延べ宿泊数7.9%減、旅館稼動率は45.6%、宿泊旅行統計 4-6月

 観光庁がまとめた宿泊旅行統計調査(09年4―6月)によると、延べ宿泊者数は前年同期比7・9%減の6742万人泊。都道府県別上位は東京都が811万人泊、北海道が523万人泊、千葉県が338万人泊。以下、大阪府、静岡県と続き、上位5県で全体の3割超のシェアを占めた。

 増加したのは同4・3%増の石川県、同2・8%増の沖縄県、同1・8%増の長野県、同0・6%増の新潟県の4県。一方、滋賀県が同23・1%減、京都府が同20・3%減と大幅減となった。

 外国人延べ宿泊者数は同31・8%の410万人泊。宿泊者全体に占める割合は6・1%。都道府県別上位は東京都が152万人泊、大阪府が46万人泊、千葉県が32万泊。国籍別では1位が台湾、2位がアメリカ、3位が中国。上位3カ国で全体の約4割を占めた。

 同一施設における1人当たりの平均宿泊数は1・25泊、外国人は1・57泊とやや長め。都道府県別では、沖縄県が1・60泊、京都府が1・47泊。

 全国平均の客室稼働率は旅館が45・6%、リゾートホテルが44・3%、ビジネスホテルが58・7%、シティホテルが62・3%。

 調査は従業員数10人以上のホテル、旅館および簡易宿泊所1万38施設を対象に行い、回収率は72・7%だった。

お台場の夜景など、日の丸 新たに2コース運行

 日の丸自動車興業(東京)は東京都内を運行する定期観光バスの2回建てオープントップンバス「スカイバス東京」に、東京タワーやレインボーブリッジのほか、お台場の夜景なども楽しめる2コースを10月10日から新たに設けた。これで既存の「皇居・銀座・丸の内」コースと合わせて3コースになった。

 「お台場夜景コース」のルートは皇居―東京タワー―レインボーブリッジを経由して、お台場アクアシティへ。ここでは下車して60分間の休憩を取る。その後はレインボーブリッジ―築地―銀座―日比谷を走る。出発時刻は18時30分で、所要時間は約120分。料金は大人2千円、子供1千円。

 一方、「東京タワー・レインボーブリッジコース」は、レインボーブリッジまで夜景コースと同ルートをたどり、この後は勝どき―築地―銀座を回る。所要時間は約60分で、すべて車窓観光。料金は大人1700円、子供800円。出発時刻は10時20分、11時40分、12時20分、13時40分、14時20分、15時40分、16時20分、17時40分。 両コースともJR東京駅前の三菱ビル発着で、運行は1月1日を除く毎日。

パーティーに約500人参加、日本酒で乾杯推進会議 3万人の会員獲得目指す

 日本酒で乾杯推進会議(代表=石毛直道国立民族学博物館名誉教授)は10月2日、東京都内で総会・フォーラムと、パーティーを開き、約500人の会員が参加した。

 同会議は「日本酒で乾杯!」という言葉を象徴とし、国内で失われつつある日本文化を広く啓蒙していこうと2004年に設立された。活動方針などに関しては、学術や芸術、食文化、スポーツなどの各界有識者で組織する「100人委員会」を中心に議論を重ね、総会・フォーラムや地方大会などの開催にも取り組んでいる。

 総会では石毛代表が会議の活動について報告。引き続いて行われたフォーラムでは、備中神楽「酒造りと大蛇退治」の上演や「酒と芸と」と題して、俳優の小沢昭一氏と民俗学者の神崎宣武氏が対談した。

 パーティーでは、全国の酒造メーカーが持ち寄った55種類の日本酒が並び、参加者はそれぞれの特徴を楽しんだ。

 現在の会員数は約2万2千人。事務局を務める日本酒造組合中央会では、3万人の会員獲得を目指して、広報活動に力を入れている。年会費などは無料。

 問い合わせ=推進会議事務局 電話03(3501)0108。

産業観光まちづくり大賞、金賞は北九州市に(09.10.11日号)

