いぶすき秀水園 湯通堂温社長、松尾亮史調理長インタビュー プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選「料理部門」40年連続1位

2024年3月23日(土) 配信

インタビューはいぶすき秀水園で行われた

 鹿児島県・指宿温泉の「いぶすき秀水園」(湯通堂温社長)は、旅行新聞新社主催のプロが選ぶ日本のホテル・旅館100選の「料理部門」で、1985年から40年連続で1位という偉業を続けている。3月1日には、同館で特別表彰式を開くとともに、湯通堂温社長と、松尾亮史調理長に、宿の歴史から、料理へのこだわり、未来への展望など、「いぶすき秀水園の料理」について語っていただいた。

【聞き手=本紙社長 石井 貞德】

新たな試みと研究で進化を 調理場の働き方改革に着手

 ――いぶすき秀水園の創業から現在までの歴史についてご紹介をお願いします。

湯通堂 温(ゆつどう・あたか)社長

 湯通堂:私の父であり、先代の保(たもつ)が1963(昭和38)年8月に、焼酎蔵元の別荘を和室8部屋の純和風旅館「喜楽(きらく)」として創業したのが始まりです。
 母方の家業として焼酎の造り酒屋を営んでいましたが、蔵元の代表銘柄が「喜楽」でした。
 焼酎も時代とともに大きく変わり、戦前は地元での消費が多かったのですが、次第に日本酒や洋酒、ビール、ワインなどに押された時期でもありました。
 旅館を始める当初、父は鹿児島市内の料理屋さんに相談に行っていたのですが、ことごとく「旅館はやめなさい」と言われたそうです。
 ただし、「料理の良い(美味しい)旅館だったら、成功するかもしれない」と言われたことで、食べることが好きだった父は、宿の創業を決意しました。
 その後、1977(昭和52)年に石井正治が調理長に就任したことで、秀水園の「味」を広めることになりました。
 85年には、旅行新聞新社主催のプロが選ぶ旅館・ホテル100選の「料理部門」で1位に入選いたしました。以来、40年連続で1位を続けて来られたことは、大変名誉なことだと感じています。
 現在は、調理長に松尾亮史を迎えています。松尾調理長は関西で働いていましたが、石井前調理長のもとで1年間働くなかで、調理技術、人間性ともに太鼓判を押され、6年前に調理長に就任しました。

 ――どのような努力によって“料理の秀水園”は確立されていったのでしょうか。

 湯通堂:81年に新館を増設し、特別室4室を作ったころから先代の保社長と石井調理長が二人三脚で料理の改革に取り組み始めました。基本的な考え方として、「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」召し上がっていただけるように実践していきました。
 なかでも、お客様に「嫌いなもの」をお伺いすることは、他の旅館に比べて早かったのではないでしょうか。
 直接お客様に電話をして料理のお好みを聞くというやり方で、今でも旅行会社からの宿泊客を含め、すべてのお客様に直接「嫌いな食べ物はございませんでしょうか」、「アレルギーはございませんでしょうか」と予約時に一度お聞きし、到着時に再度確認しております。
 このため、フロントと調理場とのコミュニケーションがとても大事になってきます。私たちは「イエローカード」と呼んでいますが、お客様の嫌いな食材を3枚綴りで複写して、それを調理場に持っていき、仲居さんにも渡すといった細かい作業を努めて継続してきました。このことがお客様のニーズに応えられたのかと思います。
 今でこそ、IT化により携帯端末を駆使していますが、当時はカードを使って情報共有に努めていました。
 調理場の現場は、「嫌いなもの」が多くなるほど混乱して大変でした。失敗してお叱りを受けたこともたくさんありましたが、次第に慣れてきて、今ではほぼ問題なく対応できています。
 最近はとくにお子様のアレルギーが多くなりましたので、細心の注意を払っています。

