2024年6月28日(金) 配信
日本温泉協会(笹本森雄会長、1147会員)は6月25日(火)、宮城県・秋保温泉の「伝承千年の宿 佐勘」で2024年度会員総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、3期6年間会長を務めた笹本氏が相談役に退き、新会長には石川県・和倉温泉の多田計介氏(湯けむりの宿美湾荘会長)が就任した。
笹本会長は冒頭、「温泉源に影響を及ぼす可能性がある大規模な地熱開発には警鐘を鳴らし続ける」と述べ、開発側に①地元の合意②情報公開③過剰採取の防止④モニタリングの徹底⑤被害の救済――の5提言の順守を求めていく姿勢を示した。
さらに、28年に日本の温泉文化をユネスコ無形文化遺産への登録実現へ活動を強化していく方針を示した。笹本会長は「日本の温泉の素晴らしさを改めて世界の人々に知っていただくだけではなく、地域文化や温泉文化を守ることにつながっていくと考えている」と語った。
このほか、今年度の重点目標としては、入浴エチケットポスター販売による入湯客のマナー向上や、機関誌「温泉」とホームページ「温泉名人」・SNSを活用した温泉情報の発信に努める。
新会長に就任した多田氏は「温泉文化のユネスコ登録に向けては、政治家の力で後押しをお願いしているが、温泉を利用される国民の“うねり”が必要。地域の皆様の協力をお願いしながら、登録実現へ全力で取り組んでいきたい」と意気込みを語った。 ◇
主な新体制は次の各氏。
【会長】多田計介(石川県・和倉温泉)
【常務副会長】石村隆生(神奈川県・箱根温泉郷)
【副会長】佐藤好億(福島県・二岐温泉)▽廣川登美子(栃木県・那須温泉郷)▽岡村興太郎(群馬県・法師温泉)▽八木眞一郎(福井県・あわら温泉)▽松﨑郁洋(熊本県・黒川温泉)▽前田眞治(学術部)
【専務理事】関豊
□温泉文化シンポ 秋保・下呂・道後が登壇
総会終了後には、秋保温泉、下呂温泉、道後温泉の代表者をパネリストに迎え、温泉文化シンポジウムを開催した。高崎商科大学特任教授の熊倉浩靖氏がコーディネーターを務め、秋保温泉は佐藤勘三郎氏(伝承千年の宿 佐勘)、下呂温泉は瀧康洋氏(水明館)、道後温泉は奥村敏仁氏(大和屋本店)がそれぞれの温泉地の課題や、地域活性化の取り組みなどを紹介した。