「受け入れ体制作り」を評価

 全国産業観光推進協議会は、第3回「産業観光まちづくり大賞」を決めた。金賞は北九州市(福岡県)が受賞し、銀賞は函館市(北海道)と益子アートウォーク実行委員会(栃木県)が、また特別賞には横須賀市・横須賀集客実行委員会・トライアングル(神奈川県)、YKK・黒部市(富山県)が選出された。表彰式は10月22日の「全国産業観光フォーラム」(群馬県富岡市)開会式で行う。

 同賞は2007年度に創設。産業観光による観光まちづくりを実践している優れた事例を表彰する制度。審査は受入側と訪問側の双方にメリットあるビジネスモデルになっているか、また継続性があるかなどを主な評価点としたという。第1回の金賞は名古屋観光コンベンションビューロー、第2回は浜松観光コンベンションビューローが受賞した。

 北九州市は39事業所が産業観光振興に協力し、重工業から家庭用品まで多種多様な工場見学を実施している。周辺には北九州イノベーションギャラリーなどの公的学習施設や産業遺産もあり、産業観光資源は豊富なうえ、「北九州エコタウン」では26の事業が展開され、環境をテーマとした幅広い産業観光ができる。また、官民が連携し事業所担当者との意見交換会や観光ガイドの交流会など受け入れ体制作りにも取り組んでいる。

 審査では、北九州市は国を代表する素材型産業の集積地で、かつての公害問題を克服し、環境都市、ミュージアム都市として再生した手法は国内だけでなく世界でもモデルとなっているとし、受入れ事業所との定期的な会合で共に受入れ体制を検討、良好な関係を維持している点を評価した。

 また、21世紀のテーマである産業と環境との共生・調和を一つの資源とし、修学旅行の産業観光体験学習プログラムなどを中心に積極的なプロモーションを行っており、多くの学生が訪れているという。同市の08年の産業観光見学者数は約28万人で、海外からも約2万人を数える。

十日町で棚田サミット(09.10.11日号)

 全国の棚田(千枚田)を持つ市町村や棚田保全に取り組む団体などが集まる「第15回全国棚田(千枚田)サミット」が、10月16―17日に新潟県十日町市で開かれる。生産の場としての水田にとどまらず、環境保全や文化・歴史遺産としての棚田保全の意義や必要性を理解し合い、中山間地域の維持活性化を目指す。

 16日は松代総合体育館で午後12時30分から開会式と基調講演を行い、2時から市内の棚田見学(4カ所)。基調講演は酒井富夫富山大学極東地域研究センター教授による「中山間地域の農業構造改革 もうひとつの農業を考える」。6時からは全体交流会。17日は午前9時から分科会(5分科会=地域の自然と棚田の関わり▽皆で支える棚田の農業▽棚田と地域振興の取り組み▽スローライフと棚田のつながり▽棚田と震災復興の取り組み)。午後12時30分から事例発表、分科会のまとめ、閉会式。場所は地場産業振興センターほか。参加費はサミットが3千円、全体交流会が4千円。

 問い合わせ=サミット実行委員会事務局 電話025(597)2222。

大規模な海外プロモーション展開、ビジット・ジャパン・イヤー2010(09.10.11日号)

 観光庁と日本政府観光局(JNTO)は、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)最終年の2010年を「ビジット・ジャパン・イヤー(VJY)」と位置づけ、大規模な海外プロモーション事業を展開する。

 今年10月からは、訪日旅行の海外重点12市場を中心に、1市場最低3000万円をかけたオープン懸賞をスタートする。同キャンペーンは海外政府観光局や外国の航空会社などの協力を得て、ウェブサイト上で広く応募者を募り、簡単なアンケートに答えると、日本への往復航空券や東京ディズニーリゾート(TDR)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などの入場券が当たる。

