【特集No.613】「ピンクリボンのお宿」シンポin和倉 誰もが温泉を楽しめる環境へ
2022年6月28日(火) 配信
乳がん体験者が安心して温泉旅行できる環境を作るピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は5月30日(月)、石川県・和倉温泉の加賀屋グループ・あえの風で「第8回ピンクリボンのお宿シンポジウムin和倉」を開いた。コロナ禍で延期が続き、実に3年ぶりの開催。キャンサー・ソリューションズ登録講師の松井亜矢子さんの基調講演や、歌手の麻倉未稀さんの体験談、加賀屋仕入用度課の指江香里さんによる活動報告のほか、ピンクリボン活動見学が初めて行われた。
【馬場 遥】
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□3年ぶりにシンポ開く 来賓・茶谷市長らが登壇
ピンクリボンのお宿ネットワーク(畠ひで子会長)は2012年7月10日に発足し、昨年に設立10周年を迎えた。会員数は、設立当初50件だったが、5月30日(月)現在は宿泊施設が100軒、旅館組合・女将会が5軒、企業が17社の計122会員が加入している。
また、同会が毎年10月に発行する「ピンクリボンのお宿冊子」では、ネットワークに加入する宿の紹介や、貸切風呂、露天風呂付き客室、大浴場洗い場の間仕切りの有無などのお風呂情報を掲載する。加えて、貸切風呂の無料利用や、ウェルカムドリンクなどのお得なサービスが受けられるクーポンも付く。昨年10月には冊子を10万部作成・発行して、会員や病院、患者会を通じて乳がん患者・体験者に届けている。
シンポジウムには、ピンクリボンのお宿ネットワークの旅館、企業・団体会員と、地元七尾市、石川県内の旅館、観光協会、行政、患者会ら約70人が参加した。講演後はあえの風のユニバーサルルーム見学や、加賀屋のピンクリボン取り組み見学ツアーも催された。参加者が客室や温泉、脱衣所、売店などを実際に視察し、知見を深めた。
畠会長は、「新型コロナの影響で観光業界も厳しい状況に陥るなか、大半の会員は継続して活動を続けてくださっている」と振り返った。「本来ならば第8回シンポジウムは一昨年に開催する予定だったが、3年ぶりにようやく8回目を迎えることができた。本日学んだことを、今後の宿の受入態勢や取り組みなどに生かしていただければ幸い」と期待を述べた。
地元の来賓として、茶谷義隆七尾市市長、土橋順一石川県観光戦略推進部観光企画課担当課長、庄田正一石川県観光連盟理事長、多田邦彦和倉温泉観光協会会長、小田絵里香和倉温泉旅館協同組合女将の会会長が出席。
茶谷市長は「乳がんの方は、体の傷と心の傷の両方を抱えてしまう。和倉温泉は傷の治療に良い泉質。温泉に浸かるとき、患者さんの気持ちのハードルが低くなり快く入ってもらえるように、周りの方の気付きと理解を深めていくことが必要」と強調した。
土橋課長は、石川県がん対策推進計画やがん対策推進条例などに基づいた予防・治療・対策推進の3つの柱を掲げ、「悩みや不安を抱えた患者や家族への支援を行っている」と紹介した。県民割を使った石川県内の旅行にも触れ、「県民割が6月末に終了した後、対象を全国にまで拡大した旅行補助事業を考えている。ご家族と一緒に、ぜひ石川に訪れていただければ」と期待を語った。…
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