「受け入れ体制作り」を評価
全国産業観光推進協議会は、第3回「産業観光まちづくり大賞」を決めた。金賞は北九州市(福岡県)が受賞し、銀賞は函館市(北海道)と益子アートウォーク実行委員会(栃木県)が、また特別賞には横須賀市・横須賀集客実行委員会・トライアングル(神奈川県)、YKK・黒部市(富山県)が選出された。表彰式は10月22日の「全国産業観光フォーラム」(群馬県富岡市)開会式で行う。
同賞は2007年度に創設。産業観光による観光まちづくりを実践している優れた事例を表彰する制度。審査は受入側と訪問側の双方にメリットあるビジネスモデルになっているか、また継続性があるかなどを主な評価点としたという。第1回の金賞は名古屋観光コンベンションビューロー、第2回は浜松観光コンベンションビューローが受賞した。
北九州市は39事業所が産業観光振興に協力し、重工業から家庭用品まで多種多様な工場見学を実施している。周辺には北九州イノベーションギャラリーなどの公的学習施設や産業遺産もあり、産業観光資源は豊富なうえ、「北九州エコタウン」では26の事業が展開され、環境をテーマとした幅広い産業観光ができる。また、官民が連携し事業所担当者との意見交換会や観光ガイドの交流会など受け入れ体制作りにも取り組んでいる。
審査では、北九州市は国を代表する素材型産業の集積地で、かつての公害問題を克服し、環境都市、ミュージアム都市として再生した手法は国内だけでなく世界でもモデルとなっているとし、受入れ事業所との定期的な会合で共に受入れ体制を検討、良好な関係を維持している点を評価した。
また、21世紀のテーマである産業と環境との共生・調和を一つの資源とし、修学旅行の産業観光体験学習プログラムなどを中心に積極的なプロモーションを行っており、多くの学生が訪れているという。同市の08年の産業観光見学者数は約28万人で、海外からも約2万人を数える。