嵐山に高級旅館開業、泊食分離の「星のや 京都」(星野リゾート)

 星野リゾートは12月12日、京都・嵐山に高級旅館「星のや 京都」をオープンした。宿泊と食事を分けた泊食分離で、館内で夕食をとる場合は、和洋のアラカルトから自由に選ぶ。外での食事希望者には「京都吉兆嵐山店」に船で送迎するなど、周辺の料亭・飲食店を紹介する。

 客室数は25室で、音楽や映画を楽しめる書斎などを備えた2―3人の部屋(約120平方メートル)や涼み台を設えた眺望の良い2―4人利用の和室、ツイン(約35平方メートル)などがある。客室の通常料金は、2人以上で泊まる部屋の場合が6万9千円からの設定。1人用の客室も用意した。料金は5万5千円から。

 付帯施設としてダイニングやライブラリーラウンジ、2つの庭園などがある。

 同館は明治期創業の老舗旅館「嵐山温泉 嵐峡館」の本館を改装した。渡月橋の上流の保津川の右岸にある。31室あった客室を減らして1室当たりの面積を広げた。

2年連続100万人超え、立山黒部アルペンルート

 11月30日で今年の営業を終了した立山黒部貫光(富山市)がまとめた 立山黒部アルペンルートの2009年度の利用者数は前年度比2%増の103万7千人となり、2年連続で100万人を超えた。

 外国人観光客が新型インフルエンザや円高などの影響で54%減の6万8500人にとどまったが、高速道路のETC割引やテレビドラマ・映画などとのタイアップが奏効し、国内客が9%増の96万8500人と伸びた。とくに個人客が好調だったという。外国人客の内訳は台湾が52%減の4万9千人、韓国が30%減の5900人、中国・香港が1%増の9300人になる。

 方面別では富山からの利用客が9%減の48万4千人。約半減した外国人観光客が主に富山ルートをとっているためという。長野県大町市側からは14%増の55万3千人になる。

 なお、扇沢―黒部ダム間を結ぶ関西電力のトロリーバスの利用者数は約10%増の111万1157人だった。

 立山黒部アルペンルートは、長野県大町市と富山県立山町を結ぶ国内有数の山岳観光ルート。来年度の営業は4月10日に部分開通(電鉄富山―弥陀ヶ原、室堂―信濃大町間)、17日に全線開通(電鉄富山―信濃大町間)。雪の大谷ウォークは17日から5月31日を予定。

草津で毎晩「寄席」、出演者は中堅落語家が中心

 群馬県草津温泉は12月12日から、湯もみショーで有名な「熱の湯」で毎晩、落語寄席を開いている。草津ナウリゾートホテル内に事務局(小林恵生事務局長)を設け、ホテルマンが中心となって運営する。

 出演者は落語芸術協会に所属する2ツ目の中堅落語家が中心になる。公演スケジュールは公式ホームページ( http://www.onsen-rakugo.com/  )で順次公開される。

 開演時間は午後8時から8時40分まで。入場料は大人1千円、幼児・子供(4―11歳)が500円。電話とネットで事前予約も可能で、当日空席があれば予約なしでも入場できる。全席自由、年中無休。

 夜間の落語寄席は、昼間だけでなく夜間も楽しいというイメージ作りを目的に、顧客満足度やリピート率の向上、湯畑を中心とした地域の再活性化などを目指す。

 小林事務局長は「草津温泉のシンボルの湯畑で毎晩8時に落語を実施することで、継続的に提案できる新名物にしたい。期間限定のイベントではなく毎日公演することが重要。ボランティア公演と違い、きちんと商品提案をして入場料をいただくことで、継続運営の仕組みを考えたい」と語っている。  問い合わせ=電話0279(88)5118。

過去・現在・未来の日本を考える、平城遷都1300年祭が始動、年間を通し各種企画実施

 平城遷都1300年記念事業協会は12月4日、東京都内の奈良県アンテナショップ・奈良まほろば館で、平城遷都1300年祭事業を説明した。「はじまりの奈良、めぐる感動。」をテーマに1月1日からのオープニングカウントダウンを皮切りに、県内各地でさまざまなイベントや秘宝・秘仏の特別開帳などを展開する。メイン会場の「平城京跡」は、4月24日から11月7日までオープンする。