 ――とても柔軟に対応できるかたちになっているのですね。

 湯通堂:料理を召し上がっている途中であっても、その日の体調の変化などによって「特定の料理が食べられない」というケースも出てきます。その場合、接客スタッフが調理場に連絡をして、変更できるもので対応いたします。
 例えば、牡蠣が苦手なお客様には、「あわびは大丈夫ですか」とお聞きし、調理長に報告します。調理長が不在の場合には代わりのスタッフに伝え料理を変更します。魚料理全般が食べられないお客様には、お肉料理に変えるなど調理後でも柔軟に対応しています。
 事前の情報が正しく入ればいいのですが、完璧ではないので接客スタッフの協力をいただきながら、できるだけお客様にお食事を楽しんでいただけるような対応を心掛けています。嫌いなものを事前にお聞きしているために、食材のロスはほとんどなくなりました。

 ――なかなかそこまで徹底している宿は少ないのではないかと思いますが、取り組みのきっかけは。

 湯通堂:お出しした料理を残されることが一番辛いと感じます。
 毎日のミーティングでお客様が残された料理などを報告するのですが、先代の父の時代には指宿の名物であるウナギや豚骨などは、女性はあまり召し上がられない時代でした。
 このため、肉質を柔らかくする大豆を入れて、旨味を引き立てた豚の角煮など新たなメニュー開発も行いました。お客様が食べたいと要望されたものを何とかメニューにできないかと創意工夫してきました。 
 石井前調理長が創った料理の中では、「柿釜ふろふき焼き」や「黒豚やわらか煮」などは、今も松尾調理長が引き継いで提供しています。
 リピーターの方には幾つかの選択肢の中からお好みの料理をお伺いしてお出しすることもあります。

 ――経営者と調理場のコミュニケーションについて。

 湯通堂:刺身は一般的には、市場から鮮魚店経由で旅館に入ってきますが、知り合いの船頭さんから「大ぶりの星ガツオが揚がった」と連絡が入ると、南さつま市まで往復で約80㌔ありますが、現地まで行って松尾調理長と食材として使えるかを相談しながら仕入れています。
 そのほかにも指宿温泉でホテル・旅館の調理長とオーナーが一緒に参加する現地研修旅行を毎年実施しています。
 先日は、神戸のホテルと、淡路島の旅館に宿泊して料理の研修を実施しました。当館は松尾調理長と、息子の洋(ひろし)副総支配人も参加しました。料理に対する“想い”の強さは、先代のころから続く指宿温泉の大きな特徴だと思います。
 毎週火曜日の休館日には、松尾調理長が若手スタッフを人気の料理店などへ連れて料理の勉強をすることもあります。
 今は「調理場の働き方改革」を松尾調理長と共に着手しています。
 週1日を休館日にしている一番の理由は調理場のためでした。良い仕事をするにはしっかりと休みを確保することを重視しています。

 ――調理場は何人体制ですか。

松尾 亮史(まつお・りょうじ)調理長

 松尾:社員が6人、調理補助スタッフが4人で、このうち3人が女性です。今年4月に新入社員が2人入るので社員は8人になります。早番と遅番の2交代制への移行に向けて準備を進めている最中で、これによって残業がほぼなくなるのではないかと考えています。

 ――いぶすき秀水園の料理の特徴は。

 松尾:日本料理で一番大事なものは「季節感」だと思っています。石井前調理長の「あわび素味噌焼き」や「美味豆富」などは今も人気が高いメニューで、名物料理として必ず入れながら、地物の食材や、流行りの食材、旬の食材などをそれぞれの季節に合わせて、新しい調理法なども取り入れながらお出ししています。
 指宿港で揚がった魚について漁師さんから連絡があるので、極力地元の魚を使用しています。そら豆も生産者から直接買っています。湯通堂社長と一緒に現地に行って相談しながら、食材選びをしています。生産者の顔が見えるというのはとても大きいですね。
 加えて、お客様のニーズに合わせた「秀水園でなければ食べられない」や「また泊まりに来て食べたい」と思っていただけるような料理を提供できるように日々努めています。

