2024年5月14日(火) 配信
KNT-CTホールディングス(米田昭正社長、東京都新宿区)が5月9日(木)、コロナ禍に策定した2021~25年度までの中期経営計画を見直すと発表した。新計画は24~26年度までの3カ年で、「信頼回復と持続的成長に向けたグループ一体運営の強化」をテーマに掲げた。最終年度となる26年度の連結決算では、営業利益が23年度比16.9%増の85億円、当期純利益が同6.1%増の80億円の達成を目指す。
21年度に策定した中期経営計画では、コロナ禍に伴う旅行需要の消失という未曾有の事態に対処するため、事業構造の抜本的見直しをはじめとする施策に取り組み、財務状況を改善してきた。
一方で、新型コロナ関連のBPO事業での過大請求により、信用を大きく失墜。加えて、アフターコロナでの旅行市場の変化や、人手不足の深刻化や円安・物価上昇などの社会・経済構造の変化など、新たな経営課題に直面している。このようななかで、同日に新社長に内定した小山佳延専務は「社会からの信頼を再び取り戻して持続的成長を実現するために、中期経営計画の見直しを通じて、新たな経営の方向性を示すことが不可欠と判断した」と説明した。
重点施策として、①信頼回復に向けた企業風土改革の継続②事業ポートフォリオの再設計③BtoC事業の価値向上④人的資源の最大活用――の4点を柱に推進していく。
具体的には、近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが一体となって地域共創事業と訪日事業の拡大に取り組み、グループ各社で取り組むBtoC事業はクラブツーリズムを軸とした一体的運営により事業価値の向上をはかる。これらを実現するために不可欠な人的資源やシステムなどは、グループ共通化により、全体最適の視点からグループ経営資源の最大活用を進めるとしている。
□24年3月期連結決算、売上増も純利益減少
KNT-CTホールディングスの24年3月期(23年4月1日~24年3月31日)の連結決算は、売上高が前年同期比1.3%増の2554億2700万円となった。
営業利益は同36.3%減の72億7200万円、経常利益は同33.8%減の79億7700万円、当期純利益は同36.0%減の75億4000万円。国内・訪日旅行が堅調な回復を見せた一方、海外旅行の回復の遅れや新型コロナ関連のBPO事業の大幅減などが影響した。
25年3月期連結業績予想では、売上高が同11.6%増の2850億円、営業利益が同3.1%増の75億円、経常利益が同6.0%減の75億円、当期純利益が同0.5%減の75億円を見込む。