを開始し=既報、5月17日に東京・汐留のANA本社で第1回目の会合を開いた。

 AMCモバイルは、従来のマイレージクラブ会員に加え、飛行機を利用する機会が少ない消費者にも、携帯電話からお得なサービスを提供するコンテンツ。今回の連携プログラムで、“クリエイターの卵たち”と集客方法やモバイルでの革新的なサービス、画期的なプロモーション手法の開発などを目指す。毎月、学生側からANAに企画を提案し、学生の柔軟な発想に基づく提案と、企業が実際に展開できる手法の接点を見つけていく。学生からの最終プレゼンテーションは7月に行う予定だ。

 参加した学生は、放送学科を中心に文芸学科やデザイン学科の3、4年生約10人。まず、事前に各人があげた提案をまとめて説明を行った。提案は、空港・機内でのイベントやPRとして「空港・機内を見学し、学生の視点から発見した人・もの・コトをリポートして映像配信」「地方のインディーズミュージシャンを学生が発掘し、機内で地域チャンネルとして提供」「機内のイスポケットに文芸冊子やポストカードなど、持ち帰りができる日藝生の作品を提供」など。

 また、学校でできる企画は、「構内にレゴで5メートル級のボーイング787を作成し、過程を映像配信」「ANAのフライトスケジュールをネタにケイタイ小説コンペを行う」などがあがった。

 一方、ANA側からは営業推進本部レベニューマネジメント部の松井亮輔氏を中心に、4人が出席。提案に対し、「日藝らしさが一番大切。他の学生にはできないような“エッジ”の利いた提案がほしい」や、「今の段階では実現可能なことを考えるより、自分のやりたいことを考えてみては」と述べた。

 第1回目ということもあり、開始時は緊張の面持ちだったものの、後半は打ち解けた雰囲気で発言も活発に行われた。このなかでは、「飛行機が飛んでいる映像に声を入れて、飛行機に話させる」「飛行機に名前をつけて地図で現在位置を配信」「カップルシートを作る」「滑走路でキャンドルナイト」などユニークなアイデアが飛び交った。

 ANAの社員も学生のアイデアを膨らませ、「実質的に無理そうなアイデアは、映像として撮ってしまえばいい」「実現可能かは別として、『日藝ジェット』を作って外から中までアートで埋め尽くしたらおもしろい」など盛り上がった。次回への要望としては、「テストできそうなものは、イラストでも映像でも形にしてきてもらえると伝わりやすい。次は一歩進んだものを期待する」と激励した。

手数料なしで払戻・変更受付、ANAが口蹄疫の影響を考慮

 全日本空輸(ANA)は5月21日、宮崎県で発生し非常事態宣言が出されている家畜伝染病「口蹄疫」の影響を考慮し、宮崎空港発着路線のすべての運賃を手数料なしで払い戻し・予約変更を受け付けると発表した。対象は2010年5月21日以前の発券で、搭乗日が2010年5月18日―6月18日。

 該当する国内旅行券は、運賃の適用規則に関わらず手数料なしでの払い戻し・予約変更でき、変更は出発の予約時刻まで。振替は予約便の翌日から30日以内。払い戻し・予約変更ともに、ANAホームページまたは携帯サイトからでは手数料なしでの手続きができない。

アウトレットを中心に、“女子力アップ”ツアー(はとバス)

 はとバス(東京都大田区)は5月28日、東京郊外にプレミアム・アウトレットを運営するチェルシージャパンと共同で、20―30代の女性をターゲットとした女性限定バスツアー「女子力アップ大作戦!」の販売を始めた。両社の女性スタッフが、女性の目線でツアーを企画した。

 ツアーは「恋愛力アップツアー!御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県御殿場市)」、「美容力アップ!あみプレミアム・アウトレット(茨城県稲敷郡阿児町)」の2つを設定。バス車内ではスタイリスト(御殿場編)やビューティークリエーター(あみ編)がミニセミナーを開き、移動中もぬかりなく女子力アップをはかれる。

 御殿場編は約4時間のアウトレット滞在後、箱根ガラスの森美術館でカンツォーネ生演奏を聴きながらケーキセットでティータイム。最後は箱根神社で恋愛成就を祈願。

 あみ編は約3時間のアウトレット滞在後、食べ放題のブルーベリー狩りや、岩盤浴デトックスを組み込んだ。それぞれアウトレットでの買い物がお得になるクーポンシートなどの特典付き。