いぶすき秀水園の料理(一例)

 湯通堂:当館の料理の基本姿勢は、「お出ししてすぐに召し上がっていただける料理」を心掛けています。
 例えば、自分で火をつけて召し上がっていただくのはしゃぶしゃぶくらいです。それ以外はお出ししたらすぐに箸を付けられる状態にして提供しています。これは石井調理長のころからずっと一貫しています。
 食事のスタイルは、部屋食と個室食事処、和食堂の3つの選択肢をそろえ、予約時にお客様に選んでいただいています。仲居さんと調理場が密に連絡を取りながらお出しするタイミングをはかっています。お肉も固形燃料を使用せず、焼いたものをスタッフがスピーディーに運んでいく“時間との闘い”です。
 これは調理場だけでなく、すべてのスタッフの協力がなければ成り立たちませんので、コミュニケーションをとても大事にしています。

 ――外国人旅行者も増えています。

 松尾:ハラール、ビーガンなどに対応できるように、調理場スタッフも背景となる宗教や国の文化などを、もっと勉強していくことが必要になると考えています。

 湯通堂:私たちは外国人旅行者にも日本の料理をお出しするしかできません。宗教上の理由などでお肉がダメな場合、湯葉や豆富を使った料理を提供したり、野菜のお寿司を握ったり、臨機応変にやりますが、松尾調理長はさまざまな勉強会にも積極的に参加していますので、着実に進化してきていると思います。
 指宿温泉の調理長が集まってさまざまな食材を研究して商品化していく郷土料理研究会もほぼ毎年継続して開催しています。

 ――これからの旅館の料理について。

 松尾:日本人の主食である米にこだわない食の多様化が進むなかで、パンやパスタ、麺類を懐石の中に取り入れることや、洋風のソースや綺麗な盛り付けなどを含めて、新しい食材を「探して、見つけて、追求していく」ことが非常に大事だと思っています。
 「この調理法だったら美味しく食べられる」といった新たな試みや開発に取り組んでいかなければ、時代の流れに取り残されてしまいます。真空パックといった新しい調理法なども研究しています。
 一方で、一汁三菜や、和食器、走り・旬・名残といった季節感など、本来の日本料理からかけ離れないように仕上げていくことも常に心掛けています。思考を柔軟にして取り入れられるものは何でもチャレンジしていこうと考えています。
 話題づくりとして、ウナギの刺身をかば焼きと並べて握りにしてお出ししても面白いと思います。最近は鰹節をふんだんに使った出汁を楽しんでいただけるメニュー作りにも力を入れています。

 湯通堂:これから昼食も再開しようと考えています。あまり人手を掛けずにやっていくには、真空調理法などの研究も進めていかなければならないと思っています。
 リピーターのお客様がとても多くいらっしゃいますのも当館の特徴であります。新しい時代にも対応しながら、いぶすき秀水園の料理をお客様に満足していただけますように精進して参りたいと思います。

 ――ありがとうございました。

特別表彰式後に記念撮影

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(230)」現代によみがえる「江戸料理」(東京都)

2024年3月23日(土) 配信

セミナー会場となった日本橋江戸料理「奈美路や」

 2月下旬、東京・日本橋の江戸料理「奈美路や」さんを舞台に、「江戸料理体験セミナーin日本橋」が開催され参加した。

 この事業は、関東運輸局が2022年から始めた「江戸街道プロジェクト」の一環である。江戸街道プロジェクトとは、徳川家康が江戸と全国各地を結ぶ街道として整備した、いわゆる五街道と脇往還などを「江戸街道」という統一テーマをもとにブランディングし、広域関東圏(1都10県)の魅力づくりと地域活性化につなげようというものである。

