ONSEN・ガストロノミーツーリズムコラム 今に受け継ぐ芸妓文化( 福島県・東山温泉)
2022年5月31日(火)配信
会津の奥座敷・東山温泉は今から約1300年前、名僧・行基によって発見されたと伝えられ、江戸時代には会津藩の湯治場として栄えました。竹久夢二や与謝野晶子ら文人墨客からも、こよなく愛された湯の街です。
東山温泉の魅力の1つが、温泉宿での宴席に華を添える芸妓衆です。その歴史は長く、江戸初期に湯女から派生したと言われています。大正末期には置屋制度ができ、独自のしきたりや芸能が伝承されてきました。最盛期は昭和40~50年代。宴席前にずらりと並ぶ姿は華やかで、賑わいの象徴でした。
そんな芸妓衆ですが、現在は20人を切るほどに。温泉街ではこの文化を大切にしながら、今の時代に合った提案を始めました。東山温泉観光協会では約30分の動画を作成。舞の紹介に加え、芸妓の自己紹介やお座敷用語解説も盛り込みました。さらに、通常ひと座敷90分のところ、6月末までは踊り鑑賞や座敷遊び、お酌、記念撮影をセットにした30分の体験プランを企画。料金は芸妓1人5000円(税別)です。
今後はオンラインで楽しめる仕組みも検討します。まずは知ってもらうことから。さらに「一緒に写真を撮りたい」、「昼食と一緒に踊りも見たい」など、さまざまなシーンに芸妓の姿をイメージいただけるよう、取り組みます。シンプルですが、誰もが童心に帰って楽しめるお座敷芸をぜひ、東山温泉でお楽しみください。
【東山温泉観光協会 会長 齋藤純一】