第2のふるさとづくりPJ 再来訪促進のため12のモデル事業採択へ(観光庁)

2024年4月30日(火) 配信

観光庁はこのほど、「第2のふるさとづくりPJ」のモデル実証事業を12地域で実施する

 観光庁は4月26日(金)、「第2のふるさとづくりプロジェクト」のターゲットニーズに着目した再来訪促進のためのモデル実証事業を採択した。継続的かつ多頻度での来訪を促進するための仕掛けづくりに取り組む事業として、12の地域でモデル実証を行う。

 選定した事業は次の通り。

読売広告社「先駆者や大学教授から『地方での起業』を学ぶことで、移住課題である収益確保の術を身に着ける観光プログラム~複数来訪をきっかけに“自分が暮らす、我が上川町”を創り出す~」(北海道・上川町)

渡辺梱包企画「人を繋ぎ未来を創造する『トーヤの森』プロジェクト」(北海道・洞爺湖町)

福島市フルーツラインエリア観光推進協議会「信達地方の蚕の糸が結ぶ文化と人~シルクロードが導く再来訪の仕組みづくり~」(福島県福島市ほか)

岳温泉観光協会「山でつながる山旅サポーター通い旅」(福島県二本松市)

秩父地域おもてなし観光公社「年間300日以上祭りを開催!地域の象徴『祭り』をハブにコミュニティをつなぐプロジェクト」(埼玉県秩父市)

雪国観光圏「『地域に何度も通う旅・帰る旅』で地域を自分ごと化する関係”行動”人口創出プログラムin雪国観光圏」(新潟県南魚沼市ほか)

ジソウラボ「つくる人をつくるin『井波彫刻塾』─伝統と革新が混ざり合うまち井波で、“マスター”との出会いを通じたファンづくり事業」(富山県南砺市)

生坂村「『自然再生で村おこし』共に学び育てる生坂村リジェネラティブツーリズム」(長野県・生坂村)

栗東市観光協会「山と里とともに生きる奥金勝(おくこんぜ)『ファザーフォレストライフ』構築実証事業」(滋賀県栗東市)

全但バス「新温泉町のファンが、次なるファンを創出していくための『新温泉町ローカルクエストvol.2』」(兵庫県・新温泉町)

地方創生「濃度・深度にマッチした再来訪への仕組みづくりの深化を目指す琴平町観光マーケティング実証事業」(香川県・琴平町)

キタ・マネジメント「来訪者が地域とつながり続ける持続可能な仕組みづくり事業~サステナブルシティを第2のふるさとに~」(愛媛県大洲市)

24年度春の叙勲・褒章 清野智氏(元JNTO理事長)が旭日大綬章

2024年4月30日(火) 配信

清野智氏

 政府は4月29日付で、2024年度春の叙勲および褒章受章者を発表した。本紙関連では、旭日大綬章に元日本政府観光局(JNTO)理事長・元東日本旅客鉄道社長の清野智氏、旭日重光章に元ANAホールディングス社長の伊東信一郎らが受章した。

 国土交通省の大綬章・重光章の受章者は、5月9日(木)に皇居で親授式および伝達式を実施。中綬章以下の受章者は、5月13日(月)に東京ドームホテルで、褒章受章者は5月14日(火)に国土交通省10階共用大会議室で伝達式が行われる。

 本紙関連の受章者は次の各氏。

井手憲文氏

 【勲章】 旭日大綬章 清野智(元東日本旅客鉄道社長)=元日本政府観光局理事長 鉄道事業功労

 旭日重光章 伊東信一郎(元ANAホールディングス社長)航空運送事業功労

 瑞宝重光章 井手憲文(元観光庁長官)国土交通行政事務功労

 【褒章】黄綬褒章 石澤照代(黒石観光ホテル花禅の庄代表取締役)旅館業務精励▽新山富左衛門(古湧園代表取締役)旅館業務精励▽下代隆士(のと楽森の栖リゾート&スパ料理長)調理業務精励▽山口和孝(琴平グランドホテル桜の抄調理長)調理業務精励

 藍綬褒章 清澤正人(元全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会専務理事)生活衛生功労

清澤正人氏

天王洲・キャナルサイド活性化協会が「登録DMO」取得

2024年4月30日(火) 配信

天王洲・キャナルサイド活性化協会が3月29日、「登録DMO」取得

 天王洲・キャナルサイド活性化協会(三宅康之代表理事、東京都品川区)は3月29日(金)付で、観光庁から東京都品川区を対象地区とする「登録DMO」として認定された。

 同協会は2015年から活動を開始。品川駅や羽田空港など交通アクセスが良い天王洲エリアの活性化を目的に、地域の魅力である水辺空間とアートの利活用を中心とした観光コンテンツの発掘や磨き上げに取り組んできた。