  田中敏彦事務局次長は「日本人が世界にはばたくようなきっかけになればいいと思う。奈良だけではなく、日本全体を元気にするイベントにしたい」とあいさつ。

 また、事務局の中山悟県内・広域事業部長は事業の趣旨を「都の変遷が奈良から始まり、国家形成、仏教、シルクロード文化の集積など日本の歴史が続いたことを感謝して祝うと共に、過去・現在・未来の日本を考えるもの」と説明。「フェアでも博覧会でも囲い込みでもない新しいイベントだ」とし、「県内で1年中さまざまな企画が行われる。一過性で終わらないものにしたい」と語った。

 「巡る奈良」で特別開帳される国指定文化財の合計は791件。なかには今回初公開されるものもあるという。「平城京跡」事業は、平城京歴史館や遣唐使船復原展示、平城京の仕事や衣装などが体験できる「平城京なりきり体験館」などを展開する。通季で古代行事の「衛士隊」「あおによしパレード」を再現するほか、春季は「大極殿完成記念式典」、秋季に「平城京遷都1300年記念式典」を開く。

 全体の参集規模は約1200―1300万人、平城京跡会場は約250万人を想定する。総事業費は約100億円。

重要文化的景観に、金沢の城下町など4件(文化審)

 文化審議会(西原鈴子会長)は12月11日、江戸時代の城下町発展の都市構造を継承する「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」(石川県金沢市)など4件を重要文化的景観に選定。また、「鶴の湯温泉本陣」(秋田県仙北市)や現存する最古のレンガ造り灯台「菅島灯台」(三重県鳥羽市)など21都県の136件の建造物を登録有形文化財にするよう川端達夫文部科学相に答申した。これで重要文化的景観の選定数は計19件、登録有形文化財登録数は計7865件となる。

 重要文化的景観は「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」のほか、「姨捨の棚田」(長野県千曲市)、「樫原の棚田」(徳島県上勝町)、「平戸島の文化的景観」(長崎県平戸市)の3件が選ばれた。

 「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」は、城下町の発展段階を継承するとともに、伝統工芸などの店舗が独特の界隈を生み出している▽「姨捨の棚田」は、大池から更科川への水系を軸に、用水・田越しの導水手法によって継続してきた約1500枚の棚田がある▽「樫原の棚田」は、勝浦川上流の典型的な棚田・山村で、土地利用形態が200年以上変化していない稀な事例▽「平戸島の文化的景観」は、かくれキリシタンの伝統とともに、棚田群や人々の居住地で構成された独特の景観という。

 主な登録有形文化財は次の通り。

 茂木本家住宅主家ほか(千葉県野田市)▽坂戸橋(長野県中川村)▽旧波佐見町立中央小学校講堂兼公会堂(長崎県波佐見町)▽宮崎神宮神殿ほか(宮崎県宮崎市)

ISO14001グループ取得へ、兵庫県淡路島の9旅館ホテル

 兵庫県淡路島の6社(旅館ホテル9施設)は自然環境の維持および改善をはかる環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001のグループ取得を目指し、12月25日、ホテルニューアワジでキックオフ式を開いた。JTB協定旅館連盟の支援の下、取得を目指す。兵庫県内では初。  取得を目指す6社9施設は、淡海荘、海月館、ホテルニューアワジグループ(ホテルニューアワジ、ホテルニューアワジ別亭、淡路夢泉景、夢海游淡路島、ホテルニューアワジプラザ淡路島)、淡路島観光ホテル、四州園なぎさ、淡路インターナショナルホテル・ザ・サンプラザ。

第19回旅行動向シンポジウム(日本交通公社)

 12月16日、東京都内の経団連会館で、「第19回 旅行動向シンポジウム」(主催:財団法人日本交通公社)が開かれた。第1部は恒例の「旅行マーケットの最新動向と2010年の展望」。同財団の黒須宏志主任研究員が報告。第2部は、「今なぜ京都だけが一人勝ち!?~集まる秘密を聞く」をテーマに、京都市の観光行政トップとして観光客5千万人構想の実現に寄与した、時有人社の清水宏一代表取締役と、立命館大学大学院経営管理研究科教授、京都ブランド研究会・座長など、公職も多数務めるジャパンライフデザインシステムズの谷口正和代表取締役社長が登壇した。講演内容を紹介する。

