運転手不足に対応、バスに特化した求人支援(どらなび)
人材採用支援サービスを展開するリッツMC(中嶋美恵社長、東京都港区)と高速バスマーケティング研究所(成定竜一代表、神奈川県横浜市)は7月1日、バス運転手の求人支援サービスを開始した。近年、運転手の高齢化や規制強化、訪日外国人観光客の急増などを背景に、国土交通省でも有識者会議を設置するほどバス運転手不足は深刻化している。新サービスはこれに対応するためのもので、バス業界や運転手に特化した採用支援は国内初という。
新サービスは求人情報サイト「バスドライバーnavi(どらなび)」の運営や人材紹介サービス、採用に向けたコンサルティング、新人運転手研修などを展開し、運転手不足の短期的課題と長期的課題の両面にアプローチする。「どらなび」の求人サイトは、求職者が検索する機能として勤務地や年収などのほか、路線バスや貸切バス、高速バスなどの職種、車両タイプやメーカーなど運転手ならではの特色ある項目を設けているのが特徴。また、特集ページを設置し、女性運転手の活用に具体的な取り組みを行っている会社や、未経験者向けに免許取得支援制度を導入した会社などを紹介し、新たな運転手の発掘も支援する。掲載求人数は約100社で、3年後の2017年までに250社程度の掲載を目指す。なお、10月までは求人広告を特別価格で掲載でき、各特集は無料。
6月30日には報道関係者を対象にした会見とバス会社向けの採用セミナーを開催。成定氏は運転手不足の背景について、バス運転手の仕事の特性である1台に必ず1人の人員が必要なことや安全確保のため規制が厳格なことに加え、直近の規制実効性の強化や訪日観光客の急増などの環境変化があると説明した。また、男性運転手の10年の平均年齢は46・2歳と全産業男子平均年齢の42・1歳に比べて高齢化が進んでいるほか、運転手に必要な大型2種免許保持者は02年から09年で12%減少している。
成定氏はバス運転手確保に向け必要なのは「女性」と「若者」の活用だと提案。「女性に不向きなわけではないが、従来から男社会のため、職場環境が女性に対応していない。また、大型2種は21歳から取得可能だが、鉄道や航空が当たり前に自社で人材育成するのに比べ、バスは転職が前提にあり、自社養成に消極的だった」という。現状、女性運転手の割合は1・4%と著しく低く、バス運転手の新卒採用はない。こうした状況を踏まえ「どらなび」は両者の活用に向けた環境づくりや効果のでる求人広告戦略のコンサルティングから、求人活動、研修などの定着戦略まで一貫して行うことで、運転手不足の解決をはかる。
これまで医療・福祉関係の人材支援サービスを行ってきたリッツMCの中嶋氏は、サービスの1つ人材紹介について「バス業界ではあまりなく、1つの新しい方向性だと思う」と自信を見せた。また、集まったバス会社の採用担当者に向け、これまでの経験から採用効果を上げる求人広告について「ネットも紙媒体もスペースが大きいほど、質のいい人材が集まる。しかし、応募人数は少ないので、人数を集めたい場合は中くらいのサイズ」などポイントを伝授。情報内容の注意点としては、「労基法上の問題が出てくる」とし、「当社規定により優遇」や「シフト制・変形労働時間制」など曖昧な表現は避け、はっきりと記載することを呼び掛けた。