 16年から地域イベントとして定期開催している「天王洲キャナルフェス」の来場者数は6万人を超える。天王洲内の倉庫やビル壁面にアーティストによるミューラルアート(壁画)の設置に加え、公共空間への立体アートを設置するプロジェクト「天王洲アートフェスティバル」は、アートの街として国内外から注目を集めている。

 「地域DMO」認定により、管轄の行政機関だけでなく、東横インや日本航空(JAL)、JTBなど天王洲に拠点を置く企業の協力も得ながら、「天王洲エリアの各データを包括的に活用したマーケティング分析が可能になる」(三宅代表理事)と将来を見据える。

 これにより、水辺やアートだけでなく、旧東海道や屋形船といった古くから地域に根付く観光資源などにも連携を広げ、品川駅や羽田空港など交通面での利便性の強みを生かしてインバウンドや、都内近郊のアクティブ層、地域住民などに、魅力を伝えていく考えだ。

「観光人文学への遡航(47)」 ライドシェア導入に対する疑問⑤

2024年4月30日(火) 配信

 ライドシェア導入の議論は、単にライドシェアがタクシーの穴を埋めるための枠組みを作るという代物では決してない。日本人が主体的に生きられるか、未来永劫搾取され続ける存在となってしまうのか、その分岐点に私たちは今立っている。

 人間の真の自由とは、労働時間を自分で決められるといったそんな表面的な自由ではない。首根っこを得体の知れないものにつかまれ、公の議論もできないまま、その得体の知れないものの意のままに枠組みが作り変えられる中に一般市民が無抵抗の状態で入れられるということだ。

 プラットフォーマーは、最初は要員を確保するために手数料率も低く抑えていい顔をしてやってくるが、ひとたび要員の確保ができた途端、その手数料率は有無を言わさず上げてくる。ウーバーイーツをやったことのある人に聞いたことがあるが、当初は1配達に付き600円程度の収入があったが、現在では大体300円くらいになっているそうだ。これはすなわち、当初喧伝されていた片手間で手軽に多様な働き方を実現できるなんて代物にはならなかったということだ。 

 ライドシェアは労働者としての権利もなく、プラットフォーマーはその運送に関してまったく責任を負わなくてよい。こんなプラットフォーマー側だけを利するうまい話が許されていいのか。

 また、ドライバーは乗客による評価システムで常に評価にさらされている。乗客はいい人もいれば、安全運行を阻害するような行動をとる人もいる。それに対して注意したことで逆ギレし、低評価をつけるといったことも十分に考えられる。タクシー事業者であれば、たとえお客様からクレームが上がったとしても、管理者がドライバーに対してヒアリングをして、ドライバーに正当な言い分があればそれを聞くことでより公平公正な評価につなげることができる。しかし、単なるプラットフォーマーであれば、乗客の評価を1つ1つ検証したりはしない。そして、あらかじめ定められた基準を下回ったら、チェックもせずに自動的に契約解除を言い渡す。既に飲食業ではグルメサイトの評価におびえる構図が定着し、多くの弊害が報告されている。

 人を評価するという行為は責任を伴う。現在は、単純にムカつくから低評価をつけて憂さを晴らす人が野放しだ。ネット上には口汚い言葉が並んでいる。お互いを信用しないで評価というツールで均衡を保っている状況をバルコニーの上から高みの見物をして、何の責任も取らずに中抜きするプラットフォーマーだけが得をしてゆく。

 ライドシェア導入は、我が国もそのような得体のしれないものに操られる社会になるということだ。タクシーが駆逐されたら、もう元には戻らない。引き返すなら、今しかない。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

【テマリズム 奥平崇史社長に聞く】テーマツーリズム創出 人と人の交流を積み重ねる

2024年4月30日(火) 配信

奥平崇史(おくだいら・たかふみ)社長

 沖縄県・石垣島(石垣市)など八重山諸島の埋もれた地域資源に光を当て、新たな需要創出をはかることを目的に昨年10月、テマリズム(同市)を設立した。奥平社長に話を聞いた。

【土橋 孝秀】

 奥平社長は東京で旅行会社に勤務したのち、2000年に妻まゆみさんの父親である平田哲三氏が創業した平田観光(同市)に入社。16年に社長に就くなど、八重山離島観光の草分け的存在である同社を妻と二人三脚で引っ張り、22年末に退社した。

