情報の需給にギャップ、グーグルが業界のネット実態指摘(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は昨年12月18日、第5回マネージメントセミナーを開き、「グーグルと旅行業」をテーマに同社の講師がグーグルのITサービスの最新情報から、旅行業関連のネット検索の実態などを語った。

 第2部の「旅行関連のネット検索状況と海外のネット・マーケティング事例」で登壇したグーグル広告営業第三部の小川淳統括部長は、「検索は需要のバロメーター」と語り、2009年9月の日本における総検索数(グーグルを含む他社合計)を80・8億回(出典:コムスコア社データ)と紹介。これは、3カ月前の約1・4倍とし、「『何か知りたい』という欲求が、消費者のニーズ」と述べた。グーグルでは、1日当たり10億を超える検索が日々行われているという。

 このなかで、「旅行」関連は、商品購入の際にインターネットで調べる割合が全体の56・4%と半数以上を占め、トップだという。このうち、オンライン予約は海外旅行が約53%、海外のホテルのみは約64%、国内のホテルは約70%にのぼる(15―59歳のMacromill社パソコンモニターおよびNetAsia社携帯電話モニターによる調査)。ネットの予約数は05年から07年で約1・7倍増加し、パソコンでの検索数は07年から09年で約2・8倍に伸びている。さらに、携帯電話での検索は同約5・3倍と高い伸びを示していると紹介したうえで、「ユーザーのニーズと業界の対応にギャップがある」と指摘。「広告の視点から考えても、需要と供給のバランスが合っていない。ユーザーが10回検索しているのに対して(供給側から)1回しか情報が発信できていないという計算になる。これは各業界のなかでも少ない」と旅行業界としての情報量の少なさを訴えた。

 一方で、「夏休み旅行」は3月から消費者の検索が始まり、6月に一気に高まることや、「卒業旅行」は9月に始まり11月中旬に最初のピークがくること、またクリスマス付近に急激に伸びていることなどを紹介。「検索ピークを知っていると事前対策や仕掛けなど販売戦略に役立つ」と情報を載せるタイミングなどをアドバイスした。

 また、クラウドなど各コンテンツを上手く活用した例として、「『YOU TUBE』でCM動画など広告をしている自治体やNPOなどがある」と紹介。「広告費があまりなくても、有効に宣伝ができる。自治体は会津若松が最初に動きだしたが、観光地サイドが自ら発信するものが増えている。旅行会社の皆さんにも一度見てもらいたい」と語った。

第5回エコツーリズム大賞、大賞など10件を表彰

 環境省はエコツーリズムを実践する地域や事業者の優れた取り組みを表彰するエコツーリズム大賞を設けているが、第5回の表彰式が1月14日に埼玉県飯能市で行われた。応募のあった83件のなかから大賞を受賞したのは「海島遊民くらぶ」(三重県鳥羽市)。このほか、優秀賞3件、特別賞6件が選ばれた。

 海島遊民くらぶは、おもてなしのスキルを持ったプロガイドによる地元学・自然についてのエコツアーを実施している。講評では企業やNPОと連携してユニバーサルエコツアーを実施。学校との連携強化で次世代の育成にも注力するとともに、地域に呼びかけてエコツーリズム協議会準備会を設立するなど活動の幅や地域での広がりが見られる点が評価できるとしている。

 なお、同くらぶは第2回(06年)に特別賞、第3回(07年)に優秀賞を受賞している。  その他の受賞者は次の通り。

 【優秀賞】
富士山登山学校ごうりき(山梨県富士吉田市)▽紀南ツアーデザインセンター(三重県熊野市)▽砂浜美術館(高知県幡多郡黒潮町)

【特別賞】
知床オプショナルツアーズSОT(北海道斜里郡斜里町)▽ゆっくりずむ北海道(同札幌市)▽JTB関東(埼玉県さいたま市)▽あそんで学ぶ環境と科学倶楽部(東京都中央区)▽地域観光プロデュースセンター(滋賀県大津市)▽エコガイドカフェ(沖縄県宮古島市)

浅草にアンテナショップ(伊豆の稲取温泉)

「外国人の誘客狙う」

 静岡県東伊豆町稲取温泉の稲取温泉観光合同会社は12月10日、東京・浅草にアンテナショップ「THIS伊豆 稲取や」を開業した。海外からの観光客が多い場所に進出することで、インバウンド向け情報発信を行う。店舗は浅草寺二天門や浅草駅からも近い。稲取の外国人観光客数は年間約8千人。

