合格者は25・5%に、09年度総合取扱管理者(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)がこのほど発表した、2009年度総合旅行業務取扱管理者試験の結果によると、総受験者1万2664人のうち、合格者は3229人で合格率は前年度比8・8%減の25・5%だった。受験者は同88人減、合格者は同1080人減。

 合格者の内訳は旅行業従事者が38・9%を占めトップ。次いで大学生が21・7%、その他が15・0%の順。年齢別で合格者が最も多かったのは30―39歳の32・2%、次に19―23歳が29・6%、24―29歳が29・7%。

 受験区分別にみると、「全科目受験者」は前年度から723人増えたものの、合格率は5・3%低下し、15・1%となった。最も合格率が高かったのは、「国内旅行業務取扱管理者有資格者で総合旅行業務取扱管理者研修修了者」で93・9%だった。

 なお、「国内旅行実務」と「海外旅行実務」の2科目は、今回の試験で合格基準に達していれば、来年度に限り当該科目の試験が免除される。

TIJ、日観協との統合検討へ

 ツーリズムサミットであいさつに立ったTIJの舩山龍二会長は「本日開いた理事会で、日本観光協会との統合を視野に入れた組織の見直しを検討することを決定した」と発表した。観光立国推進に向け、民間がより主体的に考え方を示す必要性を語り、「観光庁が関係省庁と横断的な活動をしているなかで、民側のパートナーとしてさらに強い力を発揮すべきだと考えた。統合は簡単ではないが、速やかに検討していきたい」と述べた。

旅館5万846軒に―1449軒減少、ホテルは増加傾向

 旅館営業軒数は前年度比2・8%減の5万846軒に――。厚生労働省がまとめた2008年度の「衛生行政報告」によると、09年3月末現在の宿泊施設数(簡易宿泊施設、下宿を含む)は8万4411軒と、前年度に比べ1155施設減少。なかでも旅館は5万846軒と、この1年間で1449軒減少したことになる。一方、ホテルは161軒増加し、9603軒となった。旅館減少、ホテル増加の傾向が続いている。

 旅館数は5万846軒。この1年間で1449軒減少し近年も年間1500―2千軒程度減少しており、2009年度にはついに5万軒割れの可能性が高まった。1980年代に8万3226軒でピークを迎えたが、その後減少傾向に歯止めはかかっていない。客室数は80万7697室と、前年度の82万1870室から1万4173室が減少した。

 一方、ホテルの客室数は78万505室と、同1万5023軒増加し、旅館とホテルの客室数は近づいてきた。

 山小屋やユースホステル、カプセルホテルなどの簡易宿所は2万3050軒と、前年度に比べ162軒増えた。また、下宿は912軒で17軒の減少となった。

 都道府県別にみた旅館軒数は、静岡県が3661軒でトップ。次いで北海道(2844軒)、長野県(2832軒)、新潟県(2453軒)、三重県(1822軒)と続く。トップ5に順位の変更はなかったが、大分県(3軒増)を除いて軒並み減少した。

 ホテル軒数の上位5都道府県は(1)東京都(691軒)、(2)北海道(660軒)、(3)長野県(535軒)、(4)兵庫県(402軒)、(5)静岡県(367軒)。

第5回観光交流空間のまちづくり、東京下町「谷根千」を研究(国際観光施設協会)

 国際観光施設協会(中山庚一郎会長)は12月7日、東京都台東区の谷中コミュニティーセンターで第5回観光交流空間のまちづくり研究会を開いた。

 「谷中・根津・千駄木研究~どうしてこの街に人びとが集まるのか」をテーマに、今なお東京下町の風情を残し、歴史と情緒があふれる地域として注目を受ける谷中・根津周辺の散策や、澤の屋旅館館主の澤功氏の基調講演などを行った。

 同研究会の座長を務める中山会長は「午前中の谷中・根津・千駄木周辺のエクスカーションに参加した感想は、ハード面では表示が良くできていた。ソフト面ではボランティアガイドがよく勉強していて、住んでいる人を巻き込んでいる交流空間としての印象を受けた」と語った。

