No.458 全旅連青年部 西村体制始動、「変わらないために変わる」

全旅連青年部 西村体制始動
「変わらないために変わる」

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部は西村総一郎体制が4月から始動する。人口減少で「人材不足」と叫ばれて久しいが、民泊や生産性、耐震の問題など業界内に残る課題は多い。今回は業界を代表する1つの「声」として、第23代の西村総一郎新部長に話を聞いた。“変わらないために変わる”を政策の柱に据え、多岐にわたる活動を行っていく。変革の時代を迎えた旅行・観光業界で、舵を取る手腕が問われる。

【司会進行=増田 剛編集長、構成=平綿 裕一】

 
 
 ――立候補するまでの経緯を教えてください。

 初めて青年部に出向したのは、第15代の岡本厚部長(2001―02年度)体制のときです。組織活性化委員会で副委員長を務めていました。

 そのあとはJC(青年会議所)活動が中心でしたが、卒業を機に、第22代の桑田雅之部長(15―16年度)体制で政策担当副部長を務めました。

 初めは自身にも降り掛かっている耐震の問題を中心に活動していましたが、すごい勢いで民泊の問題が持ち上がりました。桑田部長とヨーロッパホテル協会の受け入れなど、二人三脚で、さまざまな取り組みを行っていました。

 ただ、民泊問題は桑田部長の任期だけで収まる気配がありませんでした。青年部からは「次期部長は民泊に一番明るい人間がいいのでは」との声があり、今回青年部長を務めることになりました。2年前には自分が青年部長をやるとは思ってもみませんでした。

 ――組織はでき上がりましたか。

 組織構成はすべて固まりました。全部で9個の組織を編成しました。

 ――詳しく教えてください。

 総務広報委員会は、扇のかなめ。組織全体を運営し、活動を発信していきます。

 旅館アカデミー委員会では大切な次世代経営者の育成につながるような活動を行います。青年部が担う大切な役割の1つだと考えています。

 財務委員会と組織・強化変革委員会は会員拡大をはかり、組織機能も強化します。

 政策プロモーション委員会では国の観光政策立案に関わっていき、業界に必要な政策が推進できるように取り組んでいきます。

 桑田部長体制時に政策をやらせてもらっていましたが、情報が集まらないことが課題だと感じました。連絡を取り合う手段も、依然としてファックス。送信しても届いているか確証が得られません。

 業界を挙げて要望を出す場合でも、とくに今は数字による裏付けがないと説得力がありません。ここは組織・強化変革委員会の役割だと考えています。

 インバウンドと流通対策は、これまで別々でしたが今回は1つに集約しました。国策としてのインバウンド推進に、中心的な役割を果たします。さらに流通環境の改善もはかっていきます。

 宿屋未知向上委員会は、観光業への興味を喚起するプロモーションを行います。学生組織との連携も含め、将来の観光業を支える人材確保も目指します。

 このほか、労務改革委員会を新たに創設しました。労務の問題は一番大きな課題だと思っています。とくに外国人労働者受け入れの制度の拡充は急務です。このほか労務環境の改善も重要な問題です。…

 

※ 詳細は本紙1667号または4月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

新たに6社を認証、JTB関東やKNT九州、ツアーオペ品質認証

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、ツアーオペーレーター品質認証制度に即し、新たに6社を認証した。第7期となる今回は、JTB関東(今枝敦代表)と近畿日本ツーリスト九州(中津功社長)、日新航空サービス(坂口法久社長)、平和ITC(周文社長)、Oriental(康戦義社長)、新日本ツーリスト(楠木泰二朗代表)が認証された。

 同制度の目的は、法令遵守や品質管理・サービス水準、企業の社会的責任(CSR)の側面からツアーオペレーターを評価し、インバウンドの拡大や旅行の品質向上を目指すこと。

 4月1日現在で53社が認証され、第8期の申請受付は2018年1月より開始する。

 問い合わせ=JATA国内・訪日旅行推進部 電話: 03(3592)1276。

翻訳版旅館100選冊子を発行、台湾400社に配布

 旅行新聞新社は、昨年12月に発表した第42回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選(以下、旅館100選)」の入選施設の情報や、ランキング一覧を中国語(繁体字)に翻訳した冊子を発行しました。台湾の訪日旅行を取り扱う旅行会社に無償配布します。

