ON・ガス推進機構正会員の取り組み 再び地域に帰ってきてもらうための交通機関の維持継続の仕組みづくりも(読売旅行)
2022年5月31日(火)配信
16の正会員が参画するONSEN・ガストロノミ―ツーリズム推進機構。各会員企業は自社のもつコンテンツとONSEN・ガストロノミ―ツーリズムを掛け合わせ、同ツーリズムの普及と磨き上げを進めている。今回は読売新聞グループの読売旅行の取り組みについて、営業本部長兼観光振興部長の多田真一郎氏に話を聞いた。
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――読売旅行では「鉄印帳」と「ON・ガスイベント」を組み合わせたツアーを実施されました。なぜ両者を掛け合わせたのですか。
「ONSEN×鉄印」ガストロノミーウォーキングは、観光庁の支援を受け、昨年、福島県会津若松市と、京都府京丹後市で実施しました。
「鉄印帳」は、第三セクター鉄道等協議会に加盟する鉄道会社40社と日本旅行、読売旅行、グループの旅行読売出版社が2020年に始めた企画で、鉄印帳を購入し、各鉄道会社の指定窓口で乗車券の提示と記帳料を支払うと各社のオリジナル「鉄印」がもらえる仕組みになっています。今回はこの「鉄印帳」を活用しながら、「鉄道」を組み合わせ、行動範囲を広げることを目標に、両者を掛け合わせました。
――「鉄印帳」の活用とは。
会津若松市内にある七日町通りを中心に、約50店舗で「鉄印帳」を提示すると割引や特典がもらえる仕掛けを整備しました。参加者にお得に買い物をしていただけるようにすることで消費を促し、地域経済を活性化することが目的です。
これは今回のツアー限定ということではなく、我われが造成するツアーでも七日町通りを行程に組み込むことで活用しています。
――鉄道を組み合わせることで、行動範囲はどう変わりましたか。
7月に会津若松市などが主催者となって行われたイベントは、鶴ヶ城や会津武家屋敷などを巡る約10㌔のコースが組まれ、ゴールを東山温泉に設定していました。
一方、我われとON・ガス推進機構が11月に実施したツアーでは、東山温泉をスタートし、会津若松市内でまち歩きを楽しんだ後会津鉄道で芦ノ牧温泉に行き、通常イベントと同じ形態のウォーキングを楽しむ形式にしました。
違いは、距離が離れていて普段のウォーキングイベントでは実現できなかった「芦ノ牧温泉」と「東山温泉」の2つの温泉地を巡るコースを造成できたことです。
――京丹後市のイベントはいかがでしたか。
京丹後市でのモニターツアーは、同推進機構と京丹後市、宮津市、舞鶴市の協力で実施しました。こちらは会津若松市とは違い、京丹後市内をウォーキングしながら「肉じゃが」(舞鶴市)や知恵餅(宮津市)など3市のグルメを楽しむ内容でした。このイベントは「鉄印帳」の活用というよりは、これまで開催が少なかった近畿地方の人への魅力発信を目的にしたものです。
――読売旅行は今後、ON・ガスイベンをどう活用されていきますか。
ON ・ガスイベントで重要なことは、地域にある良いものを見ること、歩いて空気を感じること、美味しいものを味わうこと、地域の温泉につかることを通じ、地域の良さを知り、再びその地域に帰ってきてもらうことだと思っています。こうした観点からも将来的には地域に根差し必要とされている、また観光客の足ともなる交通機関の維持継続の仕組みづくりにも関われればと考えています。