 「八重山諸島には小さくとも魅力あるコンテンツがまだまだたくさんあるということに気付き、探求してみたいという強い思いから法人設立を決意しました。〝テーマ観光コーディネーター〟として、テーマ性のある旅をデザインし、地元とのつながりを大切にしながら新たな価値づくりを目指していきたい」と話す。

 テマリズムという社名は、「テーマ」と「手間(テマ)」を掛け合わせもの。さらに、島に生きる人々の息遣いや歴史・文化などの「リズム」を大切にしながらも、そこに主義・流儀などを意味する新たな「イズム」を生み出していきたいとの思いが込められている。

 テマリズムで実施するのは

〈旅行新聞5月1日号コラム〉――「旅の力」を再認識 平時に比べ、今は一層「旅」が重要に

2024年4月29日(月) 配信

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)が提唱する「旅の力」には、「5つの効果・効用がある」と、JATAホームページにも掲示されている。5つとは、①文化の力②交流の力③経済の力④健康の力⑤教育の力――を指す。

 具体的には、【文化の力】は、色々な国や地域の歴史、自然、伝統、芸能、景観、生活などについて学びつつ、それらの発掘・育成・保存・振興に寄与できる▽【交流の力】は、国際あるいは地域間における相互理解、友好の促進を通じ、安全で平和な社会の実現に貢献できる▽【経済の力】は、旅行・観光産業の発展による雇用の拡大、地域や国の信仰、貧困の削減、環境の整備・保全など、幅広い貢献ができる▽【健康の力】は、日常からの離脱による新たな刺激や感動、遊・快・楽・癒しなどを通じ、からだやこころの活力を得、再創造へのエネルギーを充たす▽【教育の力】は、旅による自然や人とのふれあいを通し、異文化への理解、やさしさや思いやり、家族の絆を深めるなど、人間形成の機会を広げる――とある。

 JATAの髙橋会長はさまざまな場で、「旅の力」の効果・効用について力を込めて語られてきたが、近年の国際情勢の著しい悪化や、3年以上にわたるパンデミックによる世界的な人的交流の制限、不安定な経済状況が基盤の社会の片隅に佇むと、平時に比べ今は、5つの「旅の力」の重要性が一層差し迫って感じられる日々である。

 そして、5つの効果・効用のなかで私がとりわけ注目していたのが「健康の力」である。

 春先から少し体調を崩してしまい、低調のまま、回復しない体に打つ手はなかった。外にも出ず暖かい部屋でリクガメと遊んだり、ぼんやりと窓の外を眺めたり、このような状態で春を送るのかと侘しく思った。

 そこで思い立ったのが、旅に出る事だった。さまざまな取材の中で、「旅をすると転地効果もあり、体調が良くなる」や、「温泉の効果」など何度も耳にしてきたし、インタビュー取材のなかで語られたこともあった。ちょうどいい機会なので、自分の体で試してみようと、思い切って2泊3日の長距離ドライブ旅を計画した。

 体調を崩す直前に訪れたのが、鹿児島や台湾など南の方だったので、空気を変え北に向かおうと、青森県下北半島の最北端・大間崎と、津軽半島の最北端・竜飛崎を目指す決心をした。体調がさらに悪化する恐れもあったが、一種の賭けであった。

 毎度のことであるが、私の「出立の日」は朝早い。星空輝く午前3時にハンドルを握り、神奈川県を出発。正午過ぎには青森県八戸市のウミネコ神社で有名な蕪嶋神社に到着。八戸市の巨大市場「八食センター」で寿司を食べ、陸奥市内で宿泊。翌朝雲一つない大間崎の鮪の一本釣りのモニュメントを訪れ、仏ヶ浦展望台に立ち寄った。青森市方面に南下し、再び津軽半島を北上し竜飛崎に向かった。 竜飛崎灯台から360度の真っ青な海を眺めると、長距離ドライブで疲れたが、やり遂げた達成感に包まれた。

 その夜は秋田県の湯瀬温泉に宿泊し、温泉に浸かった。ドライブ旅行中は内省的な思考になり、流れる東北の明るい風景がストレスを霧消させた。体調は確実に回復に向かっているのを実感したことが、大きな収穫だった。

(編集長・増田 剛)

 