 地元・谷中で外国人旅行者を受入れる澤の屋旅館の澤氏は「旅先の豪華な料理などはいずれ忘れてしまうけど、まちの人との触れ合いや小さな親切を受けたことなどはいつまでも心に残る」など、外国人旅行者の話を紹介。澤氏は「谷中の町並みにはそのままの暮らしがある。外国人旅行者の大半は、日本人が当たり前だと思っている日常の暮らしに関心があり、谷中にはそれがあるのだと思う」と語った。また、「『外国人だ』と特別扱いされないから、日本人の暮らしにすんなりと入り込むことができるのが特徴」と分析した。

 その後、各地域のまちづくりの報告や意見交換を行った。

 なお、午前中のエクスカーションは参加者約30人が4グループに分かれ、台東区観光ボランティアガイドが谷中コースを案内した。同ガイド団体が案内する区内のコース数は10コースほどで、各コースとも約2時間で散策するという。予約は2人から。

 問い合わせ=電話03(3842)5599。

視察ツアーで四国の魅力をPR、東アジアからの観光客誘致促進、四国インバウンド・フェア2009

「32人が4県の観光地視察、中国、韓国、台湾、香港の旅行会社など」  四国4県の魅力をPRし、東アジア地域からの外国人観光客増加をはかろうと、国土交通省四国運輸局と四国ツーリズム創造機構、四国ブロック広域観光振興事業推進協議会は11月16日から20日までの5日間、「四国インバウンド・フェア2009」を実施した。

 インバウンドフェアは国の訪日促進キャンペーン「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の一環として04年から毎年開いているもので、今回は中国、韓国、台湾、香港の旅行会社やマスコミなど32社32人を招へいし、国別に4泊5日(韓国は3泊4日)の視察ツアーを行った。

 道後温泉や高知城、大歩危・祖谷、栗林公園など4県の観光地を巡り、中国と台湾の一行は、大型ショッピングセンターも訪れ、品ぞろえなどをチェックした。

 19日には高松市内のホテルで商談会と歓迎レセプションを開き、四国のホテル・旅館や観光施設関係者、団体など約70社が集まり、四国への送客を呼びかけた。

 宮村弘明四国運輸局長は「世界的な景気後退などの影響で訪日旅行が大きく落ち込むなか、より強力な外客誘致策が必要だ。四国では今年7月、官民一体の新組織として四国ツーリズム創造機構が発足し、さまざまな取り組みを展開している。豊かな自然、歴史・文化、食、アートなど観光資源が豊富な四国への送客をお願いしたい」と呼びかけた。

 真鍋武紀香川県知事は「インバウンド事業を効果的に進めるには、市場の動向や旅行者のニーズの把握、受入態勢の整備などが重要で、単独の観光スポットではなくストーリーを持った広域的な展開が不可欠。香川県では来年7月19日から10月31日まで、現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭を実施し、世界に向けて瀬戸内海を発信する」と話した。

 レセプションでは香川県の食材を生かした料理の提供や「讃岐国分寺太鼓とサヌカイト」の披露も行い、招へい者との交流をはかった。

“ワケあり”部屋が人気、日旅、ネットで大バーゲン

 日本旅行のインターネット専用商品「ワケあり大バーゲン」が人気を集めているという。

 旅館やホテルが急なキャンセルで大量の空室が発生したり、低層階の部屋で眺めが悪いなど、 “ワケあり”のため売りにくかった部屋を、理由を明示したうえでバーゲン価格で販売している。

 「お得」になる主な「ワケ」は、(1)眺望が良くない(2)自動販売機と同一フロア(販売機の音がうるさい)(3)部屋のトイレが和式(4)部屋(4階)までエレベーターがなく階段利用――などさまざま。商品例では、静岡県・伊東温泉のホテルラヴィエ川良では、低層階の部屋が1泊2食、2人1室で1人7200円に設定している。

 同社は「『理由がわからないで安いのは不安』『安い理由がわかれば、1円でも安いほうがいい』という消費者心理や動向にマッチして販売が拡大しており、今後も設定を拡大していきたい」としている。

