ANA 来年4月から、国内発券手数料を半減、JATA「現行維持を強く要望」

 全日本空輸(ANA)が来年4月から旅行会社に払う国内線航空券の発券手数料を、現行の5%から2・5%に引き下げる意向を発表。これを受けて、日本旅行業協会(JATA)は11月18日に開いた会見で、「ANAに対して、代理店契約制度の内容の維持を強く要望していく」考えを示した。具体的な要求はできないが、「航空業界と旅行業界が協力して需要拡大していくべきではないか」との姿勢を主張していく考えだ。大手旅行会社は個別に航空会社と交渉している一方、協会として「中小旅行会社の会員の立場を航空会社にいかに代弁していくかが今後の課題」としている。

ペットと出かける旅、現状と問題点を報告、ペット法医学会学術集会

 ペット法医学会は11月7日、東京都内で「ペットの住まいと旅」をテーマに学術集会を開いた。日本旅行赤い風船事業部の大島浩子担当部長は「ペットと出掛ける旅~受付・受入れの現状と問題点」を報告した。

「宿泊する際の約束事必要」「交通機関の乗り継ぎに難」

 全国犬猫飼育率調査によると、08年の国内の愛犬飼育頭数は、犬が約1310万頭、猫が約1373万8千頭にのぼる。一方、旅の販促研究所の調べによると、ペット同伴旅行は日帰りを含め、半数近くの飼い主が経験しているが、1泊以上の宿泊を伴う旅行に関しては34・1%と低い。

 未経験者のうち、犬の飼い主の約75%は一緒に旅行に行ってみたい意向を示しているが、旅行会社のパッケージを利用しての手配は3・3%と少ないのが現状だ。

 大島氏は「ペットが家族とみなされることが多くなるに連れ、ペット同伴旅行の需要は高まっていく。しかし、現状では一部の受入施設側に明確な基準がないことや、しつけの行き届かないペットの飼い主とトラブルが発生しているのも事実。お客様と受入側との間で、宿泊する際の約束ごとが不十分で、対応が急がれる」と指摘した。

 ペット同伴旅行が一般的な欧米などと比べ、交通機関を使った移動についても問題は多い。受け入れ条件が乗り物別、会社ごとに微妙に異なり、規則などで定めているだけで利用者にわかりやすい告知がなされていないためだ。「2つ以上乗り継ぐ場合、利用者にとって大変なわずらわしさがある」(大島氏)。

 例えば、JRは有料手回り品扱いで、重量やケージに規定がある。料金は1個につき270円。全日本空輸は受託手荷物扱いで、ペットケージ1個1区間5千円。

 観光施設については、東京ディズニーリゾートは園内のペット同伴は禁止。入口付近にあるペットハウスで来園当日のみ預かる。1匹2800円。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンも園内禁止で、ケンネルで預かる。1日1匹1千円。

 旅行業界の現状をみると、一般の人が同行する通常の募集型企画旅行はほとんど受け付けておらず、専用パッケージツアーも設定がないといっていい。個人旅行は宿泊施設・移動手段を規則などに従って手配するが、移動手段付の旅行の受付は少なく、ほとんどがマイカー旅行だという。

 日本旅行は4月から、国内パッケージ商品「ペットと行ける宿」(設定は10月31日まで)を販売した。マイカー旅行者を対象に、11施設の宿泊プランを集めた。「夕食メニュー内容の選択」「客室グレードアッププラン可能」「宿泊施設からのお楽しみメニューの提供」などが付く。集客実績は348人で、今後も継続して販売していくか検討中という。また、ウェブ専用商品として、ペットの受け入れに積極的な施設を案内しているが、62施設に留まっている。

 同社の契約施設(全国約5千施設)全体では、ペット受け入れ可能な施設は342施設。同室可能に限ると191施設と半数になる。また、同宿可能であっても、対応可能数が1施設あたり1―3室程度と少なく、小型犬のみや、シーズンによって受け入れ不可など制限がつくことが多い。

