観光業の構造的な弱点克服へ 21年度を振り返る(観光庁長官会見)
2022年3月23日(水) 配信
観光庁の和田浩一長官は3月18日(金)に開いた会見で、2021年度の振り返りを行った。「観光関係者は未だ厳しい状況から抜け出せていない。来年度は、引き続き雇調金などの支援策や観光需要の喚起を行っていく。コロナ禍で見つかった観光業の構造的な弱点を克服するための取り組みを推進する」と語った。観光庁はGo Toトラベル事業の再開について、「時期が来たら迅速に再開できるよう準備を進める」考えだ。
政府は4月1日(金)から、地域観光事業支援(県民割)の割引対象を、地域ブロックへ拡大することを決定した。18都道府県でのまん延防止等重点措置が3月21日(月)に解除することを受け、3月16日(水)の会見で岸田文雄首相は、「県民割拡大後の感染状況を見極めたうえで、Go Toの再開時期を探る」方針を示した。
また、和田長官は、Go To事業に割り当てられた予算のうち、今年度内に支出できないとして2022年度に繰り越せない額がおおよそ7200億円と報告。
「既にGo To再開に向けての予算は確保している。具体的な再開時期は未定だが、適切な時期が来たならば速やかに再開する」と準備を進めている旨を話した。
□観光地再生・商品造成 事業公募を受付中
観光庁は3月から、21年度経済対策で確保した予算を充当した事業である「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」と「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の公募を始めた。
観光地の顔となる宿泊施設を中心とした観光地再生・高付加価値化について、地域計画の作成や、同計画に基づく改修事業などを強力に支援する。公募は4月18日(月)まで。
稼げる看板商品の創出は、一般型と、文化財や日本遺産を活用した文化資源連携型の2種類型を補助対象事業として設定。商品作りから販路開拓まで一貫した支援を行うとして、800~1000件程度の採用を想定している。公募は4月15日(金)まで。
□ロシアの侵攻問題 市場の回復遅れ懸念
また、ロシアの侵攻問題については、「ロシアからの訪日旅行者数の伸び率が高いということで、15年に訪日プロモーション重点市場に追加し、さらなる旅行者の増加を目指していた。観光分野の共同活動プログラムに基づき、2国間の相互交流を促進し、両国の発展や友好関係の強化をはかろうとしてきた」と振り返る。
しかし、新型コロナの感染拡大で交流が途絶えている状況と併せて、ロシア・ウクライナ侵攻により、当面は往来ができない状況と見ているとしたうえで、「現在でも欧州線の運休や燃油費の高騰など起きている。中期的な目線から、ポストコロナの国際観光市場の回復の遅れが懸念される」とし、引き続き諸情勢を注視する意向を示した。