埼玉県旅行業協会、福島で懇談会開く 3年ぶり約100人が参加
2022年3月31日(木) 配信
埼玉県旅行業協会(浅子和世会長、244会員)は3月29日(火)、福島県・穴原温泉の「匠のこころ吉川屋」で業務懇談会を開いた。新型コロナウイルス感染防止のため3年ぶりの開催となった。埼旅協協定会員連盟や特別協定会員連盟の会員ら参加者は100人を超えた。
浅子会長はコロナ禍で団体旅行の需要が激減していることに触れ、「(利益率の高い)企画旅行を販売しないと、企業として生き残れない」と危機感を示した。
一方で、契約形態について、企画旅行と手配旅行を混同する会社が多いとして、「(企画旅行は)リスクもあるので、改めて業務懇談会の講演会で勉強してほしい」と呼び掛けた。
来賓の全国旅行業協会(ANTA)の駒井輝男副会長は、観光庁などに行ってきた要望活動の成果として、Go Toトラベルに参画する「受入施設における感染対策の実施状況を確認する」国の事業を請け負ったことに触れた。
「ANTA会員を派遣することができた。雇用調整助成金も6月末まで延長してもらった」とANTAに加入する意義を強調した。
㈱全旅の中間幹夫社長は、クレジットカードなどを使用できる決済プラットフォーム「全旅ペイメント」における21年の取扱額が19年比で65%増加したことを報告。「利用客がデジタル化を望んだことが一因だ。今後、大きなマーケットになるだろう」と話し、導入を勧めた。
「正しく知ろう 旅行取引」と題した講演会は、ANTAの足立和徳氏と埼旅協の有志が寸劇を交えて、実施した。
足立氏は「デジタル化で大手は店舗を削減するなか、多くの会員は長年築き上げた対面での営業スタイルを簡単に変更できない。今後も事業を続けるには、収益性の高い企画旅行に特化するべきだ」と開催の趣旨を説明した。
企画旅行のメリットについては「自社で自由に値付けでき、利益を増やせる」と主張した。
一方で、旅行会社は利用客がケガや死亡した際、特別補償として1人当たり最大1500万円を支払う義務を負うとして、「補償金をカバーする『全旅協旅行災害補償制度』へ加入して、負担を軽減してほしい」と語った。
これを踏まえ、埼旅協の有志は、旅館のみを予約し、チェックイン前の道中で死亡した利用客の遺族が、無料でルートを提案した旅行会社に特別補償を請求するようすを演じた。
足立氏は「営業の際に、補償の範囲を明確にする必要がある」と訴えた。
最後に、「さまざまな商品の物価が上昇するなか、仕入価格も高くなっている。プランニングによるパッケージ化で企画料もいただけるチャンスとして捉えてほしい」とまとめた。
夜には懇親会も行われ、盛会裡に終了した。