 現在、設定施設数は首都圏10、北陸7、関西3、山陰山陽13、四国10、九州9の計52施設。同社ホームページ( http://www.nta.co.jp/kokunai/yado/wakeari/sanyoshikoku.htm )のみの商品。

JNTO 10月推計値、訪日外客11%減少、中国は25%増で2位に

 日本政府観光局(JNTO)がまとめた2009年10月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比11・3%減の65万5400人と08年8月以来15カ月連続のマイナスとなった。主要12カ国のうち、中国、タイ、豪州、カナダがプラスで推移した。

 方面別にみると、韓国は同30・6%減の13万1100人と低迷。韓国での新型インフルエンザの流行や、円の高止まりなどが影響した。台湾は同22・5%減の9万7900人と14カ月連続の減少。訪日客の市場別順位でも2位の座が中国と入れ替わった。

 中国は同25・1%増の10万8300人と2ケタの増加となった。中国の一大旅行シーズンである国慶節休暇が例年7連休のところ、今年は中秋節と合わせて8連休(10月1―8日)となり、訪日旅行を含む外国旅行の需要が過去最高となったことなどが好影響を与えた。香港は同12・6%減の3万9800人、タイは同8・8%増の2万4600人と好調に推移した。

 豪州は同9・3%増の1万9900人。豪ドルの復調に加え、日本航空(JAL)やジェットスター航空が日本路線で特別料金を設定したことなどが奏功。米国は同2・1%減の6万6600人、カナダは同2・1%増の1万4500人と昨年冬期に運休していたエア・カナダの成田―トロント直行便が、今年は週7便で運航していることがプラスに作用した。

 一方、出国日本人数は、同0・4%増の135万9千人と3カ月連続の増加となった。

「とかち農村交流」など、グリーン・ツーリズム 優秀賞5件決まる

 オーライ!ニッポン会議と都市農山漁村交流活性化機構は11月13日、「グリーン・ツーリズム商品コンテスト」(GT商品コンテスト)の優秀賞に「とかち農村交流と野菜パワーの食育を学ぶ旅」(北海道)や「古事記の里で夜神楽を楽しむ! あはれ あなおもろし あなたのし あなさやけ おけ!~神楽と一緒に 地元住民と楽しむ神楽」(広島県)など5件を選定した。

 同コンテストは農山漁村の地域資源を活用した魅力ある旅行商品を企画提案するもので、「ようこそ!農村へ」キャンペーンの一環として実施した。応募点数は全国から計66件。選ばれた5件は、いずれも農山漁村への訪問を促進するもので、地域への貢献度や将来の市場創出の期待度が高い旅行商品という。優秀賞にはモニターツアー実施に伴う諸経費の一部を助成(上限50万円)する。モニターツアーは来年3月中旬までに実施。3月10日に開くオーライ!ニッポン全国大会で実施結果などの発表を行う予定にしている。

 なお、11月18日には和歌山市で開かれたオーライ!ニッポン和歌山シンポジウムで優秀賞の発表、表彰式および事例発表などが行われた。

 優秀賞は次の通り(社名、団体名などは提案者、共同提案者の順)。

 とかち農村交流と野菜パワーの食育を学ぶ旅(1泊2日)=わくわくホリデー(北海道)、北海道女性農業者倶楽部・通称マンマのネットワーク▽田舎で親せきを作ろう!まめで達者な鮫川村!田舎の美味しい食べものづくりや手造りハウスにて薪ストーブ懇談 紙すき体験やシイタケ駒打ち体験で地元の方と交流(1泊2日)=農協観光首都圏支店(東京都)、福島県鮫川村▽都会の台所、通勤電車で漁師町へ 横須賀漁師とワカメ狩り(日帰り)=風の旅行社・風カルチャークラブ(東京都)、栗山義幸(漁業従事者・横須賀市)▽体験から交流へ~交流から定住へ 今そこにある和歌山「恵みの故郷・山海巡りシリーズ」第1回 二地域居住の里・日高川へ(日帰り)=ゆめ倶楽部21(和歌山県日高川町の体験交流受入れ団体)、日興トラベル▽古事記の里で夜神楽を楽しむ!「あはれ あなおもろし あなたのし あなさやけ おけ!」~神様と一緒に 地元住民と楽しむ神楽(1泊2日)=庄原市観光協会連合会(広島県)、道後タクシー・道後観光

