温泉で入浴介助サービス、ニチイと連携、宿泊施設で初(富士レークホテル)
「富士レークホテル」(井出泰済社長、山梨県富士河口湖町)は、1人で入浴することが難しい車イス利用者などにも気兼ねなく温泉を楽しんでもらおうと、2年ほど前から館内の貸し切り風呂で入浴介助サービスを提供している。訪問介護など介護事業を全国で展開する「ニチイ学館」(本社・東京都千代田区)と宿泊施設として初めて連携した取り組みで、入浴をあきらめていた利用者からは喜びの声が寄せられている。
サービスは有料で、宿泊予約時に申し込みできる。介助はニチイのスタッフがあたり、利用者同意のもと、事前に身体状況の把握や必要に応じヒアリングを行い、当日も体温・血圧・脈拍測定などの体調をチェックする。入浴が可能か判断したうえで、リフトや各種備品も整ったバリアフリーの浴場へ客室から誘導し、脱衣から入浴、着衣まできめ細やかなサポートを行う。
同ホテルは、館内共有部や客室にユニバーサルデザインを業界でもいち早く導入するなど、人にやさしいホテルを目指した取り組みを行い、11年には内閣府の「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰優良賞」を受賞している。
入浴介助サービスについても、「当初は、ホテルのスタッフが行う形でスタートした」と井出社長は話す。だが、より高い専門性や社員の負担の軽減、安全への対策を模索するなかで出会ったのがニチイ学館だった。
安心・安全を最優先に、教育や人材育成を通し培ってきたニチイのノウハウもサービスに活きる。同社の太田弓恵甲府支店長は「車イスの方も旅先で入浴できることを知っていただき、ご家族との思い出作りや張り合いを生むお手伝いにつながれば」と話す。
富士レークホテルの貸し切り風呂は、入口から浴室まで段差のないフルフラット仕様。一度に4―5人入浴できるゆったりとした造りで、湖の絶景を望みながら河口湖温泉の引き湯を心ゆくまで楽しめる。