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津田令子の「味のある街」「かんころ餅」――草加家(長崎県佐世保市)

2022年2月6日(日) 配信

「草加家」のかんころ餅1本(260㌘)756円▽長崎県佐世保市重尾町210▽☎0956(38)3808。

 
 この時期になると取り寄せているのが「かんころ餅」だ。かつて長崎県を旅した折に出会って以来、冬の定番として欠かせない。「かんころ」とは薄切りにしたサツマイモをゆでて干したもので、長崎県五島地方の方言だ。昔から長崎地方に伝わる郷土の名物なのだが、素朴でどこか懐かしい、一度食べたら忘れることのできない一品だ。

 
 長崎の太陽の下で育ったサツマイモに、ゆでて、潮風に吹かれたのちにもち米・砂糖などをまぜてつくったもので、もち米が入ることで、もっちりした食感に仕上がるのだ。

 
 元々は保存食として用いられていのだが、今では長崎伝統菓子として、また人気の手みやげ菓子としても食べられている。

 
 長崎には、かんころ餅を作り販売している店は幾つかある。今回は草加せんべい(埼玉県)を由来としている草加家を紹介しよう。草加屋があるのは佐世保市重尾町。創業者は草加せんべいを作って、小さな三輪トラックで九州を駆け巡ったという。やがて長崎の伝統的な食文化を商品にして全国に届けたのが「かんころ餅」。月日は流れ、今では多くの生産者に支えられ、「懐かしさを味に込めて」商品作りを続けているという。

 
 さて、届いたばかりの例のものを、袋から取り出しパッケージを開封すると、どっしり重いかんころ餅のお目見えだ。1㌢ほどに切ってオーブントースターで5―6分軽くあぶって食べるのが、我が家の習わし。あぶることで芋の風味が際立ってより美味しいのだ。もちろん、そのまま食してもグッドである。アツアツのかんころ餅を手に取り、口へと運ぶ。一瞬で甘くて香ばしいふるさとの味に包まれる。

 

 最近は上にホイップクリームを載せたり、ゴマや餡をまぶしたりする人もいるというが、やっぱり軽くあぶってシンプルに食べるのがおすすめだ。常温でも長持ちするようにレトルト殺菌しているので賞味期限が180日と長いのもうれしい。

 
 かつて長崎県長期構想委員のメンバーに選ばれ、会議のために毎月長崎を訪れていた日々を思い出しながら、今日も「かんころ餅」を食べている。

 

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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