JTB、純利益2期ぶりの黒字 旅行事業以外と資産売却で
2022年5月30日(月)配信
JTB(山北栄二郎社長)が5月27日(金)に発表した2022年3月期連結決算によると、当期純利益が284億6100万円(前年同期は1051億5900万円の損失)と2期ぶりに黒字に転じた。旅行需要の回復が遅れる一方、旅行以外の取り扱いが拡大。本社ビルを含む固定資産売却などで、特別利益が442億6000万円を計上したことが黒字化に大きく貢献したと示した。
売上高は前年同期比56.5%増の5823億2300万円と大幅増。営業損失は48億8000万円(同975億5600万円の損失)、経常利益は38億6600万円(同742億7600万円の損失)とともに前年同期から大幅に改善した。
商品・サービス別の売上高は、国内旅行は1749億円(同14.5%増)、海外旅行は21億円(同90.5%減)、訪日旅行は301億円(同686.8%増)、グローバル旅行は37億円(同67.9%減)。コロナ禍による移動制限で旅行需要が低迷しているが、緊急事態宣言の全面解除の影響もあり、旅行事業の売上合計は同10.6%増の2109億円となった。
一方で、旅行事業以外の売上高は同104.7%増の3714億円となり、旅行事業を上回る結果となった。オンライン接客やハイブリッドMICEなどのオンラインを活用したサービスや、企業や行政のBPOサービスが大きく拡大したことが要因とみている。
グループ全体における構造改革の進捗状況についても説明を行った。19年度から、国内グループは12社、海外グループは257拠点を削減。年平均要員数は7200人の削減目標だったが、海外を中心に想定よりも上回るコスト削減を達成し、9153人を削減した。
販売管理費は、構造改革の進捗による人件費を中心とした経費削減により、1785億円(20年度は1043億円)。19年度から36.0%減までの削減に成功した。
22年度の業績見通しについて、国内旅行はある程度感染症が抑制された状況を前提したうえで、19年度比90~100%まで回復すると想定。海外旅行と訪日旅行は秋以降の渡航制限・入国制限の解除を前提したうえで、19年度比20~30%の回復を想定している。山北社長は「グループ全体として旅行需要回復への対応と、旅行以外の商品・サービスの成長の加速を両立させて、22年度の営業利益の黒字化に向けて取り組む」と力を込めた。
なお、新規採用は23年4月から再開。「グループ全体で300人程度を想定する。中途採用を含めて積極的に人材の確保に取り組む」(山北社長)考えを示した。