九州運輸局と九州運輸振興センター 採用増で人手不足解消へ 女性の資質生かす
2022年4月1日(金) 配信
九州運輸局と九州運輸振興センターは3月18日、福岡県福岡市で運輸・観光の企業を対象に、女性の採用や登用拡大に向けた課題などを探る「女性活躍促進セミナー」を開催した。Web参加も含めて200人以上が視聴した。
セミナーには、女性バス運転手協会代表理事の中嶋美恵氏と大正大学公共政策学科教授の柏木千春氏、リクルートジョブズリサーチセンターセンター長の宇佐川邦子氏、厚生労働省福岡労働局雇用環境・均等部部長の室谷留美氏の女性4人が登壇。女性採用に向けた企業の意識改革や採用ポイント、女性力の生かし方、女性が活躍するための環境整備などについて、それぞれの立場から講演した。
このなかで、バス運転手に特化した人材採用支援サービス事業を行うリッツMC社長でもある中嶋氏は、「女性採用に向けた事業者の意識改革」をテーマに講演した。
男性中高年に採用が偏るバス業界の、深刻な人手不足と路線バス減便の増加という現状を報告。「運転者の約6割が60歳以上で、女性が少ない」と話し、運転手確保に「若者と女性、LGBTなどターゲットを限りなく広げた採用、または絞った採用が必要だ」と提案した。
とくに女性運転手は「運転やアナウンスがソフトで、お年寄りや子供たちに好評」と分析。子供が手離れした40―50代を対象に、「女性を積極的に採用すると企業側がPRしてほしい」と訴えた。
柏木氏のテーマは「観光における女性の力」で、「宿泊、旅行回数、観光消費額など女性が観光旅行市場を創造している」と指摘し、女性の資質と経験を生かした「女子的観光地域づくりが必要」と提案した。
宇佐川氏は「女性採用活動におけるポイント」で、「どの産業も人手不足」と話し、労働時間の負荷を下げるため、8時間労働の2人分割や、仕事難易度を簡単と複雑に分ける、働きたいママを短期的に雇用するなどの「プチ勤務」を成功例で紹介。それが、「結果的に社員の離職防止になる」と強調した。
最後に室谷氏が「女性活躍のための環境整備に向けて」をテーマに、女性の活躍状況や課題を分析し、改正育児・介護休業法の取り組み、支援策などを紹介した。
この後、4者による全体討論も行われた。