 江戸街道には、江戸時代から今日に至る、実にさまざまな資源が眠るが、本事業では「食(江戸料理)」と「泊」の2つの重点プロジェクトに集約して展開しようというものである。「泊」は意外かもしれないが、1635(寛永12)年、3代将軍徳川家光の時代に制度化された参勤交代を機に宿場には、本陣・脇本陣をはじめ、多くの宿が用意された。大大名になるとその行列は1千人をはるかに超え、3千人から4千人に達することもあった。本陣・脇本陣だけではとても賄えず、多くは宿場内の民家などでの分散型の宿泊となった。

 分散型宿泊と言えば、今ではイタリア発祥のアルベルゴディフューゾが人気だが、江戸時代の参勤交代がまさにこの先鞭ともなっていた。

 話をもとに戻して、当日のセミナーのテーマは、その一つ「江戸料理」である。

 「江戸料理」とは、簡単に言えば「江戸時代に江戸の地で発達し、またその流れをくむ東京の郷土料理」である。蕎麦、天ぷら、江戸前鮨、刺身、鰻、あなご、どぜう、田楽などなど現在私たちが口にするさまざまな和食のルーツである。

 当日は江戸料理研究家で大塚「なべ家」の元主人の福田浩さん、江戸東京・伝統野菜研究会代表の大竹道茂さん、料理研究家で大きな竈主宰の冬木れいさんという錚々たる方々にお集まりいただいた。文化庁100年フードなどに関わらせていただいているご縁で、私もコーディネーターとして参加させていただいた。

千住ねぎの花火揚げ

 セミナーでは、日光街道の旧千住宿にある地元料理「和食板垣」さんで開発された千住宿江戸料理のメニュー開発の事例や、江戸東京野菜の保存と再生の事例などが紹介され、セミナー終了後は、会場となった「奈美路や」さんが提供する「江戸料理」を堪能させていただいた。

 五街道や脇往還などの旧道は、そのほとんどが国道などとして整備され、また首都圏という開発の激しい地域ゆえに、宿場町の面影はもはや薄れつつある地域が多い。しかし、僅かに残ったエリアでも分散型宿泊の再整備と江戸料理の創作などによって、新たな地域再生・まちおこしは可能である。

 江戸東京には、全国から集まった地方の食の在来種なども少なくない。これら食を媒介とした、東京と地方の新たな交流も期待できよう。

(観光未来プランナー 丁野 朗)

「バス&レール どっちも乗り放題パス2デイ」 備北エリアの高速バスとJR芸備線が2日間乗り放題

2024年3月22日(金) 配信

路線図

 備北交通(山根英徳社長、広島県庄原市)、広島電鉄(椋田昌夫社長、広島県広島市)、西日本旅客鉄道(JR西日本)は4月1日(月)~2025年3月30日(日)まで、備北エリアの高速バスとJR芸備線が2日間乗り放題の企画乗車券「バス&レール どっちも乗り放題パス2デイ “三次⇔東城”」を売り出す。

 高速バス「三次駅前~東城駅前~帝釈(神龍湖)区間、庄原駅~庄原市街地循環~東城駅前区間」と、JR芸備線「三次駅~東城駅区間」が、利用期間内の連続した2日間乗り放題になる。

 利用日の1カ月前の午前10時から当日まで購入できる。

 料金は大人2000円、子供1000円。

 JR西日本観光ナビアプリ北陸・せとうち観光ナビ「tabiwa by WESTER」で発売する。

埼玉県旅行業協会、鬼怒川で業務懇談会開く 浅子会長「小グループ増加へ対応を」

2024年3月22日(金) 配信

埼旅協協定会員連盟や埼旅協特別協定会員連盟の会員も参加した

 埼玉県旅行業協会(浅子和世会長)は3月5日(火)、栃木県・鬼怒川温泉の「日光きぬ川スパホテル三日月」で業務懇談会を開いた。埼旅協協定会員連盟や埼旅協特別協定会員連盟の会員も参加した。

 浅子会長は「今後大きな団体は減り、小グループが増えるだろう。これに対応するため、(2人から旅館に宿泊できる㈱埼旅の商品)らくパックを活用してほしい」と呼び掛けた。