 黒須氏は09年の国内マーケットを振り返り、とくに1千円高速に注目。「景気後退や新型インフルエンザの影響は大きいが、一過性のもの。1千円高速の影響は今後も続く」と語った。1千円高速のプラス面を、出かけるモチベーションの喚起や一部に「宿泊したい」という人もいると認めつつ、公共交通機関へのネガティブな影響や日帰りシフトの継続、平日旅行の減少など、マイナス面を指摘した。

 JTB旅行マーケット調査によると観光目的の宿泊旅行の08年と09年を比較した出発日シェア(09年4―9月)は、夏休み、ゴールデンウイークともに前年比で増加。曜日別では土・日・祝日が2%増加している一方で平日が6%減少。さらに、宿泊数減少の3分の2は平日旅行の減少に起因していた。土・日・祝日への効果集中、日帰り傾向がはっきり見られた。

 10年の見通しについては、「節約疲れもあり、消費マインドは08年に比べて上向き。デフレメリットを感じ消費者は旅行に対して積極的で、『割安感』を感じているが、実際は収入源で支出は絞られるのではないか。新たに需要を分散化させる要素がでてこない限り、国内宿泊は前年比で微増止まり」と語った。

 海外旅行は、東日本、首都圏、西日本と地域別に分け、性年代別旅行者の動向(09年1―9月)を見ると西高東低の傾向が見られた。男性はどの地域も低調だが、とくに西日本の女性が顕著な伸びを示した。シルバー層の伸びも顕著だった。

 性年代別出国率動向(08年10月―09年9月)で、唯一20代女性が伸びたことについては、「デフレ以外の何ものでもない。『今行かなければ損だ』という気持ちの表れ」と指摘した。

 09年の海外旅行者数は前年比3・3%減の1645万人の見込み。10年は女性とシニアにリードされ堅調に回復し、同7・4%増の1660万人の予測。インバウンドについては、訪日客数を目的別に09年と10年で比較すると、観光は09年が同23・3%減から10年が同21・3%増に、ビジネスは同19・3%減から19・3%増とプラスに転じる見込み。09年の訪日外国人旅行者総数は同22・3%減の649万人の見込み。10年は同18・7%増の795万人の予測。

八千代座100周年迎える、3年かけ記念事業、山鹿市 “大沢親分”も応援に

 熊本県山鹿市(中嶋憲正市長)の八千代座が今年、建設100周年を迎えるのを記念して、今年度から「八千代座100周年記念事業」が始まった。2009年度から11年度までの3カ年度にわたるもので、09年度はプレ100周年、10年度は建設100周年、11年度は開業100周年と位置づける。

 基本テーマは「これまでの100年、そして、これからの100年」。将来、八千代座を引き次いでいく子供たちの育成などを視野に入れた事業を展開する。現在、子供を対象にした歌舞伎教室や朗読会などがあがっている。09年は10月にスペインの芸術家を招き市民らと地域シンポジウム、11月には記念事業のオープニングとして坂東玉三郎舞踊公演を開いた。また、目玉の一つとして最優秀作品には100万円贈呈という、八千代座キャラクター名およびデザイン公募を実施している=既報。

 100周年オープニングセレモニーは、2月17日に八千代座で行う。

 12月3日には中嶋市長やふるさと山鹿大使の大沢啓二元日本ハムファイターズ監督らが出席して、東京都内で記者発表した。中嶋市長はあいさつで、記念事業の主旨を説明し、「11年は九州新幹線全線開通の年にもあたる。これを千載一遇のビッグチャンスと捉え、山鹿市と八千代座の心を全国に広く発信し、観光客誘致をはかりたい」、井口圭祐山鹿温泉観光協会会長も、「八千代座は廃屋の時代もあったが見事に復興を遂げた。この事業で先人の思いや復興の思いを子供たちに伝えるとともに観光振興にもつなげたい」と述べた。

 一方、〝大沢親分〟は、山鹿市の子供たちは道であっても必ずあいさつをする。教育がしっかりしている証だとし、「山鹿を一言でいうとあっぱれ」と称賛。「市の発展のために私も尽力を惜しまない」とした。

旅行会社の生き残る道とは――「観光業の総合コーディネーター」、日本旅行・矢嶋氏が講演

 地域科学研究会高等教育情報センターは09年12月10日、東京都千代田区の私学会館アルカディア市ヶ谷で「観光・ツーリズム系の教育・人財ニーズ」をテーマとしてセミナーを開いた。セミナーには、旅行会社を代表して、日本旅行広報室マネージャーの矢嶋敏朗氏が「総合旅行会社『広報室』から~日々感じる地殻変動と総合旅行会社が生き残る道」と題して講演した。