 料金は御殿場編が7980―8480円(出発日によって異なる)、あみ編が7480―7980円(同)。集客目標人数は2ツアー合わせて1160人。

有識者招き勉強会、観光連携コンソーシアム

 観光庁は5月20日、第5回観光連携コンソーシアムを開き、東海旅客鉄道相談役の須田寛氏、特定非営利活動法人J.POSH副理事長兼事務局長の松田壽美子氏、特定非営利活動法人グローバルキャンパス理事長の大社充氏の3人の有識者を招き、それぞれの活動や意見を聞いた。

 須田氏は、産業観光の需要について、「観光ニーズが見物型から体験型・学習型へと変化している。産業観光はものづくりに関わるところであればどこにでも存在し、地域活性化へつながる」と述べた。今後の課題については、まだあまり認知度が高くない「産業観光」の情報発信と、たくさんある観光資源の体系化・ネットワーク化、ビジネスモデル構築の重要性などを挙げた。

 松田氏は、乳がん患者がなかなか温泉などに入れない現状を問題提起した。術後の体を見られないようにする「入浴着」は、衛生管理面で問題ないことが、長野県、北海道、熊本県のホームページで紹介されているが、まだ認知度は低く、実際に温泉施設でも入浴を断られてしまうことがあるという。「入浴着の認知度を高め、NOからYESではなく、WELCOMEに。乳がん患者さんでも、皆さんと同じように気兼ねなく温泉に入れるようにしていきたい」と熱い思いを語った。

 大社氏は、観光まちづくりのプラットフォーム形成の重要性について触れた。今までの旅行会社が顧客を集める「行こう型」から、地域の観光関連事業者が直接顧客を呼び込む「おいでよ型」への変化を紹介。「地域のなかに事業主体をつくり、地域資源の発掘や商品化のコーディネート、地域づくりの推進、市場への流通と市場からの呼び込みなどを行うことが必要」と述べた。

 3氏とも、各課題のクリアや今後の展開には、サポートする各省庁の横の連携が重要だと口をそろえた。

T/C66人、D/S1058人認定、トラベル・カウンセラー推進協

 日本旅行業協会(JATA)が事務局を務めるトラベル・カウンセラー制度推進協議会はこのほど、2009年度のトラベル・コーディネーター(T/C)と21講座のデスティネーション・スペシャリスト(D/S)の認定を行った。これによると、T/C認定者数は前年度比32・0%減の66人、D/S認定者数は同17・8%減の1058人といずれも減少した。

 発表を行った研修・試験部の住吉清部長は、T/C認定者の減少について「まずT/Cを受けてD/Sへという傾向がなくなり、受講者がD/Sに流れている」と説明した。  D/Sの国・地域別の認定者はハワイが172人と3年連続でトップ。次いでイタリア・マルタの86人、オーストラリアの82人。

 2010年度は、講座に「マレーシア」を追加し、22地域で展開するという。  なお、これまでの累計認定者数はT/Cが837人、D/Sが4524人。

訪日客25・8%増、4月では過去最高

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2010年4月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比25・8%増の78万7900人。4月として過去最高を記録し、6カ月連続のプラス成長となった。主要15カ国では、アイスランドの火山噴火の影響を受けた英国、フランス、ドイツを除く12市場で前年を上回った。3月28日の成田空港発着枠拡大(B滑走路延長)に伴い、エティハド航空、エミレーツ航空、マカオ航空が新規に就航。4月26日にはカタール航空が新規就航したことも、訪日客拡大の追い風となった。

 市場別にみると、韓国は、景気の回復や韓国ウォン高の影響で同66・9%増の18万9100人と大幅な伸びを示した。

 台湾は同20・2%増の10万9700人、中国は同41・3%増の15万900人、香港は同3・6%増の4万6600人と、東アジア市場は軒並み好調。そのほかにも、豪州は同15・5%増の1万8400人、米国は同8・4%増の6万6900人と増加した。

 一方、出国日本人数は同0・9%増の121万3千人とわずかながらも前年を上回り、2カ月連続の増加となった。