2020年4月13日(月) 配信
■BTM導入2割未満
BTMとは「ビジネストラベルマネジメント」の略称で、出張時の各種手配を外部委託し、一元管理する仕組みだ。1980年代に米国で開発され、欧米では導入が進んでいる。
日本はどうだろうか。日本政策投資銀行と日本経済研究所による調査レポート「出張マーケットに関する動向と今後」(2017年12月)では、出張・業務目的の旅行について国内市場を約3・7億円と推計している。一方、マイナビが今年2月に実施したアンケート(マイナビニュース会員約500人対象)では、BTMの認知度は約3割、導入していると答えた人は2割にも満たなかった。
■法人宿泊で需要把握
出張市場に新規参入しようとするマイナビには、2つの強みがあった。1つ目は数多くの企業との取引実績、2つ目はマイナビトラベルを利用する法人から得た「声」だ。
旅行業は手数料商売なので収益構造は「薄利多売」が一般的だ。加えてBTMでは、サービス提供者が一時的に費用を立て替えるため、新規企業との取引は慎重にならざるを得ない。ところがマイナビは、求人情報サービスなどで築き上げてきた多くの企業との取引実績がある。リスクの少ない見込顧客を多く抱えていた。
また、マイナビトラベルは、法人版サービスで約2600社の利用を受注している。宿泊予約中心のサービスを提供するなか、「航空券やレンタカーも」との声が多数あった。産みの苦労はあるが、ニーズに合ったサービスを公開すれば導入につながると確信していた。
■使いやすさ第一に
マイナビBTMは、設計から公開までに約1年を要した。今も利用者の声を聞き、必要とあれば改善している。
利用者側から見た最大の特徴は「予約時の比較画面」だ。航空便の選択を例にとると、多くのBTMサービスでは、キャリアごとに別画面で料金やフライト時刻を比較するのが一般的だ。このため「検索した結果をメモして、別画面を開くこともある」という。一方マイナビBTMは、1つの画面で複数キャリアを表示できる。さらに個札とパッケージ商品をタブの切り替えで比較できる。価格はもちろん、変更の融通なども鑑み、円滑に手配できる。
「見える化」もBTM導入の利点だ。毎月の出張費用を管理できていない企業は意外と多い。マイナビBTMを活用することで、出張経費の一元管理や分析ができるほか、申請から承認までのワークフロー、従業員ごとの旅費規程設定などがサービス内で完結する。
■2年後導入1千社へ
BTMの認知を高めるため、広報にも力を入れている。管理部門向けのオウンドメディア「Back Office Note」のなかで、出張管理や業務改善などのコラム、ビジネスで使えるテンプレートを無料公開している。
サービス開始から約5カ月。導入企業はまだ数十社程だが、「使い勝手の評価は上々」という。現在は国内出張を対象としたサービスだが、今夏を目途に海外出張への対応も行う。2年後、1千社の利用を目指す。
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インタビューは3月18日にマイナビ本社で実施。トラベル情報事業部の福井彩香課長、池田紗絵さんが同席した。