 矢嶋氏は、インターネット予約サイトや航空会社の直販化などの動きを受けて、今後総合旅行会社が生き残る道の一つとして、「従来型の旅行会社から脱皮し、『観光業の総合コーディネーター』役を担うべきではないか」と述べた。

 矢嶋氏は価格競争が激化している現状を紹介し、これまで日本旅行が取り組んだツアーの成功例を幾つかあげた。1人100万円の「日本1周バスの旅」では、マスコミを効果的に利用した話題づくりの手法や、旅行会社が地域とお客との「橋渡し役」となりうる可能性などを語った。また、09年10月、同社は新潟県の魚沼市観光協会と連携し、新日本プロレスの興業を行い、「地域との間で独自の地域振興モデルを築くきかっけとなった」などの成果を報告した。

 そのほか、同社の社員で、年間取扱高が8億円、ファンクラブ会員が2万人にのぼる〝カリスマ添乗員〟平田進也氏の知名度を生かし、広告代理店やPR会社の役割を果たす部署「おもしろ旅企画ヒラタ屋」を新設し、ビール会社や化粧品会社などを巻き込んだツアーやイベントを企画しながら、新たな事業分野を開拓していく姿勢などを説明した。

 矢嶋氏は産と学のさらなる連携の必要性を訴え、「観光学部にはマネジメント系、ホスピタリティ系、地域系などあるが各分野が横断的に産業と連携していただきたい」と産業側からの視点で要望。旅行関連産業を目指す学生には、「さまざまな人たちとの調整が必要な職種であるため、コミュニケーション能力と粘り強さが必要」と語った。

観光庁長官表彰を創設、13人が受賞、特別功労に須田氏ら(観光庁)

 観光庁は、国際競争力のある観光地づくりや、外国人に対する日本の魅力発信など観光振興や発展に貢献した個人や団体に対し、「観光庁長官表彰」を新設し、第1回の表彰者として13人を選出した。今回は1回目として、「特別功労」を設け、女優で観光大使の木村佳乃さんと東海旅客鉄道相談役の須田寬氏の2人を特別表彰した。

 昨年12月14日に同庁内で表彰式を開き、本保芳明長官から出席者に表彰状の授与が行われた。本保長官は「審査委員会で激論を交わし、選んでいただいた。各分野で賞を設けた」とし、「これまでの功績を称えるとともに、観光の世界を引き続き引張っていただきたい」と今後の期待を込めて受賞者を称えた。また、「おもてなし・人材育成」部門で受賞した和倉温泉・加賀屋客室係教育リーダーの岩間慶子氏は「日本一の加賀屋で働かせていただき、お客様に支えられ、社員に支えられて受賞できた。これからもこの賞に恥じることのないように、努めていきたい」と喜びを語った。

 審査委員会委員長の青山学院大学特任教授・青木保氏が発表した選考の観点は、(1)新たな分野を開拓した(2)今までと異なる視点から日本の新たな価値を示した(3)海外において、日本の魅力を観光地に限定せず、文化・芸術などについて広く発信した――の3点。当初推薦があった117件のうち、17件を審議の対象にしたという。

 受賞者は次の各氏。

【国内観光振興】
川島聖史(岡山県美咲町産業観光課課長補佐)▽小菅正夫(旭川市旭山動物園名誉園長)▽中谷健太郎(亀の井別荘社長)▽福澤武(三菱地所相談役、大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会会長)

【国際観光振興】
李硯鎬(ビコ社長)・李美順(ビコTS社長)▽カトリーヌ・オーデン(フランス観光開発機構在日代表)▽Supernet Tour and Travel(台湾系米国旅行会社)▽ハローキティ(中国・香港観光親善大使)

【文化・芸能・伝統工芸による観光振興】
馮小剛(映画監督)

【観光関係事業の経営者】
大西雅之(阿寒グランドホテル社長)

【おもてなし・人材育成】
岩間慶子(加賀屋客室係教育リーダー)

【特別功労】
木村佳乃(女優、観光広報大使)▽須田寬(東海旅客鉄道相談役)