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〈旬刊旅行新聞6月11日号コラム〉バイク1人旅――“日本の素晴しさ”見つける旅を続ける

2022年6月10日
編集部:増田 剛

2022年6月10日(金) 配信

 6月6日に関東甲信地方が梅雨入りした。混雑するゴールデンウイーク後から、梅雨入りする前の短い間がバイクツーリングに適した時期である。

 

 休日の早朝、晴れていた。小さなバッグに必要最小限の荷物をまとめ、バイクのエンジンをかけて、1人旅に出掛けた。

 

 東名高速道から新東名を西へと走り、豊田東インターチェンジで東海環状自動車道に入った。今回のツーリングの最大の目的地・郡上八幡に到着したのは午後2時だった。

 

 郡上八幡は清冽な水と、郡上おどりで有名である。今年は8月13、14、15、16日の4日間、徹夜おどりが予定されているようだ。以前、テレビでドキュメンタリー番組を見て以来、いつかこの日本らしい、熱狂と人が織りなす風景を体感してみたいと思っている。

 

 郡上八幡で1泊する予定であったが、当日に宿が取れず、飛騨古川の中心街から少し離れた「ホテル季古里」に予約した。今回は郡上八幡城を真下から眺め、古き良き街並みの空気を思い切り吸い込んで、北上した。

 

 

 郡上八幡から飛騨古川までは、長良川沿いの国道をゆっくりと走った。途中、対向車線を走る多くのツーリングライダーとすれ違い、手を振ったり、お互いの旅の幸運を祈ったりしながら初夏の自然を楽しんだ。5月は日も長い。太陽が大きく傾いた山間の道路をバイクに跨って走りながら、「旅に出て良かった」と思った。

 

 高山市や白川郷の合掌造り集落には何度か訪れていたが、飛騨古川にはまだ行ったことがなく、期待も大きくなった。

 

 日も暮れかかっていたので、宿に直行した。チェックインを済まして、まずは1日の疲れを癒すために露天風呂に浸かった。ここは「飛騨古川桃源郷温泉」という名前だ。これほど旅情を誘う温泉名もない。

 

 ほかの宿泊客は夕食時間のため、露天風呂には1人だけの貸切状態だった。カエルの鳴き声が「大合唱」のように聞こえてきた。私の生まれ育った九州の田舎町でも夜はカエルの鳴き声を子守歌に眠っていたのだが、1万匹はいると思われる大合唱は久しぶりの体験で、懐かしく、自然の中で生きるカエルたちがとても愛おしくなった。

 

 入浴後はレストランで夕食をいただいた。ホテル季古里の料理は美味しい。おすすめである。生ビールを注文し、飛騨牛も堪能した。離れたテーブルでぽつんと食べていたので、宿のスタッフが色々と話し掛けてくれた。明朝行く飛騨古川でバイクを無料で駐車できる場所や、瀬戸川を泳ぐ1千匹を超える鯉についても教えてくれた。

 

 

 飛騨古川の美しい白壁の街並みは素晴らしかったが、それ以上にあちこちに清潔なトイレがあったことに感動した。小さなことかもしれないが、人気観光地では駐車場とトイレで苦労することが多いのだ。その後、平湯温泉方面に向かい、あかんだな駐車場でバスに乗り換えて上高地の河童橋に行って、はちみつ入りのクッキーのお土産を買った。天気も良く、絵葉書のような上高地の景色を満喫した。

 

 

 再びバイクに乗って、松本市方面へ疾走。中央自動車道に乗り、途中のSAで山賊焼きカレーを食べて帰った旅だった。中年男にとって、誰にも気兼ねしないバイクの1人旅は楽しくて仕方ない。日本の素晴らしさを見つける旅を続けていこうと思う。

 

(編集長・増田 剛)

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