 契約施設に実施したアンケート調査では、「事前連絡なしで利用され、他のお客様に迷惑がかかった」「宿泊不可犬(サイズ)の無理強いをされた」「浴衣、タオルで汚れを隠し、知らないふりをされた」など、一握りのルールを守らない飼い主のために、受け入れを考えざるをえないトラブル事例も集められた。

 飼い主とのトラブルを未然に防ぐ工夫をしている受け入れ先進施設もある。「ペットと泊まれる本格旅館 群馬県草津温泉 音雅」では、宿泊に際して飼い主に、狂犬病、ワクチン接種が済んでいる、完全にトイレのしつけができている、遠吠えしないなど、約束事が書かれた確認書に記入してもらっている。

 大島氏は「今後は、各宿泊施設において受け入れの際の約束事『受け入れポリシー』を作るなどの対応が必要。また、業界としてもガイドラインや基準づくりの対応がいる」と語った。

第21回「全国旅館おかみの集い」、来年7月、帝国ホテルで開催

 全国旅館おかみの集い運営委員会(畠ひで子運営委員長)は11月10日、都内のホテルで1回目の運営委員会を開き、第21回全国旅館おかみの集いを、2010年7月6日、帝国ホテル東京(千代田区)で開くことなどを決めた。従来までは2日間の日程となっていたが、次回は1日完結にするなど、集いのあり方自体も見直し、より参加しやすいプログラムを検討している。

 「今までの集いのあり方にとらわれず、プログラムや日程、費用など、参加者の立場にたってより出席しやすい集いにしよう」というのが運営委員会の総意だ。

 プログラム内容については、次回委員会で詳細を詰めるが、午後の開始から懇親パーティー終了まで1日開催で行うことを決めた。このほかメインのテーマ、パーティーのあり方などについても議論した。

 畠委員長は「21回目という新たなスタートは変革のチャンス。全国の女将たちが参加したいと思えるような集いにしたい」と述べた。

温泉で国際交流深めたい、創立80周年記念式典開く、日本温泉協会

 日本温泉協会(滝多賀男会長)は11月9日、神奈川県横浜市のホテルニューグランドで創立80周年記念式典を開いた。

 滝会長は「日本温泉協会は1929年12月に温泉地の発展に寄与することを目的に発足し、2年後に社団法人の認可を受けた。今年80周年を迎えることができたのは、これまで協会の運営に携わってこられた多くの諸先輩方のおかげ」とあいさつ。「1930年には機関誌『温泉』を創刊し、今日まで発行を続けている。33年には学術部委員会が設置された」と、協会の80年の歴史を振り返った。最後に「我が国の温泉文化を世界に発信するとともに、諸外国の温泉地にも学びながら、温泉を通じて国際交流を深めていきたい」と語った。

 式典では環境省の鈴木正規自然環境局長や観光庁の本保芳明長官、国際温泉気候連合(FEMTEC)のニコライ・ストロジェンコ会長らが祝辞を述べたほか、観光関係団体トップら多数の来賓が出席した。

 また、学術研究で多大な功績を残した綿抜邦彦氏(副会長、学術部委員長)、甘露寺泰雄氏(常務理事)、山村順次氏(常務理事)、野口冬人氏(現代旅行研究所社長)の4氏が表彰された。開催地である横浜市、箱根町と視察ツアーを受入れる群馬県草津町には感謝状が贈られた。

 日本温泉協会は、創立80周年記念事業の一環として、FEMTEC大会を誘致した。11月8―11日まで横浜市と箱根町で国際温泉会議などを開き、各国の温泉事情の講演や学術発表も多数行われた。

 12日には群馬県・草津温泉への視察ツアーも実施した。

開設以来、来場者が30万人超す、ぐんまちゃん家

 東京・銀座のぐんま総合情報センター(ぐんまちゃん家)の来場者数が10月28日、30万人を突破した。30万人目は横浜市在住の三橋里奈さん。友人と一緒に銀座に遊びにきたが来館は初めて。他県のアンテナショップを巡っていたところ発見したという。