1-8月で倒産は73件、ホテル・旅館経営業者の倒産動向調査(09.10.11日号)

「業歴30年以上が半数」

 今年1月から8月までのホテル・旅館の倒産件数は73件となり、2005年以降で過去最多を記録した08年(1―8月で84件)に次ぐ2番目のペース――帝国データバンクがまとめた「ホテル・旅館経営業者の倒産動向調査」によるもので、世界的な不況により観光やビジネス需要が低迷し今まで以上に競争の激化を招き、ホテル・旅館業者を取り巻く環境は厳しさを増しているという。

 調査によるとホテル・旅館経営業者の倒産は、06年から08年にかけて3年連続で増加している。09年1―8月は前年同期に比べ13・1%減少しているものの、08年に次ぐペースで推移している。

 一方、負債総額をみると、年々減少基調にあり、倒産の小型化が進んでいる。従業員数別でも10人未満が53・4%と半数以上を占めている。  負債額別にみると1―5億円未満が25件と最も多く、次いで10―50億円未満が17件、1―5千万円未満が12件。ここ数年は負債1億円未満の小規模倒産が増えており、全体に占める割合は増加傾向にあるという。なお、100億円以上は1件の発生で、大型倒産は減少している。

 従業員別では、10人未満の小規模業者が39件で最も多く、続いて10―50人未満が25件、50―100人未満が7件の順。300人以上の大規模業者は05年以降、発生していない。

 業歴別にみると、業歴30年以上の事業者が37件(構成比50・7%)となり、いわゆる「老舗倒産」が半数を超えていることが分かった。次いで20―30年未満が14件、15―20年未満が7件。なお、業歴10年未満も10件発生している。  地域別では関東が18件でトップとなり、次が中部の14件、東北の12件。トップの関東のうち最も件数の多いのは東京で6件、続いて茨城、群馬の各4件になる。

 今後の見通しについては、高速道路のETC割引や民主党がマニュフェストに掲げている高速道路の無料化などの好材料はあるとしながらも、「新型インフルエンザ流行による旅行客減少の影響が懸念されるうえ、出張などのビジネス需要も大幅な回復は見込めない」とし、「倒産は高い水準で推移していく」とみている。 

ふじのくにから海外へ、富士山静岡空港パスポートCP(09.10.11日号)

 日本旅行業協会(JATA)のVWC2000万人推進室は12月31日まで、富士山静岡空港と静岡県空港部就航促進室と連携し、地域発のパスポート取得キャンペーン「ふじのくにから海外へ」を実施している。パスポートの取得率向上と空港の利用促進が狙い。

 キャンペーン内容は、期間中に同空港から海外旅行に出発した人を対象に、応募者の中から174人に海外パッケージ旅行などが当たるというもの。賞品は海外旅行ペア3組のほか、海外航空券、静岡県内ホテル宿泊券など。ダブルチャンスとして県内に住民登録があり、今年4月1日以降にパスポートを取得して期間中に海外へ出発した人には、もれなくオリジナルグッズをプレゼントする。応募は同空港ターミナル1階の旅行会社団体受付カウンターにある応募箱などで受付ける。

 澤邊宏VWC2000万人推進室長は、取り組みを通して「1人でも多くの人に海外に出かけていただきたい」と語った。なお、同空港には大韓航空とアシアナ航空、中国東方航空が国際定期路線として乗り入れているが、路線が限られていることから「ほかの国内空港で乗り継いで海外に出るケースも応募可能」という。 

感染症風評被害対策、マスコミの「報道」も議論(09.10.11日号)

 観光庁は9月29日、有識者などで構成する「感染症発生時における観光関連産業リスクマネジメント検討会」を開いた。第2回となる今回は、同庁が作成した「観光関連産業における感染症風評被害対策マニュアル」の素案や、マスコミの報道姿勢などについて意見を交わした。

