【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その15-大神神社&三輪山周辺巡礼(奈良県桜井市)偉大な神様が宿る三輪山 酒造と医薬の神様
2022年7月1日(金) 配信
奈良県には、古代歴史ロマンにあふれた聖地が多く、そのなかでも日本の始まりを物語るいくつかの神社があります。その1つが桜井市にある、大神神社。
祀られている神様は、大物主大神(オオモノヌシノオオカミ)。大物主の「オオ」は美称であり、「モノ」は霊的存在であり、「ヌシ」は、その字の通り主を表しています。「偉大なる霊的存在の主」という意味です。酒造と医薬の神様でもあります。
そして、大和地方の神奈備山(神様が宿る山)である三輪山は、高さ467㍍であり、本殿を設けず、拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し、お山を拝するという原始信仰の自然崇拝の祭祀形態を残しています。大神神社に本殿がないのは、神奈備山である三輪山をご神体としているからです。ご祭神は、大物主大神、大己貴神(オオナムチノカミ)、少彦名神(スクナヒコナノカミ)です。大神神社は、我が国最古の神社。
JR桜井線の三輪駅からすぐに大神神社がありますが、三輪山全体の包容力に満ちた空気感に癒されて、とても安らげる境地になります。駅近くの三輪そうめんや、鯖寿司にも食欲をそそられますが、まずはご参拝し、帰りに三輪グルメを楽しみましょう。
拝殿で参拝したら、近くにある「巳の神杉」(みのかみすぎ)にもご参拝を。こちらは、大物主大神の化身であります、金運に良いともいわれる白蛇様がいらっしゃることから名づけられたご神木。白蛇様の大好物のお酒と卵が参拝者によって、お供えされています。お力の強い開運スポット。
この周辺は、蛇にゆかりのある場所、龍神様の神社などがいくつかあります。古代、蛇は神様の象徴ともいわれていました。私は以前から、古代の渦巻き模様に魅了されていました。例えば、蛇がとぐろを巻いている姿、縄文式土器、土偶の女神、古代ケルトの文様、日本各地にある装飾古墳の壁、世界各地の遺跡などに渦巻きを見つけることができます。その多くが蛇神信仰と結びついているそうです。
アイルランドのケルトのお墓などを見ると、やはり渦巻き模様があります。それは「アナザーワールド」とも呼ばれていて、女性の胎内なども表しているそうです。「また、この世に甦ってきますように」という再生の祈りのメッセージのように感じられます。
まさに、大物主大神のお力が宿るこの大神神社の聖地にて渦巻きという、見えない大きなエネルギーを体感できるかもしれません。
さて、大神神社境内にある、くすり道を歩いていくと、狭井神社(さいじんじゃ)があります。この神社の薬井戸より湧き出るご神水は、万病に効くといわれ、遠方から訪れる参拝者の方々が絶えないとのこと。また、境内で販売されている「ご神樹」は、神様の波動を持った「生きた」植物のようです。1つ買うと、悪いものを寄せ付けないとのこと。
薬井戸の近くから三輪山への登拝口がありますが、現在コロナの状況により入れるかどうか、ご確認してみてください。
また、狭井神社近くの山の辺の道を30分程度歩くと、元伊勢であった桧原神社(ひばらじんじゃ)があります。元伊勢とは、伊勢神宮の前身にあたるところをいいます。崇神天皇の皇女である、豊鍬入姫(トヨスキイリヒメ)が、この地に天照大神を祀りました。3つの鳥居が連なった三ツ鳥居で有名であり、こちらから眺める二上山の眺めも素敵です。柔らかさと懐かしさを感じる、居心地の良い神社です。
鎌倉時代には、この地で真言密教と神道を習合させ、三輪流神道も生まれました。数々の大いなるご利益に満ちた、聖地・三輪山と大神神社と周辺神社巡礼で、人生の飛躍を祈願されてみてはいかがでしょうか。
■旅人・執筆 石井 亜由美
東洋大学国際観光学部講師、カラーセラピスト。精神性の高い観光研究部会メンバー。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。