 「群馬県には友達がいるので親しみがある。温泉やスキーなどで訪ねるので、自然が豊かな印象。今回のことで、群馬にぐっと近くなった」と感想を話した。

 三橋さんには金子敏男所長から30万人目来場者認定書と群馬県のキャラクター・ぐんまちゃんのぬいぐるみが贈られた。

 昨年7月にオープンしてから、今年6月に20万人を達成。今回は約5カ月で30万人を超えた。金子所長は「認知度が高まったことや、リピーターの増加で早まった」と語る。堀越正史観光物産係長は10月上旬からキャラクターのぐんまちゃんが毎日店先で宣伝しているのもプラス要因で、「1日200人から300人の増加」という。出没時間は不規則で「ゲリラ的に」現れるとか。

余暇ナビゲーターを養成、新潟県旅組 県内5カ所で講座開く

 新潟県旅館組合(野澤幸司理事長)は11月から12月にかけて、ニューツーリズム人材育成事業「余暇ナビゲーター養成講座」を実施する。

 「地域の資源を生かして、新しい体験・交流プログラムやツアーを造成・販売したい」と考える人を対象に、ツアーづくりのノウハウを理論から実践まで通して提供する講座。同様な講座を県内5カ所で開く。  講座では、観光に関する法律や実務の知識、地域の観光素材を生かした商品作りと販売手法、マーケティング、プロモーションなど旅づくりのプロになるための実践的なカリキュラムで構成されている。日程は2日間。

 「余暇ナビゲーター」は、ボランティアガイドに代表される一般的な観光ガイドの役割を一歩進めて、地域に根差した視点で観光資源を掘り起こし、その土地ならではの旅を創造し事業化する“地域観光の主役”となる。新潟旅館組合ではこのような人材の育成を目指す。

 受講費用は一般が2万円(テキスト代と2日間の昼食代含む)。定員になり次第締め切る。

 第1回講座は、11月12―13日に三条市の県央地場産センターメッセピアで行われ、野澤理事長も出席する予定という。その後、県内各地で開かれる。

 問い合わせ=新潟県旅館組合 電話025(384)0761。

北海道、九州に新会社、地域密着、団体を継承、KNT

 近畿日本ツーリスト(KNT)は10月23日に開いた取締役会で子会社新設および会社分割(吸収分割)を決議した。新会社は、北海道地区における団体旅行事業を継承する、近畿日本ツーリスト北海道(札幌市中央区、佐藤誠之社長〈予定〉)と九州地区における団体旅行事業を継承する近畿日本ツーリスト九州(福岡市博多区、小島卓也社長〈予定〉)の2社。分割方式は同社を分割会社とし、新会社2社を継承会社とする分社型吸収分割。それぞれ11月16日設立予定。

 同社は08年1月事業を機軸とした組織再編を実施。この再編により団体旅行事業は全国横断型組織として情報やノウハウの共有化により、顧客の開発、利益性の向上をはかってきた。

 今回の分社化は、このメリットを生かしつつも、北海道、九州地域における今後の事業環境などを勘案し、より地域に密着した体制がさらなる成長や利益性の向上につながると判断したもの。

 なお、分割後も全国横断組織の強みを生かし団体事業において、同社との密接な連携のもと営業活動を推進する。

41年ぶりのオープンバス、都内3コース運行、はとバス

 はとバス(東京都)は11月1日から、都内定期観光に2階建てオープンバス「’o sola mio(オー・ソラ・ミオ!)」を導入した。命名はイタリア語で「私の太陽」からの造語。「オー!空、見よ!」にもじることができる。

 オープニングセレモニーで松尾均社長は「一段と高いところから、爽快感を味わいながら東京を感じてほしい。春夏秋冬とテーマを変えながら商品を提供したい」と語った。イタリア人歌手がカンツォーネを歌い、出発を盛り上げた。

 高さ3・8メートルの2階から360度見える景色は開放感があり、風や木々の色づきなど季節を肌で感じられる。近くを信号機やトンネルが通り過ぎ、新鮮な体験ができる。とくに都心の高層ビルは圧巻。

 オープンバスは、同社が創業61年目を迎え、「はとバス劇場第二幕」として運行する謝恩コースの目玉企画の1つ。昭和40年代にオープンバスを運行していたが、車両法上の問題から運行禁止となり姿を消していた。今回、既存のバス車両の強度を調べ、約1千万円の改造費をかけて41年ぶりのリバイバルとなった。

