「JR竹芝 水素シャトルバス」 運行ルートに東京タワー組み込む実証実験
2022年3月16日(水) 配信
東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月31日(木)まで、燃料電池バス(JR竹芝 水素シャトルバス)の運行ルートに東京タワーを組み込む実証実験を行っている。
東京駅、竹芝エリア、東京タワー3地点の回遊性を高めることで、相互的に需要の増加をはかることが狙い。3月21日まで「ウォーターズ竹芝」行われる各種イベントに参加した人に東京タワーへも足を運んでもらうことで相互需要が高まると考え、この期間での実証となった。
「JR竹芝 水素シャトルバス」は2020年10月、同社の再開発エリアの竹芝で「ウォーターズ竹芝」がまちびらきをしたのに合わせ導入された。
トヨタの燃料電池バス「SORA」を使用し、車内では水素に関する動画や、国際連合提供のSDGsを訴求する動画、ポスターを掲示する。東京駅丸の内南口から竹芝エリアのウォーターズ竹芝と、日の出ふ頭を経由して東京駅へ戻る運行ルートで、多くの人に気軽に燃料電池バスを体験してもらうため運賃は「無料」となっている。
この取り組みは2050年度CO₂排出量「実質ゼロ」の目標を掲げる同社の「ゼロカーボン・チャレンジ2050」の取り組みの一環。水素を使う車両などの積極的な導入により水素需要を高め、水素社会の実現・理解の促進を目指している。
水素シャトルバスの運行に際しては、需要に合わせ四半期ごとにダイヤを見直しており、「無料で直接竹芝エリアに向かえる」など利用者から高評価を得ている。とくにウォーターズ竹芝内の劇団四季の劇場を利用する人の利用が多く、小学生が自由研究のために乗車し車両を観察していることもあるという。
今回の実証に対し東京タワー関係者は、「弊社は竹芝エリアのDMOにも参画させて頂いておりますが、近年開発が進む浜松町・竹芝エリアとともに、地域の盛上げと連携を推進しているなか、貴重なインフラとなる」と期待感を示す。
同社は期間中、各スポット来場者に対しチラシ配布などの訴求活動を実施しており、3月12日にはシーライン東京のレストラン船利用者らにチラシを配布。「浜松町・大門・竹芝・日の出エリアから芝公園までは、名所・旧跡が多く見どころ満載ですが、歩いて回るには少し距離があります。水素バスが正規化することで、東京駅から海岸ゾーンを通り、芝公園に至るルートが確保され、利便性と行動範囲が広がる」との見通しを示す。
また、「竹芝にはホテルも多く、インバウンド回復時にも多くの需要が期待できるのではないか」と正規ルート化に向けた期待感を示す。そのうえで同社は。正式にルートに組み込まれた際には、ウォーターズ竹芝や、シーライン東京の協力得たうえで、相互施設割引などの回遊施策を検討したい考えだ。