「津田令子のにっぽん風土記(85)」自然豊かな目白庭園が魅力~東京・目白編~
2022年5月22日(日) 配信
元々は商業施設の設計をし、そのプロジェクトが一段落して英国の専門学校に留学した。帰国後、世界の金融情勢の仕組みが気になり銀行の外為部に勤務。その後フリーランサーとなり、現在は財団法人で仕事をしながらイラストレーターの先生の仕事を手伝っている、異色の経歴をお持ちの竹内知子さん。
生まれは札幌。「札幌は東京をコンパクトにしたような街で、東京で流行っている現象、物などはすぐに札幌で目にします」と話す。「街は○条○丁目と碁盤の目になっているので、訪れた方もわかりやすいのではないでしょうか。個人的には雪の季節に地上を歩くのがお薦めです」と竹内さん。
結婚を機に東京人になった竹内さんが居を構え、どこよりも気に入っているのが目白(豊島区と文京区と新宿区が入り混じっている)だ。
目白駅はJR以外の電車の乗り入れがない小さな駅で、駅付近は高層の商業施設、ビルが少なく、緑、大学があり、風景が気に入ったという。都会にありがちな雑踏とか人込みとかとは無縁の地である。目白界隈には、素敵でインテリジェンスにあふれる場所が多い。竹内さんは「庭園の中に入ってしまうと、小鳥の声が聞こえ都会の中にいるのを忘れてしまう静かな場所・目白庭園がお気に入りの場所です」と語る。
目白庭園は豊島区の都市化、国際化が進むなかで自然に接し、伝統文化を育む場として1990年11月に開設された。庭の中心に大きな池を配し周囲に園路をめぐらせた伝統的な池泉回遊式の日本庭園で限られた空間の中にさまざまな自然の景観を凝縮している。池の周りを歩きながらその風景を楽しめるため、新緑や紅葉の時期には多くの観光客が押し寄せる。「木造瓦葺き平屋建ての数寄屋建築の赤鳥庵や六角浮き見堂が配されていて色々な角度から庭園の魅力を満喫できるんですよ」と話す。「都会の喧騒から離れ、ゆったりとした時間が流れる目白庭園にぜひお立ち寄りくださいね」。
旅することの魅力については「新しいことを知る、新しい環境に身を置くことが好きなので、その土地にじっくりと1人で滞在して、プチ地元民になって地元の市場で買い物したりと、数日暮らすのが一番好きなんです」。最近では、「日常をリセットできる日帰りのぶらり旅を楽しみながら気に入った風景に出会うと、クレヨンを出してスケッチを楽しんでいます。私にとっては至福の時です」と笑う。
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。