浅子和世会長

 さらに、ツアーの魅力を高めたうえで、「利益を確保してほしい」と話し、高付加価値化が可能な企画旅行に注力することを勧めた。

 埼旅協協定会員連盟には、「我われに合った商品を提供してもらい、今後も相思相愛で頑張っていきたい」と語った。

 埼旅協協定会員連盟の森田繁会長は「物価が上昇するなか、観光施設に我慢をしてでも利用するお客へ、もてなしをより磨かなければならない」との考えを示した。 

森田繁会長

 また、「旅は日々のストレスから解放され、明日への活力を蘇らせるには絶対に必要だ。今後も、埼旅協と一緒に頑張っていきたい」とした。

 埼旅協特別協定会員連盟の酒井禎一会長は「今後も業務のお手伝いに取り組んでいく。(会員には)今後も色々な指導をしてほしい」と話した。

酒井禎一会長

 講演では、「2024年旅行業界の動向」をテーマに旅行新聞新社の石井貞德社長が登壇。

石井貞德氏

 冒頭、石井氏は「埼玉県在住者の約93%が県内のみを巡っている」とし、そのうえで、「県外に出掛けてもらうには、お客の希望を一早く把握し、協定連盟の会員との商談会などを通じて、より魅力的な商品を造成することが最も大事」と語った。「今は観光地であれば、お客が来る時代ではない。旅行のプロとして、地域に訪れなければ体験できない楽しさを発掘し、紹介してほしい」と話した。

 また、埼玉県は県内旅行の比率が高いことから、「身近な魅力的な場所やお祭りを訪れることも集客につながる。大きなことを考えるのではなく、足元を見直すことが明日の活力となる」と語った。

 最後に「旅行会社はツアーでお客に喜んでもらい、受入施設にも好影響を与える。多くの人を幸せにする仕事であることを声高に主張したい」と締めくくった。

GWの海外旅行需要が36%増 人気旅行先はソウル・台北・バンコク(エクスペディア)

2024年3月22日(金) 配信 

エクスペディア調べ

 エクスペディアはこのほど、「2024年ゴールデンウイークの人気海外旅行先ランキング」を発表した。この結果、今年のGWの海外旅行の検索数は、前年比36%増だった。期間中の人気海外旅行先の検索ランキングは、1位ソウル、2位台北、3位バンコクとなった。

 ランキング上位10位のうち6カ所がアジア圏内だった一方で、7位ロサンゼルス、8位パリと、東京から飛行機で10時間以上かかる遠方の旅行先も選ばれた。

 前年と今年のGWの検索数を比較して検索数の伸びが大きかった「海外旅行先人気急上昇ランキング」では、1位香港、2位バリ島、3位グアム、4位ロサンゼルス、5位台北──となった。24年4月から直行便の増便が発表されているグアムなどがランクインした。

 また、「1人旅」で検索された海外旅行先ランキングでは、上位10位のうち8カ所が大都市だった。1位ソウル、2位台北、3位バンコクなど、近場のアジア圏の都市だけでなく、パリやロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンなどがランクインした。観光やエンタメ、グルメなど1人でも楽しめるアクティビティが豊富な大都市に人気が集まっている。

〈観光最前線〉鍋島100周年記念酒

2024年3月22日(金) 配信

富久千代酒造「鍋島」商品ラインナップ

 日本酒が好きで全国各地の地酒を取り寄せては自宅呑みを愉しんでいる。好きな銘柄は幾つもあるが飛び抜けて大好きなのが「鍋島」だ。その鍋島を醸す富久千代酒造が先ごろ創業100周年を記念して、山田錦を使用した純米大吟醸の記念酒を発売した。

 鍋島にはクラシックシリーズとモダンシリーズがあり、違いは酵母だ。クラシックは鍋島立ち上げ当初の酵母、モダンは現在使用している酵母で、今回の純米大吟醸はクラシックバージョンとなる。