 翻訳版旅館100選冊子の発行は今回で6回目となります。誌面は昨年に引き続き、本紙と提携する台湾の旅行業界専門誌「旅奇」が作成。4月中旬に台湾の訪日旅行の取扱資格を持つ旅行会社本社、営業所など400カ所に無償配布します。

 4月20―23日には「旅館100選台湾プロモーション」も実施します。事業には17旅館20人が参加し、台湾の旅行会社を招いての説明・商談会(21日)やデザインビジネスショー「台湾文博会」でのPR(22日)を実施します。

 本紙購読の皆様には、翻訳版冊子を見本としてお届けしましたのでご覧ください。

水木しげるロードリニューアル

 故・水木しげる氏の出身地、鳥取県境港市の「水木しげるロード」のリニューアル事業で、沿道の植栽撤去など一部工事が始まった。大型連休までは通常観光に影響はなく、連休後に本格的な工事に入るという。

 JR境港駅から水木しげる記念館まで約800メートルのロード全線をリニューアル。ポイントは、そのうち約500メートルの市道を一方通行化し、車道を狭め歩道を拡大すること。車道はスラローム化させ快適な歩行空間を生み出す。ロードの名物ともいえる妖怪ブロンズ像は新たに18体を追加したうえで全171体をすべて再配置する。ロード全線でエリアごとの夜間照明演出も実施。「目玉おやじ」をモチーフにした街灯設置や照明装置で歩道上をライトアップするなど、妖艶な雰囲気を生みだす。

【土橋 孝秀】

観光地の再生へ、マスタープラン作成を提案(観光産業革新検討会)

事務局が提示したマスタープランで目指す仕組み

 観光庁は3月31日、東京都内で「第3回観光産業革新検討会」を行った。今回の検討テーマは(1)観光地の再生活性化の方策について(2)方策実現のための仕組みづくり、支援等について――の2点。観光地の再生活性化策について、事務局は地域の宿泊施設のプラットフォームを作成し、宿泊施設を核とした魅力ある観光地づくりのマスタープランを作成する必要性を提案した。

 事務局が提示した資料によると、地方自治体における観光政策の有無について、日経リサーチが303の自治体に調査したところ、約7割の自治体が、作成済みとの回答を示した。具体的な政策の内容に関しては、「観光地PR活動」が82・3%、イベント開催が69・8%と上位になっており、「観光地開発(36・3%)」や「宿泊施設の整備(16・7%)」に関する施策は各自治体とも少ないことが明らかになった。観光地の開発や宿泊施設の整備を行っていくためには、「人材の確保」が不可欠になるが、回答した多くの自治体で、観光振興を推進していけるような人材が不足している状況だ。

 これらの現状を踏まえ、事務局が提案したのが「宿泊施設をコアに周回性を実現した新しい観光地経営」である。これまでは宿泊施設や観光施設をバラバラに周遊していたのに対し、事務局が提示した観光地経営策では、マスタープランを策定し、宿泊施設が地域の核(プラットフォーム)となって仕入れやPRを行い、各観光施設などと連携し滞在してもらえる仕組みづくりに取り組んでいくものだ。

 観光地の再生活性化案を考えてはいるものの、金銭面で余裕がない自治体も多い。そのような場合でも、具体的なマスタープランを作成することで、ふるさと納税や、クラウドファンディングなどの投資によって、資金調達がしやすくなるという。

 事務局が提示した案について、検討委員のAAE Japan社長の石井恵三氏は「宿泊施設がマスタープランを作るのに必要なことは、海外の成功事例を活用すること」とし、海外の成功事例を参考に、どのような顧客がどういった観光地にいくのかなど、ビジネスモデルをしっかりと分析することの重要性について意見した。

国際観光学部を開設、記念シンポジウム開く(東洋大学)

国際観光学部開設へ。竹村学長があいさつ

 東洋大学(竹村牧男学長、東京都文京区)は3月15日に同学白山キャンパスで、4月に開設する国際観光学部の記念シンポジウムを開いた。新学部は企業で働きながら学ぶコースなど、画期的な取り組みが耳目を集めている。竹村学長は冒頭に「高度な観光学の教育研究機関を確立し、観光産業の振興に寄与していきたい」とあいさつした。

 来賓の田村明比古観光庁長官は新たな門出を祝い、「私どもの目指す方向性とまさに合致するもの」と、新学部開設に期待を寄せた。

 新学部開設に連携して取り組んだ日本旅行業協会(JATA)の志村格理事長は、これまでの大学と企業の関係性に触れ「互いに離れていてはいけない。今後はどんな人材が欲しいか要求するべきだ」と、産学連携の必要性を訴えた。