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(4月号)」

2024年4月29日(月) 配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 今月号では、予定を変更して能登半島地震を特集しました。日本の米栽培の現状を特集した2021年10月号では、能登の米農家さんを取材し、旅行ページでは輪島を取り上げていました。かつて取材をした人や場所が、大震災でどのような被害を受けたか、フランスの読者に伝える使命感がありました。取材は1月中旬に数日をかけて行い、被害が大きかった輪島市や珠洲市で住民の方々にお話を伺いました。また、被害は比較的大きくなかったものの原子力発電所がある志賀町での1次避難所を取材したほか、かつて取材していた米農家さんとも避難所で再会し、過疎地の避難の現状と今後の農業についてお話を伺いました。文化ページでは、4月10日フランスで公開の「悪は存在しない」の濱口竜介監督に独占インタビューを行っています。

〈フランスの様子〉フランス版青春18切符

「7月・8月、49ユーロの鉄道パス:首都圏の若者も利用できる」4月11日付Liberation紙のウェブサイトより

 フランスではこれまで日本の青春18切符のような取り組みはなかった。◆日本のように張り巡らせられた鉄道網がないこともあるが、インターネットがある前は大学の掲示板などでライドシェアを募集したり、路上ヒッチハイクがお金を節約する若者たちの移動手段だった。◆4月の初め、国交大臣が発表したのが、7月と8月、1カ月49ユーロで鉄道が乗り放題のレール・パス。◆対象は27歳以下の若者で、TGVなどの高速鉄道は含まれない。◆すべての人がいつでも使えるパスのシステムの議論もあったが、今回は期間も限定、対象も若者だけとなった。◆一部の地域や首都圏は、直前まで合意を渋っていたが、国が80%の予算を負担することや、首都圏内の移動には適用しないことで、レール・パスがフランス全土で利用可能になった。◆国交大臣によると、このレール・パスの目的は、「若者が我われの美しい国のさまざまな地方を再発見するため」という。6月15日からフランス国鉄SNCFの専用アプリで購入できる。◆来年以降については今年の成果次第だという。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旅行新聞 編集部〉

シンポや北陸応援 人口拡大と文化醸成へ 全国クルーズ活性化会議

2024年4月28日(日) 配信

豪華客船内で会見

 全国146の港湾管理者などで組織する「全国クルーズ活性化会議」(会長=久元喜造神戸市長)は4月15日、神戸ポートターミナルに停泊中のオランダ船籍客船「ウエステルダム」の船内で、「クルーズdeツナグ・プロジェクト」の共同記者会見を開き、全国リレーシンポジウムや北陸復興応援など、今後の事業について説明した。

 同プロジェクトは、

群馬・上野村、Iターン者20%超え 雇用を生む循環型社会構築

2024年4月27日(土) 配信

黒澤八郎村長

 群馬県・上野村(黒澤八郎村長)は3月11(月)~12日(火)、メディアで活躍する有識者を招き、意見交換会を開催した。黒澤村長は村が興した観光や林業などの経済を発展させ、雇用を生む循環型社会を構築しながら、移住対策にも注力したことを紹介。「Iターン者は20%を超えた。全国でも、ほかにない」と説明した。その後、参加者と村の未来に向けた意見を出し合った。

【木下 裕斗】

 意見交換会では最初に黒澤村長が、

【如心の里ひびき野(伊香保温泉)養田博美女将に聞く】静寂の空間で事業の多角化進める

2024年4月27日(土) 配信

養田 博美(ようだ・ひろみ)女将

 群馬県・伊香保温泉のシンボル石段街から少し離れた場所に、約1万5千坪の広大な敷地に佇む62室の宿「如心の里 ひびき野」(養田博美女将)はある。昨年7月には、キャンプと温泉&サウナ、ドッグランなどを備えた複合施設「LUONTO」をオープンするなど、事業の多角化を進め、個性溢れる宿として注目を集めている。伊香保温泉旅館協同組合の婦人部「お香女会」の部長として地域の魅力づくりにも取り組む養田女将に話を聞いた。

【増田 剛】

 ――「如心の里 ひびき野」の歴史について教えてください。

 20年ほど前に縁があって今の施設を運営することになりました。
 この施設に初めて訪れたとき、大雪が降っており、何一つ物音がない、静寂の中で時が止まったような感覚に満たされ、妙に心が落ち着いたのを覚えています。
 ふと、織田有楽斎(織田長益)の茶室「如庵」が思い浮かび、「そのままの飾らない心で過ごしていただきたい」との想いを込めて、「如心の里」としました。
 そして、お客様と宿主の心が、声や音が無くても共鳴し合えるように、「ひびき野」と名付けました。
 当初は宿の名前を知ってもらうところからのスタートで、