鍋島 100周年記念酒 純米大吟醸 Classic

 100周年ということで、ラベルや箱のデザインは酒蔵4代目の飯盛日奈子さんが考案。富久千代酒造が以前に造っていた「富久千代」という銘柄のラベルをオマージュして作ったそうだ。第2弾ではモダンタイプも発売が予定されているので今からとても楽しみである。

【古沢 克昌】

「福岡・大分DC」PR 大分はアート作品展示など 大分県宣伝隊

2024年3月22日(金) 配信

河室幸一次長(右)と髙倉玲子主任

 大分県大阪事務所の河室幸一次長と髙倉玲子主任が3月8日、本紙関西支社を訪れ、同県とJRグループ、福岡県などと共同実施する大型観光キャンペーン「福岡・大分デスティネーションキャンペーン(DC)」をアピールした。

 福岡・大分DCは4月1日―6月30日までの開催。「至福の旅! 大吉の旅! 福岡・大分」をキャッチコピーに、両県の食や温泉、文化の魅力を打ち出し、全国から誘客をはかる。

 DC期間中、両県は「イチ推し」企画を設定。大分は「Oita Cultural Expo!’24」を開催する。国内外で活躍するアーティストの作品を県内各地で展示するほか、地域の食文化や歴史などを生かしたイベントを体験するカルチャーツアーを県内6地域で行う。

 JR九州は新しいD&S列車「かんぱち・いちろく」を4月26日から運行開始する。博多駅(福岡県博多市)から、ゆふ高原線(久大本線)を経由し、由布院駅(大分県由布市)と別府駅(同県別府市)を結ぶ。1日片道1便運行する(木曜日運休)。

 JR券と沿線のこだわりの食事がセットになった旅行商品として、専用ホームページと主な旅行会社で販売する。座席のみの販売は行わない。

 河室次長らは「大分の水族館うみたまごと福岡のマリンワールドのコラボによる、特別な魚朱印も売り出します。この機会にぜひ大分県にお越しください」と話していた。

【土橋 孝秀】

小学生が業務体験 誘客へANA航空教室 橿原市観光協会

2024年3月22日(金) 配信

離着陸や機内サービスなどの業務を体験

 奈良県・橿原市観光協会(中谷昌紀会長)は2月17日、ANAあきんど大阪支店(種村守之支店長、大阪府大阪市)と連携し「ANA航空教室」を実施した。

 関西国際空港や伊丹空港から約1時間の距離にある橿原市の利便性の良さをPRするとともに、橿原神宮や今井町など、歴史の深さを感じる“日本国はじまりの地”と称される同市への観光誘客につなげていくことを目的に行うもの。昨年度に続き、今回が2回目。

 航空教室は、橿原市分庁舎(ミグランス)の屋内交流スペースで開催。小学生が対象で、定員30人に対し、39人の応募があった。このうち7割以上が大阪府など市外からの応募で、なかには埼玉県など遠方からの参加希望もあったという。

 会場では、空にちなんだクイズ大会のほか、現役のパイロットや客室乗務員指導による業務体験を実施。離着陸体験では、段ボールで作ったシミュレータに1人ずつ着席し、パイロットやスタッフのサポートのもと、キャプテン役や副操縦士役となって操縦体験を行った。

 また、機内で実際に使用しているカートを使い、客室乗務員に教わりながら、乗客役の保護者らにリンゴジュースを入れて配るドリンクサービスも体験した。

 参加者のなかには、将来、パイロットや客室乗務員になりたいと考えている子供も少なくなく、業務内容などについて真剣に質問する姿も見られた。

 このほか、子供用のパイロットや客室乗務員の制服を着用しての撮影体験も行われ、子供たちは、それぞれ憧れの制服に身を包み、記念撮影を楽しんだ。

八重山エリアの公共交通で「ANA Pay」決済可能に

2024年3月21日(木) 配信

5月31日までキャッシュバックキャンペーンも

 沖縄県・八重山エリアの対象交通機関で3月19日(火)からVisaタッチの導入が開始された(=既報)。これに伴い、ANA X(驫木一博社長、東京都中央区)が提供するVisaタッチ対応の「ANA Pay」も決済可能になった。同社は利用開始を記念し、5月31日(金)まで「ANA Pay」Visaタッチ決済で公共交通機関を利用した金額に応じて最大1000円分をキャッシュバックするキャンペーンを実施している。