千曲市の魅力紹介、姨捨夜景ツアーやお座敷遊び

 長野県千曲市(近藤清一郎市長)は11月13日、都内のホテルで「千曲市の産業・観光懇談会」を開いた。出席した首都圏のメディア関係者や旅行会社などに、観光資源や地元物産品、来年秋の信州デスティネーションキャンペーン(DC)の取り組み状況などを説明した。

 戸倉上山田温泉は、姨捨夜景ツアーや味噌づくり体験、おいしいお茶の淹れ方体験のほかに、千曲湖畔deノルディックウォーキングや芸妓観光ガイド、お座敷遊び(女性客専用プラン)など、着地型のワン・デイ・ツアー体験プログラムを紹介した。森・倉科地区は、日本一のあんずの栽培と歴史に触れた後、毎年3月末から4月上旬に開く「あんずまつり」や花見スポットと周辺施設、あんず商品を中心に説明。

 姨捨地区は「日本三大車窓」「訪れてみたい駅第2位」のJR姨捨駅や、「棚田貸します制度」および棚田米を強調した。

 信州DC関連では、姨捨地区を中心としたイベントとして、特別列車を運行するJR長野支社やしなの鉄道とのタイアップ企画のほかに、2次交通の整備、ハイキングコースの充実、滞在型観光の確立、観光ガイドの育成などをあげた  近藤市長は「千曲市には名月の里、棚田、日本三大車窓の一つの姨捨、日本一の生産量を誇るあんず、善光寺参りの精進落としの湯・美人の湯として名高い戸倉上山田温泉など、全国に誇れるブランドが数多くある。この優れた資源は当市の宝。これらを戦略的に発信していくことが大事だ」と語った。懇談会では、戸倉上山田温泉の芸妓演舞が披露されたほか、千曲市名物の「おしぼりうどん」が振舞われた。

“環境と経済が共鳴”、コウノトリ復活のまち紹介、豊岡市

 兵庫県豊岡市(中貝宗治市長)は11月10日、東京・六本木のベルサール六本木で「豊岡エキシビジョン」を開いた。「なくした大切なものを取り戻す。そして守り、育て、伝える」をテーマに、コウノトリ復活のまち・豊岡市の歴史や食、伝統、文化などを首都圏のマスコミや旅行会社などにPRした。

 第1部の「コウノトリ悠然と舞うふるさと」では、中貝市長が「一度日本の空から絶滅したコウノトリを自然界に再び帰す」という豊岡市の壮大な取り組みを紹介した。

 日本のコウノトリは、1971年に豊岡市を最後に日本の空から姿を消した。同市は65年から粘り強く人口飼育に取り組み、05年に放鳥に成功した。現在、137羽のコウノトリが生息し、38羽が自由に飛んでいるという。コウノトリは現在、世界でわずか2500―4千羽程度まで減少している。

 中貝市長は「コウノトリの野生復帰の取り組みの過程で環境と経済が共鳴し発展することに気づいた」とし、「環境という資源を生かし経済的に自立する地域づくりを目指す」と語った。

 パネルディスカッションでは、俳優で、日本野鳥の会会長、コウノトリファンクラブ会長の柳生博氏がコーディネーターを務め、環境創造型農業(コウノトリ育む農法)の開発者や生産農家の代表者による取り組みの発表や、城崎温泉の紹介を行った。城崎温泉旅館協同組合理事の高宮浩之氏は、城崎温泉では旅館内に売店を設置せず、旅行者にまち歩きをさせる取り組みを語った。また、浴衣を着れば、現金を持たなくても買い物や飲食、外湯での入浴ができる「ゆかたクレジット」の導入に向けた取り組みなどを紹介した。

 第2部「豊岡のチャレンジ」では、ブランド米「コウノトリ育むお米」や但馬牛、出石皿そば、津居山かになどの試食に加え、地域ブランド「豊岡鞄」などがブース出展し、積極的にPRした。