7月から全国旅行支援 地方・平日への分散狙う(観光庁長官会見)
2022年6月20日(月) 配信
観光庁の和田浩一長官は6月17日(金)に開いた会見で、「全国を対象とした観光需要喚起策」(全国旅行支援)を7月前半に行うことを発表した。割引率は一律40%とし、公共交通機関を使っての地方旅行や、平日の旅行での利用促進を狙う。和田長官は、「事業の主な目的は、地方への観光に対する配慮や、旅行需要の分散。実施に当たり、感染状況や観光需要の動向も含め臨機応変に対応していきたい」と力を込めた。
割引上限額は鉄道・バス・航空などの交通付旅行商品は1泊当たり8000円。これ以外は5000円まで。付与するクーポン券は平日が3000円分、休日が1000円分。期間は8月末までとし、最繁忙期は除外する。
Go Toトラベル事業は国が実施の可否を決め、全国一斉に行う。一方で県民割は各県またはブロックごとの判断に任せている。
全国旅行支援では、国の判断により実施を決めるが、都道府県と協議し希望しないという申し出があればその都道府県は支援対象から除外する。
和田長官は、「地方への誘客促進や、平日への旅行需要分散で、全国的な観光需要を喚起する」とした。
なお、事業の実施は6月中の新型コロナ感染状況を見て判断する。現在実施中の地域観光事業支援(県民割)の期間は、6月末から7月14日(木)分まで延長する。
□実証事業知見生かし、ガイドラインを策定
5月末から行われた訪日観光実証事業について、観光庁は「参加者は総じて日本の感染対策に協力的だったが、マスクを外しても良い場面が分かり辛かったという声があった。入浴中など、マスク不要と考えられる場面の例示や、イラストを用いた説明などのリーフレットを準備し、観光庁のHPで提供した」と報告。
また、このなかで新型コロナ陽性者が発生したため中止したツアーもあった。和田長官は、「緊急時の対応という観点から重要な知見を得られた。今後も都度ガイドラインを見直し、内容を精査していく」考え。
水際対策の緩和により6月10日(金)から再開した訪日観光について、「入国が可能となった国・地域に対して効果的なプロモーションを打ち、インバウンド回復に向けて戦略的に取り組んでいく」と意欲を示した。
日本政府観光局(JNTO)のマーケティング調査によれば、近距離旅行ほど再開が早い傾向があり、訪日経験者の方が訪日旅行に積極的という結果が得られた。
コロナ前は最大の訪日市場だった東アジアは、依然として厳しい水際措置や入国制限が掛けられている国・地域があることから「早期の再開は難しい」と見ている。
欧米豪諸国は、水際措置の緩和の動きが先行しているため、海外旅行の早期回復が見込まれる。欧米豪市場の取り込みも引き続き重要とし、とくに、訪日経験者の多い米国や豪州の回復に注視する考え。