国民意識の啓発を、無電柱化へ民間組織発足
「景観・観光」「安全・快適」「防災」の観点から、民間の立場で無電柱化を推進する「無電柱化民間プロジェクト」実行委員会が7月10日に設立され、同日に東京都千代田区のホテルニューオータニで発足記者発表会を開いた。国民意識の啓発や新設電柱を原則禁止にする法律の策定を目指す。
同委員会では、政府と自民党が推進する無電柱化の趣旨に賛同し、民間の立場から応援していく。
実行委員長を務める日本芸術院会員で東京芸術大学名誉教授、大阪芸術大学教授の絹谷幸二氏は会見で、「諸外国は無電柱化が進んでいる。景観を損ねている面もあるし、震災などの際に電柱が倒れるリスクもあり、防災の観点からも無電柱化の意義は大きい」と語った。
日本の電柱の本数は1987年に3007万本、2008年に3525万本、12年に3552万本と年々増加。世界の各都市の無電柱化率を比べると、ロンドンが100%(04年)、パリが100%(04年)、ベルリンが99%(12年)、ニューヨークが83%(11年)、ソウルが46%(11年)に対し、東京は32%(12年)と大きく遅れている。下水道普及率が約3%のジャカルタにおいてもコタ駅周辺で35%と無電柱化が進められている。
同プロジェクトでは(1)工事経費抑制のための直埋設立の推進(2)地上機器を置く民地確保の手法確立(3)新設の電柱は「原則禁止」とする法律の策定――を今後の目標に設定した。(1)CSRで企業への協力依頼(2)民地の軒下に地上機器を配線するなど協力のお願い(3)予算の確保(4)税制による優遇(5)無電柱化基本法の策定――を活動方針に掲げる。
また、来賓の自民党無電柱化小委員会委員長を務める小池百合子衆議院議員は無電柱化小委員会の中間とりまとめとして(1)新設電柱を原則禁止とするなどの「無電柱化基本法」の策定(2)技術革新(3)国民の意識改革――を挙げ、「無電柱化は景観だけでなく、防災や自転車・車イス・ベビーカーが通りやすくするという観点でも必要なこと。実行委員会の皆さんと連携しながら、国民全体の意識を変えていきたい」と語った。