 同会は、観光団体や各省庁、地方自治体、学識者、報道機関などが委員となり、新型インフルエンザ発生で影響を受けた観光関連産業が、今後の感染症発生時の影響を最小限に食い止める方策を検討するのが狙い。感染症に対する業界共通のマニュアルを作成し、関係者がとるべき対策を共有する。  会議は、まず類似事例の調査結果や対策マニュアルの素案について観光庁側が説明した。また、マニュアルができるまでの対策として「観光関連産業において直ちに取り組むべき対策」(案)も発表し、(1)情報収集の徹底等(2)さらなる感染拡大に備えた対応の検討(3)予約客等に対する的確な情報提供――を提案した。

 これを受けた意見交換の場では、日本旅行業協会(JATA)理事・事務局長の奥山隆哉氏がマニュアルについて、「旅行者の過剰反応への対応」や「取消料収受の原則の確認」などを盛り込むことを要望した。また、「お客様への情報発信をどのように行っているか、旅館・ホテル側と旅行会社でお互いに協調して共有する場が現在ないので、BtoCに関する情報交換にも触れてほしい」とした。パームコンサルティング・グループ代表の伊原正俊氏は、「知識の部分とアクションプランが混在している」と指摘。とくにアクションの部分は「もっと具体的にしないと、マニュアルにならないのでは」と述べた。

 また、読売新聞東京本社編集局社会部次長の原口隆則氏は「『風評』というのは、ありもしない噂のことでマニュアルのなかで『繰り返される報道による風評被害』と記すのは、マスコミが助長して報道する前提で書かれている。現場の観光関係の方が、風評被害と感じて作成するマニュアルならいいが、国が出すマニュアルで記すと、報道機関は反発を覚える」と語った。これに対し、全国旅館生活衛生同業組合連合会厚生委員会委員長の野澤幸司氏は「実際に報道で被害に遭ったと感じている側からすると、発生当初は仕方ないが、その後、収縮する報道も考えてほしい」と意見した。また、新型インフルエンザに対しては「通常の季節性インフルとの比較などを併せてだしてもらうと分かりやすい。皆が安心するような発表、情報を」と要望した。

 一方、NHK報道局社会部デスクの小林潤氏は「とくに新型インフルエンザの場合は、当初は得体が知れなかった。国民を守る報道の視点からすると、最悪の事態を想定した報道にならざるを得ない」と語った。マニュアルのなかでは「平時の対応を充実させるべき。平常時に報道機関とのパイプや話し合いの場を作るというような具体的なことを記したほうがいい」とアドバイスした。 

従来の枠組み払い新規も 政権交代、概算要求見直しで 本保長官(09.10.11日号)

 観光庁の本保芳明長官は10月1日に開いた業界紙との定例会見で、政権交代による観光立国実現に向けた政策推進の影響ついて「基本計画もあるので、現状では変わりないと思っているが、政治主導で進めていくということなので、ある意味で事務方の仕事が変わる」と述べた。

 概算要求の見直しについては「シーリングがなくなり、これまでと違う形の予算要求が求められている。大臣の支持を含め政務三役からもらっている感触を踏まえ、材料を整え、相談していく段階。一言でいえば、成立したものと、連続性のない不連続なものになる」と語った。

 「事務方は材料を整えるだけ。具体的なことは言えないが、全分野において、従来の枠組みにとらわれない相談をしなければいけない。まったくの新規もあり得る。取り上げるかの判断、結果がどうなるかは政務三役次第」と語った。  観光庁発足1周年については「数字を出すのが求められていること。国際会議の誘致以外は、いずれも厳しい数字となった。厳しい環境下ではあったが、努力の余地はあったのではないか。他方で、アクションプランについて手は打ってきた。努力が一程度は評価され、総体として認知度向上につながったのではないか」と振り返った。

 なお、官僚の記者会見は原則禁止という政府の方針で、継続が危ぶまれた定例会見については「大臣の了承を得た」と、今後も継続して行う。