NTT西日本など5社、第1回地域フォーラム開く 創生への展望など説明
2022年4月27日(水) 配信
西日本電信電話(NTT西日本、小林充佳社長)と、パソナグループ(南部靖之代表)、事業構想大学院大学(田中里沙学長)、日本電信電話社会情報研究所(平田真一所長)、地域創生Coデザイン研究所(木上秀則所長)の5社は4月25日、第1回地域創生推進フォーラムを開いた。昨年7月に締結した「地域創生推進コンソーシアム協定」の一環で、協定の目的や展望などを説明した。
同フォーラムを主催したNTT西日本の小林社長は冒頭、地域の課題として、少子高齢化による働き手不足と、社会インフラの老朽化、都市部との医療格差を挙げた。
これらの課題を解決するため、同協定では地域活性化に取り組む5社が保有するリソースの相互補完や相乗効果を形成しながら、誰もがどこでも、相互に助け合いながら暮らせる世界「Social Well―being」の実現を目指していることを紹介した。
5社は6月に、創生ノウハウを地域に提供できる人材を育成する地域創生Coデザインカレッジを開講する。
さらに、地域の課題と先端技術を結びつける場の創出のほか、成果や情報発信などを行う同フォーラムを継続していく。
小林社長は「集まった事例や人材など基に、課題を抱える地域と一緒に活性化に努めたい」と意気込みを述べた。
「『デジタル田園都市国家構想』が目指す持続可能な地域社会」と題した基調講演では、デジタル庁統括官の村上敬亮氏が登壇した。
同構想は政府がデジタル化の推進で地方の活性化を目指すために、推進している。
村上氏は日本の地方の現状として、免許を返納した高齢者がバスやタクシーを利用する需要があることを示し、「人手不足などで応えることができていない場合がある」との認識を示した。地域の課題には、自動運転技術などのデジタルシステムが解決を支援できることを説明した。
人口が減少する地方でのデジタル化の推進については、「民間企業が別々に新たな技術を開発した場合、利用者が少ないため利益を得にくい」と話した。
このため、「さまざまな企業などが複数のシステムを共有し、共に課題へ挑める環境『デジタル基盤』の構築が必要だ」と訴えた。具体例として、自動運転では運行や予約、配車などそれぞれの技術をまとめることを挙げた。
一方で、さまざまなビジネスへの挑戦を望む創造的な人材にとって、「都会の暮らしは閉塞感を与えている恐れがある」と持論を展開した。
解決方法の一例として、多様な人が集まるサテライトオフィスを地方で整備することを挙げた。利用者同士が休憩時間などに、現実の場で取り組んでいる仕事について話すことで、「より地域の実情に沿った技術を開発できる可能性が高まる」という。
村上氏は今後について「地域で住民の意見も参考にしながら、デジタル化を進める環境を整えていく」と語った。