 都心のアンテナショップは都道府県などの行政が多いが、温泉地の一企業として進出するのは全国的にも珍しいという。1階は物販を主力とし、雛のつるし飾りグッズ、かんてんなどの海産物加工品、ニューサマーオレンジなど稲取の地場産品や静岡県、伊豆の名産品を販売。2階には外国人客を中心とした60席のレストランを併設。稲取名物のキンメダイ定食(1680円)、肉チャーハン(840円)などのメニューを用意している。

 渡邊法子稲取温泉観光協会事務局長は「主に東アジアからのお客に向けて情報発信していく。市場のニーズに応えた事業展開をしたい。浅草は日本人も多いので立ち寄ってもらうのは大歓迎、国内のお客様にも宣伝になる」と話す。

   問い合わせ=電話03(5830)3350。

09年訪日客17%減に、法務省入国管理局調べ

 法務省入国管理局がこのほど発表した2009年の外国人入国者数は、前年比17・1%減の758万1322人と大幅に減少した。世界的な不況による外国渡航の手控えや、円高基調の継続、新型インフルエンザの発生などが主な要因となった。

 月別にみると、11月は前年同月比1・8%増、12月は20・9%増と回復基調が見受けられる。  一方、日本人出国者数は前年比3・4%減の1544万5530人と、新型インフルエンザの影響を受けた。

 8月以降は前年同月比でプラスに転じ、シルバーウイーク中の海外旅行者が増えた9月は同16%増と、2ケタの増加となった。

人気は山梨のワイナリー、北海道のビール、兵庫・灘の酒蔵も(JTBウェブアンケート)

7割が「酒蔵・ワイナリーめぐり」

 JTBはこのほど、「旅先での酒蔵・ワイナリーめぐり」についてウェブアンケートを実施。これによると、70%の人が旅先で酒蔵やワイナリーなど、お酒にちなんだ場所を訪れたことがあると答えた。調査は成人男女を対象に、2899件の回答を得た。

 普段よく飲むお酒は、(1)ビール36%(2)ワイン20%(3)焼酎15%(4)日本酒11%(5)カクテル9%の順。

 国内で訪れたことのあるお酒にちなんだ場所は、ワインの産地「山梨県」がトップ。次いで「北海道」のビール工場めぐり、「兵庫県」の灘での酒蔵見学、「長野県」のワイナリー、「京都府」の伏見の酒蔵群やウイスキー醸造所めぐりなどが人気を集めた。

 訪れたことのない人の46%が「今後訪れたい」と答えた一方、「訪れてみたくない」(54%)主な理由は、「お酒が飲めないから」「車の運転をしなければならないから」が大多数を占めた。

 海外でお酒にちなんだ場所を想起させる国は、(1)フランス(ボルドーやブルゴーニュ地方のワイナリー)(2)ドイツ(ビールやアイスワイン)(3)イタリア(全土で造られるさまざまなワイン)(4)イギリス(ウイスキー)(5)アメリカ(カリフォルニアのワイナリー)などがあがった。

東京・錦糸町にホテル、ロッテ 4月、国内で初めて

 ロッテは4月6日、東京・錦糸町に宿泊特化型の高級ホテル「ロッテシティホテル 錦糸町」をオープンする。日本国内で初めてのホテル事業になる。

 ホテルは2006年6月に閉館した自社の商業施設「ロッテプラザ」跡地に建てた、複合商号施設「ロッテシティ」(地上19階・地下2階)内に入居する。客室数は全213室。内訳はシングル3タイプ、ツイン5タイプ(ユニバーサル含む)のほかダブルの9タイプを用意する。客室は全室禁煙。シングルの料金は1万3750円からの設定。JR錦糸町駅から徒歩約1分。観光客やビジネス利用を見込む。

 付帯施設として会議室やレストラン、英国風パブ、ゲストラウンジ、コインランドリー、コンビニエンスストア、喫煙コーナーなどを設ける。

 レストランは4階に韓国の俳優ペ・ヨンジュン氏がプロデュースする韓国伝統料理店〝高矢禮〟(ゴシレ)が展開する「コリアンダイニング高矢禮」などがオープンする。また、1階にはロッテ初出店になるチョコレートカフェ「シャルロッテチョコレートファクトリー」ができる。チョコレートができるまでを展示したミュージアムスペースも併設する。営業時間は午前7時から午後10時まで。

