レジャー施設のサブスク「レジャパス!」始動へ 共闘で産業盛り上げを
2021年12月10日(金) 配信
レジャー業のプロデュース事業を手掛けるORIGRESS PARKS(オリグレスパークス、吉武優社長、東京都品川区)は12月8日(水)に東京都内で会見を開き、レジャー施設のサブスクリプションサービス「レジャパス!」を発表した。同サービスは全国80施設以上の遊園地やテーマパーク、美術館などが利用し放題のパスポートアプリ。コロナ禍で疲弊したレジャー産業を「競争ではなく、共闘して盛り上げる」ことを狙う。利用開始は12月中旬を予定する。
吉武社長は、コロナ禍で生まれた家で消費するサービス充実の流れは不可逆的だとしたうえで、「いかに人を家から引っ張り出すか、考えていかなければならない」と危機感を示した。同社によると、日本でのレジャー施設のサブスクは初めてだが、「コロナ禍で各施設は同じ苦しい想いで歯を食いしばってきた。最も打撃を受けた業界で、自助努力の範疇を超えている。競争ではなく、共闘でエンタメの素晴らしさを波及したい」と強調した。
同サービスは、参画施設の①売上増加②広告予算0円でのPR③新規顧客の獲得④平日来場者数の増加――に貢献することを目指す。当初、開始時点での施設加盟数は30施設を目標にしていたが、12月8日時点で80施設以上が加盟した。「期待の表れで、我われのサービスに共感が得られた」と吉武社長は自信をのぞかせた。
来年1年間で加盟施設数は、200~300施設まで増加すると見込む。利用者数は1年後に2万人を目指す。将来的には、東京ディズニーリゾートとユニバーサルスタジオジャパンのレジャー2大勢力に挑めるような、第3の勢力への成長を目標に掲げ、利用者数も10万人程度を想定する。
吉武社長は「コロナが過去になったとして、新しい事への挑戦が生まれた、コロナ前よりもレジャー産業が躍進したという歴史にしていきたい」と意気込みを語った。
会見には参画施設の代表者も出席し、サービスへの期待を語った。サンシャイン水族館館長の丸山克志氏は「自社で企画の充実や価値を創造する努力をしているが、コロナ禍では伝え切れない。サービス参加で、価値提供への間口を広げる機会を増やしていきたい。チャンスが広がる場になるよう期待する」と語った。
また、東京ジョイポリス館長の早坂亮二氏は「単体では太刀打ちできない状況だ。ライバルだった企業とタッグを組んで、街へ出てエンタメを楽しんでもらうというサービスの狙いに共感した。横のつながりを大切に、業界盛り上げたい」と想いを述べた。
SOLA SPA新宿の湯支配人の新垣中氏は「“チームレジャパス”として、『この施設のあとは、ここへ』など、さまざまな歩き方の提案がほしい。全国へつながりを広げていきたい」と期待した。
今回のサービスは顧客からの利用料金で利益を得るビジネスモデルのため、加盟施設は参画する際のコストはかからない。東京都内の施設は月額のサービス利用料を設定するというが、レジャパス側からも利用者数に応じた分配金が支払われ、分配金がサービス利用料を下回った場合、利用料は発生しないという。
施設側は、平日や休日に受け入れられる枠をレジャパス用に用意する。施設ごとに料金やキャパシティが異なるため、「個別に相談したうえで、分配金などの諸条件を設定する。加盟施設にデメリットはないようにしたい」(吉武社長)。なお、加盟施設への条件は常設施設で有料のレジャー産業。無料施設や日常的すぎるサービスは対象外となる。
□レジャパス!概要
レジャパスの利用概要は、平日プランが月額1980円(年間料金は1万9800円)、土日祝日も利用可のプランは月額2980円(同2万9800円)、スキー場など高価格帯施設も対象となるプレミアムプランは月額3980円(同3万9800円)。価格はすべて税別。
施設利用の際は、予約が必要。同一施設の利用は月に1度までだが、異なる施設であれば使い放題となる。また、月に一度も利用しなかった場合は、「レジャコイン」が付与される。同コインは家族や友人など会員以外の予約に使えるほか、同一施設に月2回以上来場したい場合にも利用できるという。