 客員教授任命式では、中国国家旅游局中国旅游研究院の戴斌(ダイビン)氏が任命され、講演を実施。一方、国連世界観光機構(UNWTO)事務局長のタレブ・リファイ氏に、名誉博士号を贈呈した。世界の観光の持続的な発展に対する活躍と業績をたたえた。

 国際観光学部紹介では同学部長の飯島好彦氏と、同学科長の島川崇氏が登壇。新学部の学生定員は240人から366人と、約1・5倍になる。「これは大きな挑戦だった」(島川氏)。今後は各業界のニーズを汲み取って「社会の要請にどう応えるかが重要になる」(同)と強調した。

 このあと2部立てで「人材」について、パネルディスカッションを実施した。JTBと日本航空(JAL)の人事、旅工房の代表が学生に求める人材像を説明。国土交通省からは清瀬一浩氏が出席し「グローバルな視座を持つ地域の人材を輩出してほしい」と述べた。

〝海の日〟3連休存続を、業界7団体が決意表明

関係者300人が、ハッピーマンデー制度の維持を決議した

 〝働き方改革など休暇制度を考える会議〟が4月5日、衆議院第一議員会館(東京・霞ヶ関)で行われた。主催は日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)をはじめとした7団体。関係する衆参議員が出席するなか、冒頭あいさつで田川会長は、〝海の日〟を含めた3連休の経済効果の高さを強調。出席議員に向け、同制度の必要性を改めて訴えた。7団体による決意表明も行われた。

 国民の祝日としての〝海の日〟に改めて焦点が当たるなか、田川会長は「ハッピーマンデー制度は、多くの消費者にリフレッシュ機会を提供するキッカケとなっている。〝海の日〟を含む3連休1つとってみても、経済効果は2千億円に達する試算もある」と力を込める。

 自民党の観光立国調査会事務局長も務める衆議院議員の福井照氏は、「観光産業が困るようなことは一切しない。ハッピーマンデー制度の大切さはどの議員も知るところ。観光に携わる我われが一体となり、責任を持って国民の理解促進をはかる」と、協力を惜しまない姿勢を示した。

 会議前、80人以上の国会議員に対し陳情を行ったJATAの越智良典理事・事務局長は、「制度の存続に危機感を持っている。各方面に対し、必要性と存続をアピールするのが目的だ」と語る。

 JATA以外の主催団体は、全国旅行業協会と日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本観光振興協会。

新会長に佐藤和志氏、次世代へ〝和の文化〟継承

佐藤和志新会長(中央)
田島健夫氏

日本の旅文化を創る会が50年

 朝日旅行「日本の旅文化を創る会」(398会員)は3月22日、東京・新宿の京王プラザホテルで2017年度通常総会を開いた。任期満了にともなう役員改選では、佐藤和志氏(鶴の湯温泉)が新会長に選ばれた。佐藤好億会長は名誉会長に就任した。

 佐藤好億会長は50回を迎えた総会に先立って、「この会は個性あふれる仲間が集まってスタートした。50年を1つの区切りに、次の世代へ〝和の文化〟を継承する時期がきた」と述べ、「我われの進む道は次世代を担う皆さんの双肩にかかっている。朝日旅行らしい旅のあり方を考えていきたい」と語りかけた。

 佐藤和志新会長は、さまざまな分野の会員が集う同会の可能性の高さについて触れ、「会の皆さんと一緒に盛り上げていきたい」と就任のあいさつをした。

 17年度は昨年度に続き、人材育成や事業継承に向けた研修会を実施する。また、温泉検定講座の開設については、専門委員会を中心に収益が得られる仕組みづくりなどを継続的に検討していく。

 総会では、日本の宿を守る会(36会員)、日本秘湯を守る会(173会員)、日本文化遺産を守る会(26会員)、日本源泉湯宿を守る会(45会員)――の4部会が活動報告を行った。

 来賓の朝日旅行の鶴田隆志社長は「会員にとってなくてはならない会であるために、我われの役割をつねに考えている。新年度以降、組織も変え、新たな息吹を吹き込み、宿の繁栄を支えていきたい」と力強く語った。

