2024年7月19日(金) 配信
全日本空輸(ANA、井上慎一社長、東京都港区)は7月19日(金)に東京都内の本社で会見を開き、今冬、欧州に新規3路線を就航すると発表した。井上社長は同社が日本と欧州を結ぶ最大の便数を誇る航空会社であることを強調したうえで、コロナ前に就航を予定していた3路線の発表に際し、「ついにここまで戻れたかと感無量だ」と喜びを語った。新規就航地はイタリア・ミラノとスウェーデン・ストックホルム、トルコ・イスタンブール。
同社は12月3日(火)から羽田―ミラノ線を、また2025年1月31日(金)に羽田―ストックホルム線、25年2月12日(水)に羽田―イスタンブール線の運航を開始。3路線の航空券は7月22日(月)から予約を受け付ける。
ミラノは日本発のレジャー需要をコアターゲットに、ビジネス、訪日需要も期待できる「バランスのいい市場」(井上社長)とし、日本人6割、訪日客4割を狙う。また、同社は7月からイタリアの鉄道会社・トレニタリアと提携を開始。イタリア国内25都市をはじめ欧州各国とアクセスを結ぶことで、顧客の利便性向上につなげていく。
ストックホルムは乗継客が多いことから、北欧へのネットワークを充実させ、新たな海外旅行先として提案していきたい考え。
今年は日本とトルコの外交樹立100周年を迎えるなか、アジアと欧州の交流拠点であるイスタンブールについて、「ユニークな地域でポテンシャルが高い」と期待を込めた。
このほか、7月1日(月)からはパリとミュンヘン便を毎日運航に増便しており、8月1日(木)からは羽田―ウィーン路線を復活させる。新規就航と合わせ、25年2月時点のANA欧州路線は週49便、就航都市9地点となる予定。また、日本から欧州、欧州から中東、アフリカ諸国のパートナーキャリアによるコードシェア区間は24年7月時点で34カ国、76地点となっている。
井上社長は国際線の需要動向について、インバウンドは円安もあり「成長チャンスと捉えている。まだ伸びるだろう」と期待を込めた。
回復が遅れているといわれるアウトバウンドについては、ゴールデンウイーク(GW)のハワイ路線の旅客数が過去最高を記録したことや、6月の旅客数が昨年に比べて1・3倍に増えていることなどに触れ、「決して需要はシュリンクしたわけではない。ビジネス需要、レジャー需要ともに確実に回復傾向にある」と強調した。
井上社長自身もGWにハワイへ行き、旅行客にヒアリングを行ったエピソードを紹介し、「円安のなかでの海外旅行だが、皆さん旅行中は楽しみ、日本で節制すると話されていた。やりくりをしながら“今を楽しむ”という価値観が広がれば嬉しい。ムーブメントとして後押しできれば」と言及。今後もネットワークの拡大を通じ、「お客様のワクワクを応援したい。一人ひとりにとって快適で便利な世界ナンバーワンの航空会社を目指していく」と意気込んだ。