世界に誇れるまちづくり議論 ナショナルパーク・サミット 雲仙市で初開催
2021年12月3日(金)配信
雲仙BASE(長崎県雲仙市)で11月15日(月)、初のナショナルパーク・サミットが開かれた。
雲仙市と雲仙温泉観光協会、ONSEN・ガストロノミー推進機構の共催。地域の食や温泉などの魅力向上と発信する人材の育成を行う人々が各地から参集した。
意見交換のパートでは、地域の若手の活用や市場とデータ分析の重要性、地域形成の在り方など多岐にわたるテーマを軸に、「世界に誇れるまちづくり」について議論を交わした。
雲仙温泉観光協会の宮崎高一会長は、「今日をスタートに、交流や情報交換を継続しつつ、第2回、第3回と回数を重ね、地方が元気な日本の原動力となるような、そんな将来につながる第一歩になれば」との期待感を語った。
また、今年8月に発生した豪雨災害にも触れ、「観光地として危機的ダメージを受けた雲仙温泉だが、この苦境を乗り越えてさらに先へ進むべく、『越えて、より先へ 雲仙』を皆の合言葉とし、国、県、市、地元が強力に連携して、地域一丸となり、創造的復興を実行していく」と力強く宣言した。
主催する雲仙市は、食と人によるブランディングやワーケーションなどの取り組みを説明。併せて、現在設立を進めるDMO組織「雲仙観光局(仮称)」についても説明した。
同組織は市が2020年に策定した観光戦略で掲げるプランに基づき、観光を強力に推進する組織。同戦略では「地元を使おう」、「唯一無二の自然を愛そう」など6つの行動指針と、「途中も見せる」など3つの意識を掲げる。これに基づき、10年後には訪れた人が島原市とともに「6日間滞在できる雲仙。」となるよう、12のプロジェクトを進める。同局を通じ、観光を市全体への波及効果の高い産業にするとともに、まちの価値を向上させ、選ばれ続け、稼ぐ力を高める。そして、訪れる人も、住む人も、働く人も幸せを感じられる持続可能な地域を実現することが狙いだ。
事例紹介のパートではまちづくりやコンテンツ作りに関し、各地域の各担当者が説明した。下呂温泉観光協会の瀧康洋会長はエコツーリズムの取り組みや、DMOの在り方などを説明。プロモーションの重要性を強調し、「マーケティングに沿って事業を行うことが地域の成長につながる」した。
岩手県庁流通課の藤沢哲也主任主査は、19年から3年間にわたり実施した「三陸国際ガストロノミー会議」を紹介した。三陸の食の魅力高めることなどが趣旨。食を通じての地域活性に向けた取り組みの重要性も発信した。
その後行われた意見交換では、参加者と登壇者が議論を交わした。若者の活用に関しては、「若者はSNS(交流サイト)での情報発信に長けている。まず得意なことを通じ達成感を感じてもらったうえで、次に挑戦してもらうといいのでは」、「若者がやりたいことと市場があっているか、ここを合わせることが大事。データを読み込むためにも、若い人を育てる」などの意見が挙がった。
そのほかにも、「地域で続いてきたことを守るというか、表現することも捨ててはいけない」、「自然を語るうえでも食から入ると分かりやすい。国立公園と聞くと保護というイメージが強いが、技術を継承していかなければ資源の使い方がわからなくなる。資源をつないでいくため、地域のみんなで使い方を学ぶ方がよい」など、地域づくりや、国立公園の活用などにも話は及んだ。