地域づくり総務大臣賞、旭川市が大賞に決定、25団体、3人が選ばれる

 総務省は1月5日、豊かで活力ある地域社会の構築に寄与した団体や個人を表彰する2009年度「地域づくり総務大臣賞」の大賞に旭川市(北海道)、団体表彰にB級グルメの聖地久留米実行委員会(福岡県)や山鹿温泉観光協会(熊本県)、個人表彰に渋谷秀逸氏(長野県)など合計25団体、3人を選んだ。

 同賞は地域の個性豊かな発想を生かし、魅力溢れる地域づくりを積極的に推進している市町村や地域づくり団体、個人に贈られる。大賞、団体表彰、地方自治体表彰、個人表彰がある。

 旭川市は「旭山動物園」の行動展示による独自性および動物を通じて自然や人間、命を認識する施設づくりを支えた、官民協働のまちづくりへの取り組みを評価した。住民の熱い思いや市職員の努力は多くの自治体の手本になるとするとともに、「命を伝える出張事業は、子供たちに命の大切さを教えることに役立っている」とコメントしている。

 B級グルメの聖地久留米実行委員会は食による街中のにぎわい創出、中心市街地活性化への取り組みにより、グルメタウンとしての知名度を上げ、地域活性化に寄与するなど貢献度が高いとしている。

 山鹿温泉観光協会は米米惣門ツアーや「山鹿灯籠浪漫・百華百彩」など、工夫を凝らした企画や学生の起業支援などの多彩な活動を評価された。とくに百華百彩は、事業費の半分以上を自主財源で賄っていることが高い評価になった。

 また、渋谷氏は今では年間約20万人もの観光客を呼び込む観光の目玉の一つとなった「花桃」の植樹を、私財を投入して1991年から約20年間にわたり続け、村の知名度アップだけでなく、地域の活性化にも寄与している。コメントでは「1人の地道な取り組みが共鳴を生み出し、行政をも巻き込み地域活動へと発展した功績は大きい」としている。

 そのほかの受賞者は次の通り。

 【団体表彰】
アルテピアッツァびばい(北海道美唄市)▽青倉地区自治会(岩手県宮古市)▽鳴子の米プロジェクト(宮城県大崎市)▽潟船保存会(秋田県潟上市)▽心といのちを考える会(秋田県藤里町)▽きらりよしじまネットワーク(山形県川西町)▽足利市くらしの会(栃木県足利市)▽まちの駅ネットワーク本庄(埼玉県本庄市)▽常盤平団地自治会(千葉県松戸市)▽小平市グリーンロード推進協議会(東京都小平市)▽初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会(神奈川県横浜市)▽学生との連携によるうるしの里活性化実行委員会(福井県鯖江市)▽種蔵を守り育む会(岐阜県飛騨市)▽あかばね塾(愛知県田原市)▽こうべUD広場・こうべユニバーサルデザイン推進会議(兵庫県神戸市)▽とさはちきんねっと(高知県高知市)▽子ども夜市実行委員会(福岡県飯塚市)▽大隅の國やっちく松山藩(鹿児島県志布志市)

 【地方自治体表彰】
東京都江戸川区▽福井県小浜市▽兵庫県▽愛媛県東温市

 【個人表彰】
村上龍男(山形県鶴岡市)▽梶誠(愛知県豊田市)

新入湯料の導入検討、有馬温泉旅館協同組合が新年会

 有馬温泉旅館協同組合(増田晴信理事長)は有馬グランドホテルで1月12日、新年互礼会を開いた。

 増田理事長は「昨年は新型インフルエンザの風評被害もありイメージアップに尽力した1年だった」と振り返り、「今年の目標は次世代への継承と、堅実な組合運営の推進。そのためには行政に頼らない自主財源の確保が必要であり、新たな入湯料の導入を検討している」と語った。

 さらに入湯料について「神戸市に納めている入湯税はなかなか有馬に還元してもらえないのが現状。10円から15円の入湯料を導入し、その財源を有馬温泉の環境整備などにあてたい」として理解と協力を求めた。

 来賓の玉井茂治兵庫県神戸県民局副局長は「今年の秋にあいたい兵庫キャンペーンを予定し、県民局も有馬温泉と一緒に『一度は来たい』『もう一度来たい』有馬温泉を全国発信したい」とあいさつ。

