2月の宿泊業倒産は3件 負債総額、200%増の24億円(東京商工リサーチ調べ)
2022年3月9日(水) 配信
東京商工リサーチがこのほど発表した2022年2月の宿泊業倒産は3件(前年同月8件)だった。21年9月から6カ月連続で前年同月を下回り、02年以降の過去20年で最少となった。負債総額は前年同月比198・2%増の24億7200万円(同8億2900万円)で、4カ月ぶりに前年同月を上回った。負債10億円以上の大型倒産が発生したことで、負債総額を押し上げるカタチとなった。
新型コロナウイルス関連倒産は2件で、前年同月の4件から減少した。形態別では3件すべてが破産。地区別では、北陸(富山)、近畿(京都)、九州(大分)で各1件発生した。
2021年度(4~3月)の倒産件数は、2月までに63件となり、前年同期の114件から44・7%減少している。
おもな倒産事例として、「山一観光」(大分県日田市)が3月1日(火)までに事業を停止し、大分地裁日田支部に破産を申請した。負債総額は23億5100万円。大分県での新型コロナ関連倒産としては、最大の負債額となる。
同社は、日田市の天ヶ瀬温泉で観光ホテル「みるき~すぱサンビレッヂ」を経営していた。7階建ての客室棟のほか、ペット可の別棟も備え、男女別の大浴場2カ所、プール、大宴会場3カ所と、複数の団体客に対応している大型施設だった。
ピーク時の1997年4月期には売上高約8億円を計上していたが、近年は年間売上高が2億円台で推移し、赤字となっていた。
2020年春以降は新型コロナ感染拡大で休業したうえ、「令和2年7月豪雨」で玖珠川の氾濫が起こり天ヶ瀬温泉への観光客も急減した。21年4月期には売上高が約7千万円まで落ち込み、業績回復の兆しが見えないことから事業継続を断念した。
割烹料理店を経て民宿「日本海氷見小さな隠れ味宿・魚恵」を経営していた魚恵(富山県氷見市)は、20年9月末に営業を停止。22年2月1日(火)に富山地裁高岡支部から破産開始決定を受けた。負債総額は9143万円。
氷見温泉元湯を引いた温泉や、漁港で仕入れる海の幸と自家製野菜を使った料理が常連客から人気を集めていた。
しかし新型コロナ感染症の拡大以降、客足は減少し、20年5月期には売上高が約4800万円まで落ち込み、先行きの不透明さから今回の措置となった。
今年2月の旅行業倒産は、前年同月と同数で4件発生した。21年度(4~3月)の累計件数は2月時点で26件となり、既に前年度の23件を上回っている。
負債総額は同28・8%増の1億3400万円。
同社は、外出自粛や渡航制限の長期化による需要低迷などが相まって、「小・零細規模を中心とした息切れ倒産が散発し、件数を押し上げている」と危機感を抱いている。