 コースは東京都内の午前・午後、夜の計3回。午前・午後コースは新宿高層ビル群、表参道などを通り、東京タワー展望の約3時間。夜コースは六本木からレインボーブリッジを経て、お台場散策とパレットタウン観覧車乗車付の約3時間半。料金は午前・午後コースが大人2千円、夜コースが2500円。

龍馬伝サミット開く、東京でゆかりの首長ら

 来年1月3日からのNHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送開始を受け、龍馬ゆかりの自治体1区8市は10月26日、東京都内で「龍馬伝サミット」を開いた。自治体首脳が集まり、各地の龍馬ゆかりのエピソードやまちづくりの推進事例を紹介。最後に龍馬伝サミット共同宣言「龍馬のまちづくり維新八策」を行った。

 集まったのは岡崎誠也高知市長、松本憲治安芸市長、濱野健品川区長、本廣正則下関市副市長、門川大作京都市長、田上富久長崎市長、森博幸鹿児島市長、前田終止霧島市長、羽田皓福山市長。

 主催者を代表して岡崎高知市長は「龍馬が28歳で脱藩して、33歳で暗殺されるまで表舞台に現れたのは5年間。この間、奇跡のような活躍を見せる。出会いの達人であり、組織をつなげていく力があった。龍馬伝を通して、今の時代に一番失われているものを考えられれば」とあいさつ。最近聞いた龍馬伝の脚本家、福田靖氏の講演から「『自然体の龍馬を描き、ギャルでもわかるドラマを目指したい』という言葉が印象に残った」と紹介した。

 「龍馬伝」チーフプロデューサーの鈴木圭氏は基調講演で、すでに始まっているロケの裏話などを披露。「龍馬は移動した人。自治体がつながってこうした会も開かれ、前代未聞の盛り上がりを見せている。祭りを盛り上げていただければうれしい」と語った。

 「龍馬のまちづくり維新八策」は、(1)龍馬ら幕末志士に関連する物的・人的資源を掘り起こし、観光振興をはかる(2)龍馬ゆかりの自治体を回遊するような、観光誘致事業を共同企画し実施する(3)龍馬ゆかりの自治体が連携して情報発信する(4)取り組みを一過性のものにせず、持続的な成果を導くように尽力する――など。

“ゆとり旅”を強調、北海道が東京でプレゼン

 北海道観光振興機構は10月21日、東京都内のホテルで「ゆとりツーリズム北海道」観光プレゼンテーションを開いた。道内各観光団体によるPRのほかに、JR北海道の商品説明会も行われた。

 「ゆとりツーリズム北海道」は、一地域に滞在し、ウォーキングや森林浴、陶芸、乗馬などを楽しみながら心と体を癒す、ちょっと贅沢な大人の旅を提案する。

 あいさつに立った大和田勲専務理事は「従来の周遊型に代わり、のんびりと食や天然温泉、地域の人との交流などを通して本物の癒しを追求する」と、今後の道内旅行の方向性を語った。この後、道内4地域の「ゆとり旅・モデルコース2010」のプレゼンが行われた。

 登別や洞爺湖を中心とする「しらおいのアイヌ文化とそうべつの火山の歴史を体感する 健康街道まなび旅」は、国の重要無形民俗文化財に指定されたアイヌ古式舞踊などの体験や料理で、アイヌの伝統文化を学びながら自然とも触れ合う。白老では、幕末期に北方警備にあたる武士たちが過ごしたという仙台藩白老元陣屋なども巡る。

 釧路や根室を中心とした「北太平洋シーサイドラインをローカル線で巡るゆとりの旅」は、釧路湿原や海岸線、牧草地などをのんびり巡る。イングランド生まれのフットパス(自然歩道)「厚床パス」は、広大な牧草地を巡る全長10・5キロのコース。ルートマップ片手に開拓期の名残や自然を楽しめる。

 このほか、奥尻と函館、千歳と道央など2モデルが紹介された。