 大森伸一神戸市国際文化観光局長は「観光は都市の魅力の源泉。日本最古の名湯と六甲山の自然、1千万ドルの夜景などを組み合わせた新たな神戸観光の魅力づくりを官民一体で進めたい」と述べた。

 続いて華やかな芸妓踊りの披露や、増田理事長と當谷正幸有馬温泉観光協会長らによる鏡開きが行われ盛会のうちに幕を閉じた。

旅行産業経営塾を再開、期間は3年、第1期生募集

 旅行産業経営塾OB会(原優二会長)は1月13日、2004年から休塾していた「旅行産業経営塾」(山田學塾長)を再開するとし、新1期生の募集を開始した。3年の期間限定で開き、将来の旅行産業を担う人材の育成を目指す。

 原会長は、旅行業が大きな変革期を迎えている今の状況を「旅行会社の本来の役割はどこにあるのか。社会に求められる役割を見極め、経営資本を集中させなければ将来は手詰まりの状態」と説明。「旅行業は人があってはじめて成り立つ産業。将来を担う人材育成が必要だ。同塾はものの考え方や見方を身につけるのが目的。会社に関係ない個人参加なので、本音で語り合え、違う立場の考え方に触れられる。一緒に新しい旅行業はどうあるべきか真剣に考えていきたい」とし、「卒塾生にはさらに次世代を教育してもらいたい」と再開の主旨を語った。

 同塾は1999年に現トラベルジャーナル学園が設立。5期にわたって開き、約200人の卒塾生を輩出した。今回はそのOB会が主催するもので、他業界や弁護士、大学教授など多方面から講師を招き、「志の旗を掲げよう」「交渉相手に負けない意思決定術」「ランドオペレーターの戦略」などをテーマに講義する。

 1期の修業期間は5月22日―2011年3月26日まで。授業は全14回(内1回は合宿予定)で、授業料は10万円。募集対象者は、「原則旅行業従事者で経験5年以上」など。定員は36人。申し込みはホームページ( http://www.bsti.jp )から。

 問い合わせ=旅行産業経営塾募集事務局 電話03(5774)6481。

〝職場力〟など研修、11月に島根で全国大会(全旅連青年部)

 全国旅館生活衛生同業組合連合会の青年部(井上善博部長)は1月14日、東京都内で2009年度第3回県部長サミットを開き、宿の地位向上委員会や広報委員会が主催したセミナーを行った。

 冒頭、井上部長は「大河ドラマ『龍馬伝』がスタートし、幕末の時代は混迷しているなかで、気概と志を持った青年が大きな仕事を成し遂げた。私も昨年の所信として『誇り・絆・友情』をスローガンに掲げたが、改めて、我われ旅館・ホテル業の誇り、仲間との絆と友情を大切にし、この1年をしっかりと頑張っていきたい」と新年のあいさつをした。

 「今年11月25日には青年部の第20回全国大会が島根県で開催される。ぜひ『縁結び』の地・島根にお越しいただきたい」と力強く呼びかけた。  宿の地位向上委員会(鈴木治彦委員長)のセミナー第1部は、「旅館業界『職場力』の実態」をテーマに講演会を開いた。

 事前に職場意識調査のアンケートを実施したオブリージュ(村橋克則社長)のエグゼクティブプランナー・末永栄一氏は「変化の激しい時代には、社長の力量や指導力だけでは上手くいかない。社長と従業員が作り出す強い職場力が必要」と述べた。

 さらに、職場力を決める3つの要素として、(1)安心感(2)達成感(3)連帯感――をあげ、「これらを作り出すのは経営者のリーダーシップ」と強調した。

 第2部の講演「学生の就職活動に関連したキャリア開発」では、富士常葉大学総合経営学部准教授の大久保あかね氏が「観光産業と地元の大学の連携のススメ」について語り、「2週間程度の企業研修を行うインターンシップの参加率は大学生全体の7%程度。旅館もぜひ多くのインターンシップ生を受け入れてほしい」と語った。

 第3部の「大学生・若旦那コラボ!~旅館の魅力を見つけよう~『泊まる』『働く』を考える」では、富士常葉大学観光ビジネスコースの学生らが、同委員会メンバーと連携して、昨年12月に長野県鹿教湯温泉で行った合同合宿の報告を行った。

 合宿を通じて、学生と若旦那らが共同でつくった宿泊プランなどの発表も行った。