 キャッシュバックはANA Payキャッシュで行われる。対象の公共交通機関で1000円以上支払いをすると最大1000円分が付与され、1000円未満は利用金額分をキャッシュバックする。

 また、ANAトラベラーズダイナミックパッケージを利用して対象エリアに宿泊し、「ANA Pay」Visaタッチ決済で対象の公共交通機関を利用すると、ANA Payキャッシュ1000円分をプレゼントする。

学生対象にアメリカ旅行企画コンテスト実施 JATA、日米観光交流年で若者の海旅需要喚起

2024年3月21日(木) 配信

薦田祥司副部長

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は3月21日(木)、若者の海外旅行需要喚起策の一環で学生を対象とした「アメリカ旅行企画コンテスト」を実施すると発表した。日米の政府はコロナ禍で落ち込んだ両国間の観光往来の回復に向け、今年を「日米観光交流年2024」に制定。また、今年は海外渡航自由化60周年の節目でもあることから、今秋開催予定のツーリズムEXPOジャパン2024の海外旅行シンポジウムの1プログラムとして展開する。

 JATAが3月21日に開いた定例会見で発表を行った、海外旅行推進部の薦田祥司副部長によると、2023年の日本人海外旅行者数は19年比で47.9%となった。他方、19年のアメリカ(ハワイ・グアムを含む)への日本人渡航者数は約375万人で人気ナンバーワンの海外旅行先だったが、23年のアメリカへの日本人渡航者数は19年比で40.5%と全体平均に比べ下回っているという。

 円安や旅行価格高騰などが主な原因だが、人気の旅行先の回復遅れは旅行業界としては憂慮すべき事態。日米間は464の姉妹都市提携があることから観光交流年を機に、「交流の活発化やコロナ禍で止まっていた交流を再開しましょうと会員からも自治体へ声をかけている」と紹介したうえで、「アメリカの回復が海外旅行市場全体を押し上げる要因になる。JATAとして強く推していきたい」と意気込んだ。

 今回のコンテストの対象は全国の大学、短期大学、専門学校に在籍する学生で、1人でもグループでも、また複数点でも応募できる。学生目線の斬新な発想で同世代の若者のアメリカへの旅行需要を新たに創出、喚起できる実行性のある旅行商品を求む。旅行先地域はアメリカ50州と5準州。

 薦田副部長は「これまでの旅行商品はひょっとすると、今の若い世代にとっては的外れかもしれない。また企画性の面で欧州などに比べて低いのではという懸念もある。ハワイやグアムでも航空券とホテルだけではないプラスの企画や、本土はニューヨーク、カリフォルニアだけではない新しいデスティネーションを求めている」と期待した。

 応募方法は6月3日(月)~7月5日(金)の期間中に所定のプレゼンテーションファイルから作成した企画書を応募フォームに登録する。詳細はJATAホームページから要確認。

 スケジュールは1次、2次審査を経て7月下旬を目途に優秀企画6作品を選出。8月上旬ごろプロによるブラッシュアップを受け、最終的に9月27日(金)開催のツーリズムEXPOジャパンの会場で公開プレゼンテーションを行う。グランプリには応募企画観光地までの旅行費用最大50万円補助のほか、ANAの成田―ホノルル往復航空券2人分などを贈呈。旅費をサポートすることで、企画した旅でのようすをSNSなどで積極的に発信してほしい考え。

 なお、2019年まで実施していた学生を対象とした海外卒業旅行コンテストの実績では300件以上の応募があったことから、「最低でも100点を目標にしていきたい」とし、観光関係以外の学生にも広く参加を呼び掛けていく。