 総会後の講演会では、「誰にも真似できない宿づくり」をテーマに、忘れの里雅叙苑、天空の森主人の田島健夫氏(鹿児島県・南きりしま温泉)が登壇。田島氏は「旅館が提供する和食も工業製品になっている」と嘆き、そのうえで「私たちは次の世代に何かを残さなければ、このままでは日本はガタガタになる」と危機感を滲ませた。

300年以上の歴史を、中国の国酒でおもてなし(日和商事)

中国の国酒「マオタイ酒」

 中国の国酒「貴州茅台酒(きしゅうまおたいしゅ)」を日本で購入する中国人が増えている――。1972(昭和47)年、日中国交正常化の記念式典で、当時の首相田中角栄に振る舞われた酒がマオタイ酒だ。このマオタイ酒の国内唯一の正規販売代理店が日和商事(黄曜東社長、東京都渋谷区)。中国酒専門で20年以上の実績がある。昨今の訪日中国人客の増加に合わせ、プロモーションも強化している。

 中国では国酒として300年以上の歴史を持ち、接待の席で必ずといっていいほど目にする。アルコール度数は53度。一口飲めばカッと焼けるような強さを感じるが、味はまろやかで甘みもある。純度が高く二日酔いにもなりにくい。

 中国人が最も郷土を思い出す味ともいえる。ただ、中国では同酒のニセモノが少なくないという。そこで、訪日中国人らは「日本でならばホンモノだ」と、空港などの免税店で人気がある。

 同社は3月7日に行われたアジア最大級のBtoB食品・飲料専門展示会「FOODEX JAPAN」にも20年近く続けて出展している。当日は商談や、珍しい中国酒を手に取る客らでにぎわった。

数多くの中国酒を扱う

 中国酒輸入卸売を商い、健康酒や調理酒、果実酒なども取り扱う。中国本土に工場を持ち、自社で醸造するオリジナルブランドも展開する。

 このうち紹興酒はすべてオリジナル。「越王台紹興花彫酒」は最も安く600㍉リットル300円。初めてでも手を出しやすい価格に抑えた。

 一方、ボトルや陶器、ラベルなどに個々の企業名を刻印して販売も行う。本場の味はそのままで、自館や売場の雰囲気を損なうことなく、商品を合わせられる。

 黄曜東社長は「日本のホテル・旅館のお土産にも合うはず。中国のお酒を楽しんでほしい」と語った。

 日本に個人で訪れる訪日中国人は増加の傾向にある。日本の酒を楽しんでもらうことも重要だが、郷土の酒を振る舞うこともおもてなしの1つかもしれない。

軽井沢ビールを体感、美術館的工場で味を探求(軽井沢ブルワリー)

軽井沢ビール工場の外観

 軽井沢ブルワリーの工場は、世界的な日本画家・千住博画伯と軽井沢千住博美術館の協力による美術館のよう。工場内の随所に展示されている千住博画伯の名画に触れることのできる初の品格あるクラフトビール工場だ。

 同工場は「軽井沢ビール」を生産している。クラフトビール最大の規模と最新鋭の設備で、生産された麦芽を使った仕込みの香り、音、温度、すべてを実感し、見学できる「体感工場」。軽井沢浅間山の清らかな冷涼名水で仕込み、喉越し爽やかで何杯でも美味しく飲めるのが「軽井沢ビール」の特徴だ。千住博画伯の名画とともに美しい味の探求が、工場の永遠のテーマという。

 開場からわずか3年の清潔な新工場は来場者に好評で、昨年1年間の来場者数は1万人を超えた。初夏から紅葉の時期までの軽井沢ベストシーズンが人気の期間だ。

 さらに、9月に最大5千キロリットルの製造能力を有する臨場感あふれるビール体感工場へ拡大する計画だという。

 工場へのアクセスは、上信越自動車道の佐久ICから車で1分、軽井沢周辺からは約20キロ。電車利用の場合は北陸新幹線佐久平駅蓼科口からタクシーで約6分。大型バス7台分の駐車場を完備している。近くの軽井沢千住博美術館見学も併せてプランが組める立地だ。

 見学料金は1人500円。生ビールをグラス1杯無料、お土産に缶ビール1本(飲めない人は缶ビール2本)がもれなくプレゼントされる。館内の売店で工場直売の新鮮なビールも購入できる。ビール工場見学はホームページから予約可能。

 問い合わせ=軽井沢ブルワリー 電話:0267(66)3311。

造りたてのビールが試飲できる開放感あるビアホール
本